Transcription

1. :

   - 2066年、ブラックリバーはゴブリンの一件から続く危機的状況を打開するため…

2. :

   - 最高位指揮官型ワンオフ機、“無敵の龍”を発表した。

3. :

   - しかし、大衆のバイオロイドに対する感情も原因の一つであったが、何よりもほとんどの能力で三安産業のラビアタを超えることができず……

4. :

   - ブラックリバーの期待とは裏腹に無敵の龍への世間の反応は冷たかった。

5. :

   - これに憤慨したアンヘル・リオボロスは、三安独自の骨格や筋肉細胞の技術を手に入れるため、

6. :

   - 三安の最高技術責任者であったアダム・ジョーンズを拉致した。

7. アダム:

   ギャアアアア！

8. アンヘル・ リオボロス:

   言え！

9. アンヘル・ リオボロス:

   言うんだ！！！

10. アダム:

    ……

11. :

    - アンヘルが手を軽く振ると、ドアの前に立っていた男たちが失神したアダムの顔に水をかける。

12. アンヘル・ リオボロス:

    …こんな終わりは嫌だろう？

13. アンヘル・ リオボロス:

    見てない間にアンタもずいぶん老けたな。

14. アンヘル・ リオボロス:

    私もこんな古臭くて幼稚な真似はしたくないんだよ。

15. アダム:

    …かはっ……

16. アダム:

    ……

17. アダム:

    ……みず…

18. アンヘル・ リオボロス:

    ん？今何か言ったか？

19. アダム:

    みずを……

20. :

    - アンヘルはミネラルウォーターを開けて、アダムの目の前で振りながら陰険な笑みを浮かべる。

21. アンヘル・ リオボロス:

    これか…？

22. アンヘル・ リオボロス:

    これが欲しいのか？

23. アンヘル・ リオボロス:

    じゃあ、いい加減話せ…

24. :

    どうすればラビアタのような完璧なバイオロイドが作れる…？

25. アダム:

    ……

26. アダム:

    ……あー……？

27. アダム:

    …ははは…知っても無駄だって……へへへ……

28. アンヘル・ リオボロス:

    ！！！

29. アンヘル・ リオボロス:

    こいつ！ふざけるな！！

30. :

    - アンヘルが怒りに任せてアダムの顔を膝で蹴り上げる。

31. :

    - すると、アダムの口は血で真っ赤になった。

32. アダム:

    へっ…へへへへへへ…

33. アンヘル・ リオボロス:

    そんなに面白いか？

34. アンヘル・ リオボロス:

    確かに笑えるな。

35. アンヘル・ リオボロス:

    お友達選びを間違えてこんな目に遭ってるんだからな…

36. アンヘル・ リオボロス:

    今のうちに笑っとけ。

37. アダム:

    お前…アンヘルだったか…？

38. アダム:

    お前、女にモテなさそうだからこんな話をしても分からないかもしれないが……

39. アダム:

    お前に娘がいるとして……

40. アダム:

    自分の娘の誕生秘話を……

41. アダム:

    知らない男に…教えると思うか？ククク……

42. アンヘル・ リオボロス:

    ……

43. アンヘル・ リオボロス:

    はははははは！

44. アンヘル・ リオボロス:

    娘？

45. アンヘル・ リオボロス:

    こいつ……

46. アンヘル・ リオボロス:

    噂通り頭がイってるよ！

47. アンヘル・ リオボロス:

    バイオロイドに父性でも感じてるのか？

48. アンヘル・ リオボロス:

    ああ～！

49. アンヘル・ リオボロス:

    自分の妻と上手くいかなかったから…

50. アンヘル・ リオボロス:

    バイオロイドとままごとしてるのか。

51. :

    - 煽られてもアダムはゆっくり瞬きをするだけで、大した反応を見せない。それを見たアンヘルは興味を失ったようにゆっくりと首を振る。

52. アンヘル・ リオボロス:

    ……どいつもこいつも…三安にはまともな奴が一人もいないな。

53. アンヘル・ リオボロス:

    はぁ……

54. アンヘル・ リオボロス:

    最初から私に撃たれていれば、互いにこんな面倒なことにはならなかったんだがな……？

55. アンヘル・ リオボロス:

    私もやっと足を洗えたと思ったのに……

56. アンヘル・ リオボロス:

    …チッ、また明日来る。

57. :

    - そう吐き捨てて、アンヘルは部屋を去った。

58. :

    - アダムの失踪がメディアに報道されることはなかった。

59. :

    - アンヘルはアダムを人質にして三安に脅迫状を送り続けたが、返事が来ることはなく……

60. :

    - そして……

61. ご主人様！

62. ご主人様！！！

63. 目を開けてください！！！

64. アダム:

    ……

65. アダム:

    …イヴ？

66. ラビアタ:

    私です……

67. ラビアタ:

    ラビアタです。

68. ラビアタ:

    しっかりしてください！ご主人様！！

69. :

    - 血だらけのアダムの頬に涙が一つ二つと落ちる。

70. アダム:

    …

71. アダム:

    ラビアタか…

72. ラビアタ:

    もう少し、もう少しだけ我慢してください…！

73. ラビアタ:

    今安全な場所にお連れしますから…！

74. アダム:

    俺達はいつも…こういうやりとりをしてるな…

75. :

    - アダムはラビアタの手を握って、残り少ない力を使って首を横に振った。

76. アダム:

    …

77. アダム:

    …ラビアタ、

78. アダム:

    お前に言いたいことがたくさんあった……

79. アダム:

    伝えたいことが…たくさん……

80. :

    - そして、アダムは眠るように目を閉じた。

81. :

    ……

82. :

    - 同時刻、三安産業の某施設。

83. エヴァ:

    ……

84. エヴァ:

    (何…？)

85. エヴァ:

    (胸が…苦しい……)

86. エヴァ:

    (この……)

87. エヴァ:

    (この胸騒ぎは何……？)

88. アミーナ:

    …どうしたの？

89. エヴァ:

    ……