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Transcription
- 指揮を終えて、締めの作業をしていると、スノーフェザーとサニーがやって来た。
- 二人が何やら案内したい場所があると言うのでついて行ってみると、
そこは大木を利用して作られた落ち着いた雰囲気の小屋と 円形のプールがある森の中のリゾート施設だった。 - …まさか…新しく作ったのか…?
- スノーフェザー:
元々あったものを村のみんなと一緒に修理しました。
- アクロバティック・サニー:
どうですか?お気に召しましたか?
- うん。すごくいいね。
- スノーフェザー:
それはよかったです。
- スノーフェザー:
では…私たちはこれで…。
- 一緒に休んでいかないのか?
- アクロバティック・サニー:
戦闘の後片付けとか水泳大会の準備があって皆さん忙しいみたいなので…
- アクロバティック・サニー:
私たちも何か手伝いたいなと思います。
- なら仕方ないか。じゃあ…またの機会に。
- アクロバティック・サニー:
はい。
- スノーフェザー:
あ…、あの…その…。
- スノーフェザー:
これからは…ご主人様、とお呼びしてもよろしいでしょうか?
- もちろん。そっちの方が呼ばれ慣れてる。
- スノーフェザー:
……はい。
- 俺に明るい笑顔を見せるとスノーフェザーはサニーを追いかけて森の中に消えた。
- さてと…。
- 水泳大会までまだ日にちがある。
- 村の住民たちが作ってくれたこの場所もいいが、ずっとここだけで
過ごすってわけにもいかない。 - そうだなぁ…水泳大会の日まで何をしようか?
- 部屋に戻って休もう。
- この隙に仕事を片付けよう。
- もうちょっと考えてみよう。
- ここも心地いいのだが、大分疲れている今は、
慣れた自分の部屋に戻って休むことにした。 - 整備が終わったオルカ号は海に浮かんでいた。
- 近くにいた隊員の手を借りてオルカ号に乗船し、見慣れた通路を歩いて
自分の部屋に向かった。 - いつの間にか綺麗に整理されている机の上をしばらく眺めて、
ベッドに横にでもなろうとした瞬間、ノックの音がした。 - どうぞ。
- すぐにドアが開き、少々意外な人物が恐る恐る部屋に入ってきた。
- 金蘭、どうした?
- 金蘭S7:
…お休みのところ失礼いたします。
- 大丈夫だ。何かあったか?
- 主人公:
- 俺の問いに金蘭はしばらくモジモジして、答えることが出来ずにいた。
- 金蘭S7:
あの…その…
- 金蘭S7:
主様と…一緒に寝たい…のでございますが…
ダメ…でしょうか? - 主人公:
- やっとのことで口を開いた金蘭は、意外なことを頼んできた。
- そのくらい構わないが…
- …耐えられるのか?
- 金蘭S7:
…ありがとうございます。
- 金蘭S7:
あ…そ、その、そういうこと…ではなくて…。
- 金蘭S7:
…実は、この前…主様に肩を貸して頂いた時、少しの間でございましたが
心から安心して眠ることができました。 - あ…。
- 主人公:
- セレスティアに初めて会う直前、俺の肩にもたれかかって眠っていた金蘭の
ことを思い出した。 - 主人公:
- 今回の事件が起こる前から疲労が溜まっていただろうに…、金蘭はあれからも
ずっと動きっぱなしで、相当疲れているはずだ…。 - 金蘭S7:
あんなに穏かに眠れたのは生まれて初めてでございました…。
- 金蘭S7:
あ、主様がお許しくださるのでしたら、も、もう一度…。
- いいよ。おいで。
- 金蘭S7:
…はい。
- 主人公:
- 金蘭はゆっくりと俺の隣に横たわった。
- 主人公:
- 横にズレてあげようと動いた拍子に、俺の腕が金蘭に当たる。
すると金蘭は体をビクッとさせた。 - 金蘭S7:
うっ…
- ご、ごめん。
- 主人公:
- もう少し距離と取ろうと体を動かしたが、金蘭は無言で密着してきた。
- 主人公:
- さらには俺の腕を掴んで、腕枕のようにすると、
すぐに金蘭から静かな呼吸音が聞こえてきた。 - …大丈夫か?
