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メリー
どんどんコミッションの申請が増えてる気がします……また徹夜確定ですね…

Transcription

  1. メリー:

    どんどんコミッションの申請が増えてる気がします……また徹夜確定ですね…

  2. メリー:

    で、でも……あの時休憩したおかげなのか、少しはマシな気がします。

  3. クノイチ・ゼロ:

    メリー。ゼロでござる。入ってもいいか?

  4. メリー:

    あっ、はい!どうぞ!

  5. クノイチ・ゼロ:

    失礼する。むむ?顔色がよくないようでござるが、ちゃんと寝ておるのか?

  6. メリー:

    あはは……ご心配なく。それで、どうかされましたか?

  7. クノイチ・ゼロ:

    ここに来れば絵を描いてくれると聞いたのでござるが……

  8. メリー:

    ゼロさんもコミッションの申請ということですね?

  9. クノイチ・ゼロ:

    そうでござる……御屋形様の秀麗な姿を描いてもらいたい。

  10. メリー:

    分かりました!ではどのように描くか、詳しく説明していただけますか?

  11. メリー:

    ポーズ、お望みの表現スタイルとか、お兄様を見て感じたこととか……

  12. クノイチ・ゼロ:

    ふふ……御屋形様を見て感じたことでござるか……

  13. クノイチ・ゼロ:

    ……御屋形様は丁寧に焼かれた陶器のように滑らかで、綿のように柔らかく、温かな肌をしておられる。

  14. クノイチ・ゼロ:

    そして瞳は湖に映し出された満月のように大きく光り輝いており、同時に、覗き込んでしまえば抜け出せぬような深みがあるでござる……

  15. クノイチ・ゼロ:

    顎は鋭利な刀のように素晴らしい流線を描く一方で、まだ何も斬り落としたことのない神秘的な魅力と優しさを兼ね揃えているでござるよ……

  16. クノイチ・ゼロ:

    さらに拙者を抱き寄せる時のあの感覚は!まるでスミレが咲き乱れるような!世界が紫一色に染まるような気分で……!

  17. クノイチ・ゼロ:

    おっと。拙者としたことがつい夢中になってしまったでござる……

  18. クノイチ・ゼロ:

    説明は十分でござるか?もし足りないならばもう少し―

  19. メリー:

    あはは……それくらいで大丈夫です。

  20. メリー:

    滑らかな肌、キラキラと澄んだ大きな瞳、鋭い顎のライン、周りには紫色のスミレの花……

  21. メリー:

    言われた通りに描いてみましたが―

  22. クノイチ・ゼロ:

    これは!拙者が思い浮かべた御屋形様の姿そのもの…!あっ、しかし…

  23. クノイチ・ゼロ:

    ここをもう少し変えた方がいいでござるな。目はもっと大きく、顎ももう少し鋭く……

  24. メリー:

    なるほど少女漫画風に描いた方がいいのかな……ここをこうして……

  25. クノイチ・ゼロ:

    ああっ……!御屋形様の美しいお姿がありありと……!

  26. メリー:

    えへへっ。ではこんな感じで描いていきま―

  27. クノイチ・カエン:

    こんなの……殿、じゃない。

  28. メリー:

    きゃっ!?か、カエンさん、一体どこから……

  29. クノイチ・ゼロ:

    いくら姉上でも今の発言は聞き捨てなりません。

  30. クノイチ・カエン:

    殿……カエンを、暖かく抱く、ぎゅって。

  31. クノイチ・カエン:

    でも、殿の姿……これじゃない。

  32. クノイチ・ゼロ:

    白玉のように滑らかな肌に澄んだ瞳、鋭い顎は流線形でござる。

  33. クノイチ・ゼロ:

    これが御屋形様じゃなかったら、一体誰だと言うのですか?

  34. クノイチ・カエン:

    殿の目、大きい…でも、顔の半分、じゃない。

  35. クノイチ・カエン:

    顎も……こんな、刀みたいに、尖ってない。

  36. メリー:

    あはは……絵というのは実際とは違って誇張することも―

  37. クノイチ・ゼロ:

    恋に落ちた少女の瞳には、実物とは違って見えることもあるのでござるよ。姉上。

  38. クノイチ・カエン:

    目、見えてない?治療、受けて。

  39. クノイチ・カエン:

    それから今日…殿は、カエン一人で、いいから。

  40. クノイチ・ゼロ:

    姉上!!二人で御屋形様をお世話しようって言ってたはず……!

  41. クノイチ・カエン:

    カエン……一人で、十分。

  42. クノイチ・ゼロ:

    姉上……!

  43. クノイチ・ゼロ:

    はぁ……そこまで言うのなら、姉上が思う御屋形様の姿を教えてくださいよ。

  44. メリー:

    あ、えと……ど、どんな感じに描けば―

  45. クノイチ・カエン:

    カエン、殿に抱かれると、菜の花が咲く……たくさんの菜の花。

  46. クノイチ・ゼロ:

    御屋形様の周りにはスミレの花が咲いているでござる!スミレの花!

  47. クノイチ・ゼロ:

    それに御屋形様はスミレの花が好きだと言っていたでござるよ!姉上!

  48. クノイチ・カエン:

    違う……確かに、菜の花。もしかして、知らない?菜の花。

  49. メリー:

    あ、あの。お二人とも……

  50. クノイチ・ゼロ:

    御屋形様の端正で神秘的なお姿には!スミレの花が!最も似合うでござるぅ!

  51. クノイチ・ゼロ:

    メリー。そなたの意見が聞きたいでござる。

  52. クノイチ・カエン:

    殿……菜の花のように、優しい…それから、暖かい。

  53. クノイチ・カエン:

    やっぱり…菜の花、だよね?

  54. メリー:

    あ、あはははは……

  55. メリー:

    そんなこと……私に聞かれても困ります……

  56. -:

    < 楽しいコミッション > END.