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主人公
- 屋外レストランにやって来た。

Transcription

  1. 主人公:

    - 屋外レストランにやって来た。

    1. 何食べるか決めた?
  2. フリッガ:

    はい。私は蜂蜜とフルーツが乗ったパンケーキにします。

    1. じゃあ俺は……
  3. 主人公:

    - わざと選ぶフリをしたが、実はもうメニューは決まっていた。

    1. ステーキにする。野菜もソースもなし!肉だけ。
  4. 主人公:

    - 男といえば肉だ。

  5. 主人公:

    - 今日は定食の気分だったが……とにかく男は肉だ。

  6. 主人公:

    - ……と、どこかで聞いたことがある。

  7. 炉端のポルティーヤ:

    ご注文はお決まりでしょうか。

  8. 主人公:

    - 蜂蜜とフルーツをトッピングしたパンケーキと、野菜とソースなしのステーキを注文した。

  9. 主人公:

    - 注文を終えるとフリッガが付け加えた。

  10. フリッガ:

    あっ。パンケーキは5人前でお願いします。

  11. 主人公:

    - フリッガの追加注文を聞いた俺は本能的に“男らしさ”の危機を感じた!

  12. 主人公:

    - 比較対象がないため“男らしさ”というものが正確には何なのか、本当はよく分かっていないが……フリッガに負けてはならないと思った。

    1. ステーキも5人前で頼む。
  13. 炉端のポルティーヤ:

    え?本当ですか?5人前ですよ?

  14. 主人公:

    - フリッガの注文は素直に受けていたのに、ポルティーヤは俺の注文を聞き返してきた。

    1. 5人前で。
  15. 炉端のポルティーヤ:

    量が多すぎると思いますけど?

    1. 5人前!
  16. 炉端のポルティーヤ:

    本当に全部召し上がれますか?

    1. 食べられるもん!!
  17. 主人公:

    - 俺は威厳をもって言い放った。

  18. 炉端のポルティーヤ:

    かしこまりました…ご主人様。

  19. 炉端のポルティーヤ:

    パンケーキを蜂蜜とフルーツトッピングで5人前と野菜とソースなしのステーキを5人前ですね。

  20. 主人公:

    - 俺の意志が伝わったのか、ポルティーヤは真剣な顔で頷いた。

  21. 主人公:

    - しばらくするとソワンが料理を運んできた。

  22. ソワン:

    ご注文のパンケーキですわ。それから……

  23. 主人公:

    - ソワンは俺の前にステーキを置いた。

  24. ソワン:

    ステーキ定食でございますわ。

  25. 主人公:

    - ご飯とスープ、そしてソースがかかった二人前くらいの大きさのステーキ……

    1. ソワン。注文したのと違うけど?
  26. ソワン:

    ご主人様のお食事を担当して、どれだけ経ったと思っているのでしょうか?ご主人様の一度の食事量は心得ておりますわ。

  27. ソワン:

    フリッガさんとシェアされるのですよね?

  28. 主人公:

    - 違う…そうじゃない……

  29. ソワン:

    パンケーキとお肉だけだと栄養が偏ってしまいますので、ご飯とスープも用意いたしましたわ。

  30. ソワン:

    ではごゆっくり、ですわ。

  31. 主人公:

    - 俺は抗議しようとしたが、その隙も与えずにソワンはキッチンへ戻ってしまった。

  32. 主人公:

    - ソワンを呼び戻して俺がなぜそんな注文をしたのか説明しようかとも思ったが、怒られるのが関の山なので黙って食べることにした。

  33. 主人公:

    - 味は文句の付けようがないほどに美味しかった。

  34. フリッガ:

    ふふ、ご主人様。口元にソースが付いてますよ。

  35. 主人公:

    - フリッガは笑いながらソースを拭いてくれた。

  36. 主人公:

    - 母性溢れる笑顔と行動に俺の抵抗の意志が揺らいだが……何とか耐えることができた。

  37. 主人公:

    - 俺は絶対にバブらない!

