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Transcription
- P-3Mウンディーネ:
ふう……これくらい混ぜればいいかしら?どれどれ、味見を……
- P-3Mウンディーネ:
う~ん、甘い!上出来ね!これをレモンカスタードに混ぜて……わぁ!
- P-3Mウンディーネ:
美味しい~!これ、本当に私が作ったの?私って天才かしら?
- P-3Mウンディーネ:
よし!新メニューに決定よ。行列間違いなしね!
- そんなに美味いのか?
- P-3Mウンディーネ:
きゃっ!
- うわっ!?
- P-3Mウンディーネ:
どどど、どうしたの!?いつからいたの!?
- P-3Mウンディーネ:
来たなら来たって言ってよぉ~!
- さっき言ったけど……
- 主人公:
- 入る時に挨拶をしたのだが、料理に集中していて聞こえなかったようだ。
- それにしてもそんなに驚く?
- P-3Mウンディーネ:
当たり前でしょぉ!?心臓が止まるかと思ったわ。
- P-3Mウンディーネ:
ここ最近びっくりさせられることばっかりね……。
包丁でも持ってたら危ないんだから気を付けてよね? - 最近?
- P-3Mウンディーネ:
そ。この前はシアが遊びに来たわ。
- P-3Mウンディーネ:
デザートの研究に夢中になって……はっ!
- P-3Mウンディーネ:
け、研究!そうだわ、研究中だったわ!
- P-3Mウンディーネ:
ちょうどいいところに来てくれたわ。ご飯は食べた?
- いや、まだ食べてない。
- 主人公:
- 食事をしに帰ろうとしていたら、甘い匂いに誘われてここに
やって来たんだった。 - 何で?何か作ってくれるのか?
- P-3Mウンディーネ:
私のことを誰だと思ってるの?
- P-3Mウンディーネ:
天才パティシエール、ウンディーネよ!食べたいものがあったら
何でも言ってちょうだい!すぐに作ってあげるから。 - 本当?じゃあブッシュ・ド・ノエルがいい。
- P-3Mウンディーネ:
え?ぶっ!?何て?
- ブッシュ・ド・ノエル。フランスのお菓子…
- P-3Mウンディーネ:
…あ~!それね!そんなのお安いご用よ!!
- ……ホントに知ってる……?
- P-3Mウンディーネ:
ふふん!今私のこと疑ったわね?ちょっと待ってなさい!?
- P-3Mウンディーネ:
すぐ作ってあげるんだから!
- 主人公:
- P-3Mウンディーネ:
どう?これであってるでしょ?
- 本当に丸太の形なんだな。
- P-3Mウンディーネ:
さぁ、食べてみて!美味しくてほっぺたが落ちても知らないんだから!
- おお…!
- 主人公:
- ウンディーネが自信たっぷりなのも納得ができる。確かに美味しい。
クリームを口に入れるとスーッと溶けて喉を通り過ぎ、 舌の上にはレモンの風味が広がっていた。 - こっちの方面に才能があるんじゃないか?
- P-3Mウンディーネ:
言ったでしょ?天才パティシエールだって!
- P-3Mウンディーネ:
もっと食べたいんじゃない?思いつくもの全部言ってもいいわよ!
- じゃあ…
- 主人公:
- 情報保管区域で見たデザートの名前を言うと、ウンディーネは力強く頷いた。
- P-3Mウンディーネ:
そんなの余裕よ~!
- 主人公:
- 自信たっぷりにそう言ってキッチンに入っていったウンディーネは、
すぐに何かを作り始めた。手際よく生クリームをかき混ぜながら オーブンの温度調整をしている。 - 主人公:
- 慣れた手つきでお菓子を作るウンディーネの後ろ姿を見ていたらまるで……
- 新妻が料理を作ってくれてるみたいだな。
- P-3Mウンディーネ:
ぶふっ!?けほっ、けほっ!
- え!?
- P-3Mウンディーネ:
ちょ、ちょうどジュース飲んでたのに…!ケホッ!こほっ!
- だ、大丈夫?
- P-3Mウンディーネ:
大丈夫よ、気にしないで……ケホッゴホッ!
急に変なこと言うからむせちゃったじゃない! - 本当にそう思ったから言っただけなのに…。
- P-3Mウンディーネ:
私も真面目に仕事してるの!
- P-3Mウンディーネ:
とにかく、これで合ってる?言われたメニューは全部作ったわ。
- おお…!
- 主人公:
- 何も考えずに注文しまくった気がして心配していたが、
ウンディーネはあっという間にすべてのデザートを完成させた。 - 主人公:
- どれを食べても美味しい。パティシエとしての経歴は長くないはずなのに、
腕前はすでにプロ並みだった! - うまい!うまい!うまい!
- P-3Mウンディーネ:
ふふ~ん!どう?これで私が超天才パティシエールだって認めるわよね?
- しかし……ここまで料理上手かったっけ?
- P-3Mウンディーネ:
へ?あ~……え~っと、最初からに決まってるでしょ!?
