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Transcription
- 俺に二つの落ち度があった。
- 一つ目はホードの機動力を過小評価していたこと。
- またこっそりとオルカから出るまではよかったものの、
ホードの移動速度は俺の予想を遥かに超えるものだった…。 - なんとか必死に追いかけて数分、ホードの姿は完全に夜の闇の中へと消えてしまった。
- E-16タロンフェザー:
司令官様、全て片付きましたね。
- ありがとう。
- 二つ目の落ち度は、ホードを追いかけることに気を取られて、
常に俺たちの近くにいる「脅威」のことを失念していたことだ。 - 二人で肩を落としてオルカへ帰る途中、
フェザーが声を潜めて危険を知らせてきた。 - この辺りは鉄虫が少ないとはいえ、戦闘向きではないフェザーと俺しかいない。
- 俺が持っている護身用火器を取り出すべきかと考えていたら、
一番近くにいた鉄虫一体が突然の狙撃に倒れた。 - それを合図にフェザーが攪乱している間、
狙撃手が次々と鉄虫を葬っていったのだ。 - そして今、その狙撃手が姿を現した。
- T-14ミホ:
頭ちゃんと下げてた?
- うん、おかげで助かった。
- T-14ミホ:
はぁ…いくら安全な地域って言っても、
二人だけで出かけるなんてちょっと不用心じゃない? - 主人公:
- こればかりは返す言葉もない…。
- 主人公:
- 俺が反省の意味を込めて黙っていると、ミホがニッコリと笑った。
- T-14ミホ:
ま、いいよ。怪我してないんだったらさ。
- T-14ミホ:
フェザーもサポートありがとー。おかげでらくしょーだったよ。
- E-16タロンフェザー:
とんでもないです。
- E-16タロンフェザー:
司令官様、さすがに今日はもうオルカに帰ったほうがいいと思います。
- E-16タロンフェザー:
時間も遅いですし、交戦もありましたので、みなさんが心配していると思います。
- そうだね。帰ろ…
- T-14ミホ:
待って。
- 主人公:
- 俺の言葉を遮ったミホが、
自分の裾をモジモジといじりながら足元の積もった雪をイジイジと崩していた。 - T-14ミホ:
司令官、あのね…
- T-14ミホ:
そのね?外に出てきたついでにさ…
- T-14ミホ:
その辺をちょっとだけお散歩しない?あっ…だからその…そう偵察。偵察を兼ねて
- 今は帰った方がよさそうだ。
- …分かった。
- T-14ミホ:
あ、そう…
- T-14ミホ:
あはは、そうだよね。もう遅いもんね!さぁさぁ帰ろう!
- 主人公:
- 先頭に立って歩くミホは心なしか少し寂しそうに見えた。
- 主人公:
- 何とも言えない後味の悪さを残してオルカへ帰った。
- E-16タロンフェザー:
え?司令官様、考え直したほうが…
- ミホがいるし大丈夫だろ。な?
- 主人公:
- モジモジしていたミホの顔が一気に明るくなる。
- E-16タロンフェザー:
ふーん…ふふっ!それもそうですね。大丈夫でしょう。
- E-16タロンフェザー:
ではでは司令官様、私はお先に帰還いたしますね。
- 主人公:
- フェザーはそれだけ言ってさっさと行ってしまった。
- 主人公:
- エンジンの音が聞こえなくなるまで静かに空を見上げていたミホが口を開く。
- T-14ミホ:
行こうか?
- 主人公:
- ミホと二人、ただ黙って雪道を歩く。
- 主人公:
- 静かな森の中で、雪を踏む二人の足音だけが響く。
- 主人公:
- 後ろ手を組んで一歩先を歩いていたミホがふと足を止めた。
- T-14ミホ:
くくく…考えたらさ、ウケるよね。
- 何が?
- 主人公:
- ミホがくるりと振り返って俺を見る。本当に楽しそうにコロコロと笑っている。
- T-14ミホ:
さっきの私が言ったこと!この辺りは全部偵察済みの安全地域で、
しかも鉄虫まで片付けちゃったのにさらに偵察って…くくく - せっかくお誘いに乗ったのに自白するのか?
- 主人公:
- 楽しそうにくすくすと笑ったミホが近づいてきて俺の手を取った。
- T-14ミホ:
大人気でいらっしゃる司令官様と二人きりになるには、
これくらい図々しくないといけないでしょ? - 主人公:
- またしばらく心地のいい沈黙が訪れる。
- 主人公:
- 絡めた指と指をイジイジとしていたミホが静かに語りだした。
- T-14ミホ:
司令官さ、最近疲れてない?
- う、うん…?いいや?
- T-14ミホ:
嘘だ。顔に書いてあるんだから。
- 主人公:
- ミホが肘で俺の脇腹をうりうりと押す。
- T-14ミホ:
あんまり無理しないでよね?
- T-14ミホ:
小さい戦闘の指揮なんて、いい加減指揮官たちに任せなさいよ。
- T-14ミホ:
私たちを怪我させたくないのは分かるけどさ?そのせいで司令官が
大変になるのは、嫌なの。 - 主人公:
- いつもの軽い口調だが、目を見るとミホからの本気が伝わってきた。
- 善処する…。
- T-14ミホ:
またまたぁ嘘ばっか!絶対しないでしょ!
- T-14ミホ:
嘘吐きの司令官様には罰を与えないとね!目、閉じて?
- うっ、分かった…
- 主人公:
- 大人しく言われた通りに目を閉じた。ぎゅっぎゅっと雪の踏む音でミホが
俺の目の前まで来たことが分かる。 - 主人公:
- ミホの小さく深呼吸する音。そして…
- 主人公:
- 俺の頬に柔らかいものが触れた。
- 主人公:
- 驚いて目を開くと、ピンク色の三つ編みが目の前で揺れていた。
- T-14ミホ:
嘘はダメなんだからね?
- T-14ミホ:
行こ、司令官。
- あ、ああ…
- 主人公:
- ミホは向こうを向いたまま手を差し伸べる、俺はそれを握り返した。
- 主人公:
- オルカへの帰り道は来た時よりもずいぶん短く感じた。