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Transcription
- 主人公:
- 残酷で冷酷な勝負の世界。そこでの俺は「最強」だ。
- システムメッセージ:
< 敗北 >
- …………
- 主人公:
- いや、最強「だった」。
- llliIIllILi:
wwww自分で自分のカウンターアタック食らってるw
コード使うから高ランクプレイヤーって思ったのにw - 最強陸軍036771:
いつのアイテム引っ張り出してんだよ…www
- Jkew9588:
垢バンお願いしま~す。
- 主人公:
- 煽りばかりのチャットウィンドウを閉じ、頭を搔きむしった。
- ああぁぁぁぁぁ~…!!好き放題言いやがってぇ~!!
- 主人公:
- スチールラインオンライン……通称「スチオン」……。
オルカの隊員達に人気の趣味ランキングがあったとしたら、 1位か2位にはなる人気ゲームだ。 - 主人公:
- 以前、隊員達のためにデータをオルカ号のデータベースに保存し、
独自のサーバーで運営できるようにしておいた。 - 主人公:
- そして、俺は卓越した状況判断とマップ分析、圧倒的なフィジカルで
ランキング1位に到達。仕事が忙しいと順位が下がることもあったが…… - システムメッセージ:
< 降格:Diamond 2 >
- 嘘だろ……!
- 主人公:
- 記憶の箱舟には当然、スチオンのデータも最新のバージョンまでのすべてが
保管されていた。 - 主人公:
- いつも同じバージョンをプレイしていた隊員達にとっては朗報だ。
すぐに大規模アップデートが実施された。 - 主人公:
- そして、ちょうど無職になったこともあり、俺は久しぶりにマウスを手にし…
すぐに絶望を味わった。 - コネクターユミ:
……24連敗……あはは……
- あああああ~!!!あー!あー!
- 主人公:
- 悲鳴をあげる俺に哀れみの眼差しを向けていたユミが、俺の対戦記録を見た。
- コネクターユミ:
マッチング運がなかったみたいですね……
- だよね!?俺悪くないよね!?
- コネクターユミ:
でも、それ以前に……メタに全く……適応できていないのでは……
- ………
- 主人公:
- 実際、本当は自分でもよく分かっていた……。
昔は突撃を躊躇するチームメンバーも無理矢理ついて来させて勝てていた…… - ただ俺は現実(メタ)を否定したかったんだ……
- 主人公:
- 複雑な心境で対戦記録を見ている俺の肩をユミが揉んでくれた。
- コネクターユミ:
私がお手伝いしましょうか?
- ユミが?
- コネクターユミ:
はい。ゲームは得意ではありませんが、サーバー管理を担当しているので
アップデートの追加項目や変更履歴はすべて分かります。 - コネクターユミ:
それにデータ管理と分析にも自信がありますので、
最適なオーダーとアイテムツリーを― - よろしくお願いしまぁす!!
- コネクターユミ:
えっ……
- コネクターユミ:
は、はい!では早速始めましょうか!
- -:
(37分後)
- 主人公:
- 敵陣営…防御タワーが全て撤去された状態で接敵中。状況は大きく動いた。
小柄なユミはアドバイスをするために俺の足の間に座っている。 - コネクターユミ:
本陣です、本陣を攻撃してください!
- 全体を対象にしなくてもいいのか!?
- コネクターユミ:
さっき選択したアイテムに追加ダメージがあるので突破可能です!
- くっ……!
- 主人公:
- すべてのフィジカルを駆使し、敵のスキルショットを避けた後、
敵の本陣を集中射撃。そして、俺のキャラクターが倒れた瞬間…… - システムメッセージ:
< 勝利 >
- コネクターユミ:
わぁ……!
- 勝ったああぁぁぁぁぁぁ!!!
- 主人公:
- 24連敗後の1勝。ユミを抱きしめて、込み上げる喜びを全身で噛みしめた。
- ああああぁぁぁぁ嬉しい………
- コネクターユミ:
ぷっ。ふふ……そんなに嬉しいですか?
- でも……まだまだ先は長い…
- コネクターユミ:
それはそうですね……
- 主人公:
- 感動も束の間、すぐに虚無感に襲われた……。
失ったスコア……どうやって取り戻そう…… - コネクターユミ:
あの、司令官…
- どうした…?
- コネクターユミ:
あっ……えっと、さっきから言いたかったんですが……
とても集中されていたので…… - え??
- コネクターユミ:
……えっと…背中にですね、何度も……あの……あそこが当たって……
- ご、ごめん。気付かなかった。
- 当たってたか、ちょっと興奮し過ぎたみたいだな。
- コネクターユミ:
……
- 主人公:
- 気まずくなった空気を変えるため、違う話を振ることにした。
- えっと、ユミは、本当に色々知ってるな。
- コネクターユミ:
えへへ、そうですか?知識だけは自信あります。
- じゃあ一緒にやらない?俺もアカウント新しく作るから。
- コネクターユミ:
いいんですか?もちろんです!じゃあ私の部屋でやりましょう!
- そうしよう。
- 主人公:
- ユミと一緒に部屋へ行き、新アカウントで戦績をロンダリング―ではなく、
とにかく新規アカウントを作成した。 - 主人公:
- 24連敗の記録は、墓場まで持っていく。
- 主人公:
- やっと手にした勝利に興奮した勢いで、思わず言ってしまった……。
するとユミは笑うでもなく唇を尖らせた。 - コネクターユミ:
またからかって……
- え、え?
- 主人公:
- ユミはそう言って俺の方を見もせずゲームのスタートボタンを押す。
すぐにゲームが始まってしまった。 - コネクターユミ:
バンピックしちゃってください。
- う、うん…
- 主人公:
- 怒っちゃったか……?ユミの様子を窺いつつ、
慎重にキャラクターを選択しプレイを始めた。 - 主人公:
- ロード画面が表示され……ユミはクルッと俺に向き直った。
- ユミ…?
- コネクターユミ:
はい?
- 主人公:
- 予想に反してユミは笑顔だった。
- 怒ってたんじゃなかったの?
- コネクターユミ:
いいえ。司令官のからかいには慣れてますから。その代わり……
- 主人公:
- ユミは両腕を俺の首に巻きつけ、体を密着させた。
- ちょ、ちょっと待て……ゲーム始まってる……
- コネクターユミ:
そうですね。頑張ってくださ~い。
- 主人公:
- また負けるわけにはいかない俺は仕方なくマウスを握り、
ユミは俺の反応を見ながら小刻みに体を動かす。 - うっ……ちょっ……
- コネクターユミ:
えへへ……。私が主導権を握るのって初めてですね……変な気分です……
- も、もうすぐレイド戦なんだけど…?
- コネクターユミ:
ふぅ~ん…そうですかぁ……
- …………
- 主人公:
- 俺は何故か分からないが……どうしてか分からないが……
ゲームに集中できなかった…… - 主人公:
- そのせいでその後7連敗してしまったのだった……。