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P-3Mウンディーネ
ふう……これくらい混ぜればいいかしら?どれどれ、味見を……

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  1. P-3Mウンディーネ:

    ふう……これくらい混ぜればいいかしら?どれどれ、味見を……

  2. P-3Mウンディーネ:

    う~ん、甘い!上出来ね!これをレモンカスタードに混ぜて……わぁ!

  3. P-3Mウンディーネ:

    美味しい~!これ、本当に私が作ったの?私って天才かしら?

  4. P-3Mウンディーネ:

    よし!新メニューに決定よ。行列間違いなしね!

    1. そんなに美味いのか?
  5. P-3Mウンディーネ:

    きゃっ!

    1. うわっ!?
  6. P-3Mウンディーネ:

    どどど、どうしたの!?いつからいたの!?

  7. P-3Mウンディーネ:

    来たなら来たって言ってよぉ~!

    1. さっき言ったけど……
  8. 主人公:

    - 入る時に挨拶をしたのだが、料理に集中していて聞こえなかったようだ。

    1. それにしてもそんなに驚く?
  9. P-3Mウンディーネ:

    当たり前でしょぉ!?心臓が止まるかと思ったわ。

  10. P-3Mウンディーネ:

    ここ最近びっくりさせられることばっかりね……。包丁でも持ってたら危ないんだから気を付けてよね?

    1. 最近?
  11. P-3Mウンディーネ:

    そ。この前はシアが遊びに来たわ。

  12. P-3Mウンディーネ:

    デザートの研究に夢中になって……はっ!

  13. P-3Mウンディーネ:

    け、研究!そうだわ、研究中だったわ!

  14. P-3Mウンディーネ:

    ちょうどいいところに来てくれたわ。ご飯は食べた?

    1. いや、まだ食べてない。
  15. 主人公:

    - 食事をしに帰ろうとしていたら、甘い匂いに誘われてここにやって来たんだった。

    1. 何で?何か作ってくれるのか?
  16. P-3Mウンディーネ:

    私のことを誰だと思ってるの?

  17. P-3Mウンディーネ:

    天才パティシエール、ウンディーネよ!食べたいものがあったら何でも言ってちょうだい!すぐに作ってあげるから。

    1. 本当?じゃあブッシュ・ド・ノエルがいい。
  18. P-3Mウンディーネ:

    え?ぶっ!?何て?

    1. ブッシュ・ド・ノエル。フランスのお菓子…
  19. P-3Mウンディーネ:

    …あ~!それね!そんなのお安いご用よ!!

    1. ……ホントに知ってる……?
  20. P-3Mウンディーネ:

    ふふん!今私のこと疑ったわね?ちょっと待ってなさい!?

  21. P-3Mウンディーネ:

    すぐ作ってあげるんだから!

  22. 主人公:

  23. P-3Mウンディーネ:

    どう?これであってるでしょ?

    1. 本当に丸太の形なんだな。
  24. P-3Mウンディーネ:

    さぁ、食べてみて!美味しくてほっぺたが落ちても知らないんだから!

    1. おお…!
  25. 主人公:

    - ウンディーネが自信たっぷりなのも納得ができる。確かに美味しい。クリームを口に入れるとスーッと溶けて喉を通り過ぎ、舌の上にはレモンの風味が広がっていた。

    1. こっちの方面に才能があるんじゃないか?
  26. P-3Mウンディーネ:

    言ったでしょ?天才パティシエールだって!

  27. P-3Mウンディーネ:

    もっと食べたいんじゃない?思いつくもの全部言ってもいいわよ!

    1. じゃあ…
  28. 主人公:

    - 情報保管区域で見たデザートの名前を言うと、ウンディーネは力強く頷いた。

  29. P-3Mウンディーネ:

    そんなの余裕よ~!

  30. 主人公:

    - 自信たっぷりにそう言ってキッチンに入っていったウンディーネは、すぐに何かを作り始めた。手際よく生クリームをかき混ぜながらオーブンの温度調整をしている。

  31. 主人公:

    - 慣れた手つきでお菓子を作るウンディーネの後ろ姿を見ていたらまるで……

    1. 新妻が料理を作ってくれてるみたいだな。
  32. P-3Mウンディーネ:

    ぶふっ!?けほっ、けほっ!

    1. え!?
  33. P-3Mウンディーネ:

    ちょ、ちょうどジュース飲んでたのに…!ケホッ!こほっ!

    1. だ、大丈夫?
  34. P-3Mウンディーネ:

    大丈夫よ、気にしないで……ケホッゴホッ!急に変なこと言うからむせちゃったじゃない!

    1. 本当にそう思ったから言っただけなのに…。
  35. P-3Mウンディーネ:

    私も真面目に仕事してるの!

  36. P-3Mウンディーネ:

    とにかく、これで合ってる?言われたメニューは全部作ったわ。

    1. おお…!
  37. 主人公:

    - 何も考えずに注文しまくった気がして心配していたが、ウンディーネはあっという間にすべてのデザートを完成させた。

  38. 主人公:

    - どれを食べても美味しい。パティシエとしての経歴は長くないはずなのに、腕前はすでにプロ並みだった!

    1. うまい!うまい!うまい!
  39. P-3Mウンディーネ:

    ふふ~ん!どう?これで私が超天才パティシエールだって認めるわよね?

    1. しかし……ここまで料理上手かったっけ?
  40. P-3Mウンディーネ:

    へ?あ~……え~っと、最初からに決まってるでしょ!?

