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Transcription
- イングリッシュ・
シェパード:
良い……とは言えない夜だね、ボス。
- イングリッシュ・
シェパード:
…また飲んだのか?酒臭いぞ?
- シモン・ブランコ:
…来たか、シェパード。エルネストは捕まえたか?
- イングリッシュ・
シェパード:
ひざに銃弾を一発ぶち込んどいたさ。
- イングリッシュ・
シェパード:
そんで椅子に座ってじっくり話してみたら、面白いことを言ってたよ。
- イングリッシュ・
シェパード:
ボスは狂ってしまったんだってさ。
- イングリッシュ・
シェパード:
…本当に市民への発砲許可を出したのか?
- イングリッシュ・
シェパード:
…本当にレールガン付きの歩行戦車なんか投入したのか?
- シモン・ブランコ:
……
- シモン・ブランコ:
ああ、そうだ。俺が指示した。
- イングリッシュ・
シェパード:
…クレイジー……ボス、本当に狂ったのか?
- イングリッシュ・
シェパード:
どうしてこんなことをした。
- シモン・ブランコ:
狂ったのかだと?いや、俺は正常だ。
俺の行動は徹底的に理性的な判断から出たものだ。 - シモン・ブランコ:
今考えてみれば…俺の顔が燃えたあの日、俺は火の洗礼を受けたんだ。
- シモン・ブランコ:
そこで初めて俺の目を曇らせていた法と正義という名の影から解放され、
すべてのものを公平に見ることができるようになった。 - シモン・ブランコ:
悪を根絶するためなら手段など選ぶ必要はないと……
- シモン・ブランコ:
悪を悪と断定し、圧倒的な抹殺の意志を持って消し去ることだけが
悪を根絶できる唯一の方法だと。 - シモン・ブランコ:
そう気づくのがあまりにも遅かったのが残念だが。
- イングリッシュ・
シェパード:
…一体何を言ってる?カラカスを血の海にすることのどこが
理性的な判断なんだ? - シモン・ブランコ:
シェパード、この街にはカルテルのメンバーがまだまだ残っている。
しかしだ、奴らは市民たちの奥深くにまで浸透して紛れ、隠れている。 - シモン・ブランコ:
市民たちの中から奴らを探し出してぶち殺すのは……
藁山の中の針を探すのと変わらない。 - シモン・ブランコ:
だが、発想を変えればいい。
- シモン・ブランコ:
そうすれば少なくとも不可能ではなくなる。
- シモン・ブランコ:
藁を燃やし尽くし、その灰の中から針を探せばいいんだ。
- イングリッシュ・
シェパード:
…藁を燃やす?市民全員を逮捕すればいいとでも言いたいのか?
- シモン・ブランコ:
ああ。必要ならな。
- イングリッシュ・
シェパード:
狂ってる!市民は藁なんかじゃない!一人一人意思を持った人間なんだぞ!?
- イングリッシュ・
シェパード:
いるかも分からないカルテルの残党を探すために、
罪のない人々の犠牲を無視するのか!? - シモン・ブランコ:
…罪のない?
- シモン・ブランコ:
今奴らを無実だと言ったのか?シェパード!
ハッ!いっそソドムとゴモラに無実の者がいたと言われた方がまだ納得できる!! - シモン・ブランコ:
奴らの中に罪のない人間なんて一人もいない!!ただの一人も!!
この都市すべての者が罪人だ! - シモン・ブランコ:
ホセフィーナが死んだ時、奴らは何をしていた!?
なぜ今みたいに銃を手にして戦わなかった!! - シモン・ブランコ:
カラカスに来て分かったことがある!俺の娘は撃たれて死んだんじゃない!
大量出血で死んだんだ! - シモン・ブランコ:
俺の娘は銃で撃たれたあと道端に捨てられて、野良犬のように死んだ!!
誰かが手を差し伸べれば死ななかったはずなのに!! - シモン・ブランコ:
わかったか!奴らに無実の人間なんていない!一人もな!シェパード!