- 主人公:
- 服を間に挟んではいるが密着している俺の体、ベッドに染みついた俺の体臭、
俺の呼吸の音など…。 - 主人公:
- 普通なら気にもならないことが、感覚の敏感な金蘭にとっては
相当な苦痛のはずだ。 - 主人公:
- しかし、金蘭は眠そうに閉じる瞼を何とか開けて、微笑んだ。
- 金蘭S7:
何とも…ございません…。
- 金蘭S7:
主様の手の感触…匂い…。
- 金蘭S7:
体、温…鼓動…。
- 金蘭S7:
拙にはそのすべてが…とても…。
- 金蘭S7:
安らぎ、で…。
- 金蘭S7:
……。
- 主人公:
- ぽつりぽつりと話をしていたが、それはいつしか規則的な呼吸音に変わり、
金蘭は眠りについた。 - 主人公:
- 金蘭の細い体をそっと抱きしめても言っていた通り、安心しきった寝顔を
見せるだけだった。 - …おやすみ。
- 主人公:
- 顔にかかった髪をそっと払ってあげると、俺も穏かな眠気に誘われて目を閉じた。
- 主人公:
- 休もうとは言ったが色々あっただけに処理が終わっていない仕事も多いはずだ…。
- 主人公:
- せっかく時間ができたので、艦長室に戻って溜まった仕事を片付けることにした。
- 主人公:
- なんだか久しぶりに見た気がする艦長室の椅子に座ってパネルの電源を入れる。
- 主人公:
- 思った通り処理待ちの仕事が山ほどあった…。
- それじゃあ…何から片付けようか…。
- 主人公:
- うーんと伸びをして仕事を始めようとしたら、俺に近づく靴の音が聞こえてきた。
- バニラA1:
ここにいらっしゃいましたか、ご主人様。
- うん、お疲れ様。
- 主人公:
- 軽くお辞儀をして、バニラは俺の横に立つ。
だが、パネルを見て顔をしかめた。 - バニラA1:
まだ働く気ですか?
- バニラA1:
村の住民の方々が、ご主人様のために休憩所を作ってくださったと聞きましたが?
- 仕事が多いからな。時間がある時に―あっ…
- 主人公:
- バニラは容赦なくパネルの電源を切ってしまった。
- バニラA1:
今はご主人様が休んでいただくことが、私たちを手伝ってくださることになります。
- バニラA1:
私がやっておきますので、その間ご主人様は少しでもお休みになってください。
- は、はい…。
- 主人公:
- バニラの凄い剣幕に気圧され、大人しく言う通りにした…。
- 主人公:
- 艦長室の隅に置かれたソファに横たわると、思ったより早く眠気がきた。
- 主人公:
- どれくらい眠っただろう?ふと目を覚ますとすぐ前にバニラの顔があった。
- バニラA1:
……!
- バニラA1:
お、お目覚めですか。
- バニラA1:
こ、こんな所ではゆっくりお休みになれません。自室にお戻りください。
- わかった。
- 主人公:
- 慌てふためくバニラ…唇に残った温もり…俺は思わず笑ってしまった。
- バニラA1:
な、何故、そんな風に笑われるんですかっ。
- 何でもない。
- バニラA1:
早く行きましょう。私がそこまでお送りいたします。
- 主人公:
- 半強制的に部屋に連れて行かれる間、バニラは一言も喋らなかった。
- 主人公:
- ドアの前に到着し、改めてお礼を言おうと思ったらバニラが恐る恐る口を開いた。
- バニラA1:
…ご主人様。
- バニラA1:
島の確保が終わり…水泳大会も終われば、今度は私たちメイドが休む番です。
- バニラA1:
覚えていらっしゃいますか?
- わかってるよ。
- バニラA1:
で、では…。
- 主人公:
- バニラはもじもじしながら話を続けた。
- バニラA1:
こ、この前…偶然にも素敵な服を見つけました。
- バニラA1:
ですので…休暇中それを着て…デ、デートというものを一度してみたいんです…。
- バニラA1:
と、ところが…そんなお願いをできるのはご主人様しかいません…。
- バニラA1:
で、ですので…。
- バニラA1:
少しだけ…お時間をいただけないでしょうか?
