シーンビューアの使い方
- 背景画像・セリフ下のNEXT・選択肢をクリックでセリフ送り
- 過去のセリフの選択肢・BACKをクリックでログジャンプ
Transcription
- 看板:
< 本日は都合により臨時休業とさせていただきます。
明日は通常通り営業いたします。 > - あれ……?
- 主人公:
- ふとコーヒーが飲みたくなり、カフェに行ってみると意外な状況に
遭遇してしまった。 - 主人公:
- せっかくここまで来たし、一人くらい店に来るんじゃないかと期待しながら
ドアの前でしばらく待ってみた。……しかし、いくら待っても誰もやって来ない。 - 帰るか……。
- 主人公:
- 後ろ髪を引かれながらその場を去ろうとした瞬間、
遠くから歩いてくるセイレーンの姿が見えた。 - セイレーン!
- AG-2Cセイレーン:
ご主人様?どうされましたか?
- コーヒーが飲みたくて来たけど、今日休みだったんだな。
- AG-2Cセイレーン:
あ……お伝えするのを忘れていましたね。
ちょっと休みたいという意見が皆さんから出て、今日はお休みにしたんです。 - そうか…セイレーンは何しに来たんだ?
- AG-2Cセイレーン:
あっ!た、大したことではありません。
- AG-2Cセイレーン:
せっかく時間ができたので丁寧に掃除をしておこうと思いまして。
営業中は細かい部分まで手が行き届かないものですから。 - AG-2Cセイレーン:
中に入られますか?冷たいお飲み物でもお出しします。
- いや、いいよ。せっかくの休みだろ?
- AG-2Cセイレーン:
お気になさらず、簡単なものならすぐに作れますから。
ご主人様に奉仕するのがメイドの勤めです。 - AG-2Cセイレーン:
どうぞお入りください、ご主人様。
- 主人公:
- カフェに入って待っていると、すぐにアイスコーヒーが出てきた。
営業時間外にも関わらず丁寧にトレイに載せて運んできたところに セイレーンの性格が良く出ている。 - 手で持ってきてくれてもよかったのに。
- AG-2Cセイレーン:
ご主人様にお出しするのに、そんなわけにはいきません。
- AG-2Cセイレーン:
もし濃かったり薄かったりしたらおっしゃってください。味を調整いたしますので。
- いや、ちょうどいいよ。
- AG-2Cセイレーン:
ふふっ、よかった。
- 今から掃除するの?
- AG-2Cセイレーン:
ご主人様をお見送りしてから始めます。ご主人様に埃が飛んではいけませんので。
- AG-2Cセイレーン:
あ!別に早く帰ってほしいという意味ではありません。
あくまでも私が勝手にしてることなので、好きなだけくつろいでください! - じゃあ俺も手伝うよ。
- AG-2Cセイレーン:
はい?
- どうせ夕方まで予定がないし。
- AG-2Cセイレーン:
そ、そんな!大丈夫です!これはお店の問題ですし、
せっかくのお休み中にそんなことをさせるわけには…… - 主人公:
- コップを置いて、隅に立て掛けてあったモップを掴んだ。
- コーヒー代と思ってさ。
- AG-2Cセイレーン:
でも……
- では、今日一日よろしくお願いします、店長!
- 主人公:
- モップを銃代わりに捧げ銃のポーズを取ると、
ちょっと戸惑っていたセイレーンがクスクスと笑った。 - AG-2Cセイレーン:
わかりました……こちらこそよろしくお願いしますね、ご主人様。
- 主人公:
- そして掃除が始まった。天井と窓枠の埃を払い、冷蔵庫にあった霜と汚れを
丁寧に拭き取る。たまにはこういう仕事もいいな!! - カフェは繁盛してる?
- AG-2Cセイレーン:
おかげさまで。たくさんの方に来ていただいて、
私達も楽しく働かせてもらっています。 - 大変だろ?
- AG-2Cセイレーン:
私は掃除と接客しかしませんので。大変なのは他の皆さんです。
- みんな頑張ってるんだな。
- AG-2Cセイレーン:
はい、私の担当が一番楽ではないでしょうか。
- AG-2Cセイレーン:
掃除は誰でも出来ますし、私は大して役に立てていない気がするんです。
だから休日を使って、さらにきれいに掃除しておこうと思いまして。 - 役に立ててないなんて、そんなこと絶対にないよ。
- 主人公:
- 俺はモップ掛けをしながら続けた。
- 掃除は誰でもできるかもしれないけど、楽な仕事じゃないし。
- 主人公:
- 今日のセイレーンを見て確信した。
普段もこんな感じで一生懸命掃除しているんだろう。 - 主人公:
- 隅に置かれた各種掃除用具と効率的に計算された動線を見る限り、
大掛かりな清掃に慣れている感じだった。 日頃も一人残って掃除をしているのではないだろうか? - それにセイレーンは店長の仕事も兼任してるだろ?
- AG-2Cセイレーン:
それはそうですが……
- 一番楽なんかじゃないよ。
- AG-2Cセイレーン:
…ふふ。
- ん?
- AG-2Cセイレーン:
不思議ですね。
- AG-2Cセイレーン:
昔から、悩みとか心配事があると…突然ご主人様が現れて……
- AG-2Cセイレーン:
その度に私に言葉をくれて……その一言で悩みが消えてしまうんです。
- AG-2Cセイレーン:
まるで魔法みたいです。
- そうか?ならよかった。
- 主人公:
- 二人で掃除したおかげか床掃除もすぐに終わった。
掃除道具を片づけ、時計に目をやると大分時間が経っていた。 - AG-2Cセイレーン:
もうこんな時間に……すみません、時間かかっちゃいましたね。
- いや、大丈夫。それじゃあ…
- AG-2Cセイレーン:
あとは換気すれば終わりですので、先にお帰りになってください、ご主人様。
- え?
- AG-2Cセイレーン:
もう大丈夫です、終わったら私ももう帰りますので。
- AG-2Cセイレーン:
お掃除までしてもらったのに、これ以上ご迷惑はおかけできません。
- ……
- 主人公:
- 今日は夜まで一緒に掃除をして過ごせると思っていたのだが、
そういうわけではなかったらしい。 - そういうことなら…仕方ないな。
- 主人公:
- 見送るセイレーンに弱々しく手を振った。
- じゃあね。
- AG-2Cセイレーン:
はい、ご主人様。お気を付けて。
- …明日また来るね。
- AG-2Cセイレーン:
はい!では、美味しいデザートをサービスしますね!今日は本当に助かりました!
- 主人公:
- これでよかったんだろうか?と思いながら、ドアへ向かう……
- 主人公:
- すると、何かに引っ張られる感じがした。
どこかに服を引っかけたか?と思って後ろを振り返ると…… - …え?
- 主人公:
- セイレーンが俺の服の裾を掴んでいた。
- AG-2Cセイレーン:
あ…?
- 主人公:
- 彼女自身も自分の行動にビックリしたのか、かなり慌てていた。
衝動的に動いてしまったようだ。 - 主人公:
- セイレーンはしばらく戸惑っていたが、深く深呼吸をすると
正面から俺の目を見た。 - AG-2Cセイレーン:
こんなことしちゃダメなのに……
- AG-2Cセイレーン:
お見送りしないといけないのに……
- AG-2Cセイレーン:
でも……やっぱり!もう少しだけご主人様と、一緒にいたいです。
- AG-2Cセイレーン:
皆さんがいない時に……こんな、独り占めみたいなこと……
してはいけないってわかっているのですが…… - AG-2Cセイレーン:
今日は、なんだか、さよならしたくないんです……
- AG-2Cセイレーン:
今日だけでいいんです…そばにいてくれませんか?ご主人様。
- 主人公:
- 前にもセイレーンのこういう姿を見たが、今回のように強く頼んでくるのは
初めてな気がする。 - 主人公:
- もし断られたらどうしようとか悩んでいるのだろうか。
セイレーンの手は震えていた。 - 主人公:
- 震えている手をそっと握って俺の頬に持っていき、当てた。
- まだコーヒー代分は働けてないよね?
- AG-2Cセイレーン:
コーヒー代ですか……?
- 今日一日よろしくって言ったろ?
- AG-2Cセイレーン:
あ……!ではまだ……
- 今度は何をすればいいでしょうか、店長?
- 主人公:
- ちょっと演劇風に言うと、さっきまで緊張していたセイレーンが噴き出した。
- AG-2Cセイレーン:
ぷっ……、今日はそれで行くんですね?
- 店長の言う通りにいたします!
- AG-2Cセイレーン:
では……
- AG-2Cセイレーン:
まず私の頭を撫でてもらえますか?
- 主人公:
- 俺はセイレーンの髪の毛を梳くように撫でた。
- その次は?
- AG-2Cセイレーン:
その次は……
- 主人公:
- セイレーンは胸に飛び込んできて、両腕で俺を抱きしめてきた。
- AG-2Cセイレーン:
……ご主人様も私を抱きしめてください。
- 主人公:
- 自分のしてほしいことを正直に言えるようになった少女は、
いくつも、いくつもしてほしい事を言ってくれた。 そして、自分が変われたのは全部俺のおかげだと話してくれた。 - 主人公:
- だから俺は、その後もセイレーンの望むことすべて叶えてあげた……
- 主人公:
- 翌日、最初に出勤したウンディーネが顔を真っ赤にしながら
起こしてくれるまで、俺達は抱き合ったまま眠っていた。