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主人公
- 溜まっていた仕事を片付けていると、通路の方から騒々しい音が聞こえてきた。

Transcription

  1. 主人公:

    - 溜まっていた仕事を片付けていると、通路の方から騒々しい音が聞こえてきた。

  2. 主人公:

    - あの特徴的な足音は……

  3. 主人公:

    - …マーリンしかいない。

  4. 主人公:

    - マーリンは身体復旧が終わってから、あちこちを忙しなく走り回っている。

  5. 主人公:

    - 数日前。

  6. ドクター:

    結果はどう?

  7. ダフネ:

    バイタルサインは…安定しています。

  8. ドクター:

    よかった。どうやら成功したみたいだね!

  9. ドクター:

    冷凍装置は故障してたけど、運よく肉体が保存液の中に浸かってたおかげで思ったより損傷が少なかったんだよね。

  10. ドクター:

    どれどれ…どんな感じかな…マーリンお姉ちゃん?体にちゃんと適応できてるかどうか確認させてね。瞬きしてみて?

  11. ドクター:

    問題なさそうだね!さすが私!じゃあ、次は指を……

  12. マーリン:

    か…

  13. ドクター:

    え?何?か…?顔?

  14. マーリン:

    かわいいマーリンちゃん!華麗に復活!!

  15. ドクター:

    うわ!びっくりしたぁ……

  16. マーリン:

    うっひひ…、ごめんごめん!びっくりさせちゃった?いや~嬉しくてテンション上がっちゃった。

  17. マーリン:

    じゃあじゃあ、鏡に映った私を見てみようかな~?えー…あー…思ってたほどナイスバディじゃないな。う~ん…まぁこれは…グラマラスというよりキュートって感じかな?

  18. マーリン:

    でも脳みその缶詰めよりは断然こっちの方がいいわ!サンキュー、ドクター!

  19. マーリン:

    では!華麗なる復活をみんなにお知らせしないとね!!

  20. ダフネ:

    ちょ、ちょっと待ってください!100年近く未使用状態だった体です!そんな風にいきなり動いたら……

  21. マーリン:

    わあぁっ!

  22. ドクター:

    …転んじゃうよ。

  23. マーリン:

    うえぇぇぇん…アゴぶつけちゃった……ショックだなぁ……こんなんじゃバク転もできないじゃん…!

  24. ドクター:

    そりゃそうだよ。体を動かす感覚なんか忘れてるでしょ?

  25. ドクター:

    リハビリして体を動かす感覚を思い出せば、また昔みたいに動けるはずだよ。

  26. マーリン:

    ふ~ん、やっぱそーゆーもんか~……

  27. ダフネ:

    そういうことです。リハビリメニューをマイティさんに送っておきましたので、走ったり無理な運動は避けて、まずは少しずつ歩くことから―

  28. マーリン:

    オッケー!じゃあ早速リハビリの運動だね!!

  29. マーリン:

    アーサー!私ちゃん、体を取り戻したよ~!!

  30. ダフネ:

    待ってください!スカート!スカート履いてください!

  31. マーリン:

    だって走りにくいんだも~ん!!窮屈で履いてらんないよ!

  32. ドクター:

    まだダメだよ~!ストップ!!まだ精密検査が残ってるんだから~!

  33. ドクター:

    待ってってばぁー!

  34. 主人公:

    - 結局、その日は夕方になるまでマーリンは大騒ぎしていた。

  35. 主人公:

    - そしてそれ以来、マーリンはリハビリと称して通路を走り回っている。

  36. 主人公:

    - ……ちょうど今みたいに。

  37. マーリン:

    アァ~~~サァ~~~!!

  38. マーリン:

    アーサー!アーサー!アーサァァァー!!

  39. マーリン:

    部屋にいる~?いた!!よかった!!

  40. マーリン:

    大変!大変、大変!!大変なことが起きちゃってるんだよ!!

    1. …どうした、マーリン?
    2. おはよ、マーリン。
    3. 大変ってどれくらい?
  41. マーリン:

    私の天才的な計画がぶっ壊れるレベルの危機なんだよぉ~!!

  42. マーリン:

    このままじゃとんでもなくヤバいことになるかもしんないの!

  43. マーリン:

    おはよ、アーサー!ご飯は食べた?

  44. マーリン:

    朝食抜かしたりしてない?