- もちろん。
- 時間はないけど、バニラの頼みなら何とかしてみるよ。
- バニラA1:
そ、そうですか…。
- バニラA1:
わ、私も…一人で休むより…ご主人様のような方と一緒に過ごしたほうが
気が休まります…ので。 - バニラA1:
では、ゆっくりお休みください。
- 主人公:
- 頑張って隠そうとしているが、前を向いたバニラの口元には
隠し切れていない笑みがこぼれていた。 - 主人公:
- さて…水泳大会の日まで何をしようか?
- 近くの森でも散歩するか。
- 海にでも行ってみるか。
- もっといい何かがあるはず…。
- 主人公:
- 森で爽やかな空気を吸うのも悪くはないだろう。
- 主人公:
- くつろいでいた椅子から立ち上がり、近くの森に向かった。
- エルブン・フォレストメーカー:
ふぅ、疲れた…。
- エルブン・フォレストメーカー:
森よ、私に力を分けてちょうだい…。
- ダークエルブンフォレストレンジャー:
体中すごく痛い…。
- エルブン・フォレストメーカー:
あんなにずっと緊張してたら、そうもなるわよ…。
- エルブン・フォレストメーカー:
少しでも判断をミスってたら大変なことになってたんだし…。
- ダークエルブンフォレストレンジャー:
……。
- エルブン・フォレストメーカー:
でも…ダークエルブンがあんなに必死になって戦うの…初めて見たわ。
- ダークエルブンフォレストレンジャー:
と、当然でしょ。私たちが倒れたらあいつが危なかったんだし…。
- ダークエルブンフォレストレンジャー:
そういうエルブンもすごく真面目に戦ってたじゃない?
いつも戦闘は「ストレス解消だ~」とか言ってるくせに。 - エルブン・フォレストメーカー:
私だってダークエルブンと同じ気持ちよ?
- エルブン・フォレストメーカー:
とにかく司令官が無事で本当によかったわ。
- ダークエルブンフォレストレンジャー:
…うん。
- エルブン・フォレストメーカー:
あ、そうそう。あれはいつにする?
- ダークエルブンフォレストレンジャー:
何のこと?
- エルブン・フォレストメーカー:
もう忘れたの?私が代表してご褒美くださいって言ったあれよ。
- エルブン・フォレストメーカー:
ふふ…、これなら水泳大会も出なくていいわ…。
- ダークエルブンフォレストレンジャー:
……!
- ダークエルブンフォレストレンジャー:
ひ、ひとまず今はあいつも休まないといけないんじゃない…?
それはちょっと後で… - エルブン・フォレストメーカー:
え…?司令官にとってはそれが休むことになるんじゃないの?
- ダークエルブンフォレストレンジャー:
う…。
- エルブン・フォレストメーカー:
わかったわかった~。後で一緒に聞きに行こう?それでいい?
- エルブン・フォレストメーカー:
私も今は疲れてて…司令官の相手なんてできないと思うわ…。
きっとすぐ気絶する… - 主人公:
- 足の赴くままに森の中を歩いていると、二人のエルフを発見した。
- 主人公:
- どうしようかと少し考えた後、話しかけることにした。
- ちゃんと休んでるか?
- エルブン・フォレストメーカー:
あれ?
- ダークエルブンフォレストレンジャー:
あ、あんた…!?
- エルブン・フォレストメーカー:
なになに?司令官から来てくれるなんて思ってもみなかったわ。
- ちょっと散歩してたんだ。
- エルブン・フォレストメーカー:
司令官疲れてるんじゃない?一緒にここで休みませ~ん?
- うん、そうしようかな?
- ダークエルブンフォレストレンジャー:
ちょっと……!
- エルブン・フォレストメーカー:
ふふ…。
- エルブン・フォレストメーカー:
ほら、私たちの間に寝て寝て…!