  41. P-3Mウンディーネ:

    私みたいな天才は一回見ればすぐに何でも……何で笑ってるの?

    1. いや、何でもない。
  42. 主人公:

    - 昨日、たまたまウンディーネが食材を大量に発注しているのを見た。営業が終わった後も休まずに練習しているんだろう。

  43. 主人公:

    - 一生懸命頑張った結果を生まれつきの才能だと言って、努力したことを表に出さないところがウンディーネらしいと思った。

  44. 主人公:

    - 本当に上手くなるまで頑張ったんだな……。

    1. もうお腹いっぱい……
  45. P-3Mウンディーネ:

    もういいの?まだまだ作れるわよ?

  46. 主人公:

    - 勢いづいているウンディーネを見ていたら、あるメニューが思い浮かんだ。

    1. チーズケーキ!
  47. P-3Mウンディーネ:

    ケーキ…?さっきもケーキ食べたのに、また?

    1. うん。チーズケーキが食べたい。
  48. P-3Mウンディーネ:

    そんなにチーズケーキが食べたかったの?

  49. P-3Mウンディーネ:

    分かったわ、ご主人様。ちょっと待ってて!……あっ!どういうチーズケーキが食べたい?ニューヨーク、スフレ、レア?

    1. 前に作ってくれたやつがいい。
  50. P-3Mウンディーネ:

    前……?前っていつ作ってあげたっけ?

  51. P-3Mウンディーネ:

    いつ頃の?

    1. クリスマスの時に作ってくれたやつ。
  52. P-3Mウンディーネ:

    あ~!クリスマスの……

  53. P-3Mウンディーネ:

    ……!?

  54. 主人公:

    - 皆のためにサンタになると決めて、あえなく倒れてしまった最初の冬。

  55. 主人公:

    - あの時のことを思い出したのか、ウンディーネの顔が一瞬で真っ赤になった。

  56. P-3Mウンディーネ:

    あ、あれはちゃんとしたチーズケーキじゃなかったじゃない!そんなのじゃなくて他ので!

    1. でも、あれが美味しかった。
  57. 主人公:

    - 俺が一歩近づくと、ウンディーネは一歩後ずさりした。

  58. P-3Mウンディーネ:

    で、でもあれはだめよ……。食材を無駄には出来ないわ……

    1. 本当にだめ?
  59. 主人公:

    - もう一歩近づいた。ウンディーネの後ろは調理台があってそれ以上はもう下がれない。

    1. すごく食べたかったのに。
  60. P-3Mウンディーネ:

    あっ……、だめなの……本当に…ダメ……

  61. 主人公:

    - もう少し押せば許してくれそうな雰囲気で、俺は一歩後ろに下がった。

    1. じゃあ仕方ないな。
  62. P-3Mウンディーネ:

    え?

    1. ダメって言うのに無理矢理はしたくない。
  63. P-3Mウンディーネ:

    あっ……え、ええと……そうだ!いいこと思いついたわ!代わりに違うものを作ってあげるわ!何が食べたい?

    1. 何でもいいの?
  64. P-3Mウンディーネ:

    もちろん!

    1. じゃあこれで。
  65. P-3Mウンディーネ:

    それは……!?

  66. 主人公:

    - メニューに書いてあるスペシャルメニューを指差すと、ウンディーネが酷く動揺した。

    1. まさかこれもダメ?
  67. P-3Mウンディーネ:

    だ、だめではないけど、それは……まだ、一回も作ったことがないメニューで……

    1. 天才パティシエールなんだろ?
  68. P-3Mウンディーネ:

    うぅ……わ、わかったわよ!そのくらい余裕で出来るわ!

    1. そう?レシピは?思い出せる?
  69. P-3Mウンディーネ:

    それは……

  70. P-3Mウンディーネ:

    まず、ご主人様に近づいて挨拶をして……

    1. それから?
  71. P-3Mウンディーネ:

    スペシャルメニューはご主人様のためだけに提供される特別なものだって説明をして……

    1. その次は?
  72. P-3Mウンディーネ:

    自分で……

    1. 自分で?
  73. P-3Mウンディーネ:

    …………

    1. ん?
  74. P-3Mウンディーネ:

    教えない。

  75. 主人公:

    - ウンディーネは調理台に上がって、俺の服の裾を引っ張り、体を密着させる。そして、互いの心臓の音が聞こえる中、ウンディーネは俺の頬に両手を添えた。

  76. P-3Mウンディーネ:

    この後、どうするかは……司令官もよく知ってるでしょ……?

    1. 何から食べればいいのかな?
  77. P-3Mウンディーネ:

    そこまでは決めてなかったけど……

  78. P-3Mウンディーネ:

    好きなのから食べたら良いんじゃない……?

    1. 困った。全部好きなんだけど?
  79. P-3Mウンディーネ:

    …バカ。

  80. P-3Mウンディーネ:

    じゃあ、全部…食べればいいじゃない。

  81. 主人公:

    - そう言って砂糖より甘い声で笑ったパティシエールは、俺の顔を引き寄せた。

  82. 主人公:

    - ウンディーネのスペシャルメニューは想像以上に甘くて、とろけてしまいそうなほど温かかった。

  83. 主人公:

    - もう一回注文してもいいかと聞くと最初は断られたが、ちょっと押してみたら「一回だけ」という条件で注文が通った。