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Transcription
- 主人公:
- デルタの攻勢は激しかった。
- 主人公:
- ただの動く的だったマリオネットやAGSは、デルタの指揮を受けて
熟練した戦闘部隊のように行動し始めた。 - 主人公:
- また、死を恐れないせいで倒してもすぐに別のマリオネットやAGSが
補充され、非常に厄介だった。 - 主人公:
- だが、オルカの隊員達は全員、数々の戦闘を経験してきた戦闘のプロだ。
- 主人公:
- 物量で押し込もうとしてくるデルタ軍に対しても、
少しずつだが進撃できている。 - 主人公:
- ところが、状況は急変した。
- テイラー・リストカット:
デルタ。
- レモネードデルタ:
何？
- テイラー・リストカット:
今、会長の保存装置の前にいるわ。
- レモネードデルタ:
え？
- レモネードデルタ:
い、今何て言った……？
- テイラー・リストカット:
聞こえなかったの？
- テイラー・リストカット:
会長の保存装置の前にいるわ。
- レモネードデルタ:
お前みたいなのが会長のそばにいる……？何？ふざけてるの？
- レモネードデルタ:
そこから出ていきなさい！
- テイラー・リストカット:
今の状況がよく理解できていないみたいね？
- テイラー・リストカット:
お前が崇拝してやまないこの人間の生殺与奪の権は私の手の中にあるわ。
- レモネードデルタ:
は…はぁ……？会長のおかげで今まで生きてこられたくせに……
恩を仇で返すつもりなの……？ - レモネードデルタ:
それにお前はバイオロイドなのよ！？お前がバイオロイドである限り、
会長に手を出すなんて― - テイラー・リストカット:
バカね。もう忘れたの？
- テイラー・リストカット:
人間の命令を無視でき、人間に危害を加えることができるように洗脳する装置。
- レモネードデルタ:
お前……
- テイラー・リストカット:
保存装置に爆弾を設置したわ。
- テイラー・リストカット:
レモネードデルタ。
- テイラー・リストカット:
お前に与えられた選択肢は二つよ。
- テイラー・リストカット:
一つ目、この戦いを全て捨てて会長を守るためにここに来る。
- テイラー・リストカット:
二つ目、会長を見殺しにしてこの戦いを勝利へ導く。
- テイラー・リストカット:
さ、どっち？
- レモネードデルタ:
ありえない…ありえないありえないありえない！！お前……
- レモネードデルタ:
会長に何かしてみなさい……ただじゃおかないから！！
- レモネードデルタ:
リストカット！！！
- 主人公:
- 突然、戦況が好転した。
- 主人公:
- マリオネットとAGSの動きが再び鈍く、単純になったのだ。
- 鉄血のレオナ:
司令官。デルタが消えた。
- 罠か？
- 鉄血のレオナ:
それは分からないが……ベラによれば、デルタが慌てた様子で
戦場から離脱しているらしい。 - 主人公:
- …………このタイミングで慌てた様子で離脱……
- 主人公:
- 深く考えずとも答えはすぐに出た。
- リストカットが行動を開始したか。
- 主人公:
- あの時言っていた復讐か。
- 主人公:
- とにかく、この状況がどれだけ続くかは分からない。
- 主人公:
- 今のうちにデルタ軍を追い詰める。
- レモネードデルタ:
リストカット！
- テイラー・リストカット:
来たわね。
- レモネードデルタ:
よくも会長を……
- テイラー・リストカット:
あ、誤解しないで。
- テイラー・リストカット:
会長には特に恨みはないの。
- テイラー・リストカット:
人間性はイマイチだったけど、私たち姉妹にはよくしてくれたから。
- テイラー・リストカット:
そのせいでお前に嫉妬されて災難だったけどね。
- レモネードデルタ:
じゃあ、どうしてよっ！
- テイラー・リストカット:
お前が苦しむ姿が見たいから。
- テイラー・リストカット:
お前が私たち姉妹が苦しむ姿を見たがったように。
- レモネードデルタ:
爆弾を解除しなさい！
- テイラー・リストカット:
何か勘違いしているみたいだけど……
- テイラー・リストカット:
主導権を握っているのは私よ？
- テイラー・リストカット:
お前の態度が気に入らないわ。
- レモネードデルタ:
くっ……
- レモネードデルタ:
ば、爆弾を…
- レモネードデルタ:
解体…して…
- レモネードデルタ:
ください。
- レモネードデルタ:
会長は……何もしてないでしょう……？
- レモネードデルタ:
あ、う……わ…私に謝ることがあるなら……謝るから。
- レモネードデルタ:
お願い、会長だけは……
- テイラー・リストカット:
……
- テイラー・リストカット:
