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Transcription
- ティタニア・フロスト:
- ふと、目が覚めた。
- ティタニア・フロスト:
……
- ティタニア・フロスト:
- 体を起こすと、何度か来たことのある彼の部屋だった。
- ティタニア・フロスト:
……?
- ティタニア・フロスト:
- ぼやけていた視界が次第にはっきりと見えてきて、
ベッド周辺の状況が目に入ってくる。 - ティタニア・フロスト:
- 肩を寄せ合って寝ているリーゼとダフネ。
- ティタニア・フロスト:
- ベッドを背もたれにして床でウトウトしているドリアード、
その胸に抱かれて同じく眠っているアクア。 - ティタニア・フロスト:
- そして……
- ティタニア・フロスト:
……………
- ティタニア・フロスト:
- 私に一番近い場所、ベッドの脇に頭を預けて眠っている……レア。
- ティタニア・フロスト:
うっ…!
- ティタニア・フロスト:
- その姿を見た瞬間、心の奥底から再び憎悪がこみ上げてくる。
- ティタニア・フロスト:
- それが誰かに作られ、植え付けられたものだと知っていながら……
私はそれに抗うことができない。 - ティタニア・フロスト:
- 私はお前が憎い。私はお前を殺してしまいたい。家族なんて必要ない。
- ティタニア・フロスト:
- 頭痛は酷くなり、鼓動が速くなっていく……。
- ティタニア・フロスト:
あ……
- ティタニア・フロスト:
- そのままその感情に身を任せてしまおうとした瞬間、
一人の男の姿が目に入った。 - 司令官:
すぅ……すぅ……
- ティタニア・フロスト:
- 折り畳み椅子に座り、腕を組んだまま寝ている彼の姿。
- ティタニア・フロスト:
- 口を半開きにし、ヨダレまで垂らして寝ているその姿を見たら……
- ティタニア・フロスト:
……
- ティタニア・フロスト:
- 心の奥底で煮えたぎっていた感情が次第に鎮まっていく……。
全身に走っていた激痛がやわらいでいく……。 - ティタニア・フロスト:
- …ふん、あんな間抜けな姿を見れば、誰だってそうなるだろう。
- ティタニア・フロスト:
- ゆっくりと起き上がり、ベッドを降りた。
その気配を察したのか、レアが目を覚ましたが、何も言わず私を見ている。 - ティタニア・フロスト:
- 同じく目を覚まして、私を見ているドリアード、アクア、リーゼ、ダフネの前を
通り過ぎ、まだ寝ている彼の前に立った。 - ティタニア・フロスト:
……はは。
- ティタニア・フロスト:
- 思わずため息のような、嘆声のような声を漏らしてしまった。
- ティタニア・フロスト:
- そう、他の理由など何もない。ただ単に呆れて……。
- ティタニア・フロスト:
- あれほどまでに切実に、あれほどまでに全身全霊を捧げて私の気持ちに
向き合い、私を幸せにすると言っていた人間が一番重要な瞬間に呑気に寝ている。 - ティタニア・フロスト:
- だが、私自身も何故だか分からないが、なんとなく。
- ティタニア・フロスト:
- こういうところが「こいつらしい」と思った。
- 主人公:
- どれくらい寝ていたのだろう。何かが頬を突く感じがして目が覚めた。
- 主人公:
- すると目の前には倒れた後、何日もフェアリーと看病をしていたティタニアが
人差し指を俺に向けていた。 - ティタニア・フロスト:
何してる?
- あ、え……?
- ティタニア・フロスト:
話を聞いてくれるんだろう?約束をしておいて、よく寝坊なんかしていられるな?
- ……
- 主人公:
- 目を瞬きさせて、必死に状況を把握しようとする。
ティタニアの後ろには静かに俺達を見守るフェアリー……。 - ……大丈夫なのか?
- ティタニア・フロスト:
何がだ?
- いや…
- ティタニア・フロスト:
…話くらいしてやろうと思っただけだ。お前があまりにも頼んでくるから。
- 主人公:
- ティタニアはそこまで言うと目を逸らす。
フェアリー達はそんなティタニアを何も言わずに、安心した顔で見守っている。 - …じゃあ、何の話からしようか?
- 主人公:
- 姉妹達がわかり合い、抱き合って涙を流すというような事にはならなかったが、
今はこれで十分な気がする。 - 主人公:
- 百年以上も凍りついていた氷の女王の心が……
時を超え、少しずつ溶け始めていたのだから。 - -:
< 氷の女王 > END.