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Transcription
- :
- ジソクの部屋のドアが激しくノックされる。
- 秘書:
会長!!!
- ジソク:
……何の騒ぎだ?
- 秘書:
そ、外が大変なことになっています!!
- 秘書:
今すぐに避難してください!!
- :
- 男はジソクの腕を強引に引いて焦りを露わにする。
- ジソク:
今度はどこの企業だ…?虫ども…いくら潰しても次々と湧いてくる……!
- 秘書:
敵襲ではありません…!
- 秘書:
いや、敵襲……?とにかく、何と説明すればいいのか……
- 秘書:
空からモンスターが降ってきて…!人を虐殺しています!
- ジソク:
…?
- ジソク:
何…?
- :
- ジソクは急いで窓の外を確認する。
- :
- 目の前にはまさに阿鼻叫喚、地球の終末の姿が広がっていた。
- ジソク:
ま、まさか…!
- 秘書:
早く避難を!!
- ジソク:
手を放せ!!
- ジソク:
私はここを離れることができない!
- ジソク:
レイチェル…!レイチェルがまだここにいる!
- 秘書:
それなら念のために避難用のバンカーに行ってください!
- 秘書:
私の命に代えても会長を最後まで……!
- ???:
最後まで……
- ???:
最後まで見守っているよジソク……
- :
- ジソクは充血した目を見開く。
- :
- そして、息を整えて周囲を見渡すと……
- :
- 周りには眠っているのか死んでいるのかもわからない秘書たちの体が
放置されていた。 - :
- 静寂。
- :
- 果てしない静寂。
- ジソク:
…くそ。
- ジソク:
また寝てしまった…
- ジソク:
今回はどれだけ眠っていた…?
- ジソク:
くっ…頭が割れそうだ…
- ジソク:
こんなもの……
- ジソク:
精神力でなんとか……できる……
- ジソク:
レイチェルを目覚めさせる方法を……見つけなければ……
- ジソク:
早く……
- ジソク:
うぐ……!!!
- :
- 目の前の全てがぼやけて見える。
- :
- もはや夢か現実かも区別がつかず、奇怪な金属音が頭の中で鳴り続ける。
- ジソク:
まだ…まだ、ダメだ…
- ジソク:
もう少し…
- :
- ジソクは再び襲ってくる睡魔に抗うため、体のあちこちを万年筆で突き刺す。
- ジソク:
今寝たら…
- ジソク:
二度と目覚めないかもしれない…
- ジソク:
レイチェル…
- ジソク:
君も、こんな風に苦しかったのかな……?
- ジソク:
これ以上は……この肉体では耐えられない……
- :
- そして、ジソクの目にクローンを作成する装置が留まる。
- :
- エヴァをバイオロイドにする時に使われた旧式の機械だが、
少し手を加えれば問題なく使えるものだ。 - :
- ジソクは涙を零す。
- ジソク:
くそっ……くそ……くそっ……!!!
- ジソク:
どうせ、バケモノだっただろ……
- ジソク:
お前の本当の姿に戻るだけだ……
- ジソク:
なのに、何を恐れている?
- ジソク:
レイチェル…
- ジソク:
レイチェルに会いたい……
- ジソク:
これは自分のためじゃない。
- ジソク:
レイチェルのための選択だ。
- :
- ジソクはフラつきながら、廃棄骨格が一カ所にまとめられている倉庫の扉を
開け放つ。 - ジソク:
怖い…
- ジソク:
私が望んだのはこんなことじゃない!!!
- ジソク:
いくらもがいても……
- ジソク:
抜け出すことができない私の無力さが……
- :
- 実験の途中で廃棄されたバイオロイドの骨格がまるで死体の山のように
積み重なっている。 - ジソク:
レイチェルは……
- ジソク:
きっとレイチェルは私だと認識してくれないだろうな……
- ジソク:
怖い…
- ジソク:
いや……
- ジソク:
レイチェルはお前がどんな姿をしていても…お前に気付いてくれるはずだ。
- ジソク:
きっとお前を愛してくれる。
- :
- ジソクは震える手でポケットからケースを取り出す。
- ジソク:
神よ…!
- ジソク:
どうして私を見捨てる……!
- ジソク:
お前は最初から知っているだろう!
- ジソク:
神など存在しないということを!
- ジソク:
お前が全知全能の存在となって、
- ジソク:
新たに始めるんだ!!!
- ジソク:
レイチェル…
- ジソク:
そうだよ……
- ジソク:
最初……に……戻るだけだ……
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- 愛する者は軽蔑するから創造しようとする!
- :
- 私の兄弟よ、あなたの愛、あなたの創造と共に孤独になりなさい。
- :
- 私は自分自身を超えて創造しようとして破滅する者を愛する。
- ???:
私は…
- ???:
絶望であり、
- 鉄の王子:
救いだ。
- :
- 悪は善から始まるように、
- :
- 光があるからこそ、闇が世界を満たすのだ。