シーンビューアの使い方
- 背景画像・セリフ下のNEXT・選択肢をクリックでセリフ送り
- 過去のセリフの選択肢・BACKをクリックでログジャンプ
Transcription
- 主人公:
- いつもと同じ…いや、いつもより母性の濃度が濃い艦長室。
俺は6人の隊員達と対面している。 - で……結論は出たのか?
- 生命のセレスティア:
司令官様が私達に身を委ねてくださるのなら、私達が順番にお世話をするという
話になりました~。 - 死滅のセクメト:
逸話は逸話にすぎません。誰も陛下を6等分することに同意はしませんでしたよ。
- おい、それは当然だろ。
- 贖罪のマリア:
それに競い合うのも公平ではないと言ってくださいました……
- 贖罪のマリア:
すみません、私の性能が劣っているばかりに……
- 不屈のマリー:
いいえ、こういう重要な事案こそ公明正大に判断しなければなりません。
- 不屈のマリー:
謝る必要などないのです。
- フリッガ:
ですが、ご主人様のお世話を諦めるわけにはいきません。
- フリッガ:
ぎゅっと抱きしめてあげたい……
- エタニティ:
ご主人様……今日から私と永遠の眠りにつきましょう…
- 主人公:
- みんなを刺激しないよう、ゆっくり、非常にゆっくりと椅子から立ち上がった…
- 主人公:
- 皆、ただ笑っているだけのように見えるが、ほんの微かな動きを見せた。
……そう、すべては俺をバブらせるために…… - …考え直さないか?
- 主人公:
- 沈黙……。
それがもう答えだと言わんばかりに全員がじわりじわりとにじり寄ってくる…… ………ゴクリ……。唾すらも慎重に飲み込んだ……。 - すぅ……はぁ……
- 主人公:
- 人間の身体能力が一人一人違うように、隊員達のそれも様々だ。
- 主人公:
- 例外もあるが民需用、軍需用バイオロイドの身体能力は
隊長クラス、もしくは高級モデルだった者に比べると相対的に劣る。 - 主人公:
- そのおかげと言っていいのか分からないが、
俺は複数の隊員と同時に夜を過ごしても体力的に余裕がある。 身体能力だけで言えば俺に対抗できる相手はそれほど多くはない。しかし…… - 主人公:
- 残念ながらマリアを除き、今俺の目の前にいる「ママ」達は
強靭な身体能力の持ち主ばかり……。 - 主人公:
- いや、マリアも土壇場で俺の想像を超えるママ力を発現する可能性すらある。
……母はそれだけ偉大な存在なのだから。 - 不屈のマリー:
……フリッガ殿。
- フリッガ:
はい。
- 主人公:
- 俺を半分包囲したような陣形でママ達が少しずつ近づいている。
俺はこんな状況でも冷静に頭の回転速度を上げた。 - エタニティ:
行きます。
- 主人公:
- 加速した思考の中で、俺に与えられた時間は無限……!
- 「ママ」たち:
………
- 主人公:
- 人間は極限状態に追い込まれると、とんでもない力を発揮すると
聞いたことがある! - 主人公:
- 危機的状況に直面しフル回転する俺の頭脳は、無限に情報を収集、処理し、
まるで俺の時間だけが止まったかのような状況を発生させることに成功した! - 主人公:
- こうなれば後は相対するママと俺の戦力を分析し、弱点を把握。
その弱点にあった強みを利用し、突破するのみ……! - 主人公:
- 一般的にオールラウンダーのキャラは弱いという認識をされがちだが、
それは全体的なステータスが低い場合に限る…… - 主人公:
- すべてのステータスが一定レベル以上の場合、オールラウンダーは
それこそ万能だ! - 主人公:
- そして、まさにセレスティアが最も万能型だと言える存在。
外見、行動、性格すべてが母!文字通り母性の化身。 - 主人公:
- そしてそして!最も注意すべきは、あのしなやかな手の動きだ。
一瞬でも油断し、体に触れられた刹那……! 俺はそのまま抵抗する力と意志を喪失してしまうであろう……! - 主人公:
- 滅亡前の世界にこんな言葉があった……。
「女は弱し、されど母は強し」 これはマリアのための言葉と言ってもいいだろう……! - 主人公:
- たとえ他のママ達より身体能力が劣るとしても、子を思う気持ちだけは
誰にも負けないということは俺が一番よく知っている。 - 主人公:
- そのため、あの少し垂れ下がった潤んだ瞳と目を合わせたが最後……
俺の抵抗の意志は音を立てて崩れ落ちてしまうであろう……! - 主人公:
- セレスティアがオールラウンダーだとすれば、セクメトもある要素を
除けばすべてS級だと言える。 - 主人公:
- 足りないのは……そう、経験だ。
- 主人公:
- セクメトは確かにまだ不器用だ。不器用であるからこそ
気持ちだけが先走り、過激で強硬な態度を見せる。 - 主人公:
- 捕まったが最後……俺はすべてをセクメトにお世話される人生を
送ることになるであろう……! - 主人公:
- 戦略のプロであるマリーと対人戦に特化したフリッガはお互いの弱点を
補完し合いながら、俺を窮地に追い込むであろう……! - 主人公:
- マリアが感性的な部分での強敵なら、この2人は完全に正反対の存在だ。
文字通り反抗不可能な母性と言えるであろう! - 主人公:
- そして何よりも……俺に匹敵する身体能力と卓越した戦闘センスは、
脱出を試みる前に抵抗の意志を削いでしまうであろう! - 主人公:
- そして最後……とても予測不可能な隊員が一人……。
一見ぼーっとしたその表情からは、何を考えているのか全く予想できない。 - 主人公:
- 幸いにもエタニティは俺に対し従順ではある。
頼めばすぐに味方になってくれるだろうが…… - 主人公:
- ただし、味方にしたとしても状況はさほど変わらないだろう……。
いや、そんなことをお願いしたら、代価として棺に入れられて 埋葬されてしまうかもしれない。 - 主人公:
- 1秒が経過した……。汗を滝のようにかいていることに気付いたママは……
- 主人公:
- あっ、違う、隊員達は俺を静かに見つめていた。
その視線から深い愛情と母性が伝わってくる…… - 主人公:
- ギリギリだがすべての隊員達の戦力分析は終わった。
ここから俺が取るべき行動は……! - (……諦める)
- (……諦めない)
- 主人公:
- いくら考えを巡らせても逃げ出す方法が全く思いつかない。
……いや、最初から逃げ出す必要などあったのだろうか……? - 主人公:
- ママ達からの深い真の愛情に抵抗の意志が、春の雪解けのように消えていく。
- 主人公:
- そして、俺の心の奥底に眠っていた甘えん坊が目を覚ます……
- …………ばぶぅ。
- 生命のセレスティア:
まぁ、お可愛いこと~
- 主人公:
- 俺の抵抗の意志が消え去ったことを確認すると、しなやかな歩みで
俺に近づいてきたセレスティアは俺を胸に抱いた。 - エタニティ:
まずは棺にご案内いたします。
- フリッガ:
いい考えですね。
- 主人公:
- フリッガが俺をひょいっと抱き上げ、棺に寝かせた。
次第に……気が遠くなっていく感じがする。 - 死滅のセクメト:
ま、待ってください。陛下をあやすことができるのは私だけです。
私にお任せください。 - 贖罪のマリア:
マリー隊長は……?
- 不屈のマリー:
私は機が熟すのを待っています。
- 不屈のマリー:
……そう、閣下が完全な甘えん坊になる時を……!
- 主人公:
- この世すべての煩悩が消えていく…まるで胎内に戻っていくかのような……
柔らかく温かいものが全身を包み込んでいく…… - ばぶぅ、ママぁ……
- 主人公:
- 先日、滅亡前のコミュニティサイトで見た記事を少しずつ理解できてきた。
甘えるだけでこんなにも心が楽になるなんて…… - ママ:
はいはい~ママはここにいますよ~
- ママ:
陛下、この母なら陛下を永遠に甘やかすことができます。
- ママ:
お亡くなりになったように横になっているご主人様……
こんなお姿を生きているうちに見ることができるなんて…… - ママ:
お腹は空いていませんか?消化にいい牛乳がありますよ~…
- ママ:
ふふ、ぎゅ~っとぎゅ~っと……抱きしめてあげますね~
- ママ:
ふむ………そろそろ……か……もうすぐ完全な甘えん坊に……
- 主人公:
- 徐々に意識が遠のいていく……。誰が何と言おうと、今この瞬間……
世界で最も幸せなのはこの俺だろう…… - 主人公:
- ……
- 主人公:
- ばぶぅ。
- -:
< ソロモンの審判 > HAPPY END.
