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主人公
- 俺は今、オルカ号のネットワークをハッキング中だ。

Transcription

  1. 主人公:

    - 俺は今、オルカ号のネットワークをハッキング中だ。

  2. 主人公:

    - 理由?理由は単純だ。隊員達に仕事を奪われたからだ。

  3. 主人公:

    - 隊員達は俺が仕事なしでも生きられると思っているようだが……生きがいの一つを奪われてしまった俺は今、必死である!

    1. ふぅむ、この後は……
  4. 主人公:

    - もちろん俺にはハッキングの関連知識は全くない。だが、箱舟の情報区域を調べ、関連資料を見つけ出すことに成功した。

  5. 主人公:

    - 俺は生まれて初めてコードの海を泳ぎ、着実に前へ進んでいく。そう、目的はただ一つ……仕事!

    1. 難しい……
  6. 主人公:

    - 何十回と暗礁にぶつかった。だが歯を食いしばり、方法を変えては前へ進む。今の俺にはたっぷりと時間がある。

    1. おっ、これならいけるか?
  7. 主人公:

    - 新たな突破口を見つけられたようだ。しばらく詰まっていた問題を解決し、再び前へと進めた。よし……。

  8. Mr.アルフレッド:

    そこは少し迂回した方がいいのではないでしょうか?

    1. え?そうか?問題なさそうだけど……
  9. Mr.アルフレッド:

    いえ、こんな感じで……このまま先に進んでしまうとすぐに問題が発生するでしょう。

    1. ほうほう、なるほど…って、いつからいた!?
  10. Mr.アルフレッド:

    くふふ。私のサポートが必要な気がしましてね。

    1. ……
  11. 主人公:

    - 確かに、専門家とまではいかなくとも、アルフレッドはこの状況ではかなり助けになりそうだ。

  12. 主人公:

    - 以前、グアムでもハッキングを成功させ、妖精の村のバイオロイド達の洗脳を解いてくれた。でも…

  13. Mr.アルフレッド:

    くふふふふ、司令官殿。誰かに助けを乞うことは恥ではありません。

  14. Mr.アルフレッド:

    さぁ~!私に頭を下げて助けを乞うのです!!くふ!くふふふふふ!!

    1. くっ……!
  15. 主人公:

    - 激しい葛藤に苛まれる。仕事への渇望と屈辱の狭間で、二者択一の選択に迫られた俺は……

    1. …お願いします。助けてください。
  16. Mr.アルフレッド:

    くふふ、くふふふふ!このような屈辱を味わってまで切実に助けを乞うお方を見捨てるわけにはいきません!

    1. うぐぅっ……
  17. Mr.アルフレッド:

    悔しいですか?悔しいですよねぇ?でも仕方ありません。司令官殿は私の助けが必要なんですから!くふふふふ!!

    1. ご教授……願います……
  18. Mr.アルフレッド:

    いいでしょう!それこそ教えを乞う正しい姿勢というものです!よろこんで教えてあげましょう!このMr.アルフレッドにお任せあれ!!

  19. 主人公:

    - 屈辱で抜け殻のようになった俺を押しのけ、アルフレッドは嬉々としてキーボードを叩き始めた。

  20. Mr.アルフレッド:

    オルカ号のネットワークなど、私の手にかかれば一瞬です!!

  21. Mr.アルフレッド:

    オルカ号は潜水艦ですが、大船に乗ったつもりでお待ちください!私が司令官殿の願い、叶えて差し上げましょう!

  22. -:

    (6時間12分経過)

  23. Mr.アルフレッド:

    こ、こんなはずでは……

  24. Mr.アルフレッド:

    こ、これは何かの間違いです!一体どうして…!

    1. …………
  25. 主人公:

    - この6時間、汗を滝のように流しながら……あ、いや、汗はかかないか。

  26. 主人公:

    - とにかくコードと奮闘していたアルフレッドは、現実を否定し始めた。

  27. Mr.アルフレッド:

    こんなことあり得ません!もう少しだけ、あともう少しだけ時間をくだされば……!

  28. 主人公:

    - いや、もういい。別の方法を探してみよう。

    1. アルフレッド…役に立たなかったな。いや、役立たずの鉄クズだったか?
  29. Mr.アルフレッド:

    あ、言いましたね!ほら、今役立たずの鉄クズと言いましたよ!いや!それよりもMr.を付けてください!このデコ助―

    1. わーかったわかった……はぁ…。
  30. 主人公:

    - ぷんすかと抗議するアルフレッドを押しのけてモニターを覗き込んだ。

    1. 難しいな…いやセキュリティが機能していてよかったと言うべきか…ん?
  31. Mr.アルフレッド:

    どうしましたか?

    1. これ…成功してるんじゃないか?
  32. Mr.アルフレッド:

    まさか!私が色々やってファイヤーウォールにも近づけなかったんですよ…………あれれ?

    1. なぁ、ほら、早く確認してよ。
  33. Mr.アルフレッド:

    せ、急かさないでくださいよ!緊張するじゃないですか!

  34. 主人公:

    - 今どういう状況なのかは全くわからなかったが、何かが上手くいったということだけは確かだった。

  35. Mr.アルフレッド:

    と、突破に成功しました!

