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主人公
- 適当なところで仕事を終え、ミューズの部屋に行くことにした。

Transcription

  1. 主人公:

    - 適当なところで仕事を終え、ミューズの部屋に行くことにした。

    1. そういえば、まだちゃんと話したことないな…。
  2. 主人公:

    - ドアの前に到着すると、部屋の中から歌が聞こえてきた。

    1. ……初めて聞く歌だ。
  3. 主人公:

    - 歌が終わったのを見計らってドアをノックした。

    1. ミューズ、いる?
  4. ミューズ:

    アッ……!?

  5. ミューズ:

    こ、こ、こ、こんにちは……!?

  6. ミューズ:

    …も、もも……もしかして聞こえてましたか……?

    1. 少しだけ。聴いちゃダメだった?
  7. ミューズ:

    い、いいえ……そういうわけでは、ありませんが……

  8. ミューズ:

    は、は、はははは入りますか……?それとも……

    1. あ、ありがとう。
  9. 主人公:

    - もうすっかり大量の機材に埋め尽くされてしまった部屋に入って、適当に座った。

  10. 主人公:

    - そっとドアを閉めると、ミューズはまた遠くに離れて座った。

  11. ミューズ:

    あ、あの……

  12. ミューズ:

    ……ほ、本日はどういった、ご、ご用件で……?

    1. いや、まだミューズとちゃんと話してないなって思って。
  13. 主人公:

    - 初めて会った時は会話どころじゃなかったし、その後すぐに部屋に閉じこもってしまったから……

  14. ミューズ:

    …!す、すみません……

  15. ミューズ:

    こうやって、安心して過ごせてるのも……プロデューサーのおかげなのに……

    1. それは気にしないで。作業の方はどう?
  16. ミューズ:

    ……はい。ユニット曲をチェックしながら、こ、これを……

    1. これが例の新曲?
  17. 主人公:

    - ミューズが微かに頷きながら、俺にモニターを見せた。

    1. …うーん。楽譜なのは分かった。
  18. ミューズ:

    ふふ。

  19. ミューズ:

    …あっ、あぁ……すみません。わ、笑ったのは、その……

    1. その?
  20. ミューズ:

    その……えっと……

  21. ミューズ:

    あうぅ……

    1. ……
  22. 主人公:

    - ここは話題を変えた方が良さそうだな……。

    1. ユニット曲はどんな感じ?俺もまだ最後まで聞いてないんだ。
  23. ミューズ:

    ユニット曲、は……

  24. ミューズ:

    全部、本当に素敵な曲ばかりです。

    1. そうなんだ?すごいな……みんなにそんな才能があったなんて…
  25. ミューズ:

    そ、その……えっと……

  26. ミューズ:

    技術面、では……まだまだ足りない部分があるのは事実です……

    1. ……やっぱそうだよな?
  27. ミューズ:

    はい……

  28. ミューズ:

    で、でも……!

  29. ミューズ:

    みなさんの曲には……真心がこもっています。

    1. 真心?
  30. ミューズ:

    はい。たった一人のためだけに……不器用ながらも精一杯の想いを込めた、真心です。

  31. 主人公:

    - ミューズのその言葉に、さっき聞いた曲の歌詞を思い返してみた。

    1. ……
  32. ミューズ:

    メロディーに真心をのせ……心の底からの、本当の想いで歌うこと……

  33. ミューズ:

    それこそが真の歌なんです……だから、あの歌はきっと素敵な歌になります。

    1. ……うん。俺もそう思う。
  34. ミューズ:

    …あっ……

  35. ミューズ:

    す、すみません……雰囲気に流されて変な事を……。

    1. ううん。いい話が聞けたよ。それが君の……音楽観なんだろ?
  36. ミューズ:

    ……はい。

  37. ミューズ:

    私は、真心を込めて歌いたくなる……そんな曲を作りたいんです。

    1. うん。楽しみにしてるよ。
  38. ミューズ:

    あ……もう行かれるん、ですか……?

    1. そろそろステージの設置をしないといけなくてね。どうかした?
  39. ミューズ:

    あ、いいえ……ただ……。

  40. ミューズ:

    ………。

  41. 主人公:

    - ミューズはまだ何か言いたそうにそわそわしていた。立っていたら、さらに慌ててしまいそうだし、もう一度腰を下ろすことにした。

  42. 主人公:

    - …………どれくらい待っただろうか……?ついにミューズは蚊の鳴くような声で話しはじめた。

  43. ミューズ:

    こ、今度また……

  44. ミューズ:

    また……来てくれます、か…?

    1. 行ってもいいの?
  45. ミューズ:

    ……!はい……!

  46. ミューズ:

    も、もちろんです……。

    1. 分かった。ミューズも艦長室に来ていいから。いつでも。
  47. ミューズ:

    ………。

    1. じゃあまた。
  48. 主人公:

    - ミューズは小さく頷き、俺も頷き返すと部屋を出た。

  49. 主人公:

    - 前髪の隙間から見えたあの日と同じ澄んだ目は、嬉しそうに笑っていたような気がした。