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Transcription
- 主人公:
- 軽い足取りで俺は噴水広場に戻ってきた。
- そろそろお腹が空いてきたな。
- 主人公:
- 生態保存区域の入り口から噴水広場まで続く大通り沿いには、
隊員たちが開いた様々な店が軒を連ねている。 - 主人公:
- 色んな食べ物も売っているし、定期的に物々交換をしたり、
物を売り買いするフリーマーケットも開かれているらしい。 - 軽く食べて帰ってくるってソワンに言っておこう。
- 主人公:
- ソワンに連絡しようと通信機を取り出していると、街路樹に
大きな黒い布のようなものが引っかかっているのが目に入った。 - なんだこれ……?テントにしては雑に―うわぁっ!?
- 主人公:
- その正体を確かめようと近寄った瞬間、布から腕が飛び出してきて
俺を中へと引き込んだ! - 主人公:
- まだバクバクしている心臓を落ち着かせようと深呼吸する俺を見て、
テントの中の誘拐犯はニチャリと笑った。 - キルケー:
まぁ、お客様~いらっしゃいませ~!
- ……
- キルケー:
私の占いの館、お客様第一号ですぅ~わぁ~パチパチ~!
- ……これが占いの館?
- 主人公:
- どう見ても木の枝に引っかかった ただの黒い布だが?
- キルケー:
雰囲気が重要ですから。
薄暗くてぇ、どんよりとしててぇ、どこか神秘的な……そういう雰囲気が。 - そ、そう…。オープンしてどれくらいになるんだ…?
- キルケー:
2カ月は経ちましたね~。
- ……2カ月経って、俺がお客第一号?
- キルケー:
だから司令官さんを捕獲したんですよぉ~。
皆さんなんちゃって占い師には占ってもらいたくないんでしょうかぁ……? - 自分でなんちゃってって言ってるし……
- 主人公:
- そっと入口の方の布を捲って、外を見てみた。
- 主人公:
- ……こちらの方を見ている人は誰もいない……
- せめて看板くらい置いたら?
- キルケー:
ええ……それはちょっと……
- キルケー:
そもそも占いの館というものは、宣伝を見て訪れるような場所ではありません。
偶然入ったお店が占いの館だったというのが重要なんですぅ。 - キルケー:
そして、最初のセリフは「あなたが来るのは分かっていましたよ……。」
じゃないとダメなんですよぅ! - …俺が来るのも分かってたのか?
- キルケー:
もちろんです。他のことは分かりませんけど、それだけは分かっていましたよ。
- 主人公:
- その声はさっきまでと違って落ち着いていて、
さらに、二人っきりでいる時の目で俺を見つめていた……。 - 主人公:
- そんな顔を不意に見せられて、頭の後ろをポリポリ掻いていると、
キルケーはまた普段の軽い表情に戻った。 - キルケー:
そ~ゆ~わけなのでぇ、私が占ってあげますから、噂を流してくれませんかぁ?
- 噂?
- キルケー:
「噴水広場の近くによく当たる占い師がいるらしいよ~!」
「なかなか会えないけど、縁があれば会えるみたいだよ~!」 - キルケー:
こんな感じでお願いします。あくまでも噂っぽく!
- そこ、こだわるんだな……
- キルケー:
ふふ。実はこういうのもちょっと気が引けるんですけど……
ちょうど今書き入れ時なものでして。 - キルケー:
ほら、皆さん手あたり次第に色々な神様にお願いしてるじゃないですかぁ。
- 主人公:
- キルケーはそう言うと、水晶玉に手をかざした。
- でももう占いはやらないって言ってなかったか?
- 主人公:
- 以前、俺たちが破壊したテーマパークで交わした会話を思い出した。
- キルケー:
…そんなこともありましたね。ですが……
- キルケー:
誰かの役に立ちたいですが、私にできることって結局……
こんなことしかないんです。 - キルケー:
たとえなんちゃってでも、リップサービスでも、誰かの未来への希望を
与えることができればいいなって……。 - ………
- 主人公:
- 水晶玉を触る手に俺が手を重ねると、キルケーは微かに笑みを浮かべた。
- キルケー:
では占ってみましょう。どれどれ……
- キルケー:
………!これは…!
- ど、どうした……!?
- キルケー:
そんな……赤黒い槍の星座が……お客様の運命を……
- キルケー:
お客様は……数千、数万の方を無残にも……
- ……そんな……
- キルケー:
数千、数万の女性の心を奪い、その体をこれでもかと蹂躙す―ああっ!
ごめんなさい!ちょっと待って!ちょっと待ってください! - 主人公:
- キルケーは館を出ようとする俺の服を掴んだ。
- キルケー:
あはは……じょ、冗談ですってばぁ。半分は。
- ……怖いからそういうのやめて。
- 主人公:
- ん?……じゃあ残り半分は?
- キルケー:
あの時も申し上げましたよね?とてつもない女難の相だって。
- キルケー:
ご本人が一番よく分かっていらっしゃるんじゃないですか?
- それは……まぁ、確かに。
- 主人公:
- そこはもう……反論の余地がない……
- キルケー:
ですが、そこまで心配する必要はありません。
- キルケー:
司令官さんの運命の力が強すぎますから、その程度のことでは
司令官さんの大きな運命の流れを変えることはできません。 - キルケー:
ただ……
- ただ?
- キルケー:
これは私の知識では理解が及ばない部分なので、申し上げにくいのですが……
- キルケー:
最近、司令官さんの運命が少し揺らいでいる気がします。
- 揺らいでいる?
- キルケー:
はい。不安定という意味ではなく、他の何かと互いに引き合っているせいで
振動しているような……そういう感じです。 - ふむ……
- 主人公:
- 俺がその事について考えていると、キルケーは俺の頭を優しく抱きかかえた。
- キルケー:
どうしたんですか?そんな暗い顔をして~。
私はただのなんちゃって占い師に過ぎませんのにぃ。 - でも、気になる。
- キルケー:
……心配いりません。どんなことがあろうとも、
あなたの運命にはいつも私たちがいます。 - …うん。
- 主人公:
- しばらく俺を胸に抱いていたキルケーは満足したのか、パッと体を離した。
- キルケー:
では……噂の方、よろしく頼みますねぇ~!
- 分かった。よく当たる占い師がいるらしいって言いながら歩くよ。
- キルケー:
は~い!ありがとうございますぅ!
- キルケー:
あっ!それと……
- え?
- 主人公:
- 占いの館から出ようとする俺をキルケーは呼び止めた。
- キルケー:
今日は、お水にご注意~