- 主人公:
- エルブン・フォレストメーカー:
気持ちいい…。
- だな…。
- ダークエルブンフォレストレンジャー:
……。
- エルブン・フォレストメーカー:
森のエネルギーをたくさん吸い込むの…。
疲れなんかすぐにとれちゃうはずよ。 - 確かに。
- 主人公:
- エルブンとダークエルブンが木の葉っぱを敷き詰めて作ってくれた
簡易ベッドに三人で寝そべり、爽やかな空気を吸い込んだ。 - 主人公:
- 木々の隙間から吹いてくる爽やかな風が髪を心地よくなびかせる。
- 主人公:
- 俺の左側で森林浴を満喫していたエルブンが俺の方を向いた。
- エルブン・フォレストメーカー:
ねぇ、司令官。私が今何を言おうとしているか当ててみてよ?
- 眠たくなってきたとか?
- いいよ。
- エルブン・フォレストメーカー:
う~ん…寝るっていうのは合ってるけど~。
- 主人公:
- エルブンは俺の腕を掴んで、自分の頭に持ってきて腕枕にした。
- 主人公:
- すると反対側にいたダークエルブンもモジモジしながら俺の腕を掴んだ。
- エルブン・フォレストメーカー:
へへ。
- 主人公:
- 俺が両腕を広げると二人はそれぞれ頭を乗せた。
- エルブン・フォレストメーカー:
さっきよりもずっといい気持ち~
- ダークエルブンフォレストレンジャー:
……。
- エルブン・フォレストメーカー:
あっ、そうだわ。
- エルブン・フォレストメーカー:
司令官、セレスティア様とはお話しした?
- うん。少しだけな。
- 主人公:
- エルブンにセレスティアについての話をした。
- 主人公:
- すると会話に入らず静かにしていたダークエルブンが、
不満げに俺の胸を軽く叩いた。 - ダークエルブンフォレストレンジャー:
…あんた、何でそんな話ばっかりするの?
- どうした?
- ダークエルブンフォレストレンジャー:
い、今せっかく私たちと一緒にいるのに…。その…、それなのに…
- エルブン・フォレストメーカー:
くくっ…!ぷはははは!
- エルブン・フォレストメーカー:
やっぱり、危機を乗り越えると成長するみたいね~!いけいけ~!
- ダークエルブンフォレストレンジャー:
う、うるさいわね!
- エルブン・フォレストメーカー:
わかる、わかるわよ。すんご~く愛してる司令官が、
下手したら死んじゃうかもしれなかったんだもんね~? そう考えたら、一緒にいるこの時間のありがたみもひとしおよね~ - ダークエルブンフォレストレンジャー:
ちょっと!
- 主人公:
- 楽しそうに笑うエルブンの口を塞ごうとして、
ダークエルブンは俺に覆い被さった。 - ダークエルブンフォレストレンジャー:
あ…ご、ごめん。
- 大丈夫。
- 確かに積極的になったな。
- 主人公:
- ダークエルブンは顔を赤らめて元の場所に戻った。
- エルブン・フォレストメーカー:
え?何で?ずっとそのままじゃないの?
- エルブン・フォレストメーカー:
じゃあ私が~
- 主人公:
- ダークエルブンの代わりに今度はエルブンが乗っかってきた。
- エルブン・フォレストメーカー:
ちょっとだけこうしてるけど。いいよね?
- ダークエルブンフォレストレンジャー:
わ、私も…。
- ダークエルブンフォレストレンジャー:
きゃっ…!?
- ダークエルブンフォレストレンジャー:
……。
- 主人公:
- ダークエルブンを抱き寄せるとしばらく硬直していたが、
次第に体から緊張が解けていくのを感じた。 - 主人公:
- ダークエルブンは恥ずかしそうに俺の胸に頭を乗せる。
- ダークエルブンフォレストレンジャー:
あ、あんた…ちょっとだけこうしてるから……。
ちょっとだけ…だから… - エルブン・フォレストメーカー:
じゃあ私も~
- 主人公:
- 本物の妖精ではないけれど、森の中で二人のエルフと穏かな時間を過ごした。
- 主人公:
- くつろいでいた椅子から立ち上がり、近くの海に向かった。
- 主人公:
- 近くのビーチに到着すると、見慣れた顔が俺を歓迎してくれた。
- P-22ハルピュイア:
あっ、司令官!
