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Transcription
- 主人公: 
- アトラスが俺に提示してきた脱出方法……
それはアルキュオネの命を犠牲にする方法だった。  - 主人公: 
- 残された時間はわずか数時間……俺は選択しなければならなかった。
アルキュオネの命か、みんなの安全か……  - デカルトボイジャー・サッカ: 
まさに典型的な…
 - デカルトボイジャー・サッカ: 
トロッコ問題だな。
- トロッコ問題…
 
 - 主人公: 
- サッカのその言葉に、以前ハルピュイアが聞かせてくれた話を思い出した。
 - 主人公: 
- ある日、俺はフレースヴェルグに半ば強引に借りさせられた漫画……
「魔法少女マジカルモモZ」を返すためにスカイナイツの宿所に来ていた。  - 主人公: 
- 普段ならノックをした瞬間にスレイプニールがすっ飛んでくるのだが、
その日は静かだった。 これは多分…ブラックハウンドに叱られているか……  - P-22ハルピュイア: 
あら、司令官!どうしたの?
 - 主人公: 
- ハルピュイアが本を読んでいたということだ。
彼女が本を読んでいる時はみんな邪魔にならないように 外に遊びに行ったり、他の仕事をしにいったりするのだ。 - フレースヴェルグにこれを返そうと思って。
 
 - P-22ハルピュイア: 
私が返しておこうか?あ、マジカルモモZね!これ面白いわよね。
- 読んだことあるの?
 
 - P-22ハルピュイア: 
もちろん。偏食はダメなのと同じで読書もジャンルを問わず色々なものを
読まないとね!  - P-22ハルピュイア: 
私は白兎が倒されて怒ったモモが、超魔法少女の境地に至るシーンが最高に好き!
- え!?俺そこまで読んでない!
 
 - P-22ハルピュイア: 
あ、そうだったの!?ごめんなさい!ネタバレしちゃった…
- 冗談だよ。最後までちゃんと読んでるから落ち着いて。
 
 - P-22ハルピュイア: 
もー!司令官!
- ごめんごめん。ところで今日は何を読んでたの?
 
 - P-22ハルピュイア: 
あ、昔の哲学書よ。色々考えさせられたわ…
 - P-22ハルピュイア: 
有名どころだと、このトロッコ問題ね。
- トロッコ問題?何それ?
 
 - P-22ハルピュイア: 
知らない?トロッコ問題っていうのは文字通りトロッコを使った思考実験よ。
- 面白そう。教えて?
 
 - P-22ハルピュイア: 
いいわよ!えっとね……
 - P-22ハルピュイア: 
ブレーキが故障したトロッコが線路を走っているんだけど、
その進む先には線路に横たわってる人がいるの、しかも5人。  - P-22ハルピュイア: 
司令官はたまたま進路を変えることができるスイッチを持っているわ。
そのスイッチを押すと、トロッコは別のルートに進むことになる。  - P-22ハルピュイア: 
でも、ここで困ったことにその別のルートにも誰かが1人横たわってるの。
 - P-22ハルピュイア: 
つまり、ルートを変えないと5人が死ぬことになるけど、
変えると1人が死ぬっていう状況ね。 - なんでみんな線路に横たわってるの……?
 
 - P-22ハルピュイア: 
あはは……これはあくまでもそういう状況を仮定してるだけだから…
 - P-22ハルピュイア: 
それで、司令官はこの場合どういう選択をする?
 - 主人公: 
- 俺の手にはスイッチが握られている……
 - 主人公: 
- 片方のルートには俺と隊員たちの命、もう片方にはまだ会ったこともない
バイオロイド、アルキュオネの命が……  - 主人公: 
- 俺の選択は明白だ。
 - 主人公: 
- メリテとアンフィトリテ、ガラテアもヘルもサラシアも……
俺の選択をきっと理解してくれる。  - 主人公: 
- 理性的に判断すればアルキュオネを犠牲にするのは間違ったことじゃない。
 - ATLAS: 
選択されましたか?
 - 主人公: 
- アトラスの声がやけに無機質に感じた。
- …ああ。
 
