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Transcription
- 主人公:
- オルカには戻ったのは、すでにあたりが薄暗くなってからだった。
- 主人公:
- 遅めの夕食とアウローラとっておきのデザートを食べて艦長室に戻ってくると、
しばらくして扉がノックされた。 - よーし…
- 主人公:
- 心の準備をしてドアを開ける…。
- あれ…?
- X-00ティアマト:
し、司令官。こんばんは…。
- あ、おう…こんばんは?今日はエミリーも一緒なんだな?
- X-00ティアマト:
途中でばったり会いまして…
- X-05エミリー:
司令官…
- エミリーはいつもなら寝る時間じゃないのか?
- X-05エミリー:
うん…。
- 主人公:
- 眠気でぼーっとしたまま首を縦に振ったエミリーは、当たり前のように
部屋に入ってきて堂々と俺のベッドに潜った。 - X-00ティアマト:
アッ…
- 大丈夫、よくあることだよ。
- X-00ティアマト:
そうなんですか…
- ティアマトも入っていいぞ?
- 主人公:
-恐る恐る部屋に入ってきたティアマトは何かを期待する表情で俺を見上げた。
- ほら。
- 主人公:
- 俺が椅子に座ると急いで駆け寄ってきたティアマトが俺の膝の上に座った。
- すっかり指定席になったな?
- X-00ティアマト:
ふふふ…
- 主人公:
- しばらく、嬉しそうに俺の胸に頬をすりすりしていたティアマトが顔を上げた。
- X-00ティアマト:
司令官、この前は先に眠ってしまいましたよね?
- はは…
- X-00ティアマト:
ずるいです…。やっと…勇気を出してお話ししたのに。
- ごめん。今日は大丈夫だから
- X-00ティアマト:
……
- 主人公:
- この前、部屋を訪ねてきた時はティアマトが気を遣って色々と自分から
話をしてくれた。 - 主人公:
- もちろん、それ自体が俺に心を開いてくれた証拠であり嬉しかったのだが、
やはり、話している途中で言葉が詰まったりすることがあり ティアマトの中にまだためらいがあると感じた。 - X-00ティアマト:
司令官。実はですね。
- うん。
- X-00ティアマト:
この前…司令官が先に眠られたので、私も横で寝たんです……。
司令官をぎゅっとしたまま… - X-00ティアマト:
そのとき…生まれて初めて悪夢を見たんです…。
- ……
- 主人公:
- ティアマトは体の向きを俺の上で器用に変えて、俺の胸にもたれかかった。
- X-00ティアマト:
研究所で実験対象となっていた時はもちろん、人間様たちが滅亡して
独りきりでいる時、ラビアタのところにきて抵抗軍として戦っていた時、 それから…司令官と出会って、ここに来てからも… - X-00ティアマト:
一度も悪夢なんか見たことはありませんでした…。
- X-00ティアマト:
あの研究所で起こった出来事を……司令官はご存知ですか?
- ……少しは。
- 主人公:
- 以前、聞いたアウローラの話の通り、オルカにはブラックリバーの研究所出身の
バイオロイドたちが結構いる。 - 主人公:
- 先に話してくれるまであえて聞こうとはしなかったが、ふとした時に出る反応と、
まだ残っている記録から当時起こった出来事を断片的ではあるが知っている - X-00ティアマト:
ふふ……、バイオロイドが頑丈でよかったです。たくさん…殴られましたから。
- X-00ティアマト:
ちゃんと目標値を達成できなかったり、模擬作戦中にミスをしたりすると…いつも…
- …ティアマト。辛かったら…
- X-00ティアマト:
…大丈夫です。聞いてください。
- X-00ティアマト:
でも、そんな身体的な苦痛は問題ありませんでした…。
痛みは一瞬ですし、傷は治療してくれましたから…。ただ… - X-00ティアマト:
私がしっかりと成果を出せないと、その度に他の…バイオロイドの方たちが
犠牲になりました。 - ……
- X-00ティアマト:
司令官もご存知だと思いますが…当時、私はブラックリバーの全ての技術を
結集させて製造された機体でした。 - X-00ティアマト:
そんな私に欠陥が見つかると…それに該当する分野のその技術のみに
特化させて製造されたバイオロイドの方たちが…残酷な実験の対象となりました…。 - X-00ティアマト:
高価な実験機である私が壊れてはいけないため、
データをフィードバックさせるためだけに他の方たちが利用されました…。 - ティアマト…
- X-00ティアマト:
目を閉じることも、耳を塞ぐことも許されず…、
ただただ…私は… - 主人公:
- 微かに震えるティアマトの体を後ろから抱き寄せた。
- X-00ティアマト:
あの場面と凄惨な悲鳴…それが夢の中で再現されていました…。
私が失敗したり目標となる成果を出せないと、そのたびに増えていく悲鳴を… - 主人公:
- ティアマトは俺の手の上にそっと自分の手を重ねた。
- X-00ティアマト:
でも、それよりも怖かったのは…、他のバイオロイドの方たちと私を見る
人間様の目でした…。 - X-00ティアマト:
あれは私たちを人格体ではなく、ただの道具やゴミを見るような目でした…。
- 主人公:
- ティアマトは再び体の向きを変えて、俺と向き合った。
- X-00ティアマト:
だから…司令官に初めて出会った時も信じることが…できませんでした。
- X-00ティアマト:
あんな風に温かい目で私を見てくれる人間様がいるだなんて
夢にも思いませんでした…。 - X-00ティアマト:
その後は…わかりますよね?
