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Transcription
- 秘書:
会長、遅くに大変申し訳ありません。
- 秘書:
至急報告したいことが。
- ジソク:
何だ。
- 秘書:
それが…
- 秘書:
“プロジェクト・ケイン”が中止されました。
- ジソク:
…何?
- 秘書:
あっ…その……
- ジソク:
……さっさと話せ。
- 秘書:
…アダム会長が直々にプロジェクトの中止を指示されまして……
- ジソク:
……
- ジソク:
私が直接話そう。
- ジソク:
アダムは今どこにいる?
- 秘書:
アダム会長は……
- 秘書:
当分の間、奥様と直属の秘書以外とは話したくないと……
- 秘書:
研究室には誰も入れるなという命令もありまして……
- ジソク:
ちっ……!
- ジソク:
嫌なことがあればすぐ自室に引き籠る……
- ジソク:
まるで子供だな!
- ジソク:
ここは会社だぞ!私情で物事を判断して敵味方を分ける……!
ガキの遊び場じゃないんだ!! - ジソク:
三安のCTOであるアダムにCEOとして正当な権利を行使する……!
- ジソク:
アダムが今どこにいるのか言え!!今すぐに!!!
- :
- アダムの研究室
- アミーナ:
…!
- アミーナ:
ジソク会長!ここをどうやって……!
- ジソク:
何だその顔は?
- ジソク:
私が来てはいけないのか?
- アミーナ:
アダム会長から誰も通すなと言われています。
- ジソク:
ちっ……!
- ジソク:
どいつもこいつも私を舐めて……!
- ジソク:
どけ。
- アミーナ:
え……
- ジソク:
聞こえないのか。
- ジソク:
私が穏やかでいるうちに…
- ジソク:
どけ。
- :
- ジソクはアミーナを押し退けてアダムの研究室に強引に入った。
- ジソク:
アダム!
- :
- ジソクは何の反応もしないアダムの肩を掴んで
無理矢理に振り向かせた。 - アダム:
…ジソク……どうした?
- :
- アダムはしばらく寝ていないのか、その様子はまるで廃人だった。
- :
- やつれた顔でジソクを見上げ、目の焦点も合っていない。
- アダム:
ここには一体どうやって入って来た…?
- アダム:
誰も入れないでくれと……
- ジソク:
そんな事どうでもいい!!
- ジソク:
一体何の権利があってプロジェクトを中止した!
- ジソク:
“ケイン”はもう顧客に発表しているんだぞ!!
- ジソク:
これがどれだけ三安に泥を塗るのか!わかってるのか!!
- ジソク:
下手をすれば投資も全て打ち切られる!
- ジソク:
そうでなくともエヴァを発表してから何も発表してないせいで、
他所から技術を盗んだとか言われているんだぞ!! - アダム:
……
- アダム:
それがどうした…?
- ジソク:
…何?
- アダム:
……
- アダム:
お前の望み通り研究に集中してやってるんだ。わからないのか…
- ジソク:
く、くくく……!ハハハハ……!
- ジソク:
おい…
- ジソク:
何か勘違いしてるようだが…
- ジソク:
お前が今やってるその研究は私が強制したものじゃない。
- ジソク:
お前がお前の妻を救うために……
- ジソク:
お前が勝手にやっていることだ……
- アダム:
……
- ジソク:
お前、疲れてるんだろ?
- ジソク:
まったく理解できていないようだから、わかりやすく言ってやる。
- アダム:
……
- ジソク:
お前は無力なんだ。
- ジソク:
三安にいなければ何もできない無力なクズだ。
- :
- アダムはその言葉にも反応が薄かった。
- ジソク:
毎日を無駄に過ごしてないで任されたことをしていろ。
- アダム:
……
- ジソク:
再開しろ。
- アダム:
……
- アダム:
……何を。
- ジソク:
“ケイン”だよ。お前が勝手に中止したプロジェクトを。
- アダム:
……
- アダム:
それは…
- アダム:
それは…できない……
- ジソク:
は?
- アダム:
…できない。
- ジソク:
お前……!!
- アダム:
…ケインのDNA鎖には俺とエヴァのDNAが必要だ。
- アダム:
…大量生産なんてさせるわけがない。
- アダム:
……あれは……俺の子供みたいなものだ。
- アダム:
商品扱いされるのは、え、エヴァ…エヴァ一人で十分だ。
- ジソク:
アダム!!!
