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Transcription
- ムネモシュネ:
やってみたいこと、ですか?
- うん。
- ムネモシュネ:
理由を……お聞かせください。
- 理由か……
- 主人公:
- この前、タイガーとペン子と遊ぶムネモシュネの姿を見て……
そして、色々な話をして感じたことがあった。 - 主人公:
- ムネモシュネには感情がないのではなく、自分が感じる感情が何なのか
分かっていないだけなのではないか。 - 君は今までずっと箱舟にいたから、新しい経験をもっとした方がいいと思って。
- ムネモシュネ:
…では、「外出」をしてみたいです。
- 外出?……ふむ。
- 主人公:
- 確かにムネモシュネは箱舟の中にしかいなかったから、
外の世界が気になるのだろう。 - まだ周辺の確保が終わってなくて、そう遠くへは行けないが―
- ムネモシュネ:
管理者様。
- うん?
- ムネモシュネ:
それに加えて、もう1つ要請いたします。
- 何かな?
- ムネモシュネ:
その「外出」という行為を……管理者様と一緒にしてみたいのです。
- ……
- ムネモシュネ:
短い時間ではありましたが、本モデルは管理者様を通して色々なことを経験し、
特別な高揚感を感じました。 - ムネモシュネ:
それは本モデルが一度も感じたことのない感覚であったため、
管理者様と共に行った行為を一人で何度か繰り返してみました。 - ムネモシュネ:
しかし、一人ではそういった高揚感を感じることができなかったのです。
- ムネモシュネ:
その結果、本モデルはその行為ではなく、
「管理者様と一緒にいる」という事実に対し、 高揚感を感じるのだ……という結論に至りました。 - …そうか。
- ムネモシュネ:
要請を…受け入れてくださいますか?
- もちろん。いつがいい?今からでも構わないよ。
- ムネモシュネ:
本モデルの「外出」の準備には2時間38分かかるものと予想されます。
- ムネモシュネ:
今から3時間後に箱舟の入口で合流することを要請いたします。
- あ…うん。結構具体的だね。分かった。
- 主人公:
- 俺の返事を聞いたムネモシュネはぺこりと頭を下げると、
足早に部屋を出ていった。 - 主人公:
- 約束の時間に合わせて箱舟の入口にやってきた。
するとすぐにムネモシュネが…… - …ムネモシュネ?
- 主人公:
- ムネモシュネはいつものスーツではなく、可愛らしいワンピース姿で現れた。
- ムネモシュネ:
お詫び申し上げます、管理者様。
- ムネモシュネ:
「外出」の準備に予想より多くの時間がかかってしまいました。
- その服のせい?
- ムネモシュネ:
そうです。入念な検索の結果、「外出」に相応しい服装だと判断されます。
- うん。すごく可愛いよ。
- ムネモシュネ:
……
- 主人公:
- 俺の勘違いだろうか?ムネモシュネの顔が少し赤くなった気がした。
- ムネモシュネ:
…理解不能。本モデルは元々このように造形されました。
- それはそうだけど、可愛いから可愛いって言っただけだよ。
- ムネモシュネ:
……
- 主人公:
- ムネモシュネは無言で俺に近づいた。
- 主人公:
- ムネモシュネと一緒に真っ白な雪原を散歩した。
- どうかな?「外出」した気分は。
- ムネモシュネ:
とても興味深いです。
- ちょっと残念だったな。春だったらもっと気分良かったんだろうけど。
- ムネモシュネ:
そんなことはありません、管理者様。
- ムネモシュネ:
本モデルが閲覧した情報の中に、
「花は雪の下で春を待っている時が最も美しい」という文章がありました。 - ムネモシュネ:
本当に、美しい風景です。
- 主人公:
- そう言ってムネモシュネはふと立ち止まった。
- ムネモシュネ:
…管理者様。1つだけ、お聞きしたいことがあります。
- 何?
- ムネモシュネ:
本モデルが管理者様のそばで感じるこの感情が何なのか……
教えていただくことは可能でしょうか? - う~ん…
- 主人公:
- それを何と説明すればいいんだろう……答えに困っていると
ムネモシュネがさらに続けた。 - ムネモシュネ:
情報閲覧および自己分析を通し、この感情は「好感」や「愛情」に近いという
ことまでは判明しています。 - ムネモシュネ:
ですが……何故本モデルがそんな感情を抱くのかについては……
- それになら答えられそうかな。
- ムネモシュネ:
…?
- 君は人間ではないかもしれないが、俺と同じように人生を生きる「人」だからだよ。
- ムネモシュネ:
……理解不能。人間と人は同義語に近いはずです。
管理者様のように使用する用例は存在しません。 - …そうだね。ただのダジャレのようなものかな。アネモネ、ムネモシュネみたいな。
- ムネモシュネ:
あ……
- でも俺は、俺もバイオロイドも大して変わらないと思ってる。
- ムネモシュネ:
……アネモネとスミレがどちらも花だと……そういうこと、でしょうか?
- そういうこと。
- 主人公:
- ムネモシュネは自分が言ったことを確認するように、
胸に手を当てて俺を見つめる。 - ムネモシュネ:
まだ本モデルはそれについて完全に理解できたわけではありません。ですが……
- ムネモシュネ:
どういうわけか、理解できるような気もします。
- 主人公:
- ムネモシュネはそう言うと俺の方に一歩近づいた。
- ムネモシュネ:
管理者様、本モデルがこの感情を完全に理解するまで……
本モデルを管理者様のおそばにおいてください。 - 主人公:
- そう言って優しく笑う一輪の花は、たしかに春の風景よりも美しかった。
- -:
< fleurir en memoire > END.