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主人公
- 俺の男らしさをアピールするという作戦は見事に上手くいかなかった……

Transcription

  1. 主人公:

    - 俺の男らしさをアピールするという作戦は見事に上手くいかなかった……

    1. このままじゃ俺は……ば、ばぶ……
  2. フリッガ:

    はい?

    1. いや……なんでもない。
  3. 主人公:

    - フリッガが俺の顔を覗き込んできた。

  4. 主人公:

    - そして、服を着替えた後も何故かまだ持っている哺乳瓶が目に入った。

  5. 主人公:

    - フリッガからは確実に俺をバブらせるという覚悟を感じた……あぁ……俺はバブってしまうのか……

  6. 主人公:

    - 今までありがとう俺の“威厳”……お前と戦えたこと誇りに思うよ……でも、もうダメみたいだ……

  7. 主人公:

    - …よく考えてみれば、そこまで俺に威厳があるわけではなかったが……せめて情けない泣き声だけは出さないようにしよう……

  8. フリッガ:

    あの……ご主人様?

    1. ばぶ?んあ!あ、うん。どうした?
  9. フリッガ:

    あの……

  10. 主人公:

    - フリッガは少し躊躇った後、両腕を広げた。

  11. フリッガ:

    私を……抱きしめてください。

  12. 主人公:

    - その時が来た。

  13. 主人公:

    - 威厳を失おうとも、仕事はちゃんとする赤ちゃんになろうと思う。これから色んな赤ちゃんプレイを知ることになっても…仕事だけはしっかりと…

  14. 主人公:

    - そう覚悟を固めていると……俺は何かおかしいことに気が付いた。

  15. 主人公:

    - フリッガは「抱っこしてあげますね~」ではなく「抱きしめてください。」と言った。

  16. 主人公:

    - 同じようで全然違う……。

  17. 主人公:

    - そこに一縷の望みを賭けてフリッガを抱きしめた……。

  18. フリッガ:

    ふう。

  19. 主人公:

    - 抱きしめたフリッガの体は驚くほど冷たかった。

  20. 主人公:

    - そして、微かに震えていた。

  21. 主人公:

    - オルカの隊員の中で、体の大きさだけなら五本の指に入るフリッガが今はとてつもなく小さく感じた。

  22. フリッガ:

    ご主人様。

    1. うん。
  23. フリッガ:

    すみません。

    1. 何が?
  24. フリッガ:

    ……

  25. 主人公:

    - フリッガは少し沈黙した後、おそるおそる話し始めた。

  26. フリッガ:

    ご主人様は私にとって、この上なく大切なお方です。

  27. フリッガ:

    保護の対象であり、お世話をし、お仕えしなければならないお方です。

  28. フリッガ:

    それだけで……私は十分でした……

  29. フリッガ:

    なのに……私はご主人様の護衛なのに……

  30. フリッガ:

    いつからか、それだけでは満足できなくなってしまいました。

  31. フリッガ:

    いつもご主人様のことを目で追いかけてしまって、ご主人様のことをいつも考えてしまう……

  32. フリッガ:

    こうなってからは、まともに仕事ができなくなりました……

  33. フリッガ:

    この感情が何なのか……分かっているくせに……無理矢理知らないフリをしていました。

  34. フリッガ:

    そしてそのうち……自分の感情を制御できなくなってしまって。

  35. フリッガ:

    今日のデートでこの想いを正そうと思っていたのに……

  36. フリッガ:

    そのような考え自体がバカだったんです。

  37. フリッガ:

    今回のご主人様とのデートを通して、私のこの想いは説明できないほどに強まって……もう抑えきれなくなってしまいました。

  38. 主人公:

    - フリッガは荒く呼吸をしながら、自分の想いを吐き出した。

  39. フリッガ:

    愛しています……

  40. フリッガ:

    愛してます……

  41. フリッガ:

