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Transcription
- 主人公:
- パスタ屋を後にして、俺たちは散策路を歩いた。
- 主人公:
- 散策路はさっきとは違って静かだった。
- 主人公:
- 噴水広場から離れた場所だからというのもあるが、それよりも……
- オレンジエード:
……
- 主人公:
- さっきまで元気いっぱいだったオレンジエードの口数が
一気に減ってしまったからだ。 - オレンジエード?
- オレンジエード:
はい、司令官様。
- 主人公:
- 返事には力がなかった。
- 大丈夫?
- オレンジエード:
……
- 主人公:
- オレンジエードはしばらく黙ったままだった。
- 主人公:
- 俺がもう一度オレンジエードと呼ぼうとした時、オレンジエードが口を開いた。
- オレンジエード:
今日の……デート、ものすごく一生懸命準備したんです。
- オレンジエード:
司令官様に最高に可愛いって思ってもらうために宝蓮さんとオードリーさんに
手伝ってもらったし、 - オレンジエード:
私が読んだ漫画を徹底的に分析した情報を元に最高のデートコースを組んだ後、
さらに何十回もシミュレーションしました。 - オレンジエード:
司令官様に最高の……いいえ、最高では不十分です。
- オレンジエード:
完璧なデートを楽しんでほしくて……
- オレンジエード:
それなのに……
- オレンジエード:
寝坊はするし、約束の時間には遅れるし……楽しみにしてた映画も最悪で……
- オレンジエード:
リサーチしておいたお店は入れなかったし、アルファ様には叱られるし、
渾身のコーデも汚しちゃうし…… - オレンジエード:
「今日は司令官様史上とびっきり最高の日になるはず」だなんて言ったのが
恥ずかしくなってきます……。 - オレンジエード:
私……最悪だ……。
- 主人公:
- そう言うとオレンジエードはうなだれてしまった。
- 主人公:
- オレンジエードの肩が小刻みに震える。
- 主人公:
- そんなオレンジエードを見ていたら、俺も胸がいっぱいになって……
- オレンジエード。
- 主人公:
- オレンジエードを抱き寄せた。
- オレンジエード:
司令官様。
- 俺はすごく楽しかったよ。
- 主人公:
- 慰めるために言ったんじゃない。これは本当の気持ちだ。
- 映画があれだったから原作を読もうと思えて良かったし。
- 主人公:
- おかげで俺の好きな作品が一つ増えた。
- 予定通りの店には行けなかったけど、代わりに行った店も美味しかった。
- 主人公:
- アウローラのワッフルはもちろん、パスタも美味しかった。
- 主人公:
- 服屋では……新しい世界に足を踏み入れそうになったが……
- オレンジエードが隣にいてくれたから俺は楽しかったんだよ。
- 主人公:
- だから、うまくいかなくても、多少のトラブルがあっても……
- 主人公:
- 全部ひっくるめて今日のオレンジエードとのデートは楽しかった。
- オレンジエードは楽しくなかった?
- オレンジエード:
……
- オレンジエード:
楽しかったです。
- オレンジエード:
楽し過ぎて……いつも以上に喋ってしまいました。
- オレンジエード:
たまに自分で何を言っているのか分からなくなってましたし……
- オレンジエード:
幸せ過ぎて、自分が何喋ったかあんまり思い出せません……あはは。
- オレンジエード:
いつも漫画を読みながら、私もこんな風にロマンチックなデートや恋愛を
してみたいって思っていました。 - オレンジエード:
でも、いざその状況に直面したら……現実は想像と全然違いますね。
- オレンジエード:
現実は……
- オレンジエード:
最高でした!スリルがありました!ドッキドキです!えへへへっ!
- 主人公:
- オレンジエードは顔を上げて俺を見つめた。
- 主人公:
- オレンジエードの目元のメイクは少し落ちてしまっていたが、
彼女の目には嬉しさが満ち溢れていた。 - オレンジエード:
私ったら、大切なことを忘れていました。
- オレンジエード:
デートで大切なことは、どれだけ完璧なデートをするのかではなくて、
どれだけ二人で楽しむかなのに…… - オレンジエード:
まだまだ修行が足りなかったみたいですね。
恋愛漫画をもっとたくさん読まないと……えへへ。 - ふふ。俺も読まないとな。
- オレンジエード:
ホントですか!?じゃあいっぱい貸してあげますから!司令官様!
- 主人公:
- オレンジエードは元気を取り戻して、喋りはじめた……
- 主人公:
- が、すぐに静かになった。
- オレンジエード:
あの…司令官様?
- …ん?
- オレンジエード:
あの……私が考えたデートはこれで終わりです。
- もう?
- オレンジエード:
いや、えと……厳密に言えば、終わって、ないというか……
- ふむ?
- 主人公:
- オレンジエードの声がだんだん小さくなっていく。
- 主人公:
- 俺はよく聞こえるようにオレンジエードに顔を近づけた。
- オレンジエード:
その…分かってるでしょう……?ほら……最後……ですよ……
- ……。
- 主人公:
- オレンジエードは吐息交じりに囁いた。
- オレンジエード:
最後まで……お願いします……司令官、様。