  38. フリッガ:

    - レストランでのご主人様の心遣いには私も思わず感動してしまった。

  39. フリッガ:

    - いっぱい食べる私が恥ずかしくならないように、追加でステーキを注文してくれて……さらに一緒に食べてくれた……

  40. フリッガ:

    - そんなさりげない気遣いがまた素敵……

  41. フリッガ:

    - 長年お食事を担当していたソワンさんでなければ、この配慮はきっと気付かなかったはず。

  42. フリッガ:

    - 恥ずかしいけれど……ご主人様に対する想いが深まってしまった。

  43. フリッガ:

    - 今日のデートは私のご主人様への想いを正すためのデートなのに……

  44. フリッガ:

    - 私はますますご主人様を……

  45. フリッガ:

    - 覚悟を決めたでしょう?フリッガ……私は母熊になるの……

  46. フリッガ:

    自分のために……そして……

  47. フリッガ:

    ご主人様のために。

  48. 主人公:

    - 俺達はボート乗り場にやって来た。

  49. 主人公:

    - 男なら乗り物の一つや二つ運転できて当然というセリフを滅亡前の作品で観たからだ。

  50. 主人公:

    - そして、色々考えてみて……今の俺に運転できるものは手漕ぎボートしかないという結論に至った。

  51. 主人公:

    - ボートに乗り込む……結局男らしさとは何なのか?という根源的な疑問が浮かんできたが……

  52. フリッガ:

    ご主人様?

  53. 主人公:

    - フリッガとフリッガが持っている哺乳瓶を見て、まずはバブり回避が最優先だということを思い出した……!

    1. ほら、フリッガ、揺れるから俺の手を掴んで乗りな。
  54. 主人公:

    - フリッガは頷くと、ボートに足を踏み入れた。

  55. 主人公:

    - ボートの端の方に。

    1. うわぁっ!?
  56. フリッガ:

    きゃっ!?

  57. フリッガ:

    ご主人―

  58. 主人公:

    - 重心が傾いたボートはいとも簡単に転覆した。

  59. 主人公:

    - いきなり水に落ちた俺は手足をジタバタさせたが、ネレイドに教わった こういう時の対処法を思い出した。

  60. 主人公:

    - 背中を丸めて膝をくっつけ、全身の力を抜いた。

  61. 主人公:

    - すると体がゆっくりと浮き上がって……

    1. ぷはーっ!!
  62. 主人公:

    - 水面に顔を出した俺は息を吸うと、フリッガを探した。

    1. フリッガ!?
  63. フリッガ:

    はい、ご主人様。

  64. 主人公:

    - フリッガは俺の横に立っていた。

  65. 主人公:

    - しっかりと……立っていた。

  66. 主人公:

    - 俺も気が付くと、底に足がついていた。

  67. 主人公:

    - あれ?

    1. …そういえばそこまで深く掘らなかったんだっけ…?
  68. 主人公:

    - 俺も穴を掘ったのに忘れてた……

  69. 主人公:

    - 一人で慌てていたのが恥ずかしくなったが、男らしさを見せるため、フリッガの手を掴んで岸へ向かった。

    1. 大丈夫だったか?
  70. フリッガ:

    はい……申し訳ございません、ご主人様。

    1. 大丈夫だよ、これくらい!楽しいハプニングだよ。
  71. 主人公:

    - 赤ちゃんプレイと関係ないけど……

  72. 主人公:

    - 俺は絶対にバブらない!

  73. フリッガ:

    - 私のせいでご主人様が水に落ちてしまった。

  74. フリッガ:

    - でもご主人様は水に落ちても、真っ先に私を探してくれた……

  75. フリッガ:

    - しかもご主人様は私を叱らずに、心配までしてくれて……

  76. フリッガ:

    - そして、楽しいハプニングって慰めてくれて……

  77. フリッガ:

    - ご主人様がそう言ってくださった時……

  78. フリッガ:

    - 私は……私のこの想いが、もう引き返すことのできない段階まで来てしまったんだと気が付いた。

  79. フリッガ:

    - 私にとってご主人様は……もう保護の対象、護衛の対象、お世話しなければならない対象では……なくなっていた。

  80. フリッガ:

    私は……ご主人様を……