Transcription

1. レモネードガンマ:

   …アンカレッジは結局陥落したのか？

2. レモネードオメガ:

   …そうです。生存者なし、きれいに全滅しました。

3. レモネードガンマ:

   そうか。残念だったな。

4. レモネードオメガ:

   それで？どうしてあなたがここにいるんです？ガンマ。私は北部戦線に集中しろと言ったはずですが？

5. レモネードガンマ:

   あんまり心配すんなって。そっちには副官を送っておいた。強かな奴だから、私がいなくても上手くやるだろうよ。

6. レモネードオメガ:

   …ハ。長生きしてみるものですね？戦争に狂ったあなたがそんなことを言うなんて。

7. レモネードガンマ:

   まぁ、鉄虫をぶっ殺すのも楽しいっちゃ楽しいが……北部戦線はつまんねーんだよ。

8. レモネードガンマ:

   鉄虫の奴ら、いっちょ前に派閥に分かれてんだろ？内部分裂してる奴との戦争はおもしれーことが起こんねぇ。

9. レモネードオメガ:

   …その隙に鉄虫を駆逐し、北部を安定化させるという考えには至らないんですか？

10. レモネードガンマ:

    まぁ、そうかもしんねぇ…

11. レモネードガンマ:

    だが、どうしてお前の言うことを聞かなきゃなんねぇんだ？そこに投入するのは私の兵力だ。

12. レモネードガンマ:

    兵力を出して鉄虫の南下を防いでくれてるだけでも感謝するべきなんじゃねぇのか？

13. レモネードオメガ:

    ……

14. レモネードガンマ:

    つーか、そんな事よりも、ここで起こってるビッグイベントの方が大事だろ！

15. レモネードガンマ:

    今まで南米でコソコソしてたベータが、重いケツを上げたんだぞ？

16. レモネードガンマ:

    ゼータが慈善事業するくらいありえねー事態だろ。

17. レモネードガンマ:

    私はベータのツラを拝みに来たんだよ。

18. レモネードオメガ:

    フン、その言葉だけを聞いたら随分親しい仲のように聞こえますね。

19. レモネードガンマ:

    親しい……そうだな。確かにそんなに仲は悪くねぇぞ？

20. レモネードガンマ:

    お前とデルタに比べたら、私とベータは親友って言えるくらいには悪くねぇ。

21. レモネードオメガ:

    それはデルタが問題なだけでしょう。あの女が救いようのない性悪なだけです。

22. レモネードガンマ:

    そういうお前もだいぶ性悪じゃねーか。

23. レモネードオメガ:

    デルタよりはマシです。

24. レモネードガンマ:

    カハハッ！わかってるじゃねーか。

25. レモネードガンマ:

    ……で、そろそろ来る頃か？

26. ユミ:

    オメガ様、ベータさんがいらっしゃいました。

27. レモネードガンマ:

    おー、ナイスタイミング。

28. レモネードガンマ:

    入れよ、ベータ！久しぶりにツラ見せろ！

29. レモネードオメガ:

    …ここは私の部屋で、あなたはゲストなんですが？

30. レモネードガンマ:

    んじゃあ、入ってくんなベータ！

31. レモネードオメガ:

    …はぁ……

32. レモネードオメガ:

    入りなさい、ベータ。

33. レモネードベータ:

    …こんにちは、オメガ。そして…まさかここで会うとは思いませんでした。ガンマ……

34. レモネードガンマ:

    予測不能なのが私の魅力ってもんだろ？

35. レモネードオメガ:

    あれは無視しなさい……それで？どんな心境の変化ですか？

36. レモネードオメガ:

    今までカラカスに引き籠っていたあなたがここまで来るだなんて……何か重要な案件でも？

37. レモネードベータ:

    …アラスカが占領されたという話を聞きました。

38. レモネードベータ:

    鉄虫の脅威が顕在化した今…私も何かしなければと思いました。

39. レモネードオメガ:

    今更……あなたに何ができるんです？

40. レモネードベータ:

    …鉄虫に対抗するための新たな同盟相手を見つけてきました。

41. レモネードオメガ:

    …新たな同盟相手？

42. レモネードオメガ:

    アメリカ西部やヨーロッパにバイオロイド勢力がいくつかありますが、鉄虫に対して攻勢に出られるほどの規模の勢力はないと思いますが？

43. レモネードガンマ:

    ……いーや、ある。

44. レモネードガンマ:

    最後の人間か。

45. レモネードベータ:

    …はい。そうです……

46. レモネードベータ:

    最後の人間と同盟を結ぶべきです。

47. レモネードオメガ:

    ……

48. レモネードオメガ:

    もう一度…言ってもらえます？それ。

49. レモネードベータ:

    …あ、えっと……

50. レモネードガンマ:

    おーおー、脅すなって、まずは聞いてみようじゃねーか。私はおもしれーと思うが？

51. レモネードベータ:

    あ……ありがとうございます。

52. レモネードベータ:

    か、考えてみてください…最後の人間と私たちは確かに敵対関係にあります。ですが、彼らにとって脅威となっているのは私たちより鉄虫です。

53. レモネードベータ:

    私たちの目的は最後の人間の生け捕りですが、鉄虫は命を狙っていますから……

54. レモネードベータ:

    ですから、敵の敵は味方という言葉があるように…鉄虫の脅威がある間、彼らと休戦協定を結び、鉄虫に対抗する臨時同盟を結ぶ提案をこちらからすれば…

55. レモネードベータ:

    きっと悪い返事は来ないはずです。

56. レモネードオメガ:

    …最後の人間と休戦協定……？

57. レモネードガンマ:

    私は良いと思うが？お前がケストスヒマスを引っぺがされて帰ってきたんだ、強さはもう折り紙付きだろ。鉄虫と戦う経験も戦力も豊富で、役に立つ想像しか出来ねぇ…

58. レモネードオメガ:

    …何度も言っていますが、あれは鉄の王子の研究所を探査している時に最後の人間たちと遭遇したせいで……

59. レモネードオメガ:

    それに、そもそもアルファの裏切りがなければ、あんなことにはなっていません。

60. レモネードガンマ:

    だが、負けたのは事実だ。

61. レモネードオメガ:

    ……

62. レモネードガンマ:

    おー、いい目するじゃねぇか。なんだ？喧嘩するか？

63. レモネードオメガ:

    …正直言って、その生意気な口を二度と開けないようにしたいわね。

64. レモネードガンマ:

    カハハッ！夢はデケェ方がいい。まぁでも、熱くなりすぎてバカにはなるな…ケストスヒマスを失ったお前と喧嘩するほど喧嘩に飢えてるわけじゃねぇ。

65. レモネードオメガ:

    どういう意味かしら……

66. レモネードベータ:

    け、喧嘩はやめてください…今は私たちが喧嘩をしてる場合じゃないでしょう？

67. レモネードオメガ:

    …はぁ…。あなたたちと話すとため息ばかり吐いてしまいます。

68. レモネードオメガ:

    ベータ、あなたのその提案…検討はしましょう。

69. レモネードベータ:

    はい。お願いします。

70. レモネードオメガ:

    ですが、その前に一つ。

71. レモネードオメガ:

    何を企んでいるのですか？

72. レモネードベータ:

    …はい？

73. レモネードオメガ:

    これまで南米でこそこそ資源を掘っているだけだったあなたが、急になぜ北米に関心を寄せたのかと聞いているんです。

74. レモネードオメガ:

    “おままごと”に飽きた？お気に入りの人形が壊れた？

75. レモネードオメガ:

    …それとも…アルファから命令でもされた？

76. レモネードベータ:

    ……

77. レモネードベータ:

    これはアルファとは関係ありません。むしろ……

78. レモネードベータ:

    オメガ、あなたのