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Transcription
- 主人公:
- デートコースを回る前にスパトイアの緊張をほぐすため、
軽くその辺を歩くことにした。 - 主人公:
- 時間が経つにつれ、スパトイアもだんだん話すようになってくれた。
- スパトイア:
うぅ……スカートとか薄い服着てるから素っ裸みたいだ……
- でも、すごく似合ってるよ。
- スパトイア:
でもさぁ……他の子が着たらもっと可愛いだろー…
- スパトイア:
いつものスーツが着たい……
- 主人公:
- いつも強気で好戦的なスパトイアのこんなか弱い姿は、
心配になるのと同時に新鮮な気分にさせられた。 - 主人公:
- スパトイアの希望通り、楽な格好に着替えるよう勧めることもできたが、
- 主人公:
- 本当に似合っていたしすごく可愛かったので、あえて何も言わなかった。
- それで、今日はどうする?どこに行くか決めてる?
- スパトイア:
……俺は…隊長が行きたい場所ならどこでもいい。
- よし。俺が頑張ってエスコートするよ。
- 主人公:
- 部屋という答えが出てこなくてよかった。
- 主人公:
- 最近できたホログラムゾーンに来た。
- 主人公:
- ホログラムドローンを利用して様々な風景と芸術作品を鑑賞でき、
撮影ドローンで写真も撮れる空間だ。 - どう?
- スパトイア:
絵が上手いね。
- 主人公:
- 滅亡前の名画と呼ばれる作品たちを鑑賞した感想だ……。
- 主人公:
- 俺も名画なのは分かるのだが、本物を見ているわけではないせいか、
これといった感想が出てこない……。 - そか。じゃあ次に移ろう。
- 主人公:
- 今度はホログラムで超絶リアルな大自然を鑑賞した。
- 主人公:
- 視覚以外にもスピーカーと合成香料で五感を刺激するので、
かなり現実味があった。 - いつか実際に行ってみたいな。
- スパトイア:
隊長ならいつか行けるでしょ?
- 主人公:
- たしかに凄かったが、スパトイアの反応も大したことなく、
俺もそこまでは感動しなかった。 - 主人公:
- ふ、ふん。まぁいい。ここまでは想定内だ……。でも、これはどうかな?
- 次はスパトイアも喜ぶはず!
- 主人公:
- 次は宇宙だ。
- 主人公:
- ホログラムは地上から見上げた夜空に始まり、だんだん空に上がっていって
宇宙空間、月、太陽系、銀河、星雲と目の前に広がった。 - 主人公:
- 宇宙好きのスパトイアはきっと喜んでくれるはず。
- 主人公:
- そっとスパトイアの表情を窺うと、
- スパトイア:
……
- つまらない?
- スパトイア:
え?あ、ううん。すげー綺麗だよ。
- 主人公:
- 気に入ってくれると思っていた宇宙も、感想はそれだけだった……
- よし。じゃあ次だ。
- 主人公:
- どうやら最初のスポットは失敗みたいだ。
- 主人公:
- 次は脱出ゲームだ!
- ルールは分かった?
- スパトイア:
まず一緒に問題を解いて、途中で一度別れて一人で問題を解いた後、
また合流して最後の問題を解く。だね? - そういうこと!
- 主人公:
- 協力が重要なゲームのおかげか、普段のようにとはいかなくとも、
スパトイアもさっきよりは積極的になっていた。 - 制限時間は1時間。じゃ、始めよう。
- スパトイア:
うん。
- 主人公:
- 一緒に序盤のステージをクリアし、分かれ道で別々になった。
- 主人公:
- 一人でいくつかの問題を解いて、合流地点に到着すると、
- あれ?スパトイア、早かったな?
- スパトイア:
うん。
- 途中、南京錠のパズルがあったろ?俺は難しくて1回ヒント使ったぞ。
- スパトイア:
あ~、あれ?ちょっと力入れて捻ったら開いたよ?
- …………
- スパトイア:
……俺って乱暴だし、みんなみたいに可愛らしくなんてできないからさ。
- スパトイア:
ごめんね、隊長……こんなんで……
- 主人公:
- 少しはいつもの調子に戻ったかと思ったが、また一瞬でテンションが
落ちてしまった。 - 主人公:
- 結局、制限時間以内に脱出することはできなかった。
- 主人公:
- これもまた最近できたゲームセンターにやって来た。
勝負事が好きなスパトイアなら楽しめるものも多いはず。 - スチールラインアーケードで一回勝負しよう。
- スパトイア:
ごめん……俺、やり方分かんないや。
- 主人公:
- ゲームセンターの中を一周するだけで、何もすることなく終わった。
- 主人公:
- ここも失敗か……
- 主人公:
- 今度はトレーニングルームにやって来た。ここならスパトイアも―
- スパトイア:
隊長……こんな服で運動できないよ……
- はい、それはもうその通りです。
- 主人公:
- さすがに何も考えずに来て失敗してしまった……
- スパトイア:
……
- 主人公:
- 色々試してみたが、スパトイアはずっと暗いままだった。
- 主人公:
- 一体どうすればスパトイアの調子が戻るか悩んでいると、
スパトイアが話しかけてきた。 - スパトイア:
隊長、そろそろデート終わりにしようか?