- ジソク:
ここはお前の家族ごっこのためにあるわけじゃないんだぞ!
- アダム:
お、俺も、俺もそんなことはわかっている!
た、頼むから、頼むから黙ってくれ!! - :
- 極度のストレスのせいか、アダムは冷や汗を流しながら肩で息をしている。
- ジソク:
……
- ジソク:
だから、クローンにしろって言っただろ?
- ジソク:
本来なら神経系が活動してる脳さえあれば何でもいいはずだ。
- ジソク:
そこまで二人のDNAに執着する理由は何なんだ?
- ジソク:
…………くくく…!ああ!
- ジソク:
アダム、安心しろ。いい条件の卵子ならいくらでも手に入る!
- ジソク:
だいたい、バイオロイドに生殖機能を付与することに反対したのは
お前だろう? - ジソク:
妻を失わないと分かったら、今度はあの女との間に子供が出来ないことを
後悔し始めたのか?都合が良すぎだろう? - アダム:
ぐ…う……!やめろ!!!
- アダム:
か、か…簡単にゼロから作れるものなんかじゃ……ないんだ。
- アダム:
高等生物の脳は……
- アダム:
じ、人工たんぱく質の塊で……作るとか…そういう領域の話じゃない…
- ジソク:
…へぇ、そうなのか?
- ジソク:
だから、ケインは自分の息子だから販売したくない…?
- ジソク:
そんな下らない話を私に理解してくれ……と言っているのか?
- アダム:
お前は悪魔か……!?本当に人間なのか……!?
- ジソク:
私は悪魔の子だよ。
- ジソク:
それで?
- ジソク:
それがそうだとして今の話に何の関係があるんだ?
- アダム:
………
- ジソク:
“プロジェクト・ケイン”の遺伝子地図とモジュール設計図を寄こせ。
- アダム:
……え?
- アダム:
これには俺の―
- ジソク:
お前のDNAを使うことはない。寄こせ。
- アダム:
……
- ジソク:
アダム、お前はただ自分が得意なことをやっていればいい。
- ジソク:
ただ黙っていろ。
- ジソク:
これで富と名誉を手に入れるのか……
- ジソク:
人類を新たな地平へと導くのかは…私が決める。
- アダム:
……
- :
- その後、アダムの研究室には三安の社員たちが押しかけ、
“プロジェクト・ケイン”の全てを押収した。 - アダム:
ひとつ…
- ジソク:
…?
- アダム:
一つだけ聞かせてくれ。
- アダム:
これでエヴァの安全は保障されるんだよな…?
- ジソク:
…もちろん。そのために研究してきたんだろう?
- ジソク:
きっとお前は報われるさ。
- ジソク:
だが今後、今回のような勝手をされて 三安に損害が出でもしたら……
- ジソク:
どうなるか私にもわからないな。
- アダム:
……
- アダム:
頼む……エヴァだけは頼む……
- ジソク:
それはお前次第、お前にかかってるんだよ。
- ジソク:
次世代バイオロイドは完璧なものにしろ。
- ジソク:
三安産業が世界最高の技術力を持っているということを誇示できるように…
- アダム:
……
- アダム:
……開発に使える金をもっと増やせ。
- アダム:
お前の望み通りにしてやる…外見も、性能も…完璧にしてやる。
時代を超えて最高、究極と言われ続けるような傑作を作ってやる。 - ジソク:
そう!そうだよ!!そうこなくっちゃな!!
- ジソク:
やっと話が通じたじゃないか!次回作を楽しみにしてるよ、アダム。
- ジソク:
もうお前に勝手は許されない。私がすべてを管理する…覚えておけ。
- ジソク:
これ以上私を失望させるな。いいな?
- :
- そう言ってジソクが研究室を出ると、通路には大量の社員たちが
待機していた。 - ジソク:
このプロジェクトのコピーは私の研究室に転送しておけ。
- 秘書:
かしこまりました。
- ジソク:
ああ、そして……
- ジソク:
オリジナルは命令通りに処理しろ。
コピーがアラスカに到着するまでは監視を緩めるな。 - 秘書:
はい。