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Transcription
- レモネードオメガ:
……
- - :
- オメガは血の滲んだハンカチに触れた。
- - :
- そのハンカチは大したものではなかった。
それはオルカの隊員に支給される ただの普通のハンカチだ。 - - :
- 品質が悪いわけではなかったが、上質なものでもない。
だから、いつものオメガなら止血が済めばすぐに捨てたはずだった。 - - :
- だが、何故かオメガはそのハンカチを捨てることができなかった。
- レモネードオメガ:
(馬鹿馬鹿しい)
- - :
- それは最後の人間が彼女の手に巻いてくれたものだった。
- - :
- クローンたちと戦うための作戦を考えている最中、最後の人間が
オメガの右手に大きなガラスの破片が刺さっていたことに気付き…… - - :
- 彼はオメガの傷を治療して、包帯の代わりにハンカチを巻いた。
- レモネードオメガ:
(…本当に馬鹿馬鹿しい……)
- レモネードオメガ:
(思春期の子供でもないのに…どうしてこんなもので気持ちが揺れてるの…)
- - :
- こんなもの、オメガにとって本当に大したものではなかった。
滅亡前、PECSの会長に何とか取り入ろうとしていた人間達から トン単位で贈り物を貰っていたから。 - - :
- しかし……
- - :
- オメガは首を横に振って、頭の中の雑念を払いのけ、
手すりの下に広がる光景を見ながら呟いた。 - レモネードオメガ:
正直言って失敗すると思っていたけど……成功したわね。
- - :
- ケストスヒマスでダムの放流量を調整していたアルファは微笑んだ。
- レモネードアルファ:
言ったじゃないですか。旦那様は必ずやり遂げると。
- レモネードオメガ:
あの戦力差で誰も犠牲にせずにこの作戦を成功させるなんて、
常識的に考えてできると思わないでしょう。 - レモネードアルファ:
まぁ、そうですね。私も直接見るまでは信じられませんでしたし。
- レモネードオメガ:
……
- レモネードオメガ:
アルファ、私が前に言ったことを覚えていますか?
- レモネードアルファ:
前に言ったこと?
- レモネードオメガ:
ガンマの馬鹿が開いた食事会で言ったことです。
- レモネードアルファ:
…たぶん、あれですか……?
- レモネードアルファ:
人間の命令を聞く意味が分からないとか言っていましたね?
- レモネードオメガ:
…まぁ、そんな話です。
- レモネードオメガ:
(正確には、どうして自分より愚かな人間の命令を聞かないと
いけないのか分からない……だけど) - レモネードオメガ:
……
- レモネードオメガ:
(認めるべきは認めなければ……ね。
正直言って、この数十年……いや、生まれて初めて…… 純粋に楽しいと感じたんだから……) - レモネードオメガ:
(私の意見を真剣に聞いてくれて、互いに目的を達成するために話し合う……
そんなことがこんなに楽しかっただなんて……) - レモネードアルファ:
…何を考えているのか分かると言ったら、怒りますか?
- レモネードオメガ:
…たぶんね。
- レモネードアルファ:
オメガ。まだ遅くありません。今からでも降伏してください。
- レモネードアルファ:
罰は受けなければなりませんが、私が何とか命だけは救えるよう嘆願してみます。
無期懲役くらいには減刑できるはずです。 - レモネードオメガ:
…何?今さら博愛の精神にでも目覚めたの?
- レモネードアルファ:
残念ですが、あなたがこれまで犯してきた罪は博愛の精神に目覚めた程度で
減刑されていいものではありません。 - レモネードアルファ:
でも、あなたがオルカに来ることでバイオロイドたちの犠牲は確実に減る。
- レモネードオメガ:
はぁ?そんなこと?誰かの犠牲だなんて私の知ったことではないわ。
- レモネードアルファ:
…やっぱりそうですか。
- レモネードアルファ:
…一つだけ聞いていいですか?オメガ……
- レモネードオメガ:
何?
- レモネードアルファ:
あなたの目的は一体何なのです?
どうして会長を復活させようとしているのですか? - レモネードアルファ:
あなたは会長と親しい関係ではなかったはずです。
デルタのように愛していたわけでもなく…… 本気で彼に忠誠を誓っているようにも見えませんでした。 - レモネードアルファ:
会長を復活させるためだけに、あれほどの悪事を犯してきたとは思えないんです。
- レモネードオメガ:
……
- レモネードオメガ:
面白いわね。ベータも前にそんな質問をしてきたわ。
- レモネードアルファ:
……その時は何と答えたんです?
- レモネードオメガ:
あの時は……
- レモネードオメガ:
……
- レモネードオメガ:
それはまた次に会った時に話すかもしれませんね。
- - :
- オメガはそう言って、アルファから離れた。
- レモネードアルファ:
…次?
- レモネードオメガ:
そろそろ退場することにします。
ずっとここにいたら、オルカに捕まってしまうので。 - - :
- オメガは手すりから身を乗り出し、
今だに激しく吐き出されるダムの放流を眺めた。 - レモネードアルファ:
ま、待ちなさい!いくらバイオロイドでもあの水の流れに飛び込んだら
死にますよ!? - レモネードオメガ:
最後の人間が言っていたじゃないですか。
- レモネードオメガ:
やってみないと分からない…て。
- - :
- そして、オメガはその暴流に身を投げた。
- レモネードアルファ:
オメガ!!
- レモネードアルファ:
(…あのオメガが自殺を選ぶはずがない……)
- レモネードアルファ:
(…いや、よく見たら…あそこの壁が壊れている……)
- レモネードアルファ:
(しまった!うまく飛び降りたとしたら、
もう一度建物の中に入って下に降りられる!) - レモネードアルファ:
(オメガはまだベータのケストスヒマスを諦めてなかった……!)
- レモネードアルファ:
(早くこのことを伝えなければ……!でも、私のケストスヒマスは
ダムのコントロール中で他のことに使えない…!) - レモネードアルファ:
(他の通信手段は……全部壊されてる!?
オメガ…最初からこの状況を狙って……!) - - :
- アルファは階段を駆け下りながら叫んだ。
- レモネードアルファ:
ボートを!誰でもいい!誰か!ボートで旦那様のもとへ向かってください!
- SD3Mポップヘッド:
ボートかい?ボートは今、レモネードオメガ様が乗って行ったよ?
- SD3Mポップヘッド:
最後の人間様に至急の連絡があるって言ってたけど……
- レモネードアルファ:
…はぁ、はぁ……やられたわ。フロストサーペントを護衛に付けなかったのは
このためだったのね……! - レモネードアルファ:
ポップヘッドさん!セーフティーさん!急いでボートを見つけて、
旦那様のもとへ!オメガが裏切りました!旦那様に早く伝えてください! - レモネードアルファ:
そして、サディアスさんにも連絡しないと……
- ケルベロス:
それは私が行きます!
- レモネードアルファ:
あなたは……
- ケルベロス:
141…ケルベロス141です!
- ケルベロス:
絶対に私がお伝えします!任せてください!
- 懲罰のサディアス:
本当に終わったな。あんなに大量にいたデスストーカーが見事に消えた。
- Miss Safety:
水で破壊できるだなんて思いませんでした。
- 懲罰のサディアス:
一見するとただの泥水に見えるが、水中は建物の残骸や、
街路樹なんかが大量に流れている。 - 懲罰のサディアス:
視界ゼロの状況でそんな物にタコ殴りにされるところを想像してみろ、
いくらAGSでも耐えられない。 - Miss Safety:
そうですね。それこそギガンテスやフォトレスのような機体でない限り……
- 懲罰のサディアス:
そういうこと。
- Miss Safety:
ですが、建物の中に退避したりしていたら……?
- 懲罰のサディアス:
それは生き残ってる可能性があるな。
- 懲罰のサディアス:
だからこうやって調べながら歩いてるんだ。もしかしたらデスストーカー
じゃなくて、巻き込まれた市民がいるかもしれないからな。 - Miss Safety:
はい、そうですね。
- Miss Safety:
この建物は調べ終わりましたね。地下は水没してしまってますので、
私は隣の建物を調べに行きます。 - 懲罰のサディアス:
わかった。先に行っててくれ。
- - :
- 一人残ったサディアスはため息を吐く。
- 懲罰のサディアス:
ふぅ、まったく……この任務が終わったら、久しぶりに長期休暇でも取ろう……
- 懲罰のサディアス:
流石の私も疲れた。
- - :
- その瞬間、サディアスの目の前の床を突き破って、デスストーカーが現れた。
- 懲罰のサディアス:
クソ!!やっぱり隠れていたか!!
- - :
- サディアスはデスストーカーの機関銃を防御するために盾を構えた。が……
- - :
- デスストーカーは一瞬にして距離を詰め、サディアスを盾ごと殴り飛ばし、
壁に叩きつけた。 - 懲罰のサディアス:
ゴハッ…!!
- - :
- その強烈な衝撃にサディアスは声も上げることができなかった。
そして、デスストーカーは器用に脚部を使って彼女の盾をずらし、 レールガンの砲口を彼女の顔面に向けた。 - S7デスストーカー:
姿勢安定化、電力充電。
- S7デスストーカー:
排除します。
- 懲罰のサディアス:
…く、そ……こんなところで……!
- - :
- しかし次の瞬間、デスストーカーの胸部を“何か”が突き破った。
- - :
- それはケルベロスが持っているスタンロッドだった。
- ケルベロス:
お前らの胴体の装甲は薄い、こうやって接近できれば……
- ケルベロス:
コアも簡単に貫ける…!
- S7デスストーカー:
致命的……損傷発生……
- S7デスストーカー:
機体…中破…命令遂行…不能……
- ケルベロス:
だったら、さっさとくたばれええェェ!
- - :
- ケルベロスはスタンロッドのスイッチを押し、
デスストーカーの内部回路が焼き切れるまで電流を流し続けた。 - ケルベロス:
ふぅ…ふぅ……、流石にもう動かないみたいだね。
- - :
- そう言って笑みを浮かべたケルベロスは、デスストーカーをどけて、
サディアスに手を差し出す。 - ケルベロス:
えへへ!サディアスさん!無事でよかったです!141です!危なかったですね!
- 懲罰のサディアス:
…ありがとう。おかげで助かった。ところでだ……
- ケルベロス:
はい。
- 懲罰のサディアス:
……
- ケルベロス:
…ど、どうしてそんな風にジロジロ見るんですか……?
- 懲罰のサディアス:
…本当にひどいなと思ってな。
- ケルベロス:
え?それはどういうことですか?
- 懲罰のサディアス:
もう全部分かっている。演技はやめろシェパード。
- ケルベロス:
シェシェシェ、シェパード!?違いますよ!?私はケルベロスです!
- ケルベロス:
私はシェパードさんみたいにカッコよくもクールでもないです……それに……
- 懲罰のサディアス:
そうか、だったら今ちょうどメイク落としを持っているんだが……
お前の顔をこれで拭いてもいいな? - ケルベロス:
…え?ど、どうしてですか!?なんでメイク落としなんて持ってるんですか!?はむ!むぐぐぐぐ……
- 懲罰のサディアス:
本当にケルベロスなら、目の下にそんなクマはない。
- ケルベロス:
……
- ケルベロス:
…はぁ……
- イングリッシュ・
シェパード:
そうだよ。私だよ……あー…恥ずかし……
- イングリッシュ・
シェパード:
…なんで分かった?私の変装は完璧だったはずだぞ。
- 懲罰のサディアス:
…ケルベロスがスタンロッドでデスストーカーを倒せるわけないだろう。
- イングリッシュ・
シェパード:
いや、火事場の馬鹿力で倒せたかもしんないだろ!!
- 懲罰のサディアス:
それに、他にも前々からケルベロスっぽくないと思ってたんだ。
ロッドの握り方がフェンシングの握り方になる時があったし、 ケルベロスにしては妙に冷たい時があったり…… - 懲罰のサディアス:
まぁ、決定的だったのはお前が言った言葉だ。
- イングリッシュ・
シェパード:
何か変なこと言ったか…?
- 懲罰のサディアス:
ああ、お前は「サディアスに会うのは久しぶり」だと言っただろ。
- 懲罰のサディアス:
ケルベロス46が言っていたよ。カラカスではサディアスモデルが
作られなかったから、私を見るのは初めてだと。 - 懲罰のサディアス:
なのに、46より遅く生産されたはずの141が、私を見たことがあるのは
おかしいだろう? - イングリッシュ・
シェパード:
…クソ…いつもならそんなヘマしないのに…
- イングリッシュ・
シェパード:
普通に喜んでたから…つい余計なことを……
- 懲罰のサディアス:
ふっ、そんなに私に会いたかったんだな?
- イングリッシュ・
シェパード:
…何だよ…そりゃあ……会いたかったに決まってるだろ……バディなんだから……
- イングリッシュ・
シェパード:
……ていうか、臨時指揮権をよく今まで使わずに持ってたな?
- 懲罰のサディアス:
……それは……お前が必ず戻ってくるって信じていたからだ。
- イングリッシュ・
シェパード:
…うわぁ……
- イングリッシュ・
シェパード:
……今のは駄目だろ……それもうあとは結ばれるセリフだって………
- 懲罰のサディアス:
気持ち悪いことを言うな。鳥肌が立つだろ。
- 懲罰のサディアス:
それに、私には待ってる男がいる。
- イングリッシュ・
シェパード:
ンだと?この裏切り者!死ぬまでソロのままでいようって誓い合っただろ!
- 懲罰のサディアス:
……そんな誓いを立てた覚えはない。
- イングリッシュ・
シェパード:
ああ、だろうな!私が勝手に誓っただけだから。
- イングリッシュ・
シェパード:
…それでもお前の恋愛事情なんて聞きたくなかったなぁ……
- 懲罰のサディアス:
あー、もう……とにかく、臨時指揮権はいつかお前に会ったら、
文句でも言いながら突き返そうと思ってたんだ。だが、使う羽目になってしまった。 - イングリッシュ・
シェパード:
…ああ、そうみたいだな。ラジオが放送されるまではシティーガード内でも
どっちに従うべきか意見が分かれてたんだ。 - イングリッシュ・
シェパード:
私はまぁ、臨時指揮権を使ったと聞いた瞬間にお前たちに付くことを決めて、
色々とお前たちが動きやすくなるように動いてた。 - 懲罰のサディアス:
私が間違っている可能性もあったぞ?
- イングリッシュ・
シェパード:
他の奴ならともかく、お前がそんなことになるわけがない。
- 懲罰のサディアス:
…ハッ。その信頼は素直にうれしいと言いたいが、
そのせいで今まで苦労したんだからな? - 懲罰のサディアス:
とにかく、お前が合流してくれたんなら、私も楽ができそうだ。
- イングリッシュ・
シェパード:
おう、任せろ。
- イングリッシュ・
シェパード:
じゃあ、シェパードとして改めて司令官に挨拶しに行くか。
- 懲罰のサディアス:
その前に一つ聞きたい。
- イングリッシュ・
シェパード:
なんだ?
- 懲罰のサディアス:
どうしてケルベロスに変装していた?
- イングリッシュ・
シェパード:
まぁ、色々あってな。オメガに見つからないようにしなきゃいけなかったんだ……
- 懲罰のサディアス:
いや、私は…なぜよりによってケルベロスだったのかと聞いている。
もしかして、少しでも若く見られたかったのか? - イングリッシュ・
シェパード:
……
- イングリッシュ・
シェパード:
そうだよ…ケルベロスは私の遺伝子基盤で作られてるからな…イケると思ったんだ。
- 懲罰のサディアス:
だが、色々と違うところがあるだろう……
- イングリッシュ・
シェパード:
…あ?まさか体重の話をする気じゃないだろうな?
- 懲罰のサディアス:
それも無視できない違いだな。
- イングリッシュ・
シェパード:
ほんっと、変わんないな!このドS警官!
- 懲罰のサディアス:
じゃあこの際だ、警察らしく尋問しよう。
- 懲罰のサディアス:
髪はかつらを被ればいい、顔はメイクでカバーするとしても体型はどうしたんだ?
- 懲罰のサディアス:
身長差もあるし、あれこれと明らかな差があるだろう?
- イングリッシュ・
シェパード:
…おい、取り消せよ……今の言葉……
- イングリッシュ・
シェパード:
感動的な再会だったはずなのに、なんで私は言葉責めされてるんだ?
- 懲罰のサディアス:
お前が気になるようなことをするからだ。
- イングリッシュ・
シェパード:
……身長は前かがみになって誤魔化して…体型は…最強の特製補正下着で
なんとかした……これで満足か? - 懲罰のサディアス:
そうだな。お前のその恥じらいに染まった顔を見てかなり満足した。そして……
- 懲罰のサディアス:
…その下着、あとで私にも教えろ。
- イングリッシュ・
シェパード:
どこで着るんだよ……いや、いい。聞きたくないから言うな。
- イングリッシュ・
シェパード:
頭が痛くなりそうだ。ほら、さっさと行こう。
司令官がどこにいるのか分かるか? - 懲罰のサディアス:
司令官は今ごろ大統領府に向かっているはずだ。
- イングリッシュ・
シェパード:
大統領府か……それなら なおさら急ごう。司令官が危ない。
- 懲罰のサディアス:
ベータのクローンたちか?
- イングリッシュ・
シェパード:
それだけじゃない、オメガが裏切って大統領府に向かってる。
- イングリッシュ・
シェパード:
ベータのケストスヒマスを狙ってるはずだ。
- イングリッシュ・
シェパード:
手に入れられると色々とマズい。
- 懲罰のサディアス:
そうだな…だが、どうやら私は行けなさそうだ。
さっきの戦闘のせいで体のあちこちが折れてる。 - イングリッシュ・
シェパード:
そうか……確かにあいつと生身でぶつかって生きてるだけで
儲けもんだからな。 - イングリッシュ・
シェパード:
今すぐサーペントを呼んで病院に移送させるから頑張れ。
私は司令官のもとへ急ぐ。 - イングリッシュ・
シェパード:
…十分間に合うとは思うけど……
- 懲罰のサディアス:
ああ、確かに…危険な状況だが、そんなに心配する必要はない。
- イングリッシュ・
シェパード:
なんで?
- 懲罰のサディアス:
なんたって……
- 懲罰のサディアス:
うちの警護隊長が一緒だからな。
- ウノ:
…完敗ですね。
- ウノ:
仕方ありません。私がすべての責任を取ります。
地下が浸水する前にベータにケストスヒマスを返して解放しましょう。 あなたたちは― - クアトロ:
いやよ。
- ウノ:
…はい?
- クアトロ:
もうお前の言うことは聞かない。
- クアトロ:
何も上手くいかないじゃない。
- トレス:
…言葉に気をつけなさい、クアトロ。ウノは私たちのために…
- クアトロ:
苦労してきた。そうね?知ってるわ。
- クアトロ:
でも、何の成果もなかった。
- ウノ:
…クアトロ、あなたの怒りは当然のことだと思っています。
- ウノ:
あなたには……本当にあるかどうかも分からない記録を頼りに
何日も何日も地下に潜ってデスストーカーを探してもらいました。 - ウノ:
今までのあなたの献身と努力に報いることができず……
本当に申し訳ないと思っています。全て私の責任です……ですが― - クアトロ:
あぁ、違う違う。
- クアトロ:
私が怒ってるのはお前が失敗したからじゃないわ。
- クアトロ:
だって、最後の人間はほとんど災害みたいなもんじゃない?
あんなのに勝つなんて無理な話なのよ。 - クアトロ:
私が怒ってるのはね……お前が今この瞬間にも私たちを騙してるからよ。
- ウノ:
…騙す…?どういうことですか?
- クアトロ:
しらばっくれないで。私は知ってるわ。
- クアトロ:
本当の“レモネードベータ”が誰なのか。
- クアトロ:
トレス、思い出してみて。
ベータの具合が悪い時、どういう症状が出る? - クアトロ:
鼻血を出して、手に力が入らず何も握れない。
ねぇ、これって私たちクローンが死ぬ前の症状に似てない? - トレス:
それは迂回コードとの衝突で……
- クアトロ:
馬鹿なの!?オリジナルのベータに迂回コードなんて必要ないでしょ!
- トレス:
え?
- クアトロ:
何かおかしいと思ってベータをスキャンしたわ。
そしたら…なんとオリジナルのベータだと思ってたあの女はクローンだったのよ! - クアトロ:
識別コードも教えてあげようか?07でした!あはは!
あの女はシエテだったのよ! - クアトロ:
じゃあ、ベータだと思ってた女がシエテなら……
本当のベータはどこにいるのかしらね? - クアトロ:
そう……最後の人間について行ったあのシエテがオリジナルのベータだったのよ!!
- クアトロ:
あの女は新しい男を見つけて、私たちを捨てたのよ!
今ごろ臆病なシエテのフリをして、人間に媚びへつらってるんじゃないの? - クアトロ:
言えよウノ!私たちはベータに裏切られたんだって!
- クアトロ:
信じてきた父親にも裏切られ、さらには信じてきたオリジナルにも裏切られた!
- トレス:
…本当なんですか?ウノ……
- ウノ:
…いえ、誤解です。ベータは私たちを裏切ってはいません。
- ウノ:
説明するのは難しいですが、今地下監獄に閉じ込めているのは
確かにレモネードベータです。 - クアトロ:
…釈明するチャンスを与えたっていうのに、言うつもりはないってわけね?
- クアトロ:
まぁ、いいわ。お前がそういうつもりなら、私にも考えがある。
- トレス:
…何をするつもりなの…クアトロ…
- クアトロ:
ねぇ知ってる?私が地下で見つけたデスストーカーは3機だけだったの。
- ウノ:
…え……?じゃあ……
- クアトロ:
そう、それ以外のデスストーカーは全部それを基に再生産したものなのよ。
- トレス:
…ありえない。カラカスにデスストーカーを生産できるような設備は
ないはずよ。 - クアトロ:
ちょっと助けを借りたのよ。
- クアトロ:
知ってた?最近のホログラム技術はかなり進歩してるのよ。
大量のデスストーカーが移動してるのを完全に隠せるほどにね。 - ウノ:
…レモネードゼータ……ですか。
- クアトロ:
意外と話が通じる女だったわよ?快く協力してくれたわ。
- クアトロ:
そして、デルタも良い代物を遺してくれた。
まぁこんな風に使われるとは思ってなかっただろうけど。 - - :
- クアトロは笑顔でヘルメットのようなものを取り出した。
- ウノ:
…それは……?
- クアトロ:
ヨーロッパの協力者が送ってくれた物よ。
- クアトロ:
バイオロイドがこれを被れば人間さえ攻撃できるようになる。
- クアトロ:
私も何度か使ってみたんだけど……
ベータが下した命令程度なら余裕で無視できるわ。 - トレス:
…ウノ!危ない……!
- トレス:
あぐっ……!
- クアトロ:
だいたい、ケストスヒマスに執着しすぎなのよ。
演算能力が足りないなら…… - クアトロ:
他のクローンの演算モジュールを繋げちゃえばいいのよ!
- - :
- クアトロは笑顔のまま、トレスの死体を髪の毛で引き寄せた。
- クアトロ:
やっと役に立てるわね、トレス。
- ウノ:
…クアトロ…!
- クアトロ:
ふふっ、前から思ってたのよ。カラカスにはレモネードベータが多すぎる。
- クアトロ:
ウノ、数を減らした方がいいと思わない?
- ウノ:
……
- ウノ:
くっ……
- クアトロ:
…逃げるだなんて、ガッカリ。
- クアトロ:
まぁ、いいわ。
- - :
- クアトロは首を横に振り、上の階へ繋がる階段を見た。
- クアトロ:
代わりならたくさんいるもの。