    1. おお…!
  36. Mr.アルフレッド:

    後はこうして……こうすれば!!

    1. ……あぁ…。
  37. 主人公:

    - 込み上げる感動に足の力が抜け、座り込んでしまった。

  38. 主人公:

    - モニターには……仕事のリストが表示されていた。あぁ!愛しき俺だけの楽園!お仕事リスト!

  39. Mr.アルフレッド:

    くふふ、いかがですか!このMr.アルフレッドの名を称えなさい。さあ!Mr.アルフレッド最高!

    1. アルフレッド最高!
  40. Mr.アルフレッド:

    もう一度!

    1. アルフレッド最高!世界一の天才!アルフレッド!
  41. Mr.アルフレッド:

    くふふ、くふふふふ!

  42. 主人公:

    - 震える手で、優先順位が一番高い仕事をクリックした。

  43. 主人公:

    - すぐに見慣れた様式と所狭しと並べられた文字が俺を歓迎する。

    1. くっくっく…全部、処理してやる…
  44. 主人公:

    - ゆっくりと吟味するように仕事内容を読み込んでいく……だが、俺は何かおかしいことに気が付いた。

    1. …この手紙はイギリスから……ん!?
  45. 主人公:

    - な、何だ、これは!?

  46. Mr.アルフレッド:

    手紙とは。くふふ、大したことなさそうですね?リハビリ用のお仕事ですか?

    1. ちょっと待て……。これは……!
  47. 主人公:

    - 慌てて文書を閉じ、他のファイルを確認する。アルフレッドもやっと事態の深刻さに気づいたようだ。

    1. これは……まともな内容がない!?
  48. Mr.アルフレッド:

    ちょ、ちょっと見せてください!?わ、私が確認してみます!

  49. 主人公:

    - 緊張した面持ちでキーボードを叩くアルフレッドの口……ではなくスピーカーから衝撃の事実が告げられる……!

  50. Mr.アルフレッド:

    そんな……こ、これはダミーページです!丸々すり替えられています!ファイヤーウォールを突破するどころか…近づけてすらいなかったようです…!

    1. え…えええ!?
  51. Mr.アルフレッド:

    し…信じられない……!

  52. 主人公:

    - アルフレッドと俺が呆然とモニターを眺めていると、メッセージが届いたことを知らせる通知音が鳴った。

    1. ひぃっ!?
  53. Mr.アルフレッド:

    ひぃっ!?

  54. 主人公:

    - 不気味なタイミングで鳴る通知音に、アルフレッドと俺は飛び上がった。

  55. Mr.アルフレッド:

    は、早く確認してください……

    1. お、お前が確認してくれ……
  56. Mr.アルフレッド:

    私なんかがどうして偉大な偉大な司令官殿宛てのメッセージを!そんな権限、あるわけないじゃないですか!

  57. Mr.アルフレッド:

    滅相もない、とんでもない!そんなそんな!私はただの空き缶!いや、鉄クズですよ~!

    1. くっ、こういうときだけ……!
  58. 主人公:

    - 仕方なく、さっさと見ろと言わんばかりの大きさで画面に表示されている封筒のアイコンをクリックした。

  59. メッセージ:

    秘書室までお越しください。皆でお待ちしています。

    1. …………
  60. Mr.アルフレッド:

    なんと……残念です、司令官殿。早く行った方がよさそうですね。

  61. Mr.アルフレッド:

    では私はこれにて失礼いたします。お達者で!くふ、くふふ…!

    1. 待て。最後の方を読め。
  62. メッセージ:

    P.S. アルフレッドさんは整備室でバニラさんがお待ちです。

  63. Mr.アルフレッド:

    えぇ……!?整備室!?この不穏なチョイスは一体何なのでしょうか!?

  64. Mr.アルフレッド:

    壊して直すを繰り返されるような……!嫌な予感がしてなりません!!気のせいですよね!?

    1. …それしかないだろう……
  65. Mr.アルフレッド:

    ……

  66. Mr.アルフレッド:

    ………司令官殿。

  67. 主人公:

    - しばらく呆然自失となってメッセージを眺めていたアルフレッドは、すぐに決然とした態度で俺に手を差し出した。

  68. Mr.アルフレッド:

    どうやらここまでのようです。残念ですがこれからは……それぞれの道を歩まなければならないようです。

  69. 主人公:

    - 俺はアルフレッドが差し出した手を力強く握り返す。

  70. Mr.アルフレッド:

    …では、ご武運を。ここまでご一緒できて光栄でした。お達者で……

    1. ……うん。達者で。
  71. 主人公:

    - アルフレッドは俺の手を一度ぎゅっと握ると手を離し、そのまま背を向けた。

  72. 主人公:

    - そして俺もそんなアルフレッドに背を向け……歩き出した。

  73. 主人公:

    - もう振り向くまい。後悔はしていないのだから……

  74. 主人公:

    - それぞれの道を進む男とロボット。

  75. 主人公:

    - 俺達にもう言葉は要らない。

  76. 主人公:

    - 生きていれば、いつかまた会おう……!アルフレッド!

  77. 主人公:

    - ……

  78. 主人公:

    - このあとめちゃくちゃ怒られた。

  79. -:

    < オルカ総司令官(無職) > 次のストーリーに続く。