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主人公
- 昼食のあとは神社にやって来た。

Transcription

  1. 主人公:

    - 昼食のあとは神社にやって来た。

  2. 主人公:

    - 神社は俺が初めて来た時よりは空いていた。

  3. 城壁のハチコ:

    あれ?ご主人様!

  4. 主人公:

    - ハチコが境内を掃除する手を止め、俺たちの方に駆け寄ってきた。そういえばこの前は参拝客に揉まれて話もできなかった

    1. 元気?ハチコ。
  5. 城壁のハチコ:

    はい!ご主人様!ハチコは元気です!

  6. 主人公:

    - ハチコと挨拶し、頭をわしゃわしゃと撫でてあげた。

  7. 城壁のハチコ:

    えへへへへ。

  8. 主人公:

    - 俺が頭を撫でる動きにあわせて、ハチコの尻尾が左右に揺れる。

  9. 主人公:

    - 可愛い。

  10. 天香のヒルメ:

    来たか、ぬしよ。

  11. 主人公:

    - ヒルメが現れた。

  12. 主人公:

    - ヒルメは妙な表情でこちらを眺めていた。

  13. 主人公:

    - ふ~む……あの表情は……

    1. なでなで……してやろうか?
  14. 天香のヒルメ:

    な、何を言いだすのだ!ぬしは!

  15. 主人公:

    - ヒルメは自分の体を抱くように庇いながら、俺と距離を置いた。

  16. 主人公:

    - 俺の“撫で”が恋しいのかと思ったのだが……

  17. 主人公:

    - いつものように「ふへへ…、口では嫌がっているが尻尾は正直だな~」ってするつもりだったのに……

  18. 天香のヒルメ:

    ふむ……

  19. 主人公:

    - 今度はゆっくり近づいてきた。

  20. 天香のヒルメ:

    なぞのオーラを感じる。

    1. 撫でよ、ほーら?
  21. 天香のヒルメ:

    違う!さっさと撫でから抜け出さないか!!

  22. 主人公:

    - 残念……

  23. 天香のヒルメ:

    ふむ、ふむ。

  24. 天香のヒルメ:

    ダイカとぬしの間に妙なオーラが流れておる。

    1. ……?どういうこと?
  25. 天香のヒルメ:

    それはこれから調べてみよう。

  26. 天香のヒルメ:

    二人ともついてくるがいい。

  27. 主人公:

    - ヒルメについて行き、神社の本殿へと入った。

  28. 天香のヒルメ:

    そこに座れ。

  29. 主人公:

    - ヒルメの指示に従い、床に座った。何故かついて来たハチコも俺の隣に座った。

  30. 天香のヒルメ:

    今からぬしとダイカの縁を占うとしよう。

  31. 主人公:

    - ヒルメは木製の筒に木の枝を入れて揺らすと、それを勢いよく床に放り投げた。

  32. 天香のヒルメ:

    ほお……こう出るか……

    1. なんて出た?
  33. 天香のヒルメ:

    妾は縁についての占いは何度もしてきたが、こんなに良い結果が出たのは初めてだ。

  34. 天香のヒルメ:

    もちろん、ぬしと妾ほどではないがな……

  35. 37式ダイカ:

    ……

  36. 天香のヒルメ:

    ぬしらは互いに深く愛し合っている、いかなる苦難に直面しようとも必ずや打ち勝てるであろう。

  37. 天香のヒルメ:

    まぁ、もちろんぬしと妾はすでに、あらゆる逆境を乗り越えてきたがな!

  38. 天香のヒルメ:

    ぬしらは別れても必然的にまた出会う強き運命だ。

  39. 天香のヒルメ:

    まぁ、もちろん?ぬしと妾は現世だけでなく前世から続く縁ではあるがな!

  40. 天香のヒルメ:

    生きていれば喧嘩は避けられぬが、愛ゆえに後には引かないだろう。

  41. 天香のヒルメ:

    んまぁ、もちろん?ぬしと妾はそもそも喧嘩などすることはないがな!

  42. 37式ダイカ:

    ……

    1. ははは。
  43. 城壁のハチコ:

    ハチコ、こんな方法で占うのは初めて見ました!

  44. 天香のヒルメ:

    そ、それはハチコがまだ修行が足りないだけだ。

    1. 要は…すごく相性がいいってことだな?
  45. 天香のヒルメ:

    その通りだ。ぬしはダイカのことを愛しておるな。

  46. 天香のヒルメ:

    まぁ!妾も愛されているが……ぬしらも最高の相性だと出ておる。

    1. 分かった。ありがとう、ヒルメ。
  47. 主人公:

    - その後、俺たちは境内を少し散策してから、神社をあとにした。

  48. シラユリ:

    司令官とダイカさんはもう帰られましたか?

