シーンビューアの使い方
- 背景画像・セリフ下のNEXT・選択肢をクリックでセリフ送り
- 過去のセリフの選択肢・BACKをクリックでログジャンプ
Transcription
- A-15サラマンダー:
……
- T-40ハイエナ:
……
- T-75ウェアウルフ:
……
- T-75ウェアウルフ:
……マジで?
- T-4ケシク:
ううう……ごめんなさい……
- T-4ケシク:
ぜんぜんついていけない……みんな速すぎ……
- E-16タロンフェザー:
う~ん、私たちって日頃からこんな調子なんだけれど……
もしかして昔のホードって全然違うの? - T-4ケシク:
はい。ウェアウルフさんの帽子とか二丁拳銃でなんか嫌な予感は
してたんですけど……私が受けた教練と全然違います。 つか、どう考えても無茶苦茶ですよ! - T-4ケシク:
みんなで拠点破棄して一斉に突撃とか!
いくらシミュレーターだからって損耗度外視はないでしょう? 先陣切ってたキャメルさんなんて被弾率300%越えてたじゃないですかぁ…… - クイックキャメル:
あーそれはね、今日は私が隊長役だったから。
- クイックキャメル:
実際はああはならないよ。
- T-75ウェアウルフ:
私らだけの模擬戦だとね~。誰かが「隊長役」やらされて
ワリ食う羽目になるのは仕方ない。 - T-75ウェアウルフ:
どだいカーン隊長の動きを真似するなんて無理な相談だからね。
- T-4ケシク:
カーン隊長って、そんなに強いんですか?いつも一人で突撃を?
- T-40ハイエナ:
つーかさ、それを言うならなんであんたはあんなにトロくて弱いわけ?
- E-16タロンフェザー:
ちょっと、ハイエナ……
- T-40ハイエナ:
ワケわかんないのはこっちの方だよ。
ウチら全員へたばるほどシゴかれるもんかと思ってたのにさ。 - T-40ハイエナ:
後方支援専門って冗談じゃなくマジの話だったの?
- クイックキャメル:
それをケシクに言っても仕方ないでしょ。
勘違いしてたのは私たちの方だったんだから。 - T-4ケシク:
ど、どういうことですか?
- A-15サラマンダー:
あんたがカーン隊長と同じぐらい強いって噂話だけが一人歩きしてたのさ。
- T-4ケシク:
なんでそんなことに……
- T-75ウェアウルフ:
まぁ、私らバイオロイドの逸話なんてのを鵜呑みにするのが
馬鹿げた話だったんだろうね。 - T-75ウェアウルフ:
リリスやアレクサンドラの同型がみんな仲間殺しの外道かっていや、
全然違うわけだし。 - T-40ハイエナ:
……悪かったよ。言い過ぎた。
- T-4ケシク:
連合戦争より後で、
- T-4ケシク:
なんかもの凄い活躍したケシクモデルが出てきた、ってことなんでしょうか……
- E-16タロンフェザー:
……(ねぇどうする?カーン隊長のこと説明する?)
- クイックキャメル:
(いやそれ聞いたらこの子もっと落ち込むんじゃない?)
- A-15サラマンダー:
(当人ら同士もなんか複雑っぽいし、
あたしら外野が口出さない方がいいんじゃないかなぁ) - 主人公:
- カーンと一緒に、先程のホードの模擬戦ログを検証する。
これはちょっと……対策が必要になりそうだ。 - 迅速のカーン:
幻滅したか?
- いや、それはない
- 支援機としては充分な能力だし……
- 主人公:
- 最初にカーンが具申したように戦力外とは思わない。
実際、他の部隊ではアンドバリやシルキーが戦列を支える上で 重要な役目を果たしてくれている。 - 主人公:
- それを今回のようにウェアウルフのような生粋の攻撃機と
横並びで突撃させようとするから無理があるわけで…… - 迅速のカーン:
問題はそこだ。今の私たちの戦術はケシクの従来の運用とまったく噛み合わない。
- 迅速のカーン:
彼女も生来の仕様としてホードに対する帰属意識はあるだろう。
が、オルカのホードは100年前の三安のホードとは全く違う。 私が、変えてしまった。 - 主人公:
- 一騎当千の隊長が突入攪乱し他の隊員がそれを援護するという、
およそ近代以降の軍隊とは思えない戦術でアンガー・オブ・ホードは多大な戦果を上げてきた。 全てはカーンの特殊すぎる能力あってのことだ。 - 主人公:
- 必定、彼女の麾下の隊員たちには他の部隊とは
まったく異なる特性が要求される。 オルカにおいても異質な、癖のある隊員ばかりが揃うのも当たり前だ。 - 主人公:
- そこにあのケシクが馴染めるかといえば、ううむ……
- どう思う?アルマン
- 主人公:
- ログの検証を手伝ってくれていたアルマンに声をかける。
さっきから彼女は沈鬱な面持ちで黙り込んだままだ。 ちょっと嫌な予感がするが…… - アルマン枢機卿:
結論から申し上げれば、問題はありません。
ケシクさんはいずれ環境に適応するでしょう。 - 主人公:
- おや?拍子抜けな回答だ。ならなんでそんな沈んだ顔をしているんだ?
- アルマン枢機卿:
今回の模擬戦における彼女の不手際は、
すべて技能的な不足ではなくメンタルの問題です。 ケシクさんは味方の兵士が被弾することに過剰な恐怖心を懐く気質のようです。 - 主人公:
- それは俺も思った。ちょっと軍属のバイオロイドとしては不向きな性格に思える。
- アルマン枢機卿:
アンガー・オブ・ホードは軍用バイオロイド部隊の黎明期に創設されました。
当初配属されたウェアウルフ型、ブラウニー型と共に、ケシク型も戦場における バイオロイドの運用方針を模索する中で設計されたものと思われます。 - アルマン枢機卿:
その後、バイオロイド部隊の戦術は人間兵士のセオリーから乖離し、
まずは生存率が度外視され衛生兵という兵科そのものが廃れた後、 ノーム型の登場により防御陣形で損耗を防ぐスチールラインの戦術が確立されました。 - アルマン枢機卿:
おそらくケシク型が前線に配備されていた当時、彼女の衛生兵としての
役割には、あのような性格設定が、「何を差し置いても仲間を守る」という 強迫観念として有効な動機付けになると見込まれていたのでしょう。 - 主人公:
- 淡々と語るアルマンの言葉に、やや胸の内がざわつく。
- 主人公:
- 役目に合わせて性格を決める……かつての旧人類はそうやって創造主の如く
数多のバイオロイドを設計してきた。 - 主人公:
- だがそれは産み落とされた彼女たちにとって幸福なことだったんだろうか?
- 主人公:
- ケシクのように、わざと恐怖心を植え付けた上で戦場に立たせるというのは……
- 主人公:
- まるで動物を鞭で打って駆り立てるのと同じに思える。
- アルマン枢機卿:
陛下の危惧なさるような未来には到りません。
彼女は変わります。変わらざるを得ないのです。 - それは、いつもの未来予知?
- アルマン枢機卿:
……いいえ。必然がもたらす帰結です。
- 主人公:
- ずっと気遣わしげに目を伏せているアルマンは……
なぜか隣にいるカーンと視線を合わせないように努めている風に見えた。