- 主人公:
- …………駆ける―
人間の遠い祖先が初めて大地に足を踏み出した瞬間から今に至るまで伝わる行為。 - 主人公:
- この非常に単純で本能的な行為は、パフォーマンスのほぼすべてが
身体能力に依存する! ……だとすれば、俺にも勝機が…………ある…!!! - ハァッ……!
- 主人公:
- 戦術的な動きに慣れないマリアは一瞬の隙を見せるはず!
だが、0.5秒後にはマリーがカバーに入るだろう……! 俺は!そこに出来た!マリーの!わずかな!隙を!狙う! - うおおおおおおおっ…!!!!
- 主人公:
- 俺はそのまま風となり、通路へと飛び出した!
そして、後ろを振り返ることもせず!一心不乱に全力疾走した! - 不屈のマリー:
…完璧かつ勇敢な決断。さすがは閣下です。感激いたしました……!
- フリッガ:
あんな風に逃げられてしまっては……とても捕まえられませんね……
- 贖罪のマリア:
す、すみません。私のせいで……
- 不屈のマリー:
謝る必要はありません。私がしっかりと見ていればこんなことには……
私の落ち度です。 - 生命のセレスティア:
まぁまぁ~今日はまた一段と早く出ちゃいましたね~
- 死滅のセクメト:
その言い方……、陛下の名誉に傷が付きます。今すぐ撤回しなさい。
- エタニティ:
あぁ………こんな風にイッてしまわれるなんて……
- エタニティ:
ご主人様を……もっと早く棺にご案内していれば……
- 主人公:
- 無我夢中に走り、倉庫に到着した。
- はぁ、はぁ……
- 主人公:
- 客観的には、そこまで無理をしているようには見えないのだが、
極度に活性化された頭脳と一気に疲労が蓄積された筋肉は、 休息を求めていた。 - はぁ……ちょっと、ここに隠れ、よう……
- 主人公:
- 倉庫の片隅に倒れこむように横になり、呼吸を整えた。
- ??:
司令官様?
- も、もう追いつかれた!?
- C-33アンドバリ:
司令官様?ここで何をなさってるのですか?
- あ…あぁ、アンドバリか……
- C-33アンドバリ:
汗が……ちょっとお待ちください。タオルと水を持ってきますね。
- 主人公:
- アンドバリが持ってきてくれたタオルで汗を拭いて、水を飲み干した。
おかげでなんとか落ち着きを少し取り戻す…… - C-33アンドバリ:
何かあったのですか?
- 何か……まぁ、何かはあった……
- C-33アンドバリ:
突然飛び込んでくるものですから、てっきりLRLとアルヴィスかと思いました。
- 驚かせてごめん、アンドバリ…今は何も聞かないでほしい…
- C-33アンドバリ:
あっ、はい。すみません……
- 謝らないで……とりあえずちょっと休ませて。
- C-33アンドバリ:
わかりました。……あ!司令官様、私が膝枕をしてあげましょうか?
- 膝枕……?
- C-33アンドバリ:
はい。ここには枕もありませんし、倉庫の床は冷たいじゃないですか。
タオルも敷いてあげますね。 - ……
- 主人公:
- 何だろう……この気分は。さっき、ママ達から感じたものと
似たものを感じた……。 - C-33アンドバリ:
さぁ、どうぞ。
- ………うん。
- 主人公:
- いささかの戸惑いを振り切って、アンドバリの膝を枕にして横になる……。
- C-33アンドバリ:
寝心地が悪かったりはしませんか?
- 大丈夫…むしろ…幸せ……
- C-33アンドバリ:
し、幸せ!?
- こういうことだったのか……
- C-33アンドバリ:
はい……?
- 主人公:
- アンドバリは気が付いていないが、母性から逃げた俺は……
結局、母性に捕まった…… - 主人公:
- これが……ママ………。
- -:
< ソロモンの審判 > HAPPY END.