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Transcription
- 主人公:
- 深夜。雲が月を隠したのか、それとも月までもが闇を恐れて隠れたのか……
月明りのない暗黒の夜。 - 主人公:
- そんな夜にオルカ号の通路を歩く人影があった……
- 主人公:
- 何を隠そう……俺だ。
- 主人公:
- 自分の家とも言えるオルカ号で、俺が泥棒のようにコソコソしているのには
理由があった…… - 見つけたぞ。相棒……!
- 主人公:
- 俺の大切な相棒を取り戻すためだ。
- 主人公:
- …セクメトにパネルを没収されていたのだ。
- 主人公:
- また徹夜で仕事してるのが見つかったら、二度と徹夜出来なくなる
かもしれないが…… - 主人公:
- 今回は完璧な言い訳を考えている!
- T-2ブラウニー:
そうっすね~、徹夜で仕事しているのを注意されたのでしたら……
- T-2ブラウニー:
別の理由で徹夜したと言えばいいんすよ。
- 別の理由…?
- T-2ブラウニー:
そうっす!例えば……徹夜でスチオンをやってたってのはどうっすか?
- て、天才か……!?
- T-2ブラウニー:
ふっ、ここだけの話っすが、実はスチールラインの知恵袋って呼ばれてるんすよ。
- T-2ブラウニー:
次々と名案を出す私を見て、ドラコがそう命名してくれたっす。
- T-2ブラウニー:
ですので、また私の助けが必要な時はいつでも言ってくださいっす!
- 主人公:
- ブラウニーの天才的な助言によって理論武装は完璧だ……
- 主人公:
- これで好きなだけ徹夜できるぅ!!
- 主人公:
- 俺は鼻歌混じりに自分の部屋へ戻ってきた。
- 主人公:
- 部屋のドアが閉まると、溜まっていた息を吐き出す。
- 主人公:
- 一瞬、セクメトとアルマンの顔が浮かんだが、忘れよう!
- そう!これは仕方のないことなんだ…!
- ???:
何が仕方がないの?
- イギリスにいるレジスタンスを救出するために救出チームの…
- 主人公:
- 待て……今俺に話しかけたのは……誰だ!?
- 主人公:
- 俺の部屋に……誰かがいる……!
- 主人公:
- 今日の俺の警護担当はペロ。危険人物を中に入れるはずはない。しかし……
- 主人公:
- セレスティアやアルファのようなパネルを没収しようとする超危険人物は
中に入れる! - 主人公:
- 俺は素早くスチオンを起動した!
- 待て!違うんだ!!
- ???:
何が違うの?
- 仕事じゃない!ただスチオンがしたくて!!
- ???:
…はぁ、ここまでひどい言い訳を聞くのは初めてね。
- ???:
ワーカーホリックっていうのは聞いてたけど、ここまで酷いとは思ってなかったわ……
尊敬してあげる。 - 主人公:
- この声は……
- …ブリュンヒルド!?な!なんで!?
- 主人公:
- ブリュンヒルドと俺の部屋で会うとは全く思っていなかったので驚いてしまった。
- ブリュンヒルド:
驚き過ぎじゃない?ねぇ、パネルはあっちにおいて。
何よ、その目は……別に取らないわよ。 - ブリュンヒルド:
話があるの。
- 分かった…
- ブリュンヒルド:
……
- ブリュンヒルド:
私も仲間に入れて。
- 仲間って…何の?
- 主人公:
- スチオンのパーティーじゃないだろうし……
- ブリュンヒルド:
救出チームのメンバーよ。
- ブリュンヒルド:
- それは冗談抜きで予想外の話だった。
だから、率直に答えることしか出来なかった。 - …特別な理由がない限り、それは難しいよ。
- ブリュンヒルド:
ブラインドプリンセスに聞きたいことがあるの。
- ブリュンヒルド:
私の…過去の事を聞きたいの。
- 主人公:
- これは長くなりそうだな……
- ちょっと外を歩きながら話そうか。
- ブリュンヒルド:
そうね。その方がちゃんと話せそう。
- ブリュンヒルド:
エスコートして。
- ブリュンヒルド:
どこから話そうかしら。
- ブリュンヒルド:
…私の本当の名前はブリュンヒルドじゃないの。
- 本当の名前?
- ブリュンヒルド:
スルト。
- 主人公:
- スルトといえば……北欧神話に出てくる炎の巨人の名前だ。
- ブリュンヒルド:
私は伝説とビスマルクが共同で制作した映画「ドラゴンスレイヤー」の二作目に
悪役として登場する予定だった。 - ブリュンヒルド:
私の杖の名前がスルトの剣として知られるレーヴァテインだったり、
私と一緒にいる狼の名前が地獄の番犬と同じ名前だったりするのも全部そのせい。 - なるほど……
- ブリュンヒルド:
ドラゴンスレイヤーが大ヒットを収めた後、ビスマルクはすぐに続編の制作を
決定したらしいわ。 - ブリュンヒルド:
でも、続編に登場させる悪役がいないって問題に直面したの。
- ブリュンヒルド:
もちろんニーズヘッグが敵として存在するけど、ニーズヘッグは最後のボス……
倒した瞬間に物語が終了するから、出すことが出来なかったってわけ。 - ブリュンヒルド:
そこでまともなアイデアがなかったビスマルクは、一作目の大ヒットを記念して
ファンに向けて「ヴィランコンテスト」を開いた。 - ブリュンヒルド:
ここで私を作った研究所の所長が登場するわ。
- ブリュンヒルド:
その人間は変わってた。そしてドラゴンスレイヤーの熱狂的なファンだったわ。
- ブリュンヒルド:
だからあの子…コンテストのことを知った時、大喜びしたでしょうね。
- 所長:
ええ!?こ、ここ…コンテスト!?絶対に参加しなきゃ!