 - ATLAS: 
では、アルキュオネの生命活動を停止してよろしいですね?
 - 主人公: 
- 俺は深く息を吸う。
 - 主人公: 
- あの時、俺はハルピュイアにこう答えた。
- 俺は…
 
 - 主人公: 
- トロッコ問題は実は明確な正解がない。
 - 主人公: 
- いや、正解がたくさんあると言った方がいいかもしれない。
 - 主人公: 
- 誰かはより多くを生かすために進路を変えるだろうし、
別の誰かは進路を変えることが「自分の手で人を殺すこと」だと考えて、 スイッチに触れないだろう……  - 主人公: 
- 何を選択しても合理的な理由があり、どの選択も正解になりうる。しかし……
 - 主人公: 
- 俺の答えは多分間違いなんだろう…
- 誰も犠牲にはしない。
 
 - 主人公: 
- 同時に俺が出すことができる最高の答えだ。
- アルキュオネの夢の中に入って目覚めさせる。
 
 - デカルトボイジャー・サッカ: 
はぁ…まったく卑怯な方法で問題を回避するのだな。
 - 主人公: 
- サッカは呆れた口調でそう言ったが、俺にはなぜか笑っているような
感じがした。  - メリテ: 
だが、提督……!その選択は危険だと聞いたであろう!?
 - 主人公: 
- そう、メリテの言う通りこれは危険な選択だ。
 - 主人公: 
- 人間の脳で夢の中の夢を見てしまえば……
 - 主人公: 
- 脳が混乱し、現実と夢の境界が失われる……
- でも、AGSならどうだ?
 
 - アンフィトリテ: 
AGS……!
 - アンフィトリテ: 
ということは…つまり…!?
- 誰かさんがさっき俺のベテルギウスを名乗った。
 
 - 主人公: 
- サッカが俺と一緒にアルキュオネの夢の中に入って、
俺が現実を見失わないよう常に導いてくれれば…  - 主人公: 
- 夢の中の夢でもきっと大丈夫なはず。
 - アンフィトリテ: 
なるほど、その方法なら…きっと!
 - デカルトボイジャー・サッカ: 
確かに…拙者ならばマルチタスクも問題ない。
夢の中の夢でもおぬしを導くことができるだろう。  - デカルトボイジャー・サッカ: 
ふむ、拙者は素晴らしい選択だと思うが…一つ問題がある。
ATLASの行動原理の根幹がロボット工学三原則だということだ。  - デカルトボイジャー・サッカ: 
「ロボットは人間に危害を加えてはならない。
そして、人間に危険が迫っている状況を放置してはならない」  - デカルトボイジャー・サッカ: 
三原則の中で最も優先される原則だ。
 - アンフィトリテ: 
つまり、アトラスに妨害される…ということですね?
 - デカルトボイジャー・サッカ: 
そういうことだ。アトラスは彼の命令に関係なく
アルキュオネを殺そうとするだろう。  - デカルトボイジャー・サッカ: 
だから、拙者は拙者の意識を二つに分離し…半分はアトラスの妨害を阻み、
もう半分でおぬしを導くことにしよう。  - デカルトボイジャー・サッカ: 
だが、アトラスはかなり高性能なA.I.だ。もちろん比喩と風刺を自力で
悟ることができた拙者ほどではないが……アトラスの相手をしつつ おぬしを導くためには、拙者のすべてをかけて演算しなければならない。  - デカルトボイジャー・サッカ: 
当分の間、拙者はまともに動くことができなくなる。
その状態でアトラスの防御プログラムに攻撃されでもしたら…  - デカルトボイジャー・サッカ: 
拙者のデータは破壊され、アルキュオネも彼も助けることができなくなる。
 - アンフィトリテ: 
その点は心配しないでください。私とメリテが必ずお守りします。
 - アンフィトリテ: 
ですよね、メリテ!
 - メリテ: 
……
 - メリテ: 
私には…わからない……
 - アンフィトリテ: 
…メリテ?
 - メリテ: 
…私もわかっている、アンフィトリテ。提督が下した決断は正しい。
 - メリテ: 
しかし…正しい選択だけをしていて…いいのだろうか?
- どういう意味だ?
 