- P-3Mウンディーネ:
私みたいな天才は一回見ればすぐに何でも……何で笑ってるの?
- いや、何でもない。
- 主人公:
- 昨日、たまたまウンディーネが食材を大量に発注しているのを見た。
営業が終わった後も休まずに練習しているんだろう。 - 主人公:
- 一生懸命頑張った結果を生まれつきの才能だと言って、努力したことを
表に出さないところがウンディーネらしいと思った。 - 主人公:
- 本当に上手くなるまで頑張ったんだな……。
- もうお腹いっぱい……
- P-3Mウンディーネ:
もういいの?まだまだ作れるわよ?
- 主人公:
- 勢いづいているウンディーネを見ていたら、あるメニューが思い浮かんだ。
- チーズケーキ!
- P-3Mウンディーネ:
ケーキ…?さっきもケーキ食べたのに、また?
- うん。チーズケーキが食べたい。
- P-3Mウンディーネ:
そんなにチーズケーキが食べたかったの?
- P-3Mウンディーネ:
分かったわ、ご主人様。ちょっと待ってて!
……あっ!どういうチーズケーキが食べたい?ニューヨーク、スフレ、レア? - 前に作ってくれたやつがいい。
- P-3Mウンディーネ:
前……?前っていつ作ってあげたっけ?
- P-3Mウンディーネ:
いつ頃の?
- クリスマスの時に作ってくれたやつ。
- P-3Mウンディーネ:
あ~!クリスマスの……
- P-3Mウンディーネ:
……!?
- 主人公:
- 皆のためにサンタになると決めて、あえなく倒れてしまった最初の冬。
- 主人公:
- あの時のことを思い出したのか、ウンディーネの顔が一瞬で真っ赤になった。
- P-3Mウンディーネ:
あ、あれはちゃんとしたチーズケーキじゃなかったじゃない!
そんなのじゃなくて他ので! - でも、あれが美味しかった。
- 主人公:
- 俺が一歩近づくと、ウンディーネは一歩後ずさりした。
- P-3Mウンディーネ:
で、でもあれはだめよ……。食材を無駄には出来ないわ……
- 本当にだめ?
- 主人公:
- もう一歩近づいた。ウンディーネの後ろは調理台があって
それ以上はもう下がれない。 - すごく食べたかったのに。
- P-3Mウンディーネ:
あっ……、だめなの……本当に…ダメ……
- 主人公:
- もう少し押せば許してくれそうな雰囲気で、俺は一歩後ろに下がった。
- じゃあ仕方ないな。
- P-3Mウンディーネ:
え?
- ダメって言うのに無理矢理はしたくない。
- P-3Mウンディーネ:
あっ……え、ええと……そうだ!いいこと思いついたわ!
代わりに違うものを作ってあげるわ!何が食べたい? - 何でもいいの?
- P-3Mウンディーネ:
もちろん!
- じゃあこれで。
- P-3Mウンディーネ:
それは……!?
- 主人公:
- メニューに書いてあるスペシャルメニューを指差すと、
ウンディーネが酷く動揺した。 - まさかこれもダメ?
- P-3Mウンディーネ:
だ、だめではないけど、それは……まだ、一回も作ったことがないメニューで……
- 天才パティシエールなんだろ?
- P-3Mウンディーネ:
うぅ……わ、わかったわよ!そのくらい余裕で出来るわ!
- そう?レシピは?思い出せる?
- P-3Mウンディーネ:
それは……
- P-3Mウンディーネ:
まず、ご主人様に近づいて挨拶をして……
- それから?
- P-3Mウンディーネ:
スペシャルメニューはご主人様のためだけに提供される特別なものだって
説明をして…… - その次は?
- P-3Mウンディーネ:
自分で……
- 自分で?
- P-3Mウンディーネ:
…………
- ん?
- P-3Mウンディーネ:
教えない。
- 主人公:
- ウンディーネは調理台に上がって、俺の服の裾を引っ張り、体を密着させる。
そして、互いの心臓の音が聞こえる中、ウンディーネは俺の頬に両手を添えた。 - P-3Mウンディーネ:
この後、どうするかは……司令官もよく知ってるでしょ……?
- 何から食べればいいのかな?
- P-3Mウンディーネ:
そこまでは決めてなかったけど……
- P-3Mウンディーネ:
好きなのから食べたら良いんじゃない……?
- 困った。全部好きなんだけど?
- P-3Mウンディーネ:
…バカ。
- P-3Mウンディーネ:
じゃあ、全部…食べればいいじゃない。
- 主人公:
- そう言って砂糖より甘い声で笑ったパティシエールは、俺の顔を引き寄せた。
- 主人公:
- ウンディーネのスペシャルメニューは想像以上に甘くて、
とろけてしまいそうなほど温かかった。 - 主人公:
- もう一回注文してもいいかと聞くと最初は断られたが、
ちょっと押してみたら「一回だけ」という条件で注文が通った。