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Transcription
- レモネードアルファ:
では、早速緊急会議を始めます。
- レモネードアルファ:
早急に結論を出さねばならない事案です。フランスから箱舟まで
戻ってもらうわけにもいきませんので。会議はやむなくオンラインで行います。 - レモネードアルファ:
また、メイ少将とカーン少将は作戦を遂行中のため、
今回の会議に出席していません。 - レモネードアルファ:
ではマリー少将、お願いします。
- 不屈のマリー:
数分前、ブラックリバーの特殊セキュリティチャンネルを介して
救助信号が発信された。 - 不屈のマリー:
コールサインはエクスカリバーワン。発信地はイギリス。
発信者はブラインドプリンセスと推定。 - 不屈のマリー:
内容は「ブラインドプリンセスを中心とするレジスタンスの活動が限界に達した。
間もなく陥落する危機にある」という救助要請だった。細かい部分が途切れ途切れで 分からなかったが、陥落するのは恐らく彼女たちの拠点かと思われる。 - 不屈のマリー:
通常のコールサインとは非常にかけ離れたスタイルであることから、
罠の可能性もあるが…… - 不屈のマリー:
指揮官方の意見も聞く必要があると判断し、会議を招集した。
- 不屈のマリー:
さて、どう思う?
- 鉄血のレオナ:
…罠ではないだろう。罠というには粗雑が過ぎる。
- 鉄血のレオナ:
いくらデルタが腹を立てたとしても、ここまで見え透いた罠は張らないだろう。
- 鉄血のレオナ:
龍、お前はどう思う?
- 無敵の龍:
ふむ、マリー少将の懸念も分からなくはない。
エクスカリバーワンというコールサインは小官も初めて聞いた。 - 無敵の龍:
アーセナル少将はどう思う?
- ロイヤル・アーセナル:
エクスカリバーワンというコールサインは私も初耳だ。
- ロイヤル・アーセナル:
それよりもだ、ブラックリバーの軍隊を率いた元総司令官が
このコールサインを知らないのか? - 無敵の龍:
そうだな。正式なコールサインではないはずだ。
- 無敵の龍:
しかし、ブラックリバーの特殊セキュリティチャンネルからの発信だ。
信号が偽物という可能性はゼロに近い。つまり…… - ロイヤル・アーセナル:
バミューダチームのような極秘プロジェクトのコールサインである可能性が高い……
- 無敵の龍:
そういうことだ。
- 主人公:
- つまり、信号が罠である可能性が低いということだ。
結論は出たな…… - じゃあ、イギリスに上陸してそのレジスタンスの捜索を…
- ラビアタプロトタイプ:
お待ちください、ご主人様。
- ラビアタプロトタイプ:
イギリスにオルカ号が向かうのは危険です。
- 鉄血のレオナ:
私もイギリスへの上陸には反対だ。
- 鉄血のレオナ:
いや、救出は諦めた方がいい。
- どうして?
- ラビアタプロトタイプ:
それについては私からご説明いたします。
- ラビアタプロトタイプ:
イギリスの鉄虫勢力の強さは異常です。
リストカットのイギリスに関するデータを見ましたが、あのデルタですら イギリスへの上陸に失敗しています。 - ラビアタプロトタイプ:
防空網も緻密ですし、海岸の防御兵力も非常に多く、とても対抗できません。
- ラビアタプロトタイプ:
そういう意味では北部の鉄虫は比較的弱いらしいのですが、
放射能の影響で上陸は不可能と書かれていました。 - 放射能…?何でそんなことになってる?
- ロイヤル・アーセナル:
それはおそらく核攻撃のせいだろう。
- は?核攻撃?
- ロイヤル・アーセナル:
うむ。過去に企業と政府が対立した第一次連合戦争当時…
イギリス政府はブラックリバーへの見せしめとして ブラックリバーと手を組んだハイランド社に核攻撃を実行した。 - ロイヤル・アーセナル:
問題はそのハイランド社がスコットランドにあったということだ。
- んん??そこは自国の領土じゃないのか?
