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Transcription
- 主人公:
- 仕事中、ふと時計を確認した。
- そろそろ戻ってくる頃か。
- 主人公:
- 個別レッスンをしないとな……誰からいこう?
- ブラックハウンドにしよう。
- リンティにしよう。
- グリフォンにしよう。
- 主人公:
- よし、いくか。
- 主人公:
- 練習部屋に行く前に念のためスカイナイツの部屋に寄ってみると、
ちょうどブラックハウンドがベッドに寝そべっていた。 - P/A-8ブラックハウンド:
あ、プロデューサー。
- 主人公:
- いつものニコニコとした笑顔で俺を出迎えるブラックハウンド。
だが、よく見るとその表情に疲れの色が見えた。 - お疲れ。編曲中?
- P/A-8ブラックハウンド:
はい。
- 主人公:
- 俺がベッドに座ると、ブラックハウンドは体を起こして目を擦りながら
パネルを見せてくれた。 - 大変だろ?ミューズにもう少し手伝ってもらう?
- P/A-8ブラックハウンド:
大丈夫です。手伝ってもらったとしても、
最終的には私たちが完成させないと意味がありませんから。 - 歌の練習はしなくていいのか?
- P/A-8ブラックハウンド:
独りで練習しています。それに……
- P/A-8ブラックハウンド:
けっこう自信あるんですよ。
- お、そうなんだ?
- 主人公:
- 俺を見てニコッと笑ったブラックハウンドは、小さく咳払いをした。
- P/A-8ブラックハウンド:
ふたつめは自然に、襟のほこり払って~
- 主人公:
- ブラックハウンドは軽く一小節歌って、その歌詞の通りに
俺の襟をポンポンと払った。 - P/A-8ブラックハウンド:
どうですか?
- 確かに…
- 主人公:
- ブラックハウンドの可愛らしい歌声は心地よく、歌の雰囲気とも
ぴったりマッチしていた。 - P/A-8ブラックハウンド:
えへへ。
- 主人公:
- ブラックハウンドは嬉しそうに小さく笑って、
少し躊躇った後、ゆっくりと俺に体を寄せてきた。 - 主人公:
- そしてすぐに、深いため息が胸元をくすぐった。
- もう少しだけ頑張ってくれ。
- …他のメンバーの世話で大変だろ?
- P/A-8ブラックハウンド:
はい…。
- P/A-8ブラックハウンド:
あ、まだ作業中ですけど、ちょっと聞いてみます?大分完成に近づいてるんです。
- いいの?聴いてみたい。
- 主人公:
- 俺から体を離して、ブラックハウンドはイヤホンを差し出した。
- 主人公:
- 俺が両耳にイヤホンを着けたのを確認すると、
ブラックハウンドはパネルを操作した。 - おお…。
- 主人公:
- 3分程度の音源が終わり、イヤホンを外した。
- 良い―あ……
- P/A-8ブラックハウンド:
すぅ……。
- 主人公:
- 疲れが溜まっていたのか、ブラックハウンドはいつの間にか眠っていた。
- 主人公:
- 俺は起こさないようそっと布団をかけて部屋を出た。
- P/A-8ブラックハウンド:
……少し。
- 主人公:
- 世話好きな性格のブラックハウンドは、いつも他の隊員達に気を配っている。
戦闘時なんて特にそうだ。 - 主人公:
- そこにアイドルプロジェクトが始まって曲作りまで担当していれば、
いつも以上に色んな事に気を配っているはず。 - P/A-8ブラックハウンド:
でも……楽しいです。
- 主人公:
- 胸元に顔を埋めるブラックハウンドを見ると、大きな目を細めて微笑んでいた。
- P/A-8ブラックハウンド:
みんな楽しそうなんです。こういうイベントがあると。
- なんかイベントばっかりやってる気もするけど……
- P/A-8ブラックハウンド:
私はうれしいですよ。これからもずっと…
- P/A-8ブラックハウンド:
こんな風にいつも楽しかったらいいなって……。
みんなとプロデューサー……じゃなくて…… - P/A-8ブラックハウンド:
…大好きな司令官も一緒に。
- …そうか。そうだね。
- P/A-8ブラックハウンド:
はい。
- 主人公:
- 少し元気が出たのか、ブラックハウンドは俺から体を離して伸びをした。
- P/A-8ブラックハウンド:
あ、プロデューサー。
いらっしゃったついでに、サビの部分の音源でも聴いていきませんか? 大分良くなってきたので感想が聞きたいんです。 - 俺で大丈夫かなぁ……?
