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Transcription
- 主人公:
- 舗装があちこち剥がれた道とテーマパーク前の駐車場を徘徊していた
鉄虫たちは一瞬にして排除された。 - 主人公:
- 俺は鉄虫が残っていないか念入りに警戒しながら
シャーロットとアリスの後に続いて固く閉ざされた鉄門へと向かった。 - 主人公:
- いつの間にか夕陽で色濃く染まってしまったテーマパークには
うら寂しい雰囲気が漂っていた。 - アルマン枢機卿:
…陛下。申し上げたいことがあります。
- アルマン枢機卿:
旧時代の…バイオロイドとのハロウィンに関する話です。
- …うん。聞いてるよ。
- アルマン枢機卿:
陛下は私たちを一人の人格として…
いいえ、それだけではなく恐れながらも陛下と同等に接してくださいますが… - アルマン枢機卿:
ご存知の通り…、
滅亡前の人類にとって私たちバイオロイド…は…道具以下の…存在でした。 - 主人公:
- アルマンの声は次第に震えはじめた…。
この先の話がどういう内容なのかわかっている俺も気が重たくなってくる。 - アルマン枢機卿:
量産型とは言え…人間様たちとは…
比較できないほどに頑丈だった…私…たちは…か、格好の…玩具でした。 - アルマン枢機卿:
各地に存在したこうした…「テーマパーク」は普段は平凡な娯楽施設でしたが…
- アルマン枢機卿:
寿命が尽きたり…ひどく損傷したり…用途廃棄された数多くのバイオロイドたちが…
毎年…ハロウィンになるとこの「テーマパーク」に送られ…ました…。 - アルマン枢機卿:
そして…それ以上の数の人間様たちが…
雪崩のように…押し寄せ…ここを…埋め尽くしました。 - 主人公:
- アルマンはだだっ広い駐車場と、
昔は整然と整備されていたに違いない進入路を、 まるで何かが見えているように見まわした…。 - アルマン枢機卿:
そして…その後は…
- ……
- 主人公:
- 体を震わせながらも
毅然とした表情で俺を見つめるアルマンの目元には涙が浮かんでいた…。 - 主人公:
- 肌が白くなるほどに力いっぱい握り締められた拳と
わなわな震える小さな体を見ているだけで、 アルマンの気持ち、恐怖、不安が俺にも伝播する。だからこそ… - アルマン枢機卿:
陛下…陛下があのあり様をご覧になられた後どうなるのか…
それを予測することは今の私にはとてもできません…。 - アルマン枢機卿:
ま…万が一、万が一陛下が…
- 主人公:
- アルマンの目になんとか溜まっていた涙が終いには地面にポロポロと落ちた。
- …アルマン。
- アルマン枢機卿:
…はい、陛下。
- すまない。
- アルマン枢機卿:
……
- でも…信じてほしい。
- 主人公:
- 深刻な雰囲気を察してか、
隅の方でもじもじと俺の様子を伺っている「キャンディハンター」たちに目を向ける。 大丈夫だという意味で少しうなずいて見せた。 - 俺がこの世界で最後の人間である以上…責任がある。
- 主人公:
- 俺がこの目で確かめて、間違っていたことは俺が正さなければならない…。
- 主人公:
- 絶対に繰り返さないように…
それが人間の俺としてできること…しなければならないことだ…。 - フェンリル、扉を開けてくれるか?
- フェンリル:
うん、ご主人様!
- 主人公:
- 前方に飛び出したフェンリルが
目にも止まらぬ速さでチェーンブレイドを振り回した。 - 主人公:
- これでもかと切り刻まれた巨大な鉄門には無数の割れ目が入り、ゆっくりと崩れ落ちた。
- アルマン枢機卿:
…申し訳ございません…陛下。
- 主人公:
- 鉄の塊が崩れ落ちていく鈍い音に紛れてアルマンの低い声が聞こえた。
- アルマン枢機卿:
私はまだ…諦めていません。
- 第2部に続く。