- 所長:
でも困ったな……私には絵を描く才能がない……
- 所長:
…ちょっと待って……必ずしも絵を描く必要はないんじゃない?
- 所長:
もう最初っからバイオロイドを作って応募しちゃってもいいんじゃない!?
- 所長:
そうよ!別にダメって書かれてない!バイオロイドを作って送っちゃお!!
- 所長:
次回作のヴィランはもらったわ!!
- …それは本当に変わってるな……
- ブリュンヒルド:
でしょ?
- ブリュンヒルド:
でも能力だけは本物だった。一人で私を作り上げたんだから。
- 所長:
伝説の枯れ果てた室町の花のアレみたいに……生体電気で炎を……
- 所長:
よし!完成!
- 所長:
最高のストーリーには魅力的な悪役は必須……
- 所長:
スルト、あなたは最高の悪役になれるわ!!
- ブリュンヒルド:
そして、あれよあれよと所長はビスマルクと契約して、私はドラゴンスレイヤーの
ヴィランとして登場することになった。 - ブリュンヒルド:
最後は派手に爆死する予定だったわ……。
私を作るのに使用された技術の流出を防ぐためにね。 - でも、そうはならなかった。
- ブリュンヒルド:
そう。ある日、所長が腹を立てながら私のところにやってきたわ。
- ブリュンヒルド:
そして私にこう言ったの。
- 所長:
あなたは今からブリュンヒルドよ!
私が面白半分で勝手に作ったバイオロイド。分かった? - ブリュンヒルド:
分かったとは言ったけど、ひとつ疑問に思ったわ。
- ブリュンヒルド:
だから聞いたの。「どうして?」って……。そしたらあの子はこう答えたわ。
- 所長:
ブラインドプリンセスがあなたとの撮影を拒否したからよ。
- 所長:
そもそもあなたは技術流出を防ぐために爆破処分される予定だったけど……
- 所長:
私の作品がそんな終わり方するなんて許せなかったから…これで良かったのよ。
- 所長:
だから…あなたはこれからこの研究所で私と一緒に生活するの。いいわね?
- ブリュンヒルド:
おかげで命は助かったけど、私は…その後もずっと疑問を抱えたままだった。
どうして?どうしてブラインドプリンセスは私との撮影を拒否したの? - ブリュンヒルド:
…どうして私を生かしてくれたの……って。
- 主人公:
- 気がつくと、いつのまにか俺達は海辺まで来ていて、砂浜を歩いていた。
- 主人公:
- ブリュンヒルドはふと夜空を見上げた。
- 主人公:
- 月も星もない真っ暗な空をしばらく眺めた後、俺の方を見て問いかけた。
- ブリュンヒルド:
あなたはどうしてだと思う?
- 主人公:
- 色々な推測が頭の中を駆け巡ったが、俺は首を横に振った。
- …分からない。勝手に推測しても仕方がないことだと思うし…
- ブリュンヒルド:
…そうかもね。あなたの言う通りだわ。
- それは本人に直接聞くべきだね。
- ブリュンヒルド:
え…?
- 気を付けてな。それとみんなのことも頼む。
- ブリュンヒルド:
…ありがとう。
- ブリュンヒルド:
私のわがままを聞いてくれるとは思わなかったわ。
- ブリュンヒルド:
真夜中に急に現れて勝手なこと言うから……追い返されるとばかり思ってた。
- こう見えてやり手のカウンセラーなのでね!資格は持ってないけど。
- ブリュンヒルド:
…調子に乗らないで。
- ブリュンヒルド:
ちょっと…寒くない?
- 確かに…。こんなとこまで来るつもりじゃなかったしな。戻ろうか?
- ブリュンヒルド:
ねぇ、あなたの隣にいるのが誰だか忘れたの?
- 主人公:
- ブリュンヒルドはそう言うと、手の平に炎を浮かばせた。
- ブリュンヒルド:
……もっとこっちに来て。風が冷たいでしょ。
- ブリュンヒルド:
火傷の心配ならしなくていいから。
- 主人公:
- まあ……そういうことなら……
- 主人公:
- 月も星もない真っ暗な夜だったが……
- 主人公:
- 俺たちはもう少し外で過ごすことにした。
- コンスタンツァS2:
そんなことが……
- コンスタンツァS2:
そういう理由なら仕方ありませんね。
- うん。だから心配はないと思うよ。
- コンスタンツァS2:
ですが……今は別のことが気になります。
- え?だからブリュンヒルドは大丈夫だって…
- コンスタンツァS2:
いえ、私が気になっているのはご主人様です。
- 主人公:
- しまった……!
- コンスタンツァS2:
また徹夜をしようとしていたのですね!しかも!没収していたパネルまで回収して!
- コンスタンツァS2:
当分の間、パネルは私が管理いたします!
- 主人公:
- コンスタンツァはそう言うと俺のパネルを持っていってしまった。
くそっ!油断した! - 主人公:
- ……相棒…いつか助けてやるからな……!