- P/A-8ブラックハウンド:
構いません。音楽の知識がない人の感想が大切なので。
- そ、そう?
- 主人公:
- 少し複雑な気分でブラックハウンドがくれたイヤホンの片方を受け取る。
- P/A-8ブラックハウンド:
では、いきますよ。
- 主人公:
- もう片方を耳に着けたブラックハウンドは、
俺にくっついてきて腕を組むと、目をつぶった。 - 主人公:
- イヤホンからは軽快で爽やかな雰囲気の音源が流れ始める。
しばらく音楽を聞いていると、俺の肩に寄りかかっていたブラックハウンドは、 スヤスヤと寝息を立て始めた。 - ……俺が癒されちゃったな。
- 主人公:
- ブラックハウンドの前髪がはらりと落ち、顔にかかる。
それをそっと耳にかけてあげ、俺も少し目を閉じることにした。 - 主人公:
- よし、いくか。
- 主人公:
- スカイナイツの部屋に入ると、ドアに一番近いベッドに
リンティは寝そべっていた。 - P-29リントヴルム:
あっ、プロデューサーさん!
- ……練習しないのか?
- P-29リントヴルム:
今は午後のリンティタイムなんです~。
- …………
- 主人公:
- それが何だと聞く必要はなかった……。
リンティは手鏡に向かって色んな表情を作っていた。 - P-29リントヴルム:
あっ!もうこんな時間ですね!次は~……
- 練習の時間?
- P-29リントヴルム:
いいえ?今から午後のメイクタイムです!
- ……その次は?
- P-29リントヴルム:
夕食を食べて、夜のリンティタイムです!
- ………
- 主人公:
- グリフォンの気持ちが分かった気がする……
- 主人公:
- 複雑な気持ちで周りを見渡すと、枕の下になっている紙を数枚発見した。
- ん?これ、歌詞?
- P-29リントヴルム:
はい。リンティのパートは色がついてま~す!
- ふむ……。
- 主人公:
- 裏のこれはラップか……?それはそうと一番最初の英語のパートは何だろう?
- この英語は何?
- P-29リントヴルム:
それはイントロです。ちょっと聴いてみます?
- うん。聴いてみたい。
- P-29リントヴルム:
よぉ、ボーイ~。
- P-29リントヴルム:
リスン。まいふぁーすとしーくれっとすとーりぃ!
- P-29リントヴルム:
どうです?リンティ、イイ感じじゃないですかぁ~?
- うん、イイ感じ。
- …発音がちょっと変じゃない?
- P-29リントヴルム:
ふふ~ん!ですよね~?あぁ……、リンティは何でこんなに最高なんでしょう……。
- P-29リントヴルム:
ラップも歌もちゃ~んと練習してますから、
プロデューサーさんは何にも心配いりませんよ~! - P-29リントヴルム:
じゃあ、プロデューサーさんもこっちに来て一緒に可愛いリンティを
堪能しましょう! - そ、そうしよ~!
- 主人公:
- 言うことがなくなった俺は、リンティとゴロゴロしながら夕方まで
リンティタイムを満喫した。 - P-29リントヴルム:
えっ。
- 悪いが、本当。
- 主人公:
- もちろん俺も英語が得意とは言えないが、
データベースにある歌のそれと比べても…… - P-29リントヴルム:
あ、あはは……そ、そんなはずはありません。確かにリンティは―
- これを聞いてみろ……
- 主人公:
- パネルを操作して、データベースから俺が以前聴いた英語の曲を再生した。
- 主人公:
- 歌声が流れてくるや、リンティの顔は一気に真っ青になった。
- 主人公:
- P-29リントヴルム:
わかりましたよぉ……練習します。すればいいんでしょぉ……?ちぇっ。
- 主人公:
- リンティは歌を聴いている間、リンティタイムの時とは違う意味での
色々な表情を見せてたが、歌が終わる頃にはすっかりふて腐れていた。 - 自分自身を見つめるということは、苦痛を伴うものだ…。
- P-29リントヴルム:
プロデューサーさんは知らないと思いますけど。
リンティはですね、これくらいほんのちょびっと練習すれば、 すぐ出来るようになるんですよ? - P-29リントヴルム:
もう帰ってもらえます?リンティはれ・ん・しゅ・う!しないといけませんので。
- 主人公:
- 頬をぷくっと膨らませて、わざとらしく歌詞が書かれた紙を
漁り始めるリンティ。その姿に思わず笑ってしまった。 - 主人公:
- リンティをなだめるには……やっぱりアレしかない……。
- リンティは可愛いから、練習したらもっと可愛くなるんだろうな。
- P-29リントヴルム:
…そ、そんなことリンティが一番わかってます。
- 可愛いリンティのステージ、楽しみにしてる。
- P-29リントヴルム:
……!?そ、そんなこと言われたら……急に何ですかぁ……
- 主人公:
- よし、トドメだ……。
- リンティは最高に可愛いよ。
- リンティは本当に可愛いよ。
- リンティは超絶可愛い。
- P-29リントヴルム:
う…うぅ……
- P-29リントヴルム:
ああ~、もう……!
