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Transcription
- 主人公:
- 狐の遺伝子が混ざっているというだけあって、ヒルメは伝説に出てくる
九尾の狐の姿をしている。 - 主人公:
- だとすれば、それに関する資料も調べた方が役に立つかもしれない。
- う~ん…油揚げが好き…?
- 主人公:
- いくつかの資料を漁ってみた結果、共通してヒルメの姿のモチーフとなっていると
思われる九尾の狐は、油揚げが好きだという記述があった。 - 油揚げといえば…いなり寿司か?
- 主人公:
- いなり寿司は一度だけ食べたことがある。ソワンではなくカエンが作ってくれた。
- クノイチ・カエン:
- クノイチ・カエン:
殿。あ~ん。
- クノイチ・カエン:
美味し…?
- クノイチ・カエン:
…うん。カエン、頑張って、作った。…殿の、ために。
- クノイチ・カエン:
それ、食べたら、次は…
- 主人公:
- ……とりあえずカエンに頼んでみるか。
- ヒルメ、行こう。
- 天香のヒルメ:
…わかった。
- 主人公:
- カエンに連絡を入れて、ヒルメと一緒に艦長室に戻ることにした。
- クノイチ・カエン:
ううん、だめ。
- ……
- 主人公:
- カエンにいなり寿司を作ってくれと頼むと、即答で断られてしまった。
- え……どうして?
- クノイチ・カエン:
お寿司…調和が、大事。
- クノイチ・カエン:
いなり寿司だけは…彩り、悪い。美味しさ、下がる。
- そ、そうなの?
- 主人公:
- そういえば…カエンは寿司に関しては異常なまでのこだわりを見せていたな…。
- じゃあ寿司を全種類作るならいいのか?
- 主人公:
- この周辺は港湾都市であるためか、物資探査報告書にも保存状態の良い海産物が、
大量に発見されたとの記述があった。 - クノイチ・カエン:
……新鮮、じゃない。よね?
- ほとんどが良い状態みたいだから…大丈夫じゃないか?
- クノイチ・カエン:
……うん。わかった。
- 主人公:
- しばらく待っていると、カエンが一目で美味いとわかる
寿司の盛り合わせを運んできた。 - 主人公:
- 綺麗に並べられた寿司の両端にはふっくらとした いなり寿司があった。
- ほら、食べてみて。
- 確か手で食べさせろって言ってたな…
- 天香のヒルメ:
これは…
- 主人公:
- ヒルメは皿に盛られた いなり寿司に目をキラキラさせていた。
- 天香のヒルメ:
あ…ありがとう…。このようなもてなし…正直嬉しいが…驚いておる……
- 天香のヒルメ:
では…
- 天香のヒルメ:
…ぬしは妾を何と思っておるのだ。
- 主人公:
- ぶつぶつ言いながらヒルメの視線は俺の手にあるふっくらとした いなり寿司に
向かっていた。 - 食べないんだったら俺が…
- 天香のヒルメ:
た、食べないとは言っておらんだろ!
- 主人公:
- そう言ってヒルメは両手で俺の手をぎゅっと掴み、ゆっくりと口を近づけた。
- 天香のヒルメ:
はむっ…もぐもぐ…
- 主人公:
- 目をそっと閉じて、寿司をじっくり味わうヒルメを見ていると
なんだか嬉しくなった。 - 主人公:
- 作ってくれたカエンも無表情だが、美味しそうに食べてくれてきっと嬉しいはず。
- 天香のヒルメ:
初めて食べる味だ。悪くない。
- …それだけ?
- クノイチ・カエン:
……
- 天香のヒルメ:
妾に何を期待しておるのだ…。伝説は伝説、妾は妾だぞ。
- 天香のヒルメ:
ただ普通に美味しいだけ…あぁっ…!
- クノイチ・カエン:
残りは、殿のもの。
- クノイチ・カエン:
あなたは…食べちゃ、ダメ。
- 天香のヒルメ:
そ、そんな…
- クノイチ・カエン:
殿、あ~ん。
- 主人公:
- そう言うと有無を言わさずカエンはいなり寿司を俺に食べさせた。
- クノイチ・カエン:
どう…?美味し…?
- 最高。
- …まぁまぁかな?
- クノイチ・カエン:
…うん。
- クノイチ・カエン:
……
- 冗談だよ。すごく美味しい。
- クノイチ・カエン:
殿…意地悪…
- クノイチ・カエン:
はい…残りも、食べて。
- ほら。ヒルメもこっちに。三人で食べよう。
- 主人公:
- カエンが鋭い眼光で睨む中、ヒルメは体を縮こまらせながら慎重に俺に近づく。
- 天香のヒルメ:
…さっきは妾が失言をした…。本当は、とても美味しかった…。
- クノイチ・カエン:
…うん。
- 主人公:
- カエンも許してくれたようで、ヒルメはサーモンの寿司を手に取り、
それを幸せそうな顔で口に入れようとした瞬間、艦長室のドアが勢いよく開いた。