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Transcription
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- 三安産業のラビアタプロトタイプの発表は世界に衝撃を与え、
その後すぐに労働現場の人手はバイオロイドに置き換えられ始めた。 - :
- “大バイオロイド時代”の幕開けである。
- :
- しかし、人的被害を予防し、労働強度を高め、より良質なサービスを
提供するという当初の目的とは異なり、人間は次々と職を失い… - :
- 失業率95%という驚異的な数字を叩き出して、人口のほとんどが生きるために
政府の力に依存せざるを得なくなってしまった。 - :
- その結果、我慢の限界を迎えた人々は労働権の保障を訴えるために立ち上がり、
反バイオロイド勢力は急速に巨大化していった。 - :
- そして、そんな混沌とした状況に追い打ちをかけるように
ある事件が発生する。 - デモ団体:
キャアアァァァァッ!!
- T1ゴブリン:
あなたはハイリスク対象として識別されました。
- T1ゴブリン:
リスク対象を排除します。
- :
- アメリカ、ニューオーリンズで行われていた市民の平和的な抗議デモは
バイオロイドゴブリンの暴走によって血が流れる惨劇と化してしまったのだ。 - :
- ブラックリバー、社長室
- アンヘル・
リオボロス:
うああああああああッ!!!
- アンヘル・
リオボロス:
キム・ジソクッ!!!
- アンヘル・
リオボロス:
私を……!!騙したな!!!
- アンヘル・
リオボロス:
殺す!殺してやる!!
- アンヘル・
リオボロス:
必ずこの手で……!直接殺してやる!!!
- :
- アンヘルは暴れ狂い、部屋にあるもの全てを手当たり次第に破壊した。
- アンヘル・
リオボロス:
この借りは必ず返してやる……!
- アンヘル・
リオボロス:
お前の財産、いや、お前の全てを喰いつくしてやる…!!
- アンヘル・
リオボロス:
お前が築き上げてきたもの全て!!!
- :
- その時、部屋の外の通路を急いで歩いて来る足音が近づく。
- :
- そして、ノックもなしに乱暴にドアが開いた。
- 政治家:
アンヘル!!!
- 政治家:
これはどうやって責任をとるんだ!
- アンヘル・
リオボロス:
……
- アンヘル・
リオボロス:
はぁ…
- 政治家:
はぁ…!?
- 政治家:
君はこの事態がわかってないのか!!
- 政治家:
どう責任をとるのか具体的なプランを持ってこい!今すぐに!!
- アンヘル・
リオボロス:
ああ……先生……
- アンヘル・
リオボロス:
見てわかりませんか……?
- アンヘル・
リオボロス:
この事態に今一番腹が立っているのはあなたではない……
- アンヘル・
リオボロス:
“私”なんですよ。
- アンヘル・
リオボロス:
…わかりませんか?
- 政治家:
……
- 政治家:
き、君…
- 政治家:
その態度…政府に対する敵対的行為と受け取るぞ……
- アンヘル・
リオボロス:
くくくく…
- アンヘル・
リオボロス:
ご勝手に。
- アンヘル・
リオボロス:
どうせあなたも私ももう終わったようなものでしょう……
- 政治家:
…くっ、
- 政治家:
今日のことはすぐに政府に知れ渡るぞ。
- 政治家:
そして、その言動の責任を負うことになる!必ずな!
- アンヘル・
リオボロス:
…
- :
- 男の言葉が終わるや否や、アンヘルは狂ったように笑い始めた。
- アンヘル・
リオボロス:
ひははははははははははははっ…!!
- アンヘル・
リオボロス:
ふふふふふ……
- アンヘル・
リオボロス:
まさによく吠える犬という表現がピッタリだ…
- 政治家:
…なんだと!?
- 政治家:
今なんと……!
- アンヘル・
リオボロス:
おい、ジジイ…
- アンヘル・
リオボロス:
言いたいことを言ったんなら、ここから消えろ。
- アンヘル・
リオボロス:
本当は今すぐにでも撃ち殺してしまいたいんだよ。
- 政治家:
…!
- 政治家:
お前…後悔するなよ……
- :
- 政府から派遣された男はアンヘルの尋常ではない雰囲気に気圧され、
それ以上口を開くことができなかった。 - :
- アンヘルはいまだに消えない怒りを嚙み潰すように歯ぎしりした。
- アンヘル・
リオボロス:
クソが……
- アンヘル・
リオボロス:
ケインにはアダム・ジョーンズのDNAが必要だったなんて……
- アンヘル・
リオボロス:
覚えておけ……
- アンヘル・
リオボロス:
キム・ジソク…
- アンヘル・
リオボロス:
あのジジイどもの次はお前だ……
- :
- 事件後、アメリカ政府は“エマソン法”を制定した。
- :
- エマソン法の内容は以下の言葉に集約される。
- :
- “バイオロイドは所有者だけでなく、すべての人間に奉仕しなければならない”
- :
- バイオロイド製造時に注入が強制されたエマソンプログラムにより、
バイオロイドは恣意的判断で人間に危害を加えることができなくなり… - :
- プログラムを購入させられ、バイオロイドをリコールすることになった
企業は大きな損害を被ることになった。 - :
- そしてそれだけでなく、販売前のバイオロイドには…
- :
- 事故予防の名目で所有者が決定されるまで、製作された国の所有物として
一定期間の奉仕が定められた。 - :
- 早くから高級路線のオーダーメイド型バイオロイドを販売の主軸にしていた
企業はまだマシだと言える状況だったが… - :
- “PECS”や“ブラックリバー”のようなバイオロイドを大量生産する方針を
とっていた企業は倒産寸前にまで追い込まれた。 - :
- そのため、いくつかの企業は政府によって財産権を侵害されていると
反発したが… - :
- 大衆の共感を得られるはずもなく、事業を継続していくためには
エマソン法に理解を示すしか道はなかった。 - :
- 企業側は法案制定後、反バイオロイドの潮流も落ち着くと思っていた。
- :
- しかし、法案に従って政府に提出した販売前のバイオロイドは
反バイオロイド団体の工作による被害に遭い続け、 その損害は企業が負うという地獄が続いた。 - :
- さらにバイオロイドをめぐる特殊犯罪も頻発、商品価値を失った大量の
バイオロイドの処理も重なって政府機関が麻痺する事態にまで発展した。 - :
- そんな状況でも企業にバイオロイドの販売を許す政府に対して、
民衆の怒りがおさまることはなく… - :
- バイオロイドが「ただ人間の悪性を表出させるだけの存在」だという
嫌悪感が世の中にまん延しつつあった。 - :
- 人間とほぼ変わらない外見をしているせいで判断を鈍らせてはいるが、
- :
- 「人を殺せる兵器」だという危険性を認識してしまった大衆の心理を
変えることは、もはや不可能だったのだ。 - :
- 結局、バイオロイドの人権など消えてなくなり、一時期最高値を記録していた
バイオロイド製造企業の株価も世間からの評価と共に底を突くこととなった。 - :
- そして、その抑圧と不条理に耐えられなかったマレーシアの小さな企業が
政府に対し蜂起。 - :
- それを発端として製造企業連合と政府の戦い……
後に第一次連合戦争(Aliance War)と呼ばれる戦いが始まったのだった。