- ふふーん、どうだ。これでいつもの―ンッ!?
- 主人公:
- 顔を両手で掴まれたと思ったら次の瞬間、リンティの顔が目の前にあった。
- 主人公:
- 唇に残ったティントのほのかな香りが消える前に、
顔を真っ赤にしたリンティが口を開いた。 - ……リントヴルム?
- P-29リントヴルム:
プロデューサーさんのせいですよ。何回も何回もそんなこと言うから、
胸の中がくすぐったくなって…… - P-29リントヴルム:
はぁ……リンティのアイドル人生はもう終わりです……。
プロデューサーさんとキスしてしまうなんて…… - P-29リントヴルム:
…ふふ、こうなった以上、もうどうにでもなれです……。
あとはプロデューサーさんと一線を越えてしまうだ…… - 調子に乗るな。
- P-29リントヴルム:
てへ☆
- 主人公:
- 俺の太ももを撫でようとしてデコピンを食らったリンティは、
ペロッと舌を出した。 - P-29リントヴルム:
でも、練習は見てくれませんか?
- いいよ。もともとそのつもりで来たからな。
- 主人公:
- 床に座ると、ベッドにうつ伏せになっているリンティと高さが合い、
真正面から目を合わせる。 - 主人公:
- あご肘をついてじーっと俺の顔を見ていたリンティは、そっと口を開く。
- P-29リントヴルム:
プロデューサーさん。
- うん?
- P-29リントヴルム:
ボクたちのステージ、楽しみにしててくださいね。
- すごく楽しみにしてるよ。
- P-29リントヴルム:
ふふ。
- 主人公:
- その後もリンティは、しばらく何も言わずに俺の顔を笑顔で見つめていた。
- 主人公:
- いつもなら練習をサボるための作戦かと疑ったかもしれないが、
なぜだか今はそういう風には思わなかった。 - 主人公:
- 「じゃあ、いくか」と立ち上がろうとした瞬間、ドアが開いた。
- オードリー・ドリームウィーバー:
司令官、ちょっとお時間よろしいでしょうか?
- どうした?
- オードリー・ドリームウィーバー:
衣装のことでちょっとお話したいことがありまして。
- うん…いいよ。何かあった?
- オードリー・ドリームウィーバー:
実はですね……
- 主人公:
- 思ったより話が長引き、いつの間にか夕食の時間もとっくに過ぎていて、
就寝時間が近づいていた。 - …とりあえず行ってみるか。
- 主人公:
- 約束をしていたわけではないが、気にかかる……
- 主人公:
- スカイナイツの部屋に向かう途中で消灯時間となってしまい、
通路の照明が消えた。 - ん?あれは……
- 主人公:
- 通路のずっと向こうにあるドアの隙間から光が漏れている。
俺は誘われるようにその部屋へと向かった。 - P/A-00グリフォン:
うぅ、疲れた……
- P/A-00グリフォン:
踊りながら歌うと息が苦しい……
- P/A-00グリフォン:
……。
- P/A-00グリフォン:
ステージでキーが上がらなかったらどうしよう……
- P/A-00グリフォン:
…ふぅ。もうちょっと練習しな―きゃっ!?
- うわっ!?
- 主人公:
- ドアを少し開けて様子を窺っていたら急に目が合ってしまい、
グリフォンを驚かせてしまった。 - P/A-00グリフォン:
な、何で……プロデューサーが?
- P/A-00グリフォン:
ここで何してるの?
- 灯りが点いてたから気になって。
- P/A-00グリフォン:
あ、もしかして例の個別レッスンってやつ?