- もちろんだ。
- X-00ティアマト:
ふふふ…司令官がキャンディをくれるたびにとても嬉しい気持ちになりました…。
- X-00ティアマト:
駆け寄って抱きつこうとしたのを何度我慢したかわかりません…。
- X-00ティアマト:
裏切られるのが怖くて…、司令官も実はあの人間様と同じだったら
どうしようって思うと… - ばかだなぁ…
- 主人公:
- そう言って俺はティアマトのおでこを軽く小突いた。
- X-00ティアマト:
ふふふ、はい…わかってます。本当に…バカみたいですよね。
- 主人公:
- 胸の中に顔を埋めるティアマトをぎゅっと抱きしめる。
- 心配するな。絶対に裏切らないから。
- X-00ティアマト:
……あの……司令官……
- 主人公:
- しばらく黙って抱かれていたティアマトを見ると、子犬の様なくりっとした目で
俺をじっと見上げていた……。 - 分かった。
- X-00ティアマト:
うふふ…
- 主人公:
- 蒼い髪をゆっくりと掻き上げティアマトがそっと微笑んだ。
- X-00ティアマト:
司令官、今日ここで寝てもいいですか?
- もちろんいいよ。ベッドは十分広いからな。あ、それに…
- X-00ティアマト:
はい?
- もしまだ話せてないことがあったら…
- 主人公:
- 後でいいから、心の準備ができたらゆっくり話を聞かせてくれ。
と言い、ティアマトを抱き上げてベッドに寝かせてあげた。 - X-00ティアマト:
……はい。
- X-00ティアマト:
ありがとうございます、司令官。
- X-00ティアマト:
司令官…
- 主人公:
- 俺もティアマトとエミリーの間に入って横になると、大人しく寝ていたエミリーが
抱き付いた。 - 主人公:
- それを見たティアマトも負けじと俺の腕をグイっと引っ張って腕枕にする。
そして… - X-00ティアマト:
ふふふ、おやすみなさい。
- おやすみ。
- 主人公:
- 三人で目を閉じる。しばらくすると両側から規則的な寝息が聞こえて来た。
- 主人公:
- 俺もゆっくりと眠気に誘われ始めたのでそれに身を委ねようとしたその時、
ノックの音が聞こえた。 - 静かに入ってきてくれ。
- ロイヤル・アーセナル:
なんと…。まさか先客がいたとはな?出遅れたか。
- ロイヤル・アーセナル:
それでもまぁ、私は誰がいても構わないぞ?
- はぁ…
- 主人公:
- ティアマトと話していてすっかり忘れてしまっていた……。
あの約束をしていたロイヤル・アーセナルが現れた。 しかもこの状況でも構わないらしい…。 - 他の時ならまだしも今はちょっと無理だ。
- 主人公:
- ぐっすり寝ているエミリーとティアマトの顔を見たロイヤル・アーセナルは
小さく首を縦に振った。 - ロイヤル・アーセナル:
確かにそうだな。さすがにエミリーの前で乱れた姿を見せるわけにはいかないな…。
- そ、そういう問題じゃないだろ。
- ロイヤル・アーセナル:
ほう、では何が問題だ?
- 主人公:
- ロイヤル・アーセナルの言葉の返事に、改めてティアマトとエミリーを見た。
二人とも天使のような顔でぐっすりと寝ている。 - まだそういう準備ができてない子たちだろ?色々…。
- ロイヤル・アーセナル:
ふむ…
- ロイヤル・アーセナル:
まぁ…、司令官がそう言うならば仕方ないか…。
- ロイヤル・アーセナル:
となると、せっかく開催したキャノニア会議も無駄になってしまったな…。
- 会議?
- ロイヤル・アーセナル:
たいしたことではない。「どうすればエミリーを司令官と合体させられるか」という
テーマで簡単に議論を交わしていただけだ。 - ロイヤル・アーセナル:
司令官が「まだ」という言葉を付けた。つまりは時間の問題ということだろう。
- そ、そういうことになるのか?
- ロイヤル・アーセナル:
そういうことになる。
- ロイヤル・アーセナル:
では非常に残念ではあるが、今晩は可愛い子供たちに司令官を譲ることにしよう。
ああ…、その前に。 - 主人公:
- 背を向けて部屋を立ち去ろうとしたが、急に立ち止まって振り返り、
ロイヤル・アーセナルが彼女独特の深みがある笑みを浮かべた。 - ロイヤル・アーセナル:
私は常に準備できている…。いつでも呼んでくれ。
- そ、そう…
- ロイヤル・アーセナル:
はははっ!強がるのはもうやめたのか?
- ロイヤル・アーセナル:
私も自然体が一番だと思うぞ。あんな風に強がったところで
夜のそなたと昼のそなたは全く違うということは、すでに知っているからな。 - …誰がそんなこと言ったんだ?
- ロイヤル・アーセナル:
アンガー・オブ・ホードの…名前は…タロンフェザーだったか。
- ロイヤル・アーセナル:
司令官を理解する上で役に立つだろうと色々と資料を提供してもらった。
なかなかの情報量だった…。 - フェザーのやつ…!
- 主人公:
- 先程とは違い、声を押し殺してクスクスと清楚に笑うロイヤル・アーセナルは、
背中を向け、手だけ振って挨拶すると部屋を出て行った。 - 主人公:
- …今後、指揮官級を復元する時は慎重に検討と準備をする必要がありそうだ。
- 主人公:
- 気を張っていて、どっと疲れた体をベッドに沈ませる。
- X-00ティアマト:
司令官…
- 主人公:
- どんな夢を見ているのだろう?眠ったまま抱きついてくるティアマトの口元には
微かに笑みが浮かんでいた。