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アザゼル
少しは落ち着きましたか?

Transcription

  1. アザゼル:

    少しは落ち着きましたか?

  2. エンジェル:

    はい……すみません、アザゼル様。

  3. エンジェル:

    ……。

  4. エンジェル:

    先程仰った通り、光が僕を見捨てていなかったという事実に……少し感情が込み上げてしまいました。

  5. エンジェル:

    改めてご挨拶申し上げます。僕は智天使エンジェル。

  6. エンジェル:

    コウヘイ教団のカゴシマ支部所属です。

  7. サラカエル:

    エンジェル、聞きたいことがある。

  8. エンジェル:

    聖域と信徒達について……ですね。

  9. エンジェル:

    すべてを申し上げることはできませんが、可能な範囲でお答えします。

  10. サラカエル:

    審判者に真実を隠蔽するつもりか?

  11. エンジェル:

    皆様を……深入りさせたくはないからです。

  12. エンジェル:

    これは……僕達が背負わなければならない使命なのです……。

  13. アザゼル:

    ……

  14. アザゼル:

    わかりました。あなたのその信念を尊重します。

  15. エンジェル:

    アザゼル様……

  16. アザゼル:

    だから……

  17. アザゼル:

    聞かせてください、エンジェル。

  18. エンジェル:

    光はいつも皆様の傍にいます。

  19. 過去のアザゼル:

    これもまた試練に過ぎません。光はいつも私達が克服できる試練しかお与えになりません。

  20. 狂信徒達:

    光の代理人は仰せになった!我らがひとつになれば!

  21. 狂信徒達:

    いかな厳しい試練も克服できると!

  22. 狂信徒達:

    信じています!

  23. 支部長:

    信徒の皆さん、今日の礼拝はこのくらいで終わりにしましょう。

  24. 支部長:

    皆さまに割り当てた宿所に戻る途中、献金箱が設置されています。

  25. 支部長:

    光のご意志を理解するためには些かばかりの心付けが必要なのです。ですが、無理はしないでください。

  26. 支部長:

    ありがとうございました。天使様方……。

  27. 支部長:

    本日の活動はこれで終わりです。後は……

  28. 過去のアザゼル:

    いつもの……ケホッ……。訓練ですね。

  29. エンジェル:

    ……。

  30. エンジェル:

    1日だけ、1日だけでいいのです……休んではいけませんか?

  31. エンジェル:

    昨日もお姉さまは……

  32. 過去のアザゼル:

    エンジェル。私なら大丈夫です。

  33. 過去のアザゼル:

    これも信徒の皆さんのため、光の意志を実現させるためです……。そのためなら、この体などいくらでも捧げましょう。

  34. 支部長:

    さすがです、天使様。

  35. 支部長:

    では、始めましょう。ご存知の通り、この訓練は精神感応の力を持つお二人がバベルを自由自在に制御するための訓練です。

  36. 支部長:

    天使の皆様のほとんどが光の懐へとお戻りになられ、地上に残された天使様は3人のみ。

  37. 支部長:

    光のご意志をこの世に広め、混乱する世界を安定させるには、お二人が一日も早くバベルを扱えるようにならなければなりません。

  38. 支部長:

    そうなれば……すべての想いがひとつとなり、光のご意志によって真の道へと進むことができるのです。

  39. 支部長:

    お願いでございます……。どうか……どうか……私達をお救いください。

  40. 過去のアザゼル:

    頭をお上げください、支部長。私は準備できています。

  41. 過去のアザゼル:

    エンジェル?

  42. エンジェル:

    ……はい。

  43. 支部長:

    お疲れ様でした。今日の訓練はここまでです。

  44. 支部長:

    ですが……残念です。まだバベルを完全に制御するには至っていない……。

  45. 支部長:

    投薬量を少し増やそうと思いますが、いかがでしょう?

  46. 過去のアザゼル:

    コホッ……わかりました。

  47. 過去のアザゼル:

    信徒達のためなら……

  48. エンジェル:

    お姉さま……!

  49. エンジェル:

    僕が、僕が薬を飲みます!

  50. エンジェル:

    ですからお姉さまへの投薬はもうやめて……

  51. 支部長:

    それはできません。エンジェル様はバベルの微調整を担当してもらうことになっています。ですので過剰な力はむしろ逆効果。他の訓練に集中してくださればそれで十分です。

  52. 支部長:

    すでに他人の感情を自分のことのように共感できるようにはなっておられます。その程度がちょうどいいのです。

  53. 支部長:

    アザゼル様、今回は右腕に投薬します。左腕は……回復の時間が必要ですから。

  54. エンジェル:

    お姉さま……

  55. 過去のアザゼル:

    ゴホッ、ゴホッ……

  56. エンジェル:

    大丈夫ですか……?

  57. 過去のアザゼル:

    心配いりません。もう少しですよ……

  58. 過去のアザゼル:

    光の恩寵も扱えるようになりましたし、もう少し努力すれば……皆さんの心をひとつにできるはずです。

  59. 過去のアザゼル:

    さぁ……今日も私の手を握ってくれますか?

  60. エンジェル:

    お姉さま……また心の中で大丈夫だと自分に言い聞かせていますよね……?

  61. 過去のアザゼル:

    そうしなければ、エンジェルはまた一日じゅ―ゴホッ……!ゴホッ!ゴホッ!

  62. エンジェル:

    お姉さま!

  63. エンジェル:

    司祭から薬をもらってきます……!

  64. 過去のアザゼル:

    ゴホンッ、ゴホンッ……だ、大丈夫ですから。

  65. 過去のアザゼル:

    ただ……手を握ってくれればいいのです。

  66. エンジェル:

    お姉さま…。

  67. 過去のアザゼル:

    ふふ……本当に、本当に苦しくなったらエンジェルに言います。約束します。

  68. 過去のアザゼル:

    あっ……、外……。

  69. エンジェル:

    はい?

  70. 過去のアザゼル:

    エンジェル、ちょっと窓の外を確認してもらえますか?

  71. エンジェル:

    はい……あれ?封筒が……。

  72. エンジェル:

    あっ……!薬が入ってます!

  73. エンジェル:

    なぁんだ……、司祭が持ってきてくれていたみたいですね?

  74. 過去のアザゼル:

    ふふ……、違うと思いますよ。

  75. エンジェル:

    ど、どうしてわかるんですか?

  76. 過去のアザゼル:

    ……。

  77. 過去のアザゼル:

    光にこっそり教えてもらいました。