  45. マーリン:

    朝食は午前に必要なエネルギーを供給してくれるから、ちゃんと食べないとダメだよ?

  46. マーリン:

    あああ…、違う違う、こんなこと言いに来たんじゃなくって……

  47. マーリン:

    マジでとんでもなく大変なことなんだよ!もうストロングホールド級に大変なんだから!

  48. マーリン:

    あ、実際にストロングホールドが絡んでるってことじゃないよ。事の大きさを分かりやすく表してるだけで……

  49. マーリン:

    私の頼みがそれだけ大変だって意味であって……

  50. マーリン:

    あー!もうやめたやめた!説明すればするほどややこしくなっちゃう!単刀直入に言うよ。

  51. マーリン:

    アーサーの助けが必要なの!頼みがあるの!助けて!

  52. 主人公:

    - マーリンがここまで言うということは、かなり深刻な問題……

  53. 主人公:

    - …である可能性はゼロだ。

  54. 主人公:

    - 付き合いはまだ短いが、今日までの経験によれば、マーリンはどうでもいい事ほどオーバーに騒ぐ傾向がある。

    1. …この前みたいに「寝るから電気消して」とかじゃないよな?
  55. マーリン:

    まっさか~!1回使ったネタを擦っても面白くないじゃん。

  56. マーリン:

    それに、そのネタやるんならアーサーを私ちゃんの部屋に呼ぶでしょ?

  57. マーリン:

    頼みってのはね……

  58. マーリン:

    バンカー&ブラウニーのパーティーメンバーが足りないから、アーサーも一緒にやろうって話!

    1. …バンカー&ブラウニー?
  59. マーリン:

    うん。バンカー&ブラウニー。ゲームだよ。

    1. ダウンロードできるゲームリストにはなかったけど?
  60. マーリン:

    だってダウンロードするゲームじゃないからね。バンカー&ブラウニーはテーブルトップRPGだからね。

    1. テーブルトップRPG?
  61. マーリン:

    そう。テーブルに座って話をしながらみんなでストーリーを進めるゲームだよ。ボードのないボードゲームって感じかな?

    1. へぇ、面白そう。話だけで進めるゲームなの?
  62. マーリン:

    話をするだけじゃだめだよ。ひとつ面白い要素があって、失敗する可能性がある行動を取るときはサイコロを振るんだ。

  63. 主人公:

    - サラマンダーが喜びそうだな。

  64. マーリン:

    サイコロの目が良ければ大成功で、目が悪ければそのままアウトって感じでね。それがまた面白いんだよ。

    1. そうなんだ。知らなかった。
  65. マーリン:

    そんでさ、ブラインドプリンセスがこういうの好きなんだよね。

  66. マーリン:

    ああ見えてあの子、かなりゲームが好きでさ。

  67. マーリン:

    でも、あの子はそもそも視覚情報を認識する機能自体がないから……仮想現実に入っても目は見えなかったんだ。

  68. マーリン:

    だから結局、仮想現実のゲームもさせてあげられなくてね。

  69. マーリン:

    でも…テーブルトップRPGは、ペンと紙とサイコロ……そして想像力があればできる。

  70. マーリン:

    そういう理由でブラインドプリンセスも大好きなゲームなんだよね。目が見えなくてもできるからさ。

    1. 確かに。でもなんで急にブラインドプリンセス?
  71. マーリン:

    あっ、うん。実はね……

  72. マーリン:

    あの子、最近気が沈んでるっていうか元気がないじゃん?だから一緒にゲームでもしたら少しはマシになるかなって。

  73. マーリン:

    …あっ!この話はブラインドプリンセスには秘密にしてね?知られたら「マーリン…」って言いながら私ちゃんを抱きしめてきそうだし……せっかく復活したのに肋骨がバキバキに折れちゃう。

    1. ハイハイ、ただの照れ隠しだろ?
  74. マーリン:

    コホン!ま、まぁ、それもあるかもしれないね!とにかく!今はそんなこと重要じゃないから!