    愛してしまって……申し訳ございません。

  42. フリッガ:

    ……ご主人様のおそばにいるだけで……よかったのに……

  43. フリッガ:

    ご主人様をお守りして……お世話できるだけでよかったのに……

  44. フリッガ:

    今は……それ以上を望むようになってしまいました。

  45. フリッガ:

    私は……ご主人様を愛しているのと同じくらい……ご主人様に愛されたい……。

  46. フリッガ:

    申し訳ございません……

  47. フリッガ:

    愛してしまって……申し訳ございません。

  48. フリッガ:

    私を……愛してください。

  49. 主人公:

    - 俺の肩がしっとりと濡れた。

  50. 主人公:

    - 常に最前線に立ち、敵の攻撃から俺や仲間たちを守ってくれるフリッガが泣いていた。

  51. 主人公:

    - 俺を愛してしまったことを罪だと感じて。

  52. 主人公:

    - 俺に愛されたくて。

  53. 主人公:

    - 俺のせいで。

  54. 主人公:

    - 俺は今日一日何をしていた……?

  55. 主人公:

    - フリッガの考えを勝手に決めつけて、自分勝手に行動した。

  56. 主人公:

    - フリッガが真剣に悩んでいたのに、俺はバカみたいなことで頭がいっぱいで…フリッガのことを全く考えていなかった。

  57. 主人公:

    - 男らしさというものが何なのか結局分からなかったが、今日俺がフリッガにしてしまったことは決して男らしくなかった。

  58. 主人公:

    - いや、下らないことに夢中になって、大切な人の心を見失っていた。

  59. 主人公:

    - 今俺がすべき行動は一つだろう。

    1. 愛してる、フリッガ。
  60. 主人公:

    - フリッガの想いに、真剣に応えること。

  61. 主人公:

    - 慰めなんかじゃない……本当の俺の想いで。

  62. フリッガ:

    ご主じ―んむっ!?

  63. 主人公:

    - 言葉よりも行動で。

  64. 主人公:

    - 千の言葉よりも、口づけで。

  65. 主人公:

    - 確実に想いが伝わるよう、長く、長く……

  66. 主人公:

    - キスの間にフリッガの震えは収まって、しばらくして口を離した。

  67. 主人公:

    - フリッガと俺はそっと見つめ合う。

  68. 主人公:

    - フリッガの頬にはまだ涙が伝っていたが、もう悲しさの涙ではなかった。

  69. フリッガ:

    あの……ご主人様?

    1. うん。
  70. フリッガ:

    ありがとうございます。私が愛することを許してくださって……

  71. フリッガ:

    そして私を愛してくださって……

  72. フリッガ:

    私の中のご主人様をお守りしたいという想い、お世話したいという想い、愛したいという想い……それぞれが分けられるものではなく、一緒なんだ……って気が付くことができました。

  73. フリッガ:

    あ……それから……私にできる最高の愛情表現がこれだということも……

  74. 主人公:

    - フリッガは何故か言葉を濁す。

  75. 主人公:

    - すると……フリッガは持っていた哺乳瓶を軽く上げて、俺に見せた。

  76. フリッガ:

    ご主人様、私に甘えてくださいませんか?

  77. 主人公:

    - 俺は男らしさが何なのか……まだよく分かっていない。

  78. 主人公:

    - それがいい事なのか、悪い事なのかすら分からない。

  79. 主人公:

    - しかし、男らしさがいい事だとして、それをまだ見せつけたいのなら……

  80. 主人公:

    - 俺を愛し、俺が愛する女性の望みを叶えてあげる“覚悟”が必要だと思う。

  81. 主人公:

    - いや、“覚悟”という表現は、相手の望みを否定的に感じている印象があるので訂正しよう!

  82. 主人公:

    - 楽しむ“準備”が必要だ!

    1. おんぎゃあ!
  83. 主人公:

    - これが……この一言が……俺の男らしさ!!!