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エイミーレイザー
- その後のデートはデートになっていなかった……。

Transcription

  1. エイミーレイザー:

    - その後のデートはデートになっていなかった……。

  2. エイミーレイザー:

    - 俺とエイミーはあのキスから歯止めが掛からなくなっていた。

  3. エイミーレイザー:

    - デートの途中で抑えきれなくなるたびに、エイミーは人気のない場所へと俺を連れて行ってくれた。

  4. エイミーレイザー:

    - そして、それが何度も何度も続き……俺たちはもう我慢できず、エイミーの部屋に向かった。

  5. エイミーレイザー:

    - エイミーの部屋がある宿所に到着すると、その入り口で……

  6. LRL:

    エイミー!

  7. 主人公:

    - LRLが現れた。

  8. エイミーレイザー:

    あら、プリンセス。

  9. LRL:

    何をそんなに急いでいるのだ?

  10. 主人公:

    - さて、何と答えるか……

  11. エイミーレイザー:

    今日は司令官とデートの日なんですよ。

  12. LRL:

    あっ!そうだったね!デートするって言ってたね!

  13. LRL:

    いいなぁ……私もデートしたかったのに当たんなかった……

  14. 主人公:

    - LRLはそう言ってうつむくが、チラッチラッと俺たちを見てきた。

  15. 主人公:

    - 俺がLRLをなだめようとしたその瞬間、エイミーが口を開いた。

  16. エイミーレイザー:

    じゃあ……。3人で一緒に遊びましょうか?

    1. え?
  17. LRL:

    本当?わーい!エイミー!大好き~!

  18. 主人公:

    - LRLはそれはもう嬉しそうにその場で何度もジャンプした。

  19. 主人公:

    - そして、欲求の臨界点を迎えようとしていた俺は茫然と立ち尽くす……

  20. 主人公:

    - そんな俺を見てエイミーは耳元で囁いた。

  21. エイミーレイザー:

    もう少しだけデートに付き合ってくれませんか?私がプリンセスともデートしたいんです。

    1. うん……もちろん。
  22. LRL:

    さぁ!眷属よ!サイクロプスプリンセスが命ずる!余を幸福なる聖母が待つ、永遠なる安息の場所へと連れていくのだ!

    1. イエス!マイ・プリンセス。
  23. 主人公:

    - LRLは俺とエイミーと手を繋ぎ、ぴょんぴょん飛び跳ねた。

  24. 主人公:

    - エイミーはLRLの幸せそうなその姿を見て優しく笑う。

  25. 主人公:

    - そして、俺は二人を見て幸せだった。

  26. 主人公:

    - 俺達はLRLの部屋で一緒に遊んだ。

  27. LRL:

    ふっふっっふっ!眷属よ、余に勝とうなど!100年早いわ!

    1. くぅっ!もう一回勝負だ!
  28. エイミーレイザー:

    諦めた方がいいですよ、ダーリン。さっきも同じこと言ってましたよ。プリンセスはこのゲームの達人ですから。

  29. 主人公:

    - ボードゲームをして……

  30. LRL:

    受け取るがいい!眷属よ。今日を祝福し、余が絵を描いてやったぞ!

  31. エイミーレイザー:

    あら?プリンセス、私の分はないんですか?

  32. LRL:

    え?あ……。うぅ……うん!…今すぐ描くね!

  33. エイミーレイザー:

    ふふ、では私もお礼に何か描きませんとね。

  34. 主人公:

    - 絵も描いてくれた。

  35. LRL:

    余の邪眼を授けん、竜殺者よ!余はそなたに邪眼と未来を託した!!

  36. LRL:

    余の眼は光を失うだろうが、そなたが切り開く未来は希望に満ち満ちていることを余は信じてやまん!

    1. サイクロプスプリンセス…君の意志と邪眼、確かに受け取った!
  37. エイミーレイザー:

    ええと……構えるのよ。最凶の悪竜ニーズヘッグがやってくるわ。

  38. LRL:

    エイミー……グラシアスはそんな喋り方しないよ……

    1. そうだぞ!俺のグラシアスはそんなんじゃないぞ!
  39. エイミーレイザー:

    ごめんなさい……

  40. 主人公:

    - ドラゴンスレイヤーごっこもした。

  41. LRL:

    わぁ~!これ見て、司令官!

    1. すごっ!こんなに小さいのに色々機能がある。
  42. エイミーレイザー:

    ドクターがくれた万能デートツールです。

  43. LRL:

    ははは!これ見て!お花がず~っと出てくる!

    1. どこに入ってんだこれ?
  44. LRL:

    あっ、歌も流れる。

    1. これは……リップクリーム?
  45. 主人公:

    - ドクターの秘密ツールで遊んだ。

  46. 主人公:

    - そんな幸せな時間もあっという間に過ぎ……

  47. LRL:

    ……ぅぅん……

  48. 主人公:

    - LRLは急にウトウトし始め、すぐに眠ってしまった。

  49. エイミーレイザー:

    プリンセス。寝ちゃいましたね。

  50. LRL:

    ……

  51. 主人公:

    - エイミーは優しくLRLを抱きかかえ、ベッドに寝かせた。

  52. 主人公:

    - そして、彼女もその隣に横になる。

  53. エイミーレイザー:

    ……

  54. 主人公:

    - エイミーが手招きする。俺も横になれってことか?