  49. 城壁のハチコ:

    はい!

  50. シラユリ:

    そうですか……ではおやつでも食べて休憩しましょうか。

  51. シラユリ:

    ちょうど冷蔵庫に高級なお菓子を発見しまして。

  52. 天香のヒルメ:

    そ!それは妾のものだ!

  53. シラユリ:

    ふぅん……

  54. シラユリ:

    あんな高級なものどこで手に入れたんです?

  55. 天香のヒルメ:

    わ、妾の労働の対価だ!!

  56. シラユリ:

    ふふ、労働の対価ですか……労働ですか?ちょっと違うんじゃありません?それにしても司令官とダイカさんの相性、信じられないほどによかったですね?

  57. 天香のヒルメ:

    …………くっ……休憩にしよう。

  58. シラユリ:

    そうですね♪ハチコさん。お茶を淹れてきてもらえますか?とても上等なお菓子なので、それに合う上等なお茶で。

  59. 城壁のハチコ:

    は~い。

  60. 城壁のハチコ:

    冷たいお茶をお持ちしますね!

  61. 天香のヒルメ:

    妾の……ものなのに……

  62. シラユリ:

    世の中には口止め料というものが存在します。

  63. 天香のヒルメ:

    この、女狐め……

  64. シラユリ:

    面白いことを言いますね。言葉には気を付けた方がいいですよ。

  65. シラユリ:

    後でクレームが入ってきたら、助けてあげますから。

  66. シラユリ:

    ……人の恋路を邪魔する奴は、馬に蹴られて地獄に落ちろ!って言われちゃいますよ?

  67. シラユリ:

    ……

  68. シラユリ:

    こんなどうでもいい事を忠告するなんて……本当にバカになったみたいね…私……

  69. 主人公:

    - 神社を出た後、噴水広場をぶらぶらしていると……

  70. キルケー:

    あら?司令官さんじゃないですか。

  71. 主人公:

    - 相変わらず雑にかけられた黒い布切れの中から、キルケーがひょっこりと顔を出していた。

    1. よぉ、キルケー。
  72. キルケー:

    私のことが忘れられず、また占いをしにいらっしゃったんですぅ?

    1. いや、そうじゃな―
  73. キルケー:

    最初のお客様で、さらに二番目のお客様になってくれるなんて~わぁ~うれしくてキルケー泣いちゃった。

    1. わかったわかった!また占って!
  74. 主人公:

    - この前、来てから2週間は経ってるのに、まだ誰も来てないのか……

  75. キルケー:

    司令官さん。噂を流してくれるって約束は忘れてないですよね~?

    1. あの時も言ったけど、そういう問題じゃないだろ……
  76. 主人公:

    - 今度まともなテントを設置してあげるか……

  77. キルケー:

    ふむ……?

  78. 主人公:

    - キルケーは俺とダイカを不思議な顔で見ていた。

  79. キルケー:

    お二人の恋愛運を占ってあげましょっか?

  80. 主人公:

    - キルケーは返事など待たずに、俺たちを布切れの中に引き入れた。

  81. キルケー:

    さてさて~。占ってみましょ~。お二人の恋愛運は……

  82. 主人公:

    - キルケーは水晶玉に手をかざして占いを始めた。

  83. 主人公:

    - 狭くて暗い布切れの中で、ダイカと俺は身を寄せ合うようにしてキルケーの占いを見守った。

  84. キルケー:

    えぇ!?そんなはず……!!

    1. え?何!?
  85. キルケー:

    お二人の恋愛運は……

  86. キルケー:

    最高です~!

  87. キルケー:

    私も占い歴は長いですが。こんなに良い相性は初めて見ましたよ~!

  88. キルケー:

    もし滅亡前にこんな相性が良い二人が来ていたら……

  89. キルケー:

    結婚しても後悔しないでしょうって言ってましたね~。

  90. キルケー:

    もし結婚してる方なら、死ぬまでずっと添い遂げるでしょうって言いますね!

