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主人公
- もう見慣れてしまったショッピングモールがある例の街を歩く。

Transcription

  1. 主人公:

    - もう見慣れてしまったショッピングモールがある例の街を歩く。

  2. 主人公:

    - 今日の護衛担当であるウンディーネはいつもよりもテンション高めではしゃいでいる。

  3. P-3Mウンディーネ:

    わぁ…本当に綺麗に残ってる…

    1. 気に入ったものがあったら持って帰っていいよ。
  4. P-3Mウンディーネ:

    本当!?

  5. 主人公:

    - 俺の言葉を聞いて走り出したウンディーネはショーウインドウに張り付く。

  6. P-3Mウンディーネ:

    トレビアン!これって全部すっごい高級品なんじゃない!?

  7. P-3Mウンディーネ:

    管理も行き届いていて傷も付いてないし…さっき戦ったAGSたちに感謝しないといけないわ!

  8. 主人公:

    - 近くの店に入ったウンディーネはそれはそれは楽しそうにあれやこれやと商品を漁り始めた。

  9. 主人公:

    - その姿が微笑ましくもあるが、申し訳ないと感じずにはいられなかった…。護衛担当になったせいで、サプライズパーティのことを知ってしまったんだから…。今日は楽しんでもらわないとな…。

  10. 主人公:

    - 後を追って店に入り、適当なところに座った。

    1. オルカでの生活はどうだ?
  11. P-3Mウンディーネ:

    そりゃ全然良くないに決まってるでしょ!?

  12. P-3Mウンディーネ:

    前は広い大空を思う存分飛び回ってたし、デッキに出ていつでも日光浴が出来てたんだから!

  13. P-3Mウンディーネ:

    オルカ号がいくら大きくて、フォーチュンさんがいつも整備してくれてるって言っても、バスは不便だし!湿気もすごいし…

    1. うーん…やっぱそうか~…
  14. 主人公:

    - ぽそりと呟く俺の声が聞こえたのか、遠慮なく不満を言い続けていたウンディーネは我に返って俺を見る。

  15. P-3Mウンディーネ:

    ちちちち!違うんだからね!そんなんじゃないんだから!!そ、そりゃあ…少しは不便だけど…!少しよ!?少し!

  16. P-3Mウンディーネ:

    司令官が色々気を使ってくれてるから…大丈夫。

  17. P-3Mウンディーネ:

    そ、それに…前より…

  18. P-3Mウンディーネ:

    今は…司令官のために戦ってるから…、今の方が…

  19. P-3Mウンディーネ:

    …す、好き…

  20. 主人公:

    - ウンディーネはいつの間にか俺の前に立っていた。

  21. 主人公:

    - 顔を真っ赤にして、声がふるふると震えている。

  22. 主人公:

    - しばらくもじもじと悩んだように俺を見つめて、俯いたウンディーネ。

    1. この前チーズケーキを味見させてくれるって言ってただろ?
  23. P-3Mウンディーネ:

    …?

    1. 帰ったらお願いしてもいいかな?お腹が空いた。
  24. 主人公:

    - 俺の言葉を聞いて、しばらく意味を考えていたウンディーネは少しすると目を大きくして輝かせた。

  25. P-3Mウンディーネ:

    あ…

  26. P-3Mウンディーネ:

    いいわよ!最高のチーズケーキを食べさせてあげる!期待してて!

    1. 楽しみにしとく。好きなもの選んだらそろそろ行こうか?
  27. P-3Mウンディーネ:

    うん!…うん!へへっ…

  28. 主人公:

    - そして、その笑顔を見て立ち上がった瞬間、視界がぐらりと歪んだ。

    1. …あれ…?
  29. P-3Mウンディーネ:

    司令官?どうしたの?

    1. あぁ…大丈夫。なんでも…くっ…
  30. 主人公:

    - 次の瞬間、一気に手足から力が抜けた。

  31. 主人公:

    - 自分ではどうにも出来なくなった体が徐々に傾いていく…そして…

  32. 主人公:

    - 冷たい床に顔を打ちつける。派手にバラ撒かれた荷物の音とウンディーネの悲鳴に近い声がその場に響いた。

  33. P-3Mウンディーネ:

    司令官…!?

  34. 主人公:

    - 何とかして起き上がろうとしてみるが、手足にはもう力が入らなかった。

  35. P-3Mウンディーネ:

    司令官…?司令官!

    1. あぁ…くっ…
  36. P-3Mウンディーネ:

    だ、大丈夫!?司令官!!

    1. だ、大丈…
  37. 主人公:

    - ウンディーネが慌てて俺を揺らす、それでなんとか意識を保てる…必死に起き上がろうとしていると、他の誰かの足音が聞こえた。

  38. P-3Mウンディーネ:

    アルマンさん!し、司令官が…!司令官がっ…!

  39. アルマン枢機卿:

    はい、承知しております。

  40. P-3Mウンディーネ:

    - 足音が近づいてくる。

  41. アルマン枢機卿:

    失礼いたします、陛下。

    1. アル…マン…?
  42. 主人公:

    - アルマンが俺の上着の袖を捲る。そして、腕にチクリと痛みが走った。

  43. アルマン枢機卿:

    ダフネさんが用意してくれた点滴です。

  44. アルマン枢機卿:

    一時しのぎにしかなりませんので、すぐオルカに帰って療養する必要があります。

  45. アルマン枢機卿:

    ウンディーネさん、陛下を横にしたいので手伝っていただけますか?

  46. P-3Mウンディーネ:

    は、はいっ…!

  47. 主人公:

    - 何かを組み立てる音が聞こえてから体が浮かぶ感覚。

  48. 主人公:

    - なるほど担架か…冷たい布に身を委ねる。

  49. アルマン枢機卿:

    もう少しの辛抱です。すぐにオルカまでお送りいたしますので。

    1. …わかっ、た。
  50. 主人公:

    - 点滴のおかげか、なんとか返事をするだけの意識は戻ってきた…。

  51. 主人公:

    -どうしたらいいのかわからず、俺の体の上をあわあわと彷徨っていた手を捕まえて繋いであげると、ウンディーネはぶるぶると体を震わせた。あぁ…今日は本当に…申し訳ないな…

    1. …俺は大丈夫だよ。
  52. P-3Mウンディーネ:

    うん…。

  53. 主人公:

    - ウンディーネの返事を聞くと…急に睡魔が襲ってきた…。

  54. アルマン枢機卿:

    堪える必要はございません。安心してお休みください。

    1. ……
  55. アルマン枢機卿:

    私たちがお傍におりますので。

  56. 主人公:

    - アルマンの言葉に緊張の糸がぷつんと切れた。

  57. 主人公:

    - 答える間もなく睡魔に負け、眠ってしまった。

  58. 主人公:

    - 意識が途切れる寸前、たくさんのエンジン音と無線越しの切羽詰まった声が聞こえた気がした…。