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Transcription
- T-4ケシク:
- ずっと怯え続けていた。
- T-4ケシク:
- 仲間達の苦悶の声。止まらない血。青ざめていく肌。虚ろな瞳……
いつだって冷たい想像力が呪いのように私を縛っていた。 - T-4ケシク:
- なら、その恐怖に背を向ける。
恐れて止まぬ可能性は背後に置いて、ただ前だけを見続ける。 - T-4ケシク:
- そのとき心に残るのは、静かな埋み火の如き怒りのみ。
よくも、私の大切な仲間を― 赦さない。お前らだけは絶対に赦さない。 - T-4ケシク:
- だから前にだけ進む。
立ち止まれば竦む。背中からの恐怖に追いつかれる。 - T-4ケシク:
- 思えば自明の理屈だった。
どれだけ数多の敵の銃口も、正面にしか弾は放てない。 - T-4ケシク:
- ならば側面に、背後に回り込め。
近付けば近付くほどに、敵の射角は狭くなる。 - T-4ケシク:
- 無駄弾は厳禁。威嚇は無用。
撃つなら殺せ。一撃で屠れ。 - T-4ケシク:
- 弾の数だけ敵が減り、味方に届く敵弾も減る。
持ち合わす弾薬の一発ごとを、仲間の命と心得ろ。 - T-4ケシク:
- 狙って撃つ、などという甘えは捨てろ。
撃てば当たるだけの距離まで詰めろ。 - T-4ケシク:
- 私はバイオロイド。造られた命。
こんな無様な模造品、神様は見たら怒るかもしれない。 - T-4ケシク:
- でもどうか、本当に御身が慈悲深くあらせられるなら―
どうかこの哀れな紛い物の祈りもお聞き届けください。 - T-4ケシク:
- 私を狼にしてください。
たゆまず駆ける四肢と、折れない牙をお与えください。 群れを守るに足る獣のさがを。それ以外はもう何もいりません。 - T-4ケシク:
- そう、あんな風に―
- T-4ケシク:
- 夢見た通りの理想の姿が私の隣を駆けている。
- T-4ケシク:
美しく、速く、鋭く……しなやかな必殺の孤狼。
- T-4ケシク:
- その幻視への憧憬に胸が高鳴る。
ああなりたい。 あれこそが私の求める全て― - T-4ケシク:
- って……あれ?なんか変だよ?
この幻、本当に敵を仕留めてませんか? - 迅速のカーン:
余所見をするな。前だけを見ろ。
- 迅速のカーン:
駆けろ。詰めろ。次の一撃で獲れる敵を探せ。お前なら分かるはずだケシク。
- T-4ケシク:
- 声はすぐ横から発せられたのか、それとも胸の内から湧き上がったのか。
どちらともつかないぐらい、ごく自然に了解できた。 - T-4ケシク:
- 夢見た理想に導かれるまま、私は敵を刈り取っていく。
- T-4ケシク:
- ああ、ありがとう神様―
- T-4ケシク:
- 祈りを、叶えてくれたんですね。