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Transcription
- 静かになった艦長室で招待状を確認した。
- 今すぐにも爆発しそうなカボチャのマークが大きく印刷された黒い封筒。それを開けると…
- 「ハロウィンパーティーに招待いたします」…ただそれだけだった
高級感あふれる金縁の便せんをひっくり返してみたが何もなかった。 - ハロウィン、そしてテーマパーク。
ここがバニラの話していた「あの場所」で合っているのなら…俺は… - 唇を噛みながら便せんを封筒に仕舞おうとする時、
視界の下から赤い毛の塊がにゅっと飛び出した。 - …フェンリル?
- フェンリル:
えへへ。そうだよ。私。
- 楽しかったか?
- フェンリル:
うん!
- フェンリル:
ここはどこもいい匂いでいっぱいですご~く楽しかった!
- そうか。それならよかった。
- フェンリル:
美味しいものもたっぷり食べたし、それから…あ!
- フェンリル:
人間さ…じゃなくてご主人…様?ご主人様の匂いもあちこちにあったよ。
- フェンリル:
家が何個もあるってことはご主人様はやっぱり偉い人みたいだね?
- そ、そうだな…えーと、フェンリル。招待状のことなんだが…
- フェンリル:
ねぇねぇ!私のこと、撫でてみて!
- フェンリルが床に座り込んだまま俺の膝にあごを乗せてきた。
期待に満ちた黄金色のきれいな瞳がじっと見つめてくる。 - 燃え上がるような赤い髪にそっと手を置くと、
ボサボサな見かけとは違って滑らかな手触りだった。 - フェンリル:
うん…思った通り気持ちいい…。
- そっと目を閉じしばらく俺の手の感触を満喫していたフェンリルは、
上体を起こすと俺の膝の上に乗ってきた。 - フェンリル!?
- 慌てて椅子に深く座るとフェンリルは
俺の膝の上で難なく体を丸くしてうずくまった。 - そして、この子はなんとここで眠るつもりなのか、あくびをして目を閉じた。
- フェンリル、聞きたいことがあるんだが。
- フェンリル:
ふああぁ…何?どうしたの?
- このハロウィンパーティーってのは何だ?
- フェンリル:
知らないよ?私はただ魔女に頼まれてこれを渡しに来ただけよ…。
- フェンリルはもぞもぞと動いては自分の楽な姿勢を見つけると、
もう一度あくびをして、むにゃむにゃ言い始めた。 - 本当に眠ってしまう前に何でもいいから情報を聞き出さなければ…
- そのパーティー会場はどこだ?
- フェンリル:
一時間くらい行けばあるよ~。
- うん…だから、どっちの方向?
- フェンリル:
あっちぃ…ふあぁぁ…
- ……
- ふにゃりと艦長室の壁を指差すフェンリル…その姿を見て何も言えなくなった。
- フェンリル:
スヤァ…
- …おーい…帰らないのか?
- これ以上話しかけても意味がなさそうだ…。俺は背もたれに寄りかかった。
- フェンリル:
むにゃむにゃ…ご主人様…えへへへ…
- 広がる赤い髪をそっと撫でおろすと
フェンリルは眠りながらも気持ちが良さそうな声を出している。 - こうなった以上、フェンリルが起きてから道案内を頼むとしよう。
その魔女とやらと直接会って確認した方がよさそうだ。 - あの「狂ったハロウィン」についてもだ。