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Transcription
- ???:
アディ?
- ???:
アディ!
- ???:
起きて!
- :
- デスクにうつ伏せになって眠っているアダムを誰かが揺すって起こした。
- アダム:
うぅ~ん……
- アダム:
誰…?
- :
- だるそうに上体を起こしたアダムはごしごしと目をこする。
- エヴァ:
また徹夜したの?
- エヴァ:
本当にあの人は…あなたをどれだけコキ使えば気が済むの…?
- エヴァ:
こんなに痩せて……体が唯一の魅力なのにどうするのよ?
- アダム:
魅力……
- アダム:
体が唯一…
- エヴァ:
だから自己管理はしっかりして?…ね?
- アダム:
イヴ!俺の知性に惚れたって言ってなかったか!?
- エヴァ:
はいはい、そうですよ。
- エヴァ:
目が覚めた?
- :
- エヴァはそう言って冷たい缶コーヒーをアダムの頬にそっと当てる。
- エヴァ:
ひどい顔…
- エヴァ:
私、もう限界!
- アダム:
…?
- エヴァ:
もう建物に火を点けるわ…!
- アダム:
お、落ち着け…
- アダム:
興奮し過ぎだ。
- アダム:
俺を思ってくれてるのは嬉しいが……
- アダム:
…イヴ、そろそろ頬が凍りそうだよ……
- エヴァ:
あら、ごめんなさい。
- エヴァ:
それはそうと……
- エヴァ:
ラファエロ教授の研究成果はどう?捗ってる?
- アダム:
あぁ……これか?
- アダム:
まだ進めてる途中だよ。
- エヴァ:
どんな内容だったっけ?
- アダム:
……
- アダム:
オリジンダストが及ぼす身体変異について…
- エヴァ:
うーん…参考文献を探すのもひと仕事になりそうね?
- エヴァ:
手伝いましょうか?
- アダム:
え?
- エヴァ:
あの…“ご主人様”?
- エヴァ:
私は生命工学首席ですよ!忘れたんですか?
- アダム:
おっと……
- エヴァ:
拝見しますね?進捗状況をまず把握しないと。
- エヴァ:
こんな物まで…すごいですね。ご主人様……
- アダム:
…ちょ、ちょっと待て……
- アダム:
…エヴァ?
- アダム:
お前、どうして…そんな呼び方……
- エヴァ:
急に…どうしたんです?可哀そうに…そんなに疲れてしまったんですね……?
- アダム:
いや、今…
- エヴァ:
ご主人様?
- エヴァ:
ご主人様!
- エヴァ:
大丈夫ですか?
- アダム:
ご主人様だなんて…そんな呼び方やめてくれよ……イヴ。
- アダム:
……?
- :
- ガラス越しに誰かが必死な声でアダムを呼んでいる。
- ???:
私です…私…
- ラビアタ:
ラビアタです。
- アダム:
あぁ……
- ラビアタ:
……
- ラビアタ:
大丈夫ですか……?
- アダム:
……
- ラビアタ:
…ごめんなさい。
- ラビアタ:
汗が凄かったもので……
- ラビアタ:
差し出がましいことをしてしまいました……
- アダム:
あ……
- :
- アダムが自分の体を見下ろすと、
シャツが汗でびっしょりと濡れてしまっていた。 - ラビアタ:
悪夢でも見たんですか?
- ラビアタ:
それにこの頃…眠ることが増えているような……
- アダム:
……
- ラビアタ:
…エヴァ様をお呼びしましょうか?
- アダム:
……
- アダム:
…ここに…俺のそばにいてくれ……ラビアタ。
- アダム:
あいつは……
- アダム:
色々うるさいからな……
- アダム:
ああ……今日の授業はどこからだったかな……?
- ラビアタ:
…そんなことより……
- ラビアタ:
しっかり寝て、食事をしてください。ご主人様……
- ラビアタ:
ずっとこのままでは本当に大変なことになってしまいます。
- ラビアタ:
私のことは気にしないでください。
- アダム:
じゃあ、もうここから出ていこうか?
- アダム:
お前も好きでここにいるわけじゃないだろ?だったら俺と同じだ……
- アダム:
一緒に……誰にも見つからない場所へ……
- アダム:
消えてしまおう。
- アダム:
ジソクもエヴァもいない……場所へ……
- ラビアタ:
ごめんなさい……ご主人様……
- ラビアタ:
会長の承認がないとここから一歩も出られません……
ご主人様もご存知でしょう? - アダム:
どうして……
- アダム:
う~ん……そうか……
- アダム:
俺のプレゼントが気に入らなかったか?
- アダム:
お前にはもっと広い世界を見てほしいと思ったから……
- ラビアタ:
違います…!
- ラビアタ:
それはいざという時のために…
- ラビアタ:
まだその時ではないと思っているだけです。
- ラビアタ:
私を許してください…ご主人様……
- アダム:
……
- アダム:
ははは……
- アダム:
さぁ…授業をしよう、ラビアタ。
- アダム:
今となってはこの授業の時間が…唯一の楽しみなんだ。
- ラビアタ:
…はい、ご主人様……
- アダム:
さて、今日はどこからだったかな…?
- ラビアタ:
今日はギリシャ神話に登場する“パンドラの箱”について教えてくださると
言っていました。 - アダム:
…!
- :
- 突然、アダムの頬を涙が伝った。
- ラビアタ:
ご主人様!?
- アダム:
……
- アダム:
あ、あはは……
- アダム:
大丈夫、大丈夫だよ。
ただ…
…
ちょっとあの頃を思い出しただけだよ。