- うん。部屋に行く途中だったんだよ。
- P/A-00グリフォン:
……こんな遅い時間に?
- 本当はもっと早めに行こうとしてたんだけど……
- 主人公:
- それでも疑いの視線を向けるグリフォンに、オードリーと衣装について
話をしていたことを説明した。 - 俺も俺だが、グリフォンこそこんな時間まで練習か?
- P/A-00グリフォン:
……。
- P/A-00グリフォン:
やるからには完璧にしないと。
- 主人公:
- 「みんなの足を引っ張るわけにはいかないから…」と
ぶつぶつ言うグリフォンの姿を見ていると、思わず笑ってしまった。 - P/A-00グリフォン:
何だよ、何か文句でもあんの?何で笑うのよ。
- いや、何でもない。
- P/A-00グリフォン:
むぅ……。せっかく来たんなら、ダンスの評価でもしてよ。
どこが悪いのか教えてくれたら直すから。 - 分かった。
- 主人公:
- グリフォンはボリュームを落として音楽をかけると、練習部屋の中央に立った。
- 主人公:
- 前奏が終わり、動き始めようとした瞬間……
- P/A-00グリフォン:
うあっ!?
- あっ…!
- 主人公:
- グリフォンはよろめいて、転んでしまった。
- P/A-00グリフォン:
いたた……
- 大丈夫か!?
- P/A-00グリフォン:
あ、うん。大したことないから。ちょっと足を挫いちゃったみたい……
- P/A-00グリフォン:
靴に慣れなくて……。いつも軍靴しか履いてなかったから……あはは……
- ちょっと見せろ。
- 主人公:
- グリフォンの足をそっと持ち、足首の状態を確認した。
- 主人公:
- 痛めたと思われる部分が少しずつ腫れてきている。
- 大変だ……大丈夫か?
- じっとしてろ。
- P/A-00グリフォン:
は?私をそこらへんの民間用と一緒にしないで。
- P/A-00グリフォン:
こんなの怪我でも何でもないから……。気にしないで。
- 主人公:
- そう言って立ち上がるグリフォンは眉間に皺を寄せる。
- 肩を貸すよ。
- P/A-00グリフォン:
大丈夫だってば。1人で歩けるから。
- 主人公:
- その後も何度か手を貸そうとしたがグリフォンは頑なに断り、
足を引きずりながら部屋へと帰ったのだった。 - P/A-00グリフォン:
え、なになに!?……きゃっ!?
- 主人公:
- 背中に腕を回し、いわゆるお姫様だっこでグリフォンを抱き上げた。
- 主人公:
- グリフォンは突然のことに一瞬、呆気にとられていたが、
我に返ると手足をじたばたし始めた。 - 大人しくしてろ。
- P/A-00グリフォン:
べ、別に普通におんぶでもいいじゃない!
何でこ、こんな!恥ずかしいことするのよ! - 別にいいだろ、今は誰もいない。
- 主人公:
- 日中はいつでもどこでも隊員とすれ違うオルカ号の通路だが、
夜は薄気味悪さすら感じるほど誰もいなくなる。 - P/A-00グリフォン:
……。
- 主人公:
- 疲れたのか、それとも諦めたのか、大人しくなったグリフォンは
そっと俺の首に腕を回した。 - P/A-00グリフォン:
…重くない?
- 片腕でも余裕。
- P/A-00グリフォン:
強がっちゃって。
- P/A-00グリフォン:
……。
- 主人公:
- 通路に俺の足音だけが鳴り響く。
- 主人公:
- スカイナイツの部屋まで残り半分くらいまでやってくると、
グリフォンは突拍子もないことを言い出した。 - P/A-00グリフォン:
…部屋に戻る前に、食堂に寄って。
- え?いまさら!?
- 主人公:
- 今俺たちがいる場所は食堂とは正反対の位置にあり、歩いて10分近くかかる。
- P/A-00グリフォン:
頑張って練習してたから喉が乾いちゃって。水が飲みたいの。
- そんなの部屋に……あ。
- P/A-00グリフォン:
……
- …よく考えたら意外と重たいな。疲れるからゆっくり歩くからな?
- P/A-00グリフォン:
はぁっ……!?あんたねぇ……!!
- 主人公:
- 色々言い合ったり、真面目な話をしたりしながら食堂に向かった。
- 主人公:
- そしてスカイナイツの部屋に到着した頃には、午前零時をとっくに過ぎていた。