 - メリテ: 
命を懸けてでもアルキュオネを救おうとする提督の行動は確かに高潔だ。
アルキュオネを救うことができれば強力な戦力になるのも事実。  - メリテ: 
しかし…提督とアルキュオネは違う……。提督は最後の人間ではないか。
 - メリテ: 
その選択が正しい選択、善なる選択であるということは分かる。
だが、それが本当にこの場合の正解なのか? - まぁ…俺もわからないよ。
 
 - 主人公: 
- でも、メリテは言っていた……
 - 主人公: 
- チョコランド王国は不幸な者がいない、皆が幸せな国だと。
 - 主人公: 
- そんなチョコランド王国の提督が、楽で簡単な道だからといって
誰かを犠牲にする選択なんてしていいのだろうか? - 俺はメリテの言う通り、最後の人間だよ。
 
 - 主人公: 
- これから俺が進む道は決して甘くはない。
きっと今の状況を超える大きな試練がいくつも待ち受けているはずだ。  - 主人公: 
- だから…この程度の試練で合理的な道を選んでしまえば、
俺はこの先正しい選択をすることができなくなる……そんな気がした。 - だからこそ、あんまり心配するな。
 
 - メリテ: 
……
 - メリテ: 
はは……ははははは!
 - メリテ: 
チョコランドの提督がここまで言うのだ。
女王の私が足を引っ張るわけにはいかないな!  - メリテ: 
では……行くがいい!だが、気をつけてくれ。
 - メリテ: 
…デルタのこれまでの所業を思えば……アルキュオネに何があったのか
わかる気がするから。  - メリテ: 
提督もある程度は覚悟しているとは思うが……
- …うん。
 
 - メリテ: 
あのガーディアンシリーズのバイオロイドさえ折れてしまう出来事だ。
 - メリテ: 
心を強く持て、決して折れるな。
 - メリテ: 
提督はオルカの司令官で…最後の人間で…
 - メリテ: 
誰よりも大切な人なのだから。
- もちろん。
 
 - メリテ: 
ならばよし!ここは私たちに任せて行け!
あの寝坊助をしっかりと起こして帰ってくるのだ!  - アンフィトリテ: 
司令官様、夢に入る前に……
- うん。どうした?
 
 - アンフィトリテ: 
一つ頼みたいことがあるのです。
 - アンフィトリテ: 
もし、アルキュオネが夢の中でうじうじしていたら…
 - アンフィトリテ: 
私の代わりに尻尾を引っ叩いてください!きっと「デリケート」だと言って
怒るはずですが、気にせずやっちゃってください。 - ははっ、わかったよ。
 
 - デカルトボイジャー・サッカ: 
では、そろそろいいか?皆、心してかかろう!
 - ATLAS: 
警告、警告。許可なく管理者権限をオーバーライドしようとする試みが
検出されました。  - ATLAS: 
オーバーライドを試みている対象、三安所属「デカルトボイジャー・サッカ」
と確認。  - ATLAS: 
…非合理的な選択です、人間。精神に永久的なダメージを残す恐れが
あるというのに。 - ごめんな。そんなことより怖いものがあるんだよ。
 
 - 主人公: 
- 情けない選択をした俺、心に傷を負った俺……そんな格好悪い姿は
みんなに見せられない。 それに早くマリーに連絡しないと、スチールラインがマルタ島にやって来る! - せっかく休んでるブラウニーがかわいそうだからな!
 
 - ATLAS: 
……
 - ATLAS: 
混乱。ATLASは理解できません。
 - ATLAS: 
人間の精神が汚染された可能性があります。
人間の精神を保護するために防御プログラムを起動します。 除去対象は「デカルトボイジャー・サッカ」…データ抹消を開始します。  - ATLAS: 
人間を守るために。