  75. マーリン:

    もしバンカー&ブラウニーが嫌なら他のゲームもあるよ!例えばウェアウルフ40,000とか…

    1. 大丈夫。まずはそれをやってみよう。それでメンバーは?
  76. マーリン:

    あ……それがちょっとね。

  77. マーリン:

    実はまだ私ちゃんとアーサーしかいないんだ……えへっ。

  78. 主人公:

    - …なるほど、メンバーを集めてほしいってことか。

  79. マーリン:

    つまり、そゆこと。

  80. マーリン:

    アーサーだったらこういうゲームが好きな子を知ってると思ってね!

  81. マーリン:

    私ちゃんはまだここの子達のことをよく知らないし。

  82. マーリン:

    とりあえず、最低でもあと3人は必要なんだけど……

  83. マーリン:

    1人はブラインドプリンセスだとして、あと2人誰かいるかなぁ?

  84. 主人公:

    - ふむ、あと2人か……誰がいいだろ?

  85. 主人公:

    - う~ん……ゲーム好きといえば……

    1. ボードゲームみたいなゲーム…だったよね?
  86. マーリン:

    うん。まぁ……少し違うところもあるけどね?

  87. マーリン:

    その顔は……何かいいメンバーでも浮かんだ?

  88. 主人公:

    - 一人いる。

  89. 主人公:

    - ボードゲームと聞けば、いつでもどこでも…寝ていても飛び起きるであろう 最強のデュエリストが……!

  90. 天空のエラ:

    なるほど……それで私のところに来たのですね?

  91. マーリン:

    そういうこと。アーサーがあなたをすんごい推してたよ。そんな可愛い顔して結構やり手らしいじゃん……

  92. 天空のエラ:

    ふむ……

  93. 天空のエラ:

    よくいらっしゃいました。

  94. 天空のエラ:

    実はバンカー&ブラウニーは一緒にする人がいなくて出来なかっただけで、いつかやってみたいと思っていました…!

  95. 天空のエラ:

    まさかこんな日が来るだなんて、感動です!

  96. マーリン:

    そりゃよかったよ~。んじゃ、今からルールをまとめたファイルを送るから……

  97. 天空のエラ:

    あ、それは大丈夫です。箱舟のデータベースで何度も読んでいますから。

  98. マーリン:

    え?箱舟ってそんなものまであるの?へ~、どれどれ……

  99. マーリン:

    ホントだ。累積照会件数4,000…照会人数は1人。

  100. マーリン:

    え、1人だけ?それって……

  101. マーリン:

    …4,000回も読んだの?

  102. 天空のエラ:

    えへへ…。…いつかはやりたいと思っていたので…つい……

  103. 天空のエラ:

    だからルールならバッチリです!!

  104. マーリン:

    おお……こいつは……アーサーの言う通りガチだ……

  105. 天空のエラ:

    そうだ、私がゲームの進行役…つまり、バンカーマスターをやってもいいですか?

  106. マーリン:

    色々準備したりしなくちゃいけないから面倒だよ?

  107. 天空のエラ:

    やらせてください。前から一度やってみたかったんです。

  108. マーリン:

    か…かっわいい~!何この可愛い生き物!!もう…エラちゃん!気に入っちゃった!!

  109. マーリン:

    こんな良い子ちゃんにはマジカルモモステッカー…じゃなくて、マーリンちゃん特製、マーリンステッカーをあげちゃいま~す!!

  110. 天空のエラ:

    わぁ、ありがとうございます。

  111. マーリン:

    ちなみに150枚集めると豪華景品と交換できるよ!

  112. 天空のエラ:

    豪華景品ですか?

  113. マーリン:

    そうだよ。何か気になる?いや、気にならなくても教えちゃう!

  114. マーリン:

    ストロングホールドのフィギュア!しかも20インチもあるビッグサイズ!

  115. マーリン:

    細かいパーツも完璧に再現されててフル可動だよ!

  116. 天空のエラ:

    あっ、それちょっと欲しいかもです!

  117. マーリン:

    でしょでしょ?見る目あるじゃな~い!いいよね~ストロングホールド!

  118. マーリン:

    何はともあれ、楽しみにしてるね!

  119. 天空のエラ:

    ……

  120. 天空のエラ:

    ふふ…

  121. 天空のエラ:

    楽しみだなぁ。バンカー&ブラウニーができるだなんて……

  122. 天空のエラ:

    私がバンカーマスターになったからにはそう簡単にはクリアさせませんよ……

  123. 天空のエラ:

    本気出しちゃいますから……ふふ…ふふふふふ……!