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主人公
- 箱舟から艦長室に戻ってきた。ドアが閉まると、騒々しかった外の音は遮断されて、一気に静かになる。

Transcription

  1. 主人公:

    - 箱舟から艦長室に戻ってきた。ドアが閉まると、騒々しかった外の音は遮断されて、一気に静かになる。

    1. よいしょっと……
  2. 主人公:

    - 椅子に座り、モニターを点けると、隊員たちの姿が映し出されていた。各自がそれぞれの方法で休暇を楽しんでいる。

    1. …今日も楽しかったな…。
  3. 主人公:

    - 休暇も残りわずか。数日もすればまた……仕事と戦闘の日々が始まる。

    1. ………
  4. 主人公:

    - みんなとても幸せそうな顔をしている。そんな様子を見ていたら、俺も自然と笑っていた。

  5. 主人公:

    - 改めてこの笑顔を守るためなら、俺はどんなことでもすると、固く誓った。

    1. そろそろ寝るか……
  6. 主人公:

    - 日が暮れて大分経つが、隊員達はまだまだ眠りそうにない。

  7. 主人公:

    - 残りの休暇を全力で楽しむなら、今日はもう寝た方がいいだろう。

  8. 主人公:

    - モニターを消して、ベッドに横たわる。

  9. 主人公:

    - 箱舟に来てからの色んな出来事と明日からのことを考えながら、ゆっくりと眠りについた。

  10. ??:

    ご主人様、起きてください。

  11. 主人公:

    - 俺を呼ぶ声がする……。朝か……?

  12. 主人公:

    - 無職生活の間についた習慣で、すぐに起きないつもりだったのだが、続いて聞こえてきた別の声を聞いて、ゆっくりと意識が覚醒していく。

  13. ??:

    早く起きなさいよ、司令官。

  14. ??:

    ワンワン!

  15. ??:

    あっ、ボリ、だめよ!

  16. 主人公:

    - ハッハッハッ……という息遣いの音と体の上にのしかかる重量感……

  17. 主人公:

    - 俺の体の上に乗った「何か」は俺の口と顎を執拗に舐め回した。

  18. ??:

    うーわ……これでも起きないなんて……

  19. ??:

    ふふ、お疲れのようですし……もう少し後で来ましょう?

  20. ??:

    ダメよ。もう全部準備終わってんだから、みんな待ってるでしょ。

  21. ??:

    そうね……う~ん……どうしたらいいのかしら……?

  22. ??:

    ハッハッ……

  23. 主人公:

    - 俺の顔がヨダレまみれということは見なくても分かった……

  24. 主人公:

    - これ以上舐められる前に、仕方なく起きることにした。

  25. 主人公:

    - すると……予想していた通りの光景が目に入ってきた。

  26. 主人公:

    - 寝ている俺を見下ろすグリフォンとコンスタンツァ。それからボリ。

  27. 主人公:

    - こうやって起こされるのも、もう日常と化していた。でも今日は何故か、心の片隅が温かくなるような…そんな感じがした。

  28. コンスタンツァS2:

    ご主人様、おはようございます。どうぞ。

    1. あ、うん。おはよぉ……
  29. 主人公:

    - まだぼーっとした状態で温かいおしぼりを受け取って、ヨダレだらけの顔を拭いた。

  30. P/A-00グリフォン:

    全然拭けてないじゃん?

  31. P/A-00グリフォン:

    ほら、貸して。私が拭いたげる。

    1. ああ……ありがとう。
  32. 主人公:

    - 大人しくじっとしていると、グリフォンは丁寧に俺の顔を拭いてくれた。

  33. コンスタンツァS2:

    ふふ、グリフォン。今日はやけに優しいのね?

  34. P/A-00グリフォン:

    ……だ、だって……

  35. P/A-00グリフォン:

    今日は特別な日だから……

    1. むぐっ。
  36. 主人公:

    - 最後に力を入れて俺の顔を拭くと、グリフォンはおしぼりを置いた。

  37. コンスタンツァS2:

    ふふ……さっぱりされましたか?

    1. 少しは……
  38. 主人公:

    - 人間とは、なんて弱いのだろうか……?ちょっと無職生活が続いただけで、こんなにも起きられなくなるものなのか……

  39. 主人公:

    - なんとか睡魔を振り切り、上体を起こした。

  40. P/A-00グリフォン:

    ……

    1. …どうした?
  41. P/A-00グリフォン:

    ……何でもない。

  42. コンスタンツァS2:

    グリフォンは寝起きのご主人様が好きなんですよ。だから今日も一緒に来るって―

  43. P/A-00グリフォン:

    そ、そんなんじゃないし!そんなの好きなわけ……

  44. P/A-00グリフォン:

    さ、さっさとシャワー浴びてきなよ?

  45. 主人公:

    - 目を逸らすグリフォンに笑いかけ、シャワールームに向かった。

  46. P/A-00グリフォン:

    ちゃんと目が覚めたんなら行くよ。

  47. P/A-00グリフォン:

    みんな待ってるから。

    1. …さっきから行くって何の話?どこに?
  48. P/A-00グリフォン:

    ええ!?

  49. コンスタンツァS2:

    はい?

    1. 今日は特に予定はないだろ。……あ、そうだ。
  50. P/A-00グリフォン:

    うわああっ!?

  51. コンスタンツァS2:

    きゃっ…?

  52. 主人公:

    - 二人を抱き寄せて、ベッドに寝転がった。

    1. 二人も予定ないだろ?
  53. 主人公:

    - さっきから感じていた妙な感覚の原因が分かった。

  54. 主人公:

    - 3年前、俺を見つけてくれたのはこの二人だった。初めて目覚めた時のあの光景が思い出される。

  55. 主人公:

    - あの時から今に至るまで色々なことがあった。深くため息を吐くグリフォンと困った顔で笑うコンスタンツァ……二人のこんな顔が見られるだなんて、あの時の俺には想像もできなかった……ってあれ?ため息と困った顔……?

  56. P/A-00グリフォン:

    はぁ……司令官、あんた…本当にバカなんだから。

  57. コンスタンツァS2:

    ふふ。

    1. え、何で…?
  58. P/A-00グリフォン:

    予定がないィ~?一番大切な日でしょ。

  59. P/A-00グリフォン:

    ほら!早く起きるよ!

  60. コンスタンツァS2:

    そうですよ、ご主人様。さ、起きてください。

    1. ……?
  61. 主人公:

    - 混乱している俺にコンスタンツァはスーツを渡してきた。

  62. コンスタンツァS2:

    こちらをお召しください。特別な日である、今日のために準備しました。

    1. 着るのは問題ないけど……特別な日?
  63. 主人公:

    - 思い出そうとしても何も思い出せない…………まさか!?

    1. チョコレート!?ダメ!やめて!!お願い!!
  64. 主人公:

    - 俺の本気の怯え方を見て、呆れた顔をしているグリフォン。

  65. P/A-00グリフォン:

    え、本当に分からないの?

  66. P/A-00グリフォン:

    今日はあんたの誕生日だよ。

    1. ………え?
  67. 主人公:

    - ……誕生日?