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Transcription
- 主人公:
- 久しぶりに艦長室で全体的な進捗状況を確認した。
- 定着作業はどうなってる?
- アルマン枢機卿:
順調に進んでいます。ですが……
- どうした?
- アルマン枢機卿:
全体の作業が完了し、状況が安定するのは来年になりそうです。
- ……そうか。
- アルマン枢機卿:
残念ではありますが状況が状況なだけに、年末パーティーは延期もしくは
簡単に済ませた方が…… - 残念だな……
- 主人公:
- 確かにこんな落ち着かない状況で盛大にパーティーなんてできないな。
- アルマン枢機卿:
もしくは、私たちが仕事を進めている間に、陛下にプレゼントを
用意していただくのも方法ですね。 - はは……
- 主人公:
- 初めての冬、隊員達へのプレゼントを準備するため
何週間も徹夜で雪原を歩き回ったことを思い出した。 - アルマン枢機卿:
何度も言いますが……あの時は本当に嬉しかったです、陛下。
- うん。俺もみんなが喜んでくれて嬉しかったよ。
- アルマン枢機卿:
ふふ。
- …まさか今年もサプライズパーティーを準備してるとかじゃないよな?
- アルマン枢機卿:
そうしたいのは山々ですが……
- 大丈夫だよ。いつもたくさん貰ってるから。
- アルマン枢機卿:
……
- 主人公:
- アルマンは無言で俺の腰を抱き寄せる。
- アルマン枢機卿:
……いつも私達に寄り添ってくださり、本当に感謝しています。
- アルマン枢機卿:
陛下は私達にとって本当に大切なお方です。
- …それは俺も同じだよ。俺のそばにいてくれていつもありがとう。
- 主人公:
- しばらく俺を抱きしめていたアルマンは体を離し、ニコリと笑った。
- アルマン枢機卿:
そういうわけで、陛下。
- アルマン枢機卿:
現在、私達は積極的な外部活動を行うことができない状況です。
それはお分かりですよね? - そうだな。
- アルマン枢機卿:
そして、通常の偵察任務は各部隊の隊長で処理が可能です。
それもお分かりですよね? - まあ…そうだな。
- アルマン枢機卿:
そういうことで、オルカ抵抗軍全隊員満場一致で可決された事項を
私が代表でお伝えいたします。 - アルマン枢機卿:
この駐屯地が安定化するまで業務を停止していただき、休暇をとって頂きます。
どうぞ、私達と共にゆっくりとした時間をお過ごしください。 - え!?満場一致!?そんな投票いつ……
- 主人公:
- アルマンは俺の言葉に答える代わりに、ニコッと笑って手を差し出した。
- アルマン枢機卿:
陛下?陛下の大切なパネルは私が預かっておきます。
- え……えぇ……
- 主人公:
- いつでもどこでも仕事ができるよう常に持ち歩いていた俺のパネルを……
アルマンが預かる……? - ……
- 主人公:
- 俺の抗議の眼差しがうまく伝わっていないのか、無視しているのか、
アルマンの笑顔はますます輝きを増している…… - うぅ……
- 主人公:
- 目をきゅっと閉じてパネルを差し出した。
もはや体の一部とも言えるパネルが、俺の手からスッと消えた。 - アルマン枢機卿:
応じていただきありがとうございます、陛下。
- アルマン枢機卿:
当面は一級非常事態に準ずる状況でない限り、私達が業務を処理いたします。
普段と何ら変わりはありません。 - それは…そうだけど。
- 主人公:
- 普段も余程のことがない限り、ほとんどの業務は隊長クラスと参謀陣が
処理することになっている。 - 主人公:
- ただ俺がじっとしていられなくて色々と手を出してきたわけだ……
- アルマン枢機卿:
……陛下。
- 主人公:
- アルマンがそっと俺の頭の上に手を置いた。
- アルマン枢機卿:
昔の私達は、明日自分が生きているのかどうか心配しながら生きていました。
ですが今はもう違います。 - アルマン枢機卿:
陛下のおかげです。
- アルマン枢機卿:
ですから今回だけは……陛下の時間を自分のために、そして私達のために
使ってください。 - ……うん。分かった。
- アルマン枢機卿:
ありがとうございます、陛下。
- アルマン枢機卿:
では私は業務を処理してまいります。
陛下は時間がある時にいつでもお越しください。 お仕事はさせませんが♡ - 主人公:
- アルマンはすごく良い笑顔で笑うと艦長室を出ていった。
- ……………………………………
- 主人公:
- しばらく隊員達への感謝で胸の中は温もりでいっぱいだったのだが……
それは徐々に冷めていき、代わりに果てしなく続く虚無が俺を埋め尽くしていった。 - ……あ、そうだ。
- 主人公:
- 南の少し遠くの方へ偵察に出た隊員達の作戦進行状況だけは確認しておこう。
- 主人公:
- 確か名前は…ビエなんとかという島だった気がする……
俺が許可した偵察なんだから、責任をもって確認しないとな!うん! - 主人公:
- そう自分を納得させて机のモニターの電源を入れた。
- 主人公:
- ふふ……俺は悪くない……俺から仕事を奪ったお前達が―……はれ?
- 主人公:
- 作戦書面を閲覧しようとした瞬間、「Cardinal Armand」というユーザーに
権限を奪われた。 - 主人公:
- そしてその次の瞬間、作戦内容には「完了」と表示され、
部隊現況画面に帰還中の部隊が追加された。 - くっ……!
- 主人公:
- 慌てて他の作戦書類を探した。よし!「年末特別副食払い出し案件」
……これなら……! - ……!?
- 主人公:
- 今度は「α」というユーザーに権限を奪われた。
- はあ……
- 主人公:
- 崩れるように椅子にもたれかかった……。
わぁ~…その間にも業務は着々と処理されていく…… - 大人しく言うことを聞くしかなさそうだな。でも……
- 主人公:
- 艦長室を出る前にもう一度だけモニターに目を向けた。