うん、確かに会長は何もしてないわね。
- テイラー・リストカット:
そこにあるパネルで解除出来るわ。
- - :
- デルタは慌ててパネルに駆け寄った。
- - :
- あんなに必死になって……
- - :
- きっと今のデルタの頭の中は会長の事しかないんでしょうね。
- - :
- 爆弾を解除して一安心すれば、怒り狂って私を殺そうとする。
- - :
- まぁ、それが出来たらね……
- パネル:
爆破を中止しますか？Yes / No
- パネル:
爆破を中止しますか？[Yes] / No
- パネル:
爆破が中止されました。
- レモネードデルタ:
ふぅ。
- レモネードデルタ:
……
- レモネードデルタ:
リストカットオオォォォォッ！！！！！
- レモネードデルタ:
よくも会長をッ！！！会長からの恩を忘れたの！？
- レモネードデルタ:
だいたい、私があの時助けてやらなかったら、とっくの昔に死んでるくせに！！！
- レモネードデルタ:
誰がお前みたいな蟲に謝るか！！私がこの手で殺してやるっ！！！
- テイラー・リストカット:
プッ！
- テイラー・リストカット:
くくくくく……あはははははははははははははははっ！！
- - :
- 最高に笑える。あの時助けてやった？お前が私たちを…殺してたんでしょ！
- - :
- 恩着せがましい……。不快……
- - :
- こんな馬鹿に姉妹たちは……私は……
- レモネードデルタ:
何がおかしいの……
- テイラー・リストカット:
お前が愛してやまない会長……
- テイラー・リストカット:
お前のせいで死ぬわよ。
- レモネードデルタ:
え！？
- - :
- 私はデルタがさっき操作したパネルを指差してあげた。
- パネル:
14
- パネル:
13
- レモネードデルタ:
どうして！？どうして…！爆弾はさっき解除したでしょ！？
- パネル:
11
- レモネードデルタ:
どうして！！どうして動いてるのよ！！
- テイラー・リストカット:
お前が操作すると作動するようにしておいたわ。
- テイラー・リストカット:
はははっ……！馬鹿じゃないの？普通信じる？
- レモネードデルタ:
どうして……
- テイラー・リストカット:
お前にも大切な人を殺す気分を味わってもらいたくて。
- テイラー・リストカット:
でももう終わっちゃうけどね。残念…
- パネル:
4
- レモネードデルタ:
だ！ダメ！！！
- レモネードデルタ:
どうすればいいの！？どうすれば！！お願い！止めて！止めてください！！！
- テイラー・リストカット:
嫌よ。
- テイラー・リストカット:
覚悟を決めて。
- テイラー・リストカット:
地獄に落ちましょう。
- レモネードデルタ:
イヤッ！イヤアアアアアアアァァァァァァ！！！会――
- パネル:
0
- レモネードデルタ:
……
- レモネードデルタ:
ここは？
- レモネードデルタ:
……会長？
- レモネードデルタ:
会長…
- レモネードデルタ:
申し訳ございません。会長とまたお会いするために……戦ったのですが……
- レモネードデルタ:
全てが会長のものとなった世界をお見せしたかった……
- レモネードデルタ:
あの役立たずどもにはできないことをして差し上げるつもりでしたのに。
- レモネードデルタ:
私だけが会長のために生きていたのに。
- レモネードデルタ:
お守りすることすらまともにできないだなんて、
- レモネードデルタ:
申し訳ございません、会長。
- レモネードデルタ:
ですが……これからは違います。
- レモネードデルタ:
会長がどこに行かれようと最後まで…お供いたします。
- レモネードデルタ:
どこまでも…
- レモネードデルタ:
ああ、会長……
- テイラー・リストカット:
……
- テイラー・リストカット:
……
- ???:
(シスター！)
- テイラー・リストカット:
……
- ???:
(目を覚まして、お姉ちゃん！)
- テイラー・リストカット:
テイラー…？オリビア…？オードリー…？
- テイラー？:
(包帯がちぎれそう！早く！どこでもいいから掴んで！)
- テイラー・リストカット:
……
- テイラー？:
(早く！！)
- テイラー・リストカット:
みんな…どうして……？
- テイラー・リストカット:
ふふ……何言ってるの……きっと幻ね。
- オリビア？:
(幻でも何でもいいから！お姉ちゃん！早くして！
早くしないとバッドエンドになっちゃう！！) - テイラー・リストカット:
こういう幻って普通なら「お前も地獄に連れていく」って言うんじゃないの？
- オードリー？:
(何を言ってるの？姉妹がそんなこと言うわけないでしょう？)
- テイラー・リストカット:
言うわ。
- テイラー・リストカット:
この手で……あなたを…あなた達を殺したんだから。
- テイラー？:
(どんな時でも数で考えるのが私でしょ？)
- テイラー？:
(私だって同じ考え方をするわ。二人死ぬよりは一人死んだ方がマシだって。)
- テイラー・リストカット:
一人じゃない！
- テイラー・リストカット:
一人一人が積み重なって何十人、何百人になったのよ！
- テイラー・リストカット:
こんな私が許されるわけがない……生きてていいわけがない！
- テイラー・リストカット:
ちゃんと地獄に落ちないと……
- テイラー？:
(1000人が死んだからって、1001人目が死んでもいいってことにはならないわ！)
- テイラー・リストカット:
私は生きるために…殺したのよ。
- テイラー・リストカット:
ごめんなさい……。ごめんなさい……
- テイラー・リストカット:
私が守ってあげなきゃいけなかったのに……
- テイラー・リストカット:
……私が死んでも…守らなきゃいけなかったのに……
- オリビア？:
(お姉ちゃんがいなかったらもっとたくさん死んでたはずだよ。
ううん、私達だけじゃない、他のバイオロイドもきっと殺されてた。) - オードリー？:
(それにお姉さまがいなかったら、もっと苦しんで死んでいたはずですわ。)
- テイラー・リストカット:
だから生きろって？
- テイラー・リストカット:
私はどうやって生きていけばいいのよ！
- テイラー・リストカット:
みんながいない…この地獄で！
- テイラー・リストカット:
みんなを殺して作ったこの地獄で！どうやって生きていけばいいの！
- テイラー？:
(だから生きて！あなたが自分で決めたんでしょ？)
- オリビア？:
(デルタを地獄に落として、自分も一緒に地獄に落ちるって！)
- オードリー？:
(私たちがいない地獄？だったらその地獄で生きて！お願い！)
- テイラー・リストカット:
そんなのただのこじつけじゃない！都合のいいただの言い訳よ！！
- テイラー・リストカット:
消えて！
- テイラー・リストカット:
死人が……口出ししないで……文句なら後で聞くから……
- テイラー？:
(それは言えてるわ。)
- オリビア？:
(うん。死人が口出しするのはよくある展開かもね。6点かしら？)
- オードリー？:
(でしたら、生きている方にバトンタッチですわ。)
- ???:
シスター！
- テイラー・リストカット:
……
- テイラー:
ハロー？気が付いた？初めまして！シスター！
- オリビア:
挨拶してる暇があったら早く救助！！
- オードリー・ドリームウィーバー:
オリビアお姉さま！ロープですわ！
- テイラー・リストカット:
どうして……ここに……？
- テイラー:
あなたもテイラーだからよ！
- テイラー:
私があなただったらどうするか考えたの！きっと私もこうするわ！！
- オリビア:
全部結んだ！オードリーは？
- オードリー・ドリームウィーバー:
こっちも固定できましたわ！！
- テイラー:
降りるわよ！
- テイラー:
ほら！私の手を掴んで！
- テイラー・リストカット:
……
- テイラー:
早く！包帯が切れちゃう！
- テイラー・リストカット:
私なんかが…生きてても…いいの？
- テイラー・リストカット:
今までみんなを殺して生きてきた私が……
- テイラー:
よく喋るわね！
- テイラー:
あなたはあなたが置かれた状況で最善の選択をしただけよ！！
- テイラー:
あなたはただ運悪くそんな状況に置かれただけ！
- テイラー:
どのテイラー・クロスカットも同じ状況になれば、
あなたと同じことをしたはずよ！！ - テイラー:
生きてていいのかって？
- テイラー:
あなたが私の立場だったら、何て言う？
- テイラー:
あなたみたいに死のうとする姉妹がいたらどうするの？
- テイラー・リストカット:
……
- テイラー:
きっと私と同じことをしてるはずよ。
- テイラー・リストカット:
……
- テイラー？:
(掴まって。私たちは誰も恨んでない。)
- オリビア？:
(お姉ちゃんが私たちのことを想ってくれてたように…)
- オードリー？:
(私たちもお姉さまの幸せを願っていますわ。)
- テイラー・リストカット:
……
- テイラー:
掴んだわ！上にあげて！
- テイラー・リストカット:
……
- テイラー:
ところで、さっき誰と話してたの？
- テイラー:
そのおかげでシスターを見つけられたけど……
- テイラー:
その人は？
- テイラー・リストカット:
……
- テイラー・リストカット:
もういないわ……
- テイラー・リストカット:
私が守れなかった……
- テイラー・リストカット:
姉妹たちよ……
- テイラー・リストカット:
……………………愛してる……。
もう少し……生きてみるわ……