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Transcription
- 主人公:
- 雪原を歩いていると、護衛のために隣を一緒に歩いていたポイが立ち止まった。
- どうした?
- ポイ:
ニャハハ、あのですね~泥棒ネコ……じゃないか、泥棒ヘビと言った方が
いいですかね~? - ポイ:
とにかくぅ、怖いもの知らずの誰かさんがぁ、私達の後をついてきてますぅ~
- 主人公:
- ポイが指差す方向を見ると、誰かが遠くで手を振っているのが見えた。
- ポイ:
護衛部隊もみんな正位置にいますけどぉ……ニャハハッ!
ポイが片付けましょうか~? - チョナか…ちょうどいい。話をする。
- ポイ:
は~い。
- ポイ:
そこの泥棒ヘビさ~ん?ご主人様がお呼びですので~、
さっさとこっちに来てくださ~い。 - チョナ:
あれ、バレちゃった?
- 最初から隠れるつもりもなかったんだろ。
- チョナ:
へへ。
- 主人公:
- ペロっと舌を出してチョナは笑い、スタスタと俺の前まで歩いてきた。
- ポイ:
スト~ップ~。それ以上近づいたらポイがズタズタにしちゃいますよ~。
- チョナ:
ただ見てるだけなのに、ケチじゃな~い?いいじゃん、減るもんじゃあるまいし。
- ……
- 主人公:
- しばらく俺を上から下へと品定めするように見ていたチョナは、
不意にニヤリと笑った。 - チョナ:
ねぇねぇ、ちょっとだけ触らせて?
- ……え?
- ポイ:
ダ・メ♡
- ポイ、ちょっと待て。
- 主人公:
- ポイの顔は笑っているが尻尾をピンと立たせて戦闘態勢に入っていた。
それをなだめて深呼吸をひとつした。 - 主人公:
- 俺はこの子と敵対するつもりはない……だが、今はどんな可能性も考えて
行動しなければならない。 - それくらいなら構わない、でも…
- 主人公:
- 俺の意思がしっかり伝わるよう、チョナの目を正面から見つめながら
力を込めて言った。 - 俺と俺の隊員達に危害を加えるな。
- チョナ:
ププッ!
- え?
- チョナ:
あははははっ!何言ってんの?超ウケるんだけど~!!
- えっと……
- チョナ:
私がなんでキミに危害を加えなきゃいけないの~?ほ~ら!えいっ!
- うわっ!?
- チョナ:
こ~んなに暖かいのに~!私の思った通り~すごい暖かいね~。キミ。
- 主人公:
- 俺の胸に頬をすりすりしてくるチョナの顔は、この上なく幸せそうだった。
- チョナ:
キミがいればカイロも必要ないかも~。カイロちゃんだね~
- カ、カイロ…
- 主人公:
- 日頃から様々な呼び方で呼ばれているが……、
カイロって呼ばれたのは初めてだ…… - 主人公:
- 隣にいるポイがとんでもない殺気を滲ませているのを知ってか知らずか……
- 主人公:
- チョナはしばらく俺の体温を満喫していた。
- チョナ:
はぁ~、生き返った~。
- ………
- チョナ:
私の名前は知ってるよね。んじゃ、これからもよろしくね、カ・イ・ロ・ちゃ・ん♥
- よろしくって?
- チョナ:
これ、私にくれるんじゃないの?
- 主人公:
- チョナの手には内ポケットに入れておいた認識票があった。
- …手癖が悪いみたいだな。
- チョナ:
だって……組織に入るなら、さっさと自分の価値を証明した方が
お互いに楽でしょ? - ……
- 主人公:
- 一瞬、真剣な雰囲気でそう言ったチョナは再びニコッと笑い、
認識票を俺の内ポケットに戻した。 - チョナ:
ちゃんと返したよ。そのご褒美に……
- チョナ:
それちょうだい。えへへ♥
- …………
- 主人公:
- 満面の笑みで俺の顔の前に両手を差し出すチョナ。
俺は頭を抱えたいのを辛うじて耐えた。 - チョナ:
え~、これじゃ足りな~い?じゃあ戦ってるところも見せてあげよっかぁ?
後ろの方でずーっと威嚇してる黒猫が戦いたそうだし? - ポイ:
……………………………
- ポイ、大人しくしてろ。
- ポイ:
……約束は守ってくださいね、ご主人様。
- 主人公:
- わかりやすく拗ねた顔を見せて俺の後ろに戻るポイ。
チョナはその様子を見てわざとらしく驚いた表情をした。 - チョナ:
うっそ~!マジ?信じらんない。
- え??
- チョナ:
だって、あの「ポイ」が素直に言うこと聞くんだもん。キミ、何者?
- 君こそポイを知ってるのか?
- チョナ:
もちろん。伊達に今まで生きてないからね~。
- 主人公:
- チョナはそう言うと、また当たり前のように俺の胸に顔を埋めた。
- …おい。
- チョナ:
どうして?やなの?
- 嫌ではないけど……ちょっと困る。
- チョナ:
ふ~ん、結構お堅いんだね。じゃあ……
- 主人公:
- 体を離したチョナは両手をお腹に添えて、ペコリと頭を下げた。
- チョナ:
エンプレシスハウンド所属のチョナです。薔花とは……そうですね、
二人きりでご飯を食べても気まずくならない程度の関係です。 - チョナ:
身長は164センチ、体重は約46キロ。
- チョナ:
特技は暗殺…ですが、私が所属していたところの特性上、他のことも色々できます。
- チョナ:
寝るときはぎゅっと抱きしめたまま眠りたいです……。
約6時間くらいは離しません…… - チョナ:
ですが今は一身上の都合により、結婚するまでは体を許すつもりは
ありませんのでご参考までに。それから― - …分かった。俺の負けだ。受け取ってくれ。
- チョナ:
へへ、サンキュー。
- チョナ:
あっ、でも私、経験してないから、誤解しないでね?
ただいつかはこんな風にしてもらいたいな~って希望だから。 - 分かった…
- 主人公:
- チョナは薔花と一緒に輸送船に乗ってきた時から監視対象だった。
- 主人公:
- その時からすでに仲間として迎え入れるつもりではあったのだが……、
なんだか負けた気分だ…… - チョナ:
…へぇ~こういう感覚なんだね。
- 何が?
- チョナ:
どこかに所属するってこんな感じなんだね。
薔花には偉そうなこと言っちゃったけど……実は私も初めてなんだ。 - 主人公:
- その声にふざけた雰囲気はなかった。
- 主人公:
- 俺の気のせいかもしれないが、認識票をじっと見つめるチョナの瞳からは
悲しげな何かを感じた。 - チョナ、もしかして……
- チョナ:
うん!私にこんなことしてくれたの、カイロちゃん、キミが初めてだよ!
きゃあぁん、もう惚れちゃったかも~ - 主人公:
- チョナは誤魔化すように明るく笑って、また俺に抱きついた。
- 話したくなった時に聞かせてくれ。
- チョナ:
……うん。
- チョナ:
私のスリーサイズ、教えてあげるね。
- はぁ、そうじゃなくて……
- チョナ:
あはは、ウケる~!
- チョナ:
ほら、行こうよ。ぼっち好きな薔花と違って、私は寒いの我慢できないの~。
早く中に入ろ~ - 主人公:
- その後、牽制しあうポイとチョナを連れてオルカ号へ戻った。
それからそんなに時間が経たないうちに赤い髪のバイオロイドが ムッとしながら艦長室にやってきた。 - 主人公:
- その日、エンプレシスハウンドの二人が抵抗軍に合流した。
- -:
< Rose & Snake > END.