奴らはすべて罪人だ! - イングリッシュ・
シェパード:
……
- イングリッシュ・
シェパード:
それでも……ボスは前に言ってたじゃないか。
復讐ってのは傷と同じで、触れば触るほど酷くなるだけだって。 だから……どれだけ辛くても耐えなくちゃいけないんだって。 - イングリッシュ・
シェパード:
私たちが軍人や傭兵だったら、復讐のために人を傷付けることもあるかもしれない。
だけど、私たちは“シティーガード”だ。 - イングリッシュ・
シェパード:
滅茶苦茶になったこの街を見て、ケルベロスが言ってたよ。
自分たちは市民を保護し、テロを防ぐために作られたんじゃないのかって。 - イングリッシュ・
シェパード:
全くもってその通りだよ。私たちは市民を守るために作られた。
復讐をするためなんかじゃない。 - イングリッシュ・
シェパード:
犯罪者を逮捕することはあっても、罰するのは私たちの仕事じゃないよボス。
- イングリッシュ・
シェパード:
この街に無実の人は本当にいないのか?本当はボスの娘を助けたくても
助けられなかったんじゃないのか? - イングリッシュ・
シェパード:
本当はわかってるんじゃないのか?ボス。
- イングリッシュ・
シェパード:
もうこんな狂った事はやめよう。お願いだ、ボス。
デスストーカーを止めてくれ。 - シモン・ブランコ:
…お前は一つ勘違いしている。これは復讐なんかじゃない。
ただの取り立てだ。シェパード…… - シモン・ブランコ:
俺はただ娘を殺したこの街に血の代償を払わせているだけだ。
- イングリッシュ・
シェパード:
……はぁ、そうかい。そうくるんなら……仕方ない。
- イングリッシュ・
シェパード:
シティーガードの総指揮官として、やるべきことをやるしかない。
- シモン・ブランコ:
…俺に銃を向けるのか。
- イングリッシュ・
シェパード:
必要なら。
- シモン・ブランコ:
必要なら?
- シモン・ブランコ:
他の誰でもなく、お前が俺を裏切るのか?
- イングリッシュ・
シェパード:
裏切りじゃない。酒と薬で狂ったあんたを救うんだよボス。
- シモン・ブランコ:
ふざけるな!
- シモン・ブランコ:
世界中の人間が俺を狂っていると、虐殺者だと言っても構わない!
- シモン・ブランコ:
だが、お前だけは!お前だけは、それは許されない!
- シモン・ブランコ:
世界中の人間が奴らに罪がないと言っても、お前だけは駄目なんだ!
お前だけは奴らを擁護するな!お前だけは駄目だ!お前だけは!! - シモン・ブランコ:
お前を殺した奴らをお前が許せだなんて…言わないでくれ!!
- イングリッシュ・
シェパード:
…それは……どういうこと……?
- シモン・ブランコ:
……
- シモン・ブランコ:
イングリッシュ・シェパード……
- シモン・ブランコ:
娘が欲しがっていた犬だ……
- シモン・ブランコ:
……ホセフィーナ。
- オメガ産業会長:
だから君の副官となるバイオロイドを作っている。少々特別な奴をな。
- シモン・ブランコ:
…第二のラビアタでも作るんでしょうか?
- オメガ産業会長:
はははは……ワシらにそこまでの技術力はないからそれはできない。
- オメガ産業会長:
ワシが言う特別は性能の面じゃない。
- オメガ産業会長:
君の娘の遺伝情報を使って作るから特別という意味だ。
- シモン・ブランコ:
…何かの冗談ですか?
- オメガ産業会長:
そんなわけなかろう。
- オメガ産業会長:
娘を置いてベネズエラへ来てしまったこと……、
君が一番後悔していたことじゃないか? - オメガ産業会長:
だが、もうこれで後悔も消える。
ホセフィーナが帰ってくるのだから。 - オメガ産業会長:
もちろん、受け入れにくい面もあるだろう。娘をバイオロイドとして
蘇らせるのは……ある意味、侮辱と取れないこともない…… - オメガ産業会長:
だが、バイオロイドであるというのは悪いことばかりじゃない。
- オメガ産業会長:
病気にもならず、老化も遅く、身体能力は人間を遥かに超えている。
- オメガ産業会長:
そして…次は撃たれた程度では死にはしない。
- シモン・ブランコ:
それは……
- オメガ産業会長:
まぁ、これはワシが勝手にやっていることだ……ホセフィーナをどうするかは
君に任せるとしよう。大事な君の娘だからね。 - オメガ産業会長:
最終的には君が決めたらいい。どうだね?
