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Transcription
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- 2052年、三安はある意味で世界の中心いた。
- デモ団体:
違法生体実験を許すなぁー!!! 人工人類を許すなぁー!!!
- デモ団体:
人間の真似事をする汚れた人形は要らない!! 要らない!! 要らない!!
- デモ団体:
三安は人類に釈明せよ!!この冒涜を許すなぁー!!
政府は冒涜を規制する法律を制定しろ!! 制定しろ!!! 制定しろ!!! - :
- ジソクとジョーンズ夫妻を乗せた無人自動車がデモで集まった市民たちの間を
かき分けて行く。 - アダム:
…そんな顔するなよ。
- アダム:
すぐに世論も俺たちの方に傾くはず……
- アダム:
見慣れないものを忌避するのは、生物が持つ本能じゃないか。
- エヴァ:
そうですよ、これくらい耐えられます。気にしたらダメですよ。
- :
- アダムは執刀した本人として大衆からのヘイトが集中し、
エヴァとの番組出演や取材など、マスコミ対応はジソクの役目となっていた。 - ジソク:
エヴァさんが手術前に病魔で苦しんでいた記録を公開できるように
整理しておかないと……ドキュメンタリーにすればイメージも良くなるはずだ… - ジソク:
“バイオロイド・エヴァ”の存在は世界的な話題になって、
せいぜい賛否両論に分かれるくらいだと思っていたのに…… - ジソク:
赤字は赤字のまま、何を言っても炎上して叩かれる始末……
- エヴァ:
…そうですね……
- ジソク:
アダム、エヴァに使えそうなアップグレードを考えてくれ。
どうせなら人々の興味を引く感じの。 - ジソク:
新規モデルの発売はいつ頃を考えている?
- ジソク:
何でもいいから失墜した企業イメージを早く立て直さないと、本当に潰れる……
- ジソク:
なぁ、アダム。聞いてるのか?
- アダム:
…ああ、聞いてる。
- ジソク:
なぜ返事をしない、イライラさせるな。
- アダム:
人権機構が要求してきている問題はどうしていくつもりなんだ…?
- アダム:
バイオロイド国際協約の代表側企業として先頭に立ってくれるんだよな?
- アダム:
なぁ、ジソク、エヴァは高性能コンピューターじゃなくて、
自由意志を持った生きている人なんだよ!! - アダム:
いつから人権の有る無しが肉体の生まれ方で変わるようになったんだ!
- ジソク:
わかった、わかったから…落ち着け。
- ジソク:
仕方ないだろ。人は自然に発生したからこそ平等だという意識が根幹にあるから、
人権という言葉が機能していたんだ。 - ジソク:
はぁ…。その問題は人工臓器移植としても見れる点を突いていくしかない。
- ジソク:
お前は次期モデルの開発だけに集中しろ。
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- エヴァはどうにも意味深な発言と要求を続けるジソクを憎らしげに睨み、
隣に座るアダムの背中を優しく撫でた。 - エヴァ:
このあとのスケジュールはどうなっています?
- エヴァ:
今日は流石に疲れたので、これで休みたいのですが。
- ジソク:
休みたい……?
- ジソク:
バイオロイドは疲れたりしないだろ?
- ジソク:
アンタに一体いくら使ったか分かってるだろ!約束通り、積極的に協力しろよっ!!
- エヴァ:
笑わせてくれるわ。
天下のキム・ジソク代表が「約束」なんて言葉を使うんですね…… - エヴァ:
あなたとずっと一緒に行動していたら、疲れもしますよ!
みんないつか狂ってしまうわ! - エヴァ:
人前で私を三安の商品として紹介して……
約束?あなたをどうやって信頼しろっていうの!? - アダム:
商品……?何言ってるんだよ……
- アダム:
そんなはずないよ、だってジソクは……
- ジソク:
信頼……?何をぬるいことを言ってるんだお前たちは……
- ジソク:
大赤字を垂れ流し、大炎上しているこの状況を大株主や顧客に何て
説明する気なんだ!?お前らには金の概念がないのか!? - エヴァ:
だから私を商品として売り込むんですか!!
- ジソク:
ああそうだ!アンタは三安の技術力を宣伝する商品!
世界で最も人間を模倣できるアンドロイド!!それ以上でも以下でもないっ!! - アダム:
ジソクッ!!!!!!
- :
- 無人自動車のA.I.が車内の尋常ではない声を感知し、
走行に支障があることを示す警告灯を点灯させて路肩に停車した。 - ジソク:
見ていて哀れになるよ。
アンタら……頭が悪すぎる。 - ジソク:
…兄弟として、そして友人として助言をしてやる。
- ジソク:
これを普及させることができてはじめて、レイチェルが普通に
生きていけるようになるんだよ! - ジソク:
理解しておけ!低能ども!!!
- ジソク:
僕たちがここまで来た理由をもう忘れたのか?
- アダム:
…はぁ……
- アダム:
なあ……ジソク……キム・ジソク……
- アダム:
お前こそしっかりしてくれ……
- アダム:
俺の……俺の妹は死んだだろ……
- アダム:
死ん……死んだんだって……もうとっくにこの世にはいないんだって……!
- アダム:
現実を受け入れて、目を覚ましてくれ……ジソク。
- ジソク:
…は?……何言ってる?お前……
- アダム:
何年も空の病室を借りてるのももう嫌なんだよ……
- アダム:
お前はもう狂ってるんだ。お前なんかを頼った俺が許せなくて、
嫌で嫌でたまらないよ…… - ジソク:
やめろ!!!
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- ジソクは慌てて車から降り、病院に向かって走り出す。
- 影:
お前が殺したんだ。
- ジソク:
(……違う!!)
- 影:
いくら足掻いても、結局はお前が自分の手ですべてを壊し、台無しにしてしまう。
- ジソク:
(やめろ……!やめろ、聞きたくない!)
- 影:
お前は呪われた子……
- 影:
父はお前を捨て、母はお前を殺そうとした。
- ジソク:
黙れ!黙れ!
- 影:
そうやってずっと否定すればいい。
- 影:
お前が愛する者は、みんなお前を否定してお前から離れたいと願いだす……
- 影:
お前は、自分の存在を証明しようとすればするほど孤独になっていく。
最初から生まれてこなければよかったのに…… - 影:
いっそあの時……母に殺されていたら……
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- ジソクは歯を食いしばり、歯ぎしりの音が頭に響く。
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- 握り締めた拳は爪が食い込み、涙の代わりに鮮血が滴り落ちていた。
- ジソク:
お前に何がわかる!!消えろ!僕の中から消え失せろ!!!