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T-60ブルガサリ
信じらんない!ダメって言ったのに!

Transcription

  1. T-60ブルガサリ:

    信じらんない!ダメって言ったのに!

  2. 主人公:

    - 店を出ると、すっかり日が暮れて辺りは暗くなっていた。

  3. 主人公:

    - ブルガサリはまだ怒っていて、帰り道でも俺を横目で睨んでいた。

    1. はは…
  4. T-60ブルガサリ:

    笑い事じゃないわよ!

  5. T-60ブルガサリ:

    「先に帰る」ってメモを見た時の私の気持ち、分かる!?

  6. T-60ブルガサリ:

    も~当分は買い物に行けないじゃん……欲しい服いっぱいあったのに…

    1. 俺が買ってくるよ。
  7. T-60ブルガサリ:

    結構です~!

  8. T-60ブルガサリ:

    司令官があんなことしなければ、普通に買い物できたの!他の子がいるのわかっててするんだもん……!

    1. でも、ブルガサリも楽しんでたじゃん。
  9. T-60ブルガサリ:

    それは……

  10. 主人公:

    - 腕組みし、仁王立ちしたブルガサリはしばらく俺を見つめた。

  11. T-60ブルガサリ:

    司令官が嬉しそうにするから……私も嬉しくなって。

  12. T-60ブルガサリ:

    もちろんそれだけじゃなくて……ごにょごにょ……

  13. T-60ブルガサリ:

    やっぱり外でああいうのは禁止よ。TPOを考えて行動して!ばか!

  14. T-60ブルガサリ:

    これからはもうダメだからね?

    1. ブルガサリの言う通りだな。
  15. T-60ブルガサリ:

    ん!わかったならよろし―

    1. 自分好みにコーディネートするってのがこんなにも楽しいとは!
  16. 主人公:

    - プレゼントしたヘアピンを付けて、俺が好きな服を着てくれたブルガサリを見て悟った……

  17. 主人公:

    - 今日のデートは、ブルガサリも楽しかったに違いないと!

  18. 主人公:

    - 俺をコーディネートするなんて本当に楽しいのか不安だったが、ブルガサリの言葉は正しかった。

    1. ショッピングって楽しいな!
  19. T-60ブルガサリ:

    話そらさないで。

  20. T-60ブルガサリ:

    ていうか……本当に思ってるの?

    1. 思ってるよ。
  21. T-60ブルガサリ:

    本当?ならよかった。

  22. 主人公:

    - その言葉を聞いたブルガサリはやっと機嫌を直してくれたのか、口角をあげてくれた。

  23. 主人公:

    - 何となくさっきより軽い足取りで広場を歩いた。

  24. T-60ブルガサリ:

    夕飯を一緒に食べて終わりにしようと思ったのに、閉まっちゃったね。残念。

    1. じゃあ俺の部屋で食べて帰る?
  25. T-60ブルガサリ:

    だめよ、明日は仕事だし。

    1. ご飯だけ食べて帰って構わないから。
  26. T-60ブルガサリ:

    お腹が空いてるから言ってるんじゃないの。私が食べて美味しかったものを司令官に食べさせたかったの。

  27. T-60ブルガサリ:

    あーあ……もっとたくさんやりたいことあったのに。やっぱ一日じゃ時間が足りないわ。

  28. T-60ブルガサリ:

    そうだ、さっき買ったドーナツ残ってる?

    1. 一つしか残ってないな。
  29. T-60ブルガサリ:

    何が残ってる?

    1. これ。
  30. 主人公:

    - ドーナツの箱の中身を見せると、ブルガサリは目を輝かせた。

  31. T-60ブルガサリ:

    私が一番好きなやつね。

    1. 食べる?
  32. T-60ブルガサリ:

    司令官が食べて。私はまた買えばいいから。

    1. でも…
  33. T-60ブルガサリ:

    何してるの?早く食べてよ。

  34. 主人公:

    - ブルガサリもそう言うので、おとなしくドーナツを一口食べた。さっき食べたドーナツも美味かったが、こっちの方が俺の好みだった。

    1. うん、美味い。
  35. T-60ブルガサリ:

    でしょ?美味しいって言ったじゃない。

  36. T-60ブルガサリ:

    私が一番好きな味だから、司令官もきっと好きだって思ったんだ。

  37. 主人公:

    - 嬉しそうに笑うブルガサリと俺は、しばらく歩幅を合わせてゆっくりと歩いた。

  38. 主人公:

    - 気付けば、ずいぶんと時間が経っていた。いつもの歩く速度ならとっくに部屋に戻っていてもおかしくない。

  39. 主人公:

    - 俺たちはたまにベンチに座って話したり、広場を散歩したりして時間を過ごした。もう帰らないといけない時間なのにどうしても名残惜しかった。

  40. 主人公:

    - 明日、ブルガサリの仕事がなければ夜通し一緒にいただろうが……今日はこの辺で終わりにしなければ。

    1. ……着いたな。
  41. T-60ブルガサリ:

    そうね。

    1. ……
  42. T-60ブルガサリ:

    ……

  43. T-60ブルガサリ:

    司令官。

    1. うん。
  44. T-60ブルガサリ:

    私、週末なら時間があるの。

  45. T-60ブルガサリ:

    司令官は忙しい?

    1. いや、特に予定はないはず。
  46. T-60ブルガサリ:

    だったら週末にまた会わない?その時なら夜もずっと一緒にいられると思う。

    1. 困ったな。
  47. T-60ブルガサリ:

    ……どうして?

    1. 今から楽しみ。
  48. T-60ブルガサリ:

    もうっ、ふざけないでよ。

  49. 主人公:

    - つっけんどんに言うが、ブルガサリは嬉しそうに笑っていた。

  50. T-60ブルガサリ:

    気を付けて帰ってね。じゃあ……またね。

    1. うん。また……週末に。
  51. 主人公:

    - 俺は手を振ってブルガサリに背を向けた。

  52. 主人公:

    - ―その時。

  53. T-60ブルガサリ:

    司令官!

  54. 主人公:

    - その声に振り返った瞬間、ブルガサリの顔がすぐ目の前にあった。

  55. 主人公:

    - そして、いたずらっぽく俺を見上げていると思ったら、

  56. 主人公:

    - ブルガサリの唇の柔らかさを、もう一度確認させられた。

  57. 主人公:

    - 長くて短い時は過ぎ、一歩後ろに下がったブルガサリは指で唇をなぞると、そっと頷いた。

  58. T-60ブルガサリ:

    うん、やっぱりね。

    1. 何が?
  59. T-60ブルガサリ:

    私の一番好きな味がする。司令官にあげてよかった。

    1. だから俺に食べさせたのか?
  60. T-60ブルガサリ:

    さぁね~?答えは週末ね。

  61. T-60ブルガサリ:

    じゃあもう本当に行くね。またね、司令官。へへへ!

  62. 主人公:

    - 俺が返事をする暇も与えないまま、ブルガサリは足早に帰っていった。

  63. 主人公:

    - その帰り、俺は一人で広場のベンチに腰掛けた。

    1. なんだか、あついな。
  64. 主人公:

    - しばらく俺の顔は熱かった……