- 主人公:
- …全く理解できない……。自国の領土に核攻撃をするなんて。
- ロイヤル・アーセナル:
はは、理解できないといった顔だな!安心しろ司令官。私もだ。
結局、そういう理性のない決定を下すからイギリス政府は負けた。 - ロイヤル・アーセナル:
とにかく…そのせいでイギリス北部にあったAGS生産施設のほとんどが壊滅した。
その後、ブラックリバーがイギリスを占領し、イギリス南部にAGS生産施設を 新たに建設したのだが…… - ロイヤル・アーセナル:
それが片っ端から鉄虫の手に渡ってしまったというわけだ。
- エイダーType-G:
もう一つ問題があります。
- エイダーType-G:
鉄虫の妨害電波です。
- 妨害電波…そんなに深刻なのか?
- エイダーType-G:
はい。鉄虫がイギリス全土に設置した電波妨害施設のせいで長距離通信が
不可能なのはもちろん、無線も厳しい状況です。 - エイダーType-G:
衛星で観測すると霧のようなものがかかって見えます。
過去のデータと対照してなんとか大体の地形は把握できていますが、 敵の兵力配置を把握するのは難しい状況です。 - その状況で兵力を投入するのは危険か。
- エイダーType-G:
はい。状況は異なりますが、デルタがネアズ海峡で敗北した時のように、
我々も視界を遮断された状態です。 - エイダーType-G:
鉄虫の奇襲攻撃を受ける可能性が高いでしょう。
- 鉄血のレオナ:
そういうわけで、イギリスに上陸するのは反対だ。
- 鉄血のレオナ:
戦線を増やすことになる。
- 鉄血のレオナ:
デルタとの全面戦争が控えている状況だ……
いくら生存者のためとはいえ非効率すぎる。 - 主人公:
- レオナの言葉に頷くしかなかった。
- 主人公:
- 前回の戦いでは大勝利を収めたが、オルカの戦力はデルタに比べれば
まだまだ弱い。 - 主人公:
- こんな状況で戦力を分散させることはできない。
- でもなぁ……
- 主人公:
- レジスタンスを救出した場合のメリットも確かに存在する。
- レモネードアルファ:
はい、これまであのイギリスで生き残ってきたレジスタンスです。
オルカ号に合流すれば大きな力になるでしょう。 - レモネードアルファ:
イギリスを制圧するなら特にです。
- レモネードアルファ:
今すぐは難しいでしょうが、今後イギリスを鉄虫から奪還する際、
レジスタンスが有する情報が大いに役立つはずです。 - レモネードアルファ:
地理データ、鉄虫勢力の兵力配置状況など……
他にもたくさんの情報を持っているでしょうから。 - アルマン枢機卿:
しかも信号を送ってきたのがブラインドプリンセスという点も
見逃してはいけません。 - アルマン枢機卿:
ブラインドプリンセスは世界的メガヒット作品「ドラゴンスレイヤー」の
ヒロインです。 - アルマン枢機卿:
今でも彼女の名前を知っているバイオロイドがいるほどです。
- アルマン枢機卿:
そんなブラインドプリンセスが宣伝放送でオルカを支持し、
最後の人間が生きていることを明らかにした場合… - アルマン枢機卿:
レモネード勢力に相当な打撃を与えることができます。
- 主人公:
- 他の指揮官たちもアルファとアルマンの言葉に
ある程度同意しているように見えた。 - 主人公:
- ……となれば、そろそろ俺が最終的な結論を出すタイミングだ。
- じゃあ救出する方法を考えてみよう。
- 主人公:
- 俺たちは今、ヨーロッパに対して宣伝戦を展開し、希望的なメッセージを
伝えている。 - 主人公:
- そんな俺たちが壊滅の危機に瀕しているという者たちの救助要請を
無視するなんて行動を取るわけにはいかない。 - 主人公:
- それは「最後の人間は存在しない」という嘘を宣伝してバイオロイド達を
騙してきたレモネード達と何ら変わらない。 - 主人公:
- もちろん俺にとって一番大切なのはオルカの隊員達だ。
- 主人公:
- 本当に方法がないのなら、そして、その方法があったとしても隊員達の命に
危険が及ぶのならレジスタンスの救出は諦める。でも…… - 主人公:
- やれることはやってみないとな。
- ラビアタプロトタイプ:
…ふふ。ご主人様らしいご決断です。私も何か手はないか考えてみます。
- ラビアタプロトタイプ:
では、レジスタンスを救出する方法を検討するということで決定です。
- 無敵の龍:
わかった。ならばチームを二つに分けた方がいいだろう。
- 無敵の龍:
主とラビアタはイギリスに集中してくれ。東部戦線は我々が担当しよう。
- 無敵の龍:
無敵の龍の名にかけて、悲報など聞かせはしない。