- もう?
- スパトイア:
うん、俺も十分楽しんだし、隊長も…疲れてるだろうし。
- スパトイア:
今日は一日ありがとう、隊長。楽しかったよ。
- 主人公:
- スパトイアはそう言って手を離そうとした。
- 主人公:
- だが、俺は手を離さなかった。むしろ力強く握った。
- 主人公:
- スパトイアの手は依然として冷たく湿ったままだ。
- スパトイア。俺と一緒にいるのは嫌だったか?
- スパトイア:
……ううん。
- じゃあどうして終わりにしたいって言うんだ?
- 主人公:
- スパトイアはしばし間を置いた後、口を開いた。
- スパトイア:
隊長がデートしてくれるのは当選したから…でしょ?
- スパトイア:
俺……ガサツで女っぽくもないし。
- スパトイア:
オルカには俺よりも可愛くて、女っぽい子がたくさんいるじゃん?
みんなデートしたがってるのに、よりによって俺なんかが当たって…… - スパトイア:
隊長にすごく申し訳なくてさ。みんなにも。
- スパトイア:
あはは……、俺はもう満足したよ。
- 主人公:
- スパトイアは笑っていたが、その笑いはいつもと違って
まったく楽しそうではなかった。 - 主人公:
- そして、その話を聞いてやっと、スパトイアがどうして元気がなかったのか
分かることができた。 - 主人公:
- この子は大きな誤解をしている。
- 確かにスパトイアはガサツで女っぽくないかもな。
- 主人公:
- まずはスパトイアの言うことを認めた。
- 戦闘と体力トレーニング、宇宙のことばっかりだし。
- 主人公:
- でも俺はスパトイアのいい所をたくさん知っている。
- でも何事にも全力で突き進むスパトイアはカッコイイと思う。
- 主人公:
- 今までの俺が知っているスパトイアと、
- それに、今の可愛い姿も。
- 主人公:
- 俺が今日初めて知ったスパトイアも。
- 全部ひっくるめて俺はスパトイアが好きだよ。
- 主人公:
- 俺は心を込めて伝えた。
- 俺はスパトイアとのデート楽しみにしてたぞ?
- 主人公:
- 俺は本当に楽しみにしてた。だからまずそこは誤解してほしくない。
- スパトイアは当選したから嫌々デートしてたのか?
- 主人公:
- 俺の言葉を聞いたスパトイアは唇を震わせ、俯いた。
- スパトイア:
好きな人が……俺のことを好きなのか……確認するのが怖かった。
- スパトイア:
だからいつもみんなと比べて……、自分で自分を卑下して……
隊長はどうせ俺の事なんて好きじゃないって……思うようにしてた。 - スパトイア:
怖かったから…隊長の気持ちを知りたいのに知りたくなくて、逃げてた。
- スパトイア:
でも、俺を…隊長は好きって言ってくれた。
- スパトイア:
……やっと分かったよ。
- スパトイア:
今日の俺の態度……隊長の気持ちを無視してたよね……
- 主人公:
- スパトイアが顔を上げた。
- 主人公:
- そこには俺の知っているいつもの表情があった。
- スパトイア:
ははははは!あ~…こほん。……ごめんね、隊長!
- スパトイア:
これからはビビって目、逸らしたりしないから。
- スパトイア:
隊長が俺のことを好きって言ってくれたんだ。もう何も怖くないよ。
- スパトイア:
俺がスパトイアであることを誇りに思うように!
いや、それ以上に隊長が俺のことを好きでいてくれることを誇りに思うよ! - スパトイア:
俺は逃げない!戦闘も宇宙も愛も!全部正面から戦ってやる!
……あっ。愛は戦っちゃダメか。 - 主人公:
- スパトイアはそう言うと繋いでいた手を引っ張って、俺を引き寄せる。
- スパトイア:
じゃあさ!早速デートの続きしよう!さっきカフェで人目が気になって
注文できなかったデザートがあるんだ!それが食べたい! - スパトイア:
思いっ切り楽しまなきゃね、隊長!
- 主人公:
- 彼女の手はいつの間にか温かくなっていた。