- シモン・ブランコ:
お前をバイオロイドにするってことは、お前が会長の統制下に置かれるという意味だ。
分かっていたさ……あれが会長の優しさなんかじゃないことを…… お前の存在自体が俺に掛けられた首輪だということを…… - シモン・ブランコ:
……だが、俺はその提案を断れなかった。
- シモン・ブランコ:
お前を二度も殺すことはできなかった……ホセフィーナ。
- シモン・ブランコ:
お前を助けたかった。
- イングリッシュ・
シェパード:
……はっ……
- イングリッシュ・
シェパード:
だからベータが私のことを「姉さん」って呼んでたのか。まったく……
- イングリッシュ・
シェパード:
だけどさ……なぁ、ボス。
- イングリッシュ・
シェパード:
私は死んだことなんてない。
- シモン・ブランコ:
……
- イングリッシュ・
シェパード:
そして、私の名前はホセフィーナじゃなくてイングリッシュ・シェパードだ。
- シモン・ブランコ:
ホセフィーナ……
- イングリッシュ・
シェパード:
だから!私はイングリッシュ・シェパード!!ホセフィーナじゃない!!!
- イングリッシュ・
シェパード:
あんたの娘の代替品でもない!!
- イングリッシュ・
シェパード:
私はあんたのことを父親だと思ってた!バイオロイドだとか人間だとか関係なく、
お互いを大切に想い合う本当の家族だと思ってた! - イングリッシュ・
シェパード:
なのに、あんたの気持ちは全て私じゃなくて、死んだ娘に向けられてたのか?
- - :
- シェパードは力なく床に座り込む。
- シモン・ブランコ:
…俺はいつもお前のことを愛していた、ホセフィーナ。
だからベータにも与えなかった命令拒否権をお前に与えたんだ。 - イングリッシュ・
シェパード:
その名前で呼ぶな……クソッ……
- イングリッシュ・
シェパード:
…あんたの中で何が本当のことだったんだ……?
私が殺したテロリストたちは本当にテロリストだったのか? - シモン・ブランコ:
……
- シモン・ブランコ:
一部はそうだった。
- イングリッシュ・
シェパード:
…一部はそうだった……
- イングリッシュ・
シェパード:
はっ……便利な言い方だな?
- イングリッシュ・
シェパード:
あんた言ってたよな。自分たちは正義のために戦ってるんだって……
その言葉を信じて私はあんたに従って手を血に染めてきた…… あの言葉さえ嘘だったんだな。 - イングリッシュ・
シェパード:
イングリッシュ・シェパード……牧羊犬か。
何も知らずに銃を撃ち続けていた企業の犬にはピッタリの名前だな。 - イングリッシュ・
シェパード:
…ははは、何がシティーガードの総指揮官だ。
- イングリッシュ・
シェパード:
サディアスの言う通りだったな。
シティーガード最大の悲劇は私がトップってことだよ…… - シモン・ブランコ:
……
- イングリッシュ・
シェパード:
…それでも、やるべきことはやらないとな……
- - :
- シェパードはシモンに銃口を向けた。
- イングリッシュ・
シェパード:
デスストーカーを止めろ。
- シモン・ブランコ:
…できない。
- イングリッシュ・
シェパード:
あんたの娘はもう死んだ!いま外で悲鳴をあげている人たちの中には、
あんたの娘が死んだ時にはまだ生まれてもなかった子供だっているんだぞ! - イングリッシュ・
シェパード:
自分の娘の復讐のために関係のない誰かの娘を殺すのか!
- シモン・ブランコ:
…誤解があるようだな。
- シモン・ブランコ:
今のは……デスストーカーの指揮権限が俺にはないという意味だ。
- イングリッシュ・
シェパード:
ありえない。じゃあ一体誰が……あのエルネストおじさんが圧倒されたんだぞ……
- - :
- しかし、すぐに一つの可能性がシェパードの頭をよぎる。
- イングリッシュ・
シェパード:
…ベータ。
- イングリッシュ・
シェパード:
…ベータは今どこにいる!?
- - :
- シモンはその言葉にニヤケた。
- シモン・ブランコ:
ふっ……さすがは俺の娘だな。
- イングリッシュ・
シェパード:
…ベータにデスストーカーを指揮させてるのか!?
- イングリッシュ・
シェパード:
虫一匹殺せない優しいあの子に、人殺しを命令したのか!!
- イングリッシュ・
シェパード:
あの子こそあんたの遺伝子をもらった…娘だろ!
- シモン・ブランコ:
俺の娘は一人だけだ。
- シモン・ブランコ:
お前の言う通り、ベータが俺を父親のように思っていたのは事実だ。
俺の遺伝子を持っているのも事実。だが、それがどうした? それがどうしてあいつを娘のように思わなければならないことになる? - シモン・ブランコ:
道具が勝手に抱いた感情だ。そんなものに向き合う義務は俺にはない。
- イングリッシュ・
シェパード:
……すぐにデスストーカーを止めろ。でなければ……
- シモン・ブランコ:
俺を撃つのか?いや、お前にはできない。
- シモン・ブランコ:
俺が死ねばベータを止められる者は誰もいなくなる。
それはお前がよく分かっているはずだ。 - イングリッシュ・
シェパード:
…私がいる。私が……ベータを止める。あの子を殺してでも。
- - :
- シモン・ブランコは鼻で笑い、肩をすくめる。
- シモン・ブランコ:
たしかに、お前ならベータを殺すことができる。お前はシティーガードの精鋭で、
ベータはレモネードの中でも戦闘力がない。 - シモン・ブランコ:
だが、問題は“殺せるかどうか”ではない。“何体殺せるか”だ。
- イングリッシュ・
シェパード:
……は?あんたまさか……
- シモン・ブランコ:
そう。お前の推測は正しい。
- シモン・ブランコ:
お前にこの状況を止めることはできない、シェパード。
この悪夢を終わらせることができるのは一人だけだ。 - シモン・ブランコ:
俺の娘、ホセフィーナだけだ。
- シモン・ブランコ:
お前の裏切りを俺は許そう。だから俺のもとへ、父さんのもとへ帰ってきなさい。
ホセフィーナ…… - シモン・ブランコ:
お前が戻ってくればすべて終わらせよう。
- - :
- シェパードは目を閉じてしばらく悩み、銃を下ろす。
- イングリッシュ・
シェパード:
あんたを撃てば人々を救うことができない。
そして、あんたに従えば私自身が救われない。 - イングリッシュ・
シェパード:
きっと、どの選択をしてもベータは止められない。
- イングリッシュ・
シェパード:
(ごめんな、ベータ。どうもお前を救うことはできないみたいだ)
- イングリッシュ・
シェパード:
(やっぱり私はシティーガードの総指揮官失格みたいだ)
- イングリッシュ・
シェパード:
(でも、一つだけすべてを止める方法がある。この狂った状況を止める方法……)
- イングリッシュ・
シェパード:
…よし、決めたよ。喜んであんたの娘、ホセフィーナになってやるさ。
- - :
- シェパードはホルスターから拳銃を抜いて、顎の下に当てた。
- シモン・ブランコ:
待て!!!何をする気だ!!!
- イングリッシュ・
シェパード:
ホセフィーナがもう一回死ぬだけさ。
- シモン・ブランコ:
やめろ!!やめろ!!!銃を下ろせッ!!命令だッ!!!
- イングリッシュ・
シェパード:
…自分で言ってただろ?
- イングリッシュ・
シェパード:
私に命令拒否権を与えたのはあんただ。
- - :
- そして、シェパードは引き金を引いた。
- シモン・ブランコ:
やめろおおおおおおおォォォッ!!!!
- 社員:
会長!大丈夫ですか!銃声が―
- シモン・ブランコ:
医者だ!はやく医者を呼べ!ホセフィーナが!ホセフィーナが!!
- シモン・ブランコ:
医者をかき集めろ!どんなことをしても助けろ!!はやく!!
はやく医者を連れてこい!! - 社員:
か、会長……ここに医者はいません……
- 社員:
デモ隊の中から見つけてくるしか……
- シモン・ブランコ:
…ははは。
- シモン・ブランコ:
これを狙ったのか…ホセフィーナ……
- シモン・ブランコ:
はぁ……
- シモン・ブランコ:
……わかった。今回はお前の勝ちだ。奴らへの攻撃は止めてやろう。
- シモン・ブランコ:
だが覚えておけよ、ホセフィーナ。
- シモン・ブランコ:
お前がしたことはただの先延ばしだ。
- イングリッシュ・
シェパード:
……うっ、頭が……
- イングリッシュ・
シェパード:
……ここはどこだ?あの世にしてはずいぶん殺風景だな。
- レモネードベータ:
あの世じゃないですよ。姉さん。
- イングリッシュ・
シェパード:
…ベータ?はぁ……銃の口径が小さすぎたか……
- イングリッシュ・
シェパード:
それで、今日から私はホセフィーナってか?
- レモネードベータ:
…いいえ、姉さん。それも違います。
姉さんが意識を失ってから長い年月が流れました。 - レモネードベータ:
その間に……本当にたくさんのことがありました。
第二次連合戦争、鉄虫の侵攻、ヒュプノス病、そして人類の滅亡…… - レモネードベータ:
話さなければならないことがいっぱいあります。
- イングリッシュ・
シェパード:
…今のを聞いただけでも気が遠くなりそうだよ。
- イングリッシュ・
シェパード:
でも、そんな話を聞かせるために私を起こしたわけじゃないんだろ?
- レモネードベータ:
…はい。都合がいいと思うかもしれませんが……姉さんの助けが必要なんです。
- レモネードベータ:
…私の罪を、そそぐ時が来たんです……
- イングリッシュ・
シェパード:
…そうしてここまで来たってわけさ。
- イングリッシュ・
シェパード:
楽じゃなかったよ、本当に。無駄に軍事力のある勢力と争ったり、
時には協力し合ったりしながら色んなことをしてきた。 - イングリッシュ・
シェパード:
でも、それももうすぐ終わる。オメガを倒して、苦しんでいるバイオロイドたちを救う……
- イングリッシュ・
シェパード:
…そして、ベータのことも救ってやれそうだ。
- ユミ:
…そんなことがあったんですね。
- ユミ:
私も……出来ることは何でも手伝います。
- イングリッシュ・
シェパード:
こんな話を聞いたのに、そんな風に言ってくれて嬉しいよ。
- イングリッシュ・
シェパード:
んじゃあ、これからやることを説明する。とりあえずピッツバーグに着いたら
カラカス産業の本社に行って、今後の作業に必要なデータをダウンロードする。 - イングリッシュ・
シェパード:
そのあと……本当に申し訳ないけど、あんたはオメガのそばに戻ってくれ。
- イングリッシュ・
シェパード:
私たちのスパイになってほしい。
- ユミ:
…私に務まりますか?
- イングリッシュ・
シェパード:
大丈夫だよ。一回もリーグ優勝できなかったチームを
まだ応援してる一途さなんだから。 - ユミ:
…シェパードさんは眠っていたから知らないみたいですが、
エルブンズも優勝したことがあるんですよ? - イングリッシュ・
シェパード:
へー、何回?
- ユミ:
…一回。
- イングリッシュ・
シェパード:
ほら、一途じゃん。
- イングリッシュ・
シェパード:
とにかく、準備が出来たら私から連絡する。
- イングリッシュ・
シェパード:
オメガの監視網を避けて痕跡を徹底的に消しながら動くから……
かなり時間がかかると思う。たぶん年単位になるだろう。 - イングリッシュ・
シェパード:
でも、絶対に捕まったりはしないから、心配せずに連絡を待ってくれ。
- ユミ:
はい。待ってます。
- イングリッシュ・
シェパード:
あ、それと…オルカに連絡する手段はある?
一度オルカの司令官と話す必要があるんだ。 - ユミ:
…え?最後の人間様とですか?
- イングリッシュ・
シェパード:
そ。
- イングリッシュ・
シェパード:
…PECSの会長になってもらうには、本人の同意が必要だからね。
- - :
<涙の都市> 第2部に続く。