  55. 主人公:

    - 俺はLRLを挟むようにベッドに寝た。

    1. 狭いな。
  56. 主人公:

    - だけど、二人をさっきより近くに感じることができた。

  57. 主人公:

    - LRLの向こう側のエイミーは俺のことを見つめていた。

  58. エイミーレイザー:

    ふふ。

  59. 主人公:

    - エイミーが笑うと俺も自然と笑みがこみ上げてきた。

  60. エイミーレイザー:

    幸せですね。

    1. うん。幸せ。
  61. エイミーレイザー:

    ダーリンが幸せなら私も幸せです。

  62. 主人公:

    - あーもうダメだ……。そんな顔見せられたら俺は……

    1. はぁ…今日はエイミーが本気で誘惑してくるからずっと大変だ…
  63. エイミーレイザー:

    本気……?

  64. エイミーレイザー:

    私はいつもあなたに本気ですよ。

    1. ……
  65. エイミーレイザー:

    あなたに初めて会ってから、今まで……そしてこれからもずっと私は本気ですよ。ずっと……あなたに本気です。

  66. エイミーレイザー:

    もちろん私は“武器”です。それも……残酷極まりない方法で相手を殺める武器。

  67. エイミーレイザー:

    滅亡前の私だったなら人を殺して殺して……いつか愛する人も殺したでしょう。

  68. エイミーレイザー:

    でも、あなたと出会えた私は違います。

  69. エイミーレイザー:

    もう、私の願いの一つは叶いました……

  70. 主人公:

    - エイミーは微笑み、俺に手を伸ばした。

  71. 主人公:

    - 俺はその手を握って指を絡ませた。

  72. 主人公:

    - 彼女が言う“願い”が何なのか何となく理解できた。

  73. 主人公:

    - しかし彼女は欲張りだった。

  74. エイミーレイザー:

    私のもう一つの願い……聞いてくれませんか?

  75. 主人公:

    - もう一つの願い……俺の心臓はトクンと跳ねる。

  76. 主人公:

    - しかし、それは愛おしい願いだった。

  77. エイミーレイザー:

    家庭を築きたいんです。

  78. エイミーレイザー:

    ただのバイオロイドが……それもハニートラップで情報を盗み、暗殺をするために作られたバイオロイドが……そんな願いを持ってるなんて……

  79. エイミーレイザー:

    おこがましいということは分かっています。

  80. エイミーレイザー:

    でも……願うことくらいは……せめて願う真似事をするくらいは許されても……いいですよね?

  81. 主人公:

    - エイミーは少し悲哀のこもった笑みを浮かべながら、LRLの乱れた髪の毛を整えた。

  82. エイミーレイザー:

    誰かの妻……可愛い子を持つ母になりたい……。

  83. エイミーレイザー:

    私だけでなく、過去のエイミーレイザーたちが夢見ていた願い。

  84. エイミーレイザー:

    これが“本物”ではないとしても……私は本当に幸せです、ダーリン。

  85. 主人公:

    - そう言いながら、どこか苦そうな笑みを見せる彼女に胸が痛んだ……。

  86. 主人公:

    - 俺が何か言おうとすると、エイミーは遮るように言葉を発した。

  87. エイミーレイザー:

    しーっ……今は何も言わないでください。

  88. エイミーレイザー:

    今あなたが言ってしまったら……あなたは苦しんで、私や…私以外の誰かが……心に傷を負うと思います。

  89. エイミーレイザー:

    だから、今は、この瞬間だけは……この幸せを感じさせて。

  90. 主人公:

    - 俺は言おうとしていた言葉を飲み込んだ。

  91. 主人公:

    - でも、この言葉はエイミーに伝えたかった。

    1. …エイミー。
  92. エイミーレイザー:

    はい。

    1. 愛してる……
  93. エイミーレイザー:

    うふふ……私もです。

  94. 主人公:

    - エイミーは穏やかな笑みを浮かべてくれた。

  95. 主人公:

    - 俺たちは手を繋いだまま、しばらく見つめ合った。

  96. 主人公:

    - どれくらいの時間が経っただろう……

  97. エイミーレイザー:

    ダーリン……ダーリン?

    1. うん。聞こえてる。
  98. エイミーレイザー:

    そろそろ……

  99. エイミーレイザー:

    “二人だけの時間”を過ごしてもいいんじゃないですか?

  100. 主人公:

    - 俺たちはLRLを起こさないようにベッドから降り、部屋を後にした。

  101. 主人公:

    - そして、ドアを閉めた後、俺はエイミーを抱きかかえた。

  102. エイミーレイザー:

    きゃっ。

  103. 主人公:

    - エイミーは小さく声をあげて驚く。

    1. しっかり掴まってろ。
  104. エイミーレイザー:

    ふふ……、はい、分かりました。

  105. 主人公:

    - 俺はそのままエイミーを抱きかかえて、俺の部屋へと走っていった。

  106. 主人公:

    - エイミーは俺の腕に掴まって、最高に幸せそうな笑みを浮かべている。

  107. 主人公:

    - そう、エイミーは初めて出会ったあの時から……

  108. 主人公:

    - 誰かを殺める武器ではなく、

  109. 主人公:

    - ただ幸せな家庭を築きたいと願うだけの……

  110. 主人公:

    - ……俺の大切な人だ。