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Transcription
- 俺はバイザーを上げバニラを待っていた。
焦燥感からか、拭っても拭っても汗が噴き出てくる。 - 間もなく飢えた狼たちが俺のところに戻ってくる…。
追加のクッキーが遅れれば… 彼女たちが再び何を要求してくるかわからない…バニラはまだか!? ノックの音
- …入ってくれ。
- 幸いにも現れたのはクッキーが入った箱を抱えたバニラだった。
- バニラA1:
ご主人様!大丈夫ですか?まさかもう既に…お姉さまと…
- バニラー!
- 思わずバニラを抱き締めようとしたが、バニラは丁重にそれを制止すると
俺に焼き立てのクッキーがたっぷり入った箱を見せてきた。 - 箱に納まりきれない程こんもりと積まれたクッキーの山…
その頂上には手の平サイズの可愛らしいミートパイまで乗っている…。 バニラが持ってきた箱の中身はまさに完璧だった。 - 俺はバニラの努力に感動するしかなかった。
- お疲れ様、ありがとう!バニラ!
- バニラA1:
緊急事態だったため、ハチコを含む遊休人員たちをクッキー製造に投入しました。
それと…この生焼けのパイは…私が処理します。 - 待った!それは俺が食べる。
- 俺はハチコのまごころがこもったパイを一口で頬張ると、
やっと気持ちが落ち着いた。 - バニラA1:
それは…生焼けの…はぁ…
いえ、何でもありません、きちんと確認しなかった私が悪いですね。 - 俺に呆れながらもニコリと笑ってくれるバニラ。
この数日間、ハロウィンの準備などでバニラと過ごしたからか? バニラから思いやりのようなものを感じるようになった。 - …それはそうと…バニラに聞きたいことがあった…
- 今思えばアリスが俺に駆け寄る前に
バニラがいつも持っているあのケーキを渡しておけば ここまで事が大きくならなかったんじゃないのか…? - あの時、そのケーキをあげたら解決したんじゃないの?
- バニラA1:
…はい!?
まさか…私が持っているこのケーキのことですか!? - バニラA1:
これは見本です。
PVCで作った模造品であることぐらいご主人様もご存知だと思っていました。 - 見本!?何で見本を持ち歩いてるんだ…!?
- バニラA1:
そ、それは…三安産業の事情で…
ノックの音
- 艦長室のドアをゆっくりとノックする音。
バニラの見本の話は気になるがここで一時中断だ。 - 深呼吸をして、狼たちを迎え入れる心の準備をするか…
そこを退いてください!?無駄に大きな胸の分際で!
し、失礼極まりないですね!
大体、あなたも他人に無駄に大きな胸だと言える立場ですか!? - …早く入れ…。
- シャーロット:
はぁ~ん?陛下~♡
- 主人公:
- ドアが開くと同時に
シャーロットは猫のように身軽に跳ねて俺の首にまとわりついてきた。 - んがっ!?
- シャーロット:
陛下ぁ~ん?今日は私がハロウィンを記念して、陛下だけに捧げる…
陛下だけにしか見せられない秘密の劇を用意したんですよ~? - シャーロット:
衣装部屋で一番黒くて薄い服を準備してますので…
期待していてくださいねぇ?ふふふ~! - シャーロット:
ではでは~!トリックオア…あああ~ん♡
- 落ち着け、シャーロット…はい。
- 主人公:
- 俺は首に巻きついてにゃんにゃん言ってるシャーロットの手を払い、
その空いた手にクッキーをたっぷり握らせた。 - ハッピーハロウィン!
- シャーロット:
……
- 主人公:
- 冷たく固まるシャーロットの顔。
気のせいだろうか?艦長室の温度が少し下がった気がした。 - 主人公:
- シャーロットの気持ちはわかるが…いくら何でも…
真昼間からそんなことはできない。 - シャーロット:
うぅ…
- シャーロット:
これは…本当にありがとうございます…陛下…ですが…!
- よし!では…
- 主人公:
- 次は、長い髪をかき上げながら妙な笑い方をしているアリスだ。
- セラピアス・アリス:
長く戦場に出ていたせいで、
私の姉妹が優秀なメイドである事を忘れていました。 …私のミスです。 - 主人公:
- 俺の手を避けようとしているのか?髪の毛を触り続けるアリス。
- 主人公:
- 俺はそんなアリスの手をガシっと掴み、その手にクッキーを握らせた。
- アリス?ハッピーハロウィン!
- 主人公:
- アリスはクッキーを見つめては顔を少し赤らめた。
そんなに悪い気はしないということだろうか? - セラピアス・アリス:
…ご主人様は…どうして…こんなに…
- 主人公:
- アリスはいたずらっぽい表情のまま、俺の頬をそっと撫でた。
- バニラA1:
……!
- セラピアス・アリス:
う~ん…私は全く理解できません。ご主人様…
- セラピアス・アリス:
ご主人様は人間様なのに…本当に…
- セラピアス・アリス:
バイオロイドたちとのハロウィンをこんな風に過ごすだけでいいのですか?
- バイオロイドたちとのハロウィン?
- セラピアス・アリス:
それとも…ただご主人様は私の特別なご奉仕を受け入れる心の準備が
まだ出来ていないということでしょうか? - セラピアス・アリス:
私たちはこれでおいとまいたします。ですが…ご主人様?
- うん?
- セラピアス・アリス:
ハロウィンの前夜祭では…
私たちにあまり恥ずかしい思いはさせないでくださいね? 私たちも…ご主人様の前では…普通の女性なんです… - セラピアス・アリス:
……
- シャーロット:
え?何故突然私を…
- セラピアス・アリス:
…そこで突っ立ってないで、退いてください?このだらしない胸が…。
あなたのせいでご主人様のもとに向かう時間が倍かかったってことわかってます? - シャーロット:
だらし…ない…胸…ですって?!!
- セラピアス・アリス:
適切な表現が出来なくてごめんなさい?駄胸さん。
- シャーロット:
今、私を侮辱しましたね!?この露出狂の痴女!!
- セラピアス・アリス:
今日の私は気分があまり良くありません。
ですので…手あたり次第爆破したい気分です。 - セラピアス・アリス:
だから…
あなたは艦内での射撃が禁止されているという規則に感謝してください? - オルカ屈指の強者二人は舌戦を交わしながら、艦長室を出て行った。
- バニラA1:
……
- 狼たちは…行ったか…
- 鼻をくすぐるようなあの二人の甘い香りが薄れて完全に消えるまで、
バニラと俺は沈黙する。 - バニラA1:
……
- バニラA1:
ご主人様。
- バニラ…?
- バニラA1:
…はい、ご主人様。何でしょうか?
- いくつか聞きたいことがある。
- バニラA1:
わかる範囲でお答えいたします。ただ、正確な情報が必要な場合は検索要請を…
- いや、そこまでしなくていい。
- 彼女たちの言うハロウィンと俺が知っているハロウィンとは何かが違う…。
俺はその違いを知りたくなった。 - バニラA1:
はい、ご主人様。何をお聞きになりたいですか?