  91. キルケー:

    あ~、もし不倫関係だったら…弁護士と相談をしてみるように勧めたでしょうね。

  92. キルケー:

    そして、人間とバイオロイドだったら……

  93. キルケー:

    ……

  94. 主人公:

    - キルケーは見たことのない表情を浮かべた。

  95. 主人公:

    - だが、一瞬で普段の笑顔に戻った。

  96. キルケー:

    あはは、でも今は何の問題もありませんよね?だって、こんなにも愛し合っているんですもの。

  97. 37式ダイカ:

    ……

  98. 主人公:

    - ダイカが俺の手を握る。

  99. 主人公:

    - 俺はその手を強く握り返した。

  100. キルケー:

    運命の人。赤い糸で結ばれた相手。バカップル。ソウルメイト……仲の良さを表す言葉はたくさん、それこそ何でもあります。

  101. キルケー:

    二人でいれば何でも楽しいでしょう?時間は限られています。今を楽しんでください。

  102. 主人公:

    - キルケーに見送られながら黒い布……じゃなくて占いの館をあとにした。

  103. キルケー:

    あっ!噂を流すの忘れないでくださいね、司令官さん!

    1. だから噂が問題じゃないって!
  104. キルケー:

    いえ!司令官さん!誰かのせいにしてはいけませんよ!!自分はちゃんと努力してるのか、よぉぉぉぉぉぉぉく!考えてみてください!

  105. 37式ダイカ:

    - 何が何でも立派なテントを設置してやる!!!!

  106. キルケー:

    ふぅ……行ったかしら?うん、行きましたね~。

  107. キルケー:

    それでは~……

  108. キルケー:

    今日の仕事は終わり!閉店です!

  109. キルケー:

    ふふ!滅亡前のお酒だなんて……こんな貴重なものをどこで手に入れたんでしょうね~。

  110. キルケー:

    かー!これこれ!やっぱりこれね~!

  111. キルケー:

    ……

  112. キルケー:

    こんなことしなくても大丈夫ですのに……

  113. キルケー:

    リップサービスで誰かが幸せになれるのなら、いくらでも大歓迎ですが……

  114. キルケー:

    分かっているはずですけどね……

  115. キルケー:

    こんなことする必要なんかありませんよ。

  116. キルケー:

    だって、彼なんですから……

  117. キルケー:

    もちろん!お酒はありがたく頂戴しますけどね~!

  118. キルケー:

    注げ注げ~!飲め飲め~!幸せ~!!

  119. オードリー・ドリームウィーバー:

    オーサム!

  120. オードリー・ドリームウィーバー:

    オリエンタリズムの追及が古いと言われようとも、クラシックの魅力はクラシックにしかありませんわ!

  121. 37式ダイカ:

    少し、恥ずかしい…です。

  122. オードリー・ドリームウィーバー:

    恥ずかしがることなどありませんわ。

  123. オードリー・ドリームウィーバー:

    このオードリー・ドリームウィーバーが保証しますわ。とっても美しく、ビューティフルで、麗しい……

  124. オードリー・ドリームウィーバー:

    ふふ!ですがプロの私が言うよりも、愛する誰かの一言の方が、良い時もあるんですのよ?

  125. 主人公:

    - そう言って、オードリーは俺の方を見た。

    1. 本当に綺麗だよ、ダイカ。
  126. 37式ダイカ:

    ありがとうございます……司令官。

  127. 主人公:

    - ダイカは顔を赤くすると、慌てて顔を隠した。

  128. 主人公:

    - ……と思ったら、すぐ俺に笑みを見せてくれた。

  129. 主人公:

    - 広場を一緒に歩いていたらオードリーが突然現れて、ダイカにモデルになれと頼んできた時は妙な違和感があったが……

  130. 主人公:

    - ダイカも嬉しそうだし、結果オーライだったな。

  131. 主人公:

    - 俺たちは記念に写真を撮って、デートの続きを楽しんだ。

  132. オードリー・ドリームウィーバー:

    ハァ……羨ましい……

  133. オードリー・ドリームウィーバー:

    私のクリエイターとしてのプライドが許さなかったので……

  134. オードリー・ドリームウィーバー:

    本当は、辛口評価を下そうと思っていたんですが……

  135. オードリー・ドリームウィーバー:

    認めますわ。あなたは確かにビューティフルでしたわ……。

  136. オードリー・ドリームウィーバー:

    エモーショナルになって不当な評価を下す方が、自分を許せませんから……

  137. オードリー・ドリームウィーバー:

    プライドを持ってください、ダイカ。

  138. オードリー・ドリームウィーバー:

    あなたは綺麗ですよ。

  139. オードリー・ドリームウィーバー:

    Ama et fac quod vis

  140. オードリー・ドリームウィーバー:

    愛せよ、そして欲することを行え。