- やぁ、ちゃんと休んでるか?
- P-22ハルピュイア:
うん。
- 主人公:
- ハルピュイアは読んでいた本にしおりを挟むと俺を見た。
- P-22ハルピュイア:
司令官は休まないの?
- ちょっと散歩しに来た。
- P-22ハルピュイア:
え~っと…
- 主人公:
- しばらく厚めの本のカバーを撫でていたハルピュイアが、
何か思い出したように他の本を取り出した。 - P-22ハルピュイア:
ねぇ、司令官。ちょっと時間ある?
- うん。あるよ。
- P-22ハルピュイア:
じゃあさ…この本、一緒に読まない?
- 何の本だ?
- 主人公:
- ハルピュイアが渡してきた本にはカバーが掛けられていて
タイトルが見えなかった。 - P-22ハルピュイア:
う、うん…ただの小説だよ。
- P-22ハルピュイア:
難しい本じゃないから楽に読めると思うわ。
- わかった、それなら…
- 主人公:
- 俺が近づくとハルピュイアはハンモックから起き上がり席を譲ってくれた。
- ん?ハルピュイアはどこに座るんだ?
- P-22ハルピュイア:
えへへ…。いいからいいから、ここに寝て。
- 主人公:
- 俺は言われるがままにハンモックに寝転がる。
するとハルピュイアは俺に後ろから抱かれるようにハンモックに乗った。 - P-22ハルピュイア:
苦しくない?
- 大丈夫。
- P-22ハルピュイア:
えへへ。じゃあ早速読もうか。
- 主人公:
- 本はごく普通の恋愛小説だった。
- 主人公:
- 最初の章を半分くらい読んだところで、ハルピュイアが顔を
こっちに向けて聞いてきた。 - P-22ハルピュイア:
ここ、読み終わった?
- もうちょっと。
- P-22ハルピュイア:
…あのね。
- 主人公:
- ハルピュイアが本から片手を離すと、俺の手をそっと握った。
- P-22ハルピュイア:
ま、毎回口で確認するのってちょっとアレじゃない…?だから…。
- P-22ハルピュイア:
開いてるとこ読み終わったら…こうやって、手を…そっと握って…。
わかった? - …わかった。そうする。
- 主人公:
- 俺がまた活字の方に目をやると、ハルピュイアは何度も指をもぞもぞとさせる。
- そんなに触られると集中できないんだが?
- P-22ハルピュイア:
じゃあ早く読めばいいじゃない~
- 頑張ってみる。
- 主人公:
- ページをめくるスピードは次第に遅くなっていく…。
誰もいないビーチで、二人で同じ本を楽しむというのはなかなか新鮮な経験だった。 - 主人公:
- うーん…水泳大会の日まで何をしよう?
- ちょっとゲームでもするか。
- 近くからマジカル☆パワーを感じる…。
- う~ん…もう少し…
- 主人公:
- 時間ができたのだから、最近ハマッているゲームをすることにした。
- 主人公:
- あっ、そうだ。一人で遊ぶより…せっかくだし…
- T-9グレムリン:
ああ…。
- T-9グレムリン:
結局、司令官が全部解決しちゃうなんて…。
- T-9グレムリン:
私なんか…必死こいて仕事一つやり遂げただけ…な~んにも役に立てなかった…
- T-9グレムリン:
そうじゃない?
- コネクターユミ:
わ、私は…司令官がご無事でよかったなと思いますよ。
- T-9グレムリン:
まぁ、それはそうなんだけど…。
- T-9グレムリン:
はぁ…!もう少し早くわかってたら~…!
- T-9グレムリン:
…ところでユミ…、いつまでそうしてるつもり?
- コネクターユミ:
はい?何がですか?
- T-9グレムリン:
だから…。
- T-9グレムリン:
ベッドの上で泳ぎの練習しても意味ないでしょ!
- コネクターユミ:
あ…いや…、何もしないよりはいいと思いまして…。
絶対に1位になりたいんです…。 - T-9グレムリン:
みんなどんだけ泳ぎが上手いのか知って―
- T-9グレムリン:
いや、ううん、何でもない。
とりあえず頑張って…。 - T-9グレムリン:
ふぅ…私は今日も~司令官の顔も見れないまま~、
いつものごとくゲームでもするか~ - コネクターユミ:
あれ?誰か来ましたよ?
- T-9グレムリン:
誰だろう?
- T-9グレムリン:
どうぞ~お入りくださ~い。
- 主人公:
- グレムリンの部屋のドアをノックすると、驚いた顔のグレムリンとユミが
出迎えてくれた。 - T-9グレムリン:
…あ……?
- コネクターユミ:
ししししし司令官!?!?
- ユミもいるのか。入ってもいいか?
- T-9グレムリン:
は、はい…ど、どうぞお入りください…。
- 主人公:
- よく言えば生活感溢れる散らかった部屋に入ると、ベッドの上からぼんやりと
俺を見つめていたユミが、慌てて布団を被った。 - コネクターユミ:
し、司令官!ななな…!何のご用でしょうか…?
- ちょっと時間ができたからゲームでもしようと思って。
- T-9グレムリン&コネクターユミ:
本当ですかぁ!?
- 主人公:
- 想像以上に激しい反応で俺の方がびっくりしていると、
二人は目を輝かせながら俺に迫ってきた。 - T-9グレムリン:
私たちと一緒にプレイしようと思って来てくれたんですか!?
- コネクターユミ:
司令官、IDは何ですか?
- えっと―
- T-9グレムリン:
ももも!もちろんスチオンですよね?そうですよね!?
へへっ、まだ他のゲームはありませんし!! - コネクターユミ:
あ、あの正体不明のユーザーって!ほ、本当に司令官なんですか!?
- ひとまず―
- T-9グレムリン:
あっ、でも3人プレイは中途半端だよね…誰かいないかな?
- コネクターユミ:
司令官のメインキャラは何ですか?私は―
- 俺にも喋らせてくれ…。
- T-9グレムリン:
あ…あはは…
- T-9グレムリン:
すみません。興奮しちゃって…つい…
- コネクターユミ:
わ、私も…。すみません…
- 主人公:
- 何とか二人を落ち着かせて、床に座った。
- 主人公:
- そして、やっとグレムリンとユミの格好に気が付いた。
- グレムリンはともかく…ユミは何で水着なんだ?
- コネクターユミ:
……!
- コネクターユミ:
ああぁ…ちょっ!ちょっと待っててくださいね。
すぐに―きゃっ!? - 主人公:
- どこかに逃げようとしたユミをグレムリンが捕まえた。
- T-9グレムリン:
あはは…。ユミは水泳大会に備えてイメージトレーニングと…
- T-9グレムリン:
司令官とのデートに備えて練習―もがぁっ!
- 主人公:
- グレムリンは顔を真っ赤にしたユミが投げた枕に当たって倒れた。
- コネクターユミ:
た、ただ…サイズが合うかどうか試しに着てみただけです。
- T-9グレムリン:
というか、私を見ても驚かないんですね…?
- T-9グレムリン:
司令官はもう下着姿を見ても何とも思われないようですね…。
- はは…。
- 人間は適応していく動物だからな。
- コネクターユミ:
あの、司令官…。
- コネクターユミ:
この水着…どう、ですか…?
- 可愛いよ。ユミによく似合ってる。
- う~ん…可愛いと思うよ?
- コネクターユミ:
……!
- 主人公:
- 俺の答えを聞いたユミはベッドに飛び込むと同時に布団を被った。
- あ…。
- T-9グレムリン:
大丈夫です。大したことありません…よくあることです。
- T-9グレムリン:
司令官、ユミが落ち着くまで私とデュオでプレイしませんか?
- いいよ。
- 主人公:
- すぐに落ち着きを取り戻したユミは第2ステージから合流した。
- 主人公:
- ゲーム中、ああだこうだ言い合ったり、ユミが冷蔵庫から出してきたビールを
飲んだりしながら、短いけども楽しい時間を過ごした。 - 主人公:
- くつろいでいた椅子から立ち上がりマジカル☆パワー…
ではなくて魔法少女たちの声がする方に向かった。 - 魔法少女マジカル白兎:
よし。これで完成です。
- 魔法少女マジカル白兎:
完璧に描いたから、これで儀式の時にマジック・ジェントルマンのパワーを
ちゃんと受け取れるはず。 - ポックル大魔王:
こ、これ…ただの絵の具じゃない…?
- 魔法少女マジカル白兎:
まだそんなことを言うの…
- 魔法少女マジカル白兎:
やっぱり…第三の儀式はまだ早いかも…。
- 魔法少女マジカル白兎:
そんな心構えで第三の儀式に臨んでも待っているのは破滅のみ。
- 魔法少女マジカル白兎:
最後のチャンスよ…。今ならやめてもいいわ。
- ポックル大魔王:
そ、それは…
- ポックル大魔王:
…わかった…。儀式を受けます…。
- ポックル大魔王:
私もマジック・ジェントルマンに…
- うわああああ!?
- ポックル大魔王:
きゃああああ!?
- 魔法少女マジカル白兎:
ジェ、ジェントルマン…?どうしてここに…?
- 主人公:
- 魔法少女たちの声がする方に歩いて来たら、あまりにも衝撃的な光景を目にし、
思わず悲鳴を上げてしまった。 - ポ、ポックル…これは一体…。
- ポックル大魔王:
こ、これはですね!えっと…!!
- 魔法少女マジカル白兎:
ちゃんと結界を張ったはずなのに…。
- 魔法少女マジカル白兎:
そうか…。儀式の時が近づいて…月のパワーが弱まっていたのか…!
- 魔法少女マジカル白兎:
ポックル、ごめん。これ以上はもう待てない。
- ポックル大魔王:
え…!?
- 魔法少女マジカル白兎:
マジック・ジェントルマン。よろしくお願いします。
- 魔法少女マジカル白兎:
突然ですが…ポックルと一緒に第三の月の儀式をしてください!
- おぉぉい!ちょっと待て…!
- ポックル大魔王:
きゃああああ…!
- ポックル大魔王:
は、白兎…!
- 主人公:
- 何が何でも第三の儀式をさせようとする白兎は、
ポックルと俺が「月の名に誓って儀式をする」と言うと、 それは晴れ晴れとした顔でどこかに消えていった。 - 主人公:
- そして…
- ポックル大魔王:
ご、ごめんなさい…。こんなつもりじゃなかったんです…。
- …色々大変だな。
- ポックル大魔王:
ふぇえ…
- ところで…そのお札は…何なんだ?
- ポックル大魔王:
それが…白兎が私のために用意した水着だって言っていたんですが…
- 水着………?
- 主人公:
- ポックルの体にベタベタと貼り付けられた物はどう見てもお札で…
水着ではない…。 - ポックル大魔王:
水着というのは、結局…男女が結ばれるために着るものだから…
この機会に第三の儀式をさせてくれるはずだって…。 - 大体想像はつくな…。
- ポックル大魔王:
これは…儀式を行う前にマジカルパワーを弱めるための御守りだそうです…。
- 主人公:
- 半泣きで律儀に説明してくれるポックルに手を差し伸べた。
- とりあえず行こう。タオルでも持ってこようか?
- ポックル大魔王:
……。
- ポックル大魔王:
あの、ジェントルマン…?
- 主人公:
- ポックルは何かを決心したように俺の手を掴んだ。
- ポックル大魔王:
つ、月の名に誓ったことを破ると…だ、大変なことになるって言っていました。
- そ、そうなのか?
- 主人公:
- ということは…
- ポックル大魔王:
で、ですから…その…私と……………!
- ポックル大魔王:
…す、すみません。やっぱりまだ…心の準備が…。
- ポックル大魔王:
ふぇん…白兎にすごく怒られるだろうな…。
- 主人公:
- また泣き出しそうなポックルをなだめるのに半日かかった。
カンカンに怒った白兎を説得するのも同じくらいの時間がかかった…。 - 主人公:
- 本当に…魔法少女たちは不思議だなぁ…
- 主人公:
- むむむっ…水泳大会の日まで何をして過ごそうか!?
- そういえばご褒美が欲しいって言ってた隊員たちがいたな。
- やっぱりここで休もう。
- 初めから考え直してみよう…。
- 主人公:
- 恐らくどこかで休んでいるはず…。
- 主人公:
- 今回の事件で大きな助けとなった隊員たちが、休息をとっていそうな
場所へ向かった。 - A-1ブラッディパンサー:
なんだ、あの子はまだ来てないのか?
- A-14Bスプリガン:
テコでも動かないのよ…隊長が何とかしてよ。
- A-1ブラッディパンサー:
わかった。そこをどいてくれ。
- A-1ブラッディパンサー:
イオ。司令官のところに行かないといけないんだ、早く出てこい。
- A-6イオ:
で、でも…私は今回…何の役にも立てませんでした…。
- A-6イオ:
皆さんが一生懸命戦っている間…私は…。
- A-1ブラッディパンサー:
お前の分まで私たちが戦ったんだから。そんな小さなこと言ってないで出てこい。
- A-6イオ:
……。
- A-1ブラッディパンサー:
はぁ…。
- A-1ブラッディパンサー:
スプリガン。私がいつもしつこく大切だと言っていることはなんだ。
- A-14Bスプリガン:
成果はみんなのもの、責任は隊長が持つもの。
- A-1ブラッディパンサー:
そうだ。私が百回以上言っていることを忘れていないのなら、早く出てこい。
- A-6イオ:
……。
- A-6イオ:
ちょ、ちょっと待ってください…。
- A-1ブラッディパンサー:
わかった。
- A-1ブラッディパンサー:
じゃあ…その間に、私たちは順番でも決めておくか。
- 主人公:
- 予想通りアーマードメイデンは宿所にいた。
ところが… - 遊びに行くところか?みんな揃って水着だな。
- A-1ブラッディパンサー:
あぁ。司令官どうなさいましたか。
- A-6イオ:
し、司令官…?
- A-6イオ:
わ、私…
- A-6イオ:
私、部屋に行ってます…!
- A-1ブラッディパンサー:
おっ、そうか。じゃあ着替えておけ。
- A-1ブラッディパンサー:
今ちょうど司令官に会いに行こうとしていました。
- A-1ブラッディパンサー:
私たちの宿所へどうぞ。
- いきなりだな?
- A-1ブラッディパンサー:
今さら何を仰いますか。初めてでもないでしょうに…。
- 何の…あ。
- A-1ブラッディパンサー:
ふふ、思い出されましたね?
- A-1ブラッディパンサー:
約束通り、司令官と私たち全員、無事に戻ってこれました。
- A-1ブラッディパンサー:
あっ、もしかして今はお時間がないとか…?
- いや。俺もちょうど休もうとしていたところだ。お邪魔するよ。
- A-1ブラッディパンサー:
さすがは司令官、もう臨戦態勢ですか…。すごい…。
- A-1ブラッディパンサー:
何だ。イオ、まだ着替えてなかったのか?
- A-14Bスプリガン:
どう?これでもまだ隊長より偉くなりたいって思ってんの?
- A-54カリスタ:
……。
- A-54カリスタ:
まぁ、あともう少しくらい隊長の下にいてあげてもいいわね。
- A-14Bスプリガン:
ぷっ。
- A-54カリスタ:
何で笑うのよ?
- A-1ブラッディパンサー:
何をしてる。司令官を待たせるな。
- A-14Bスプリガン:
行きま~す、隊長~!
- 主人公:
- せっかくだし、ここで休むことにして、椅子に体を預けた。
- 主人公:
- 俺も少し疲れていたのか、やってきた睡魔に身を委ねようとしたが、
誰かがやってくる気配を感じた。 - …そうだな、二人きりで休むのも悪くない。
- 主人公:
- 椅子から立ち上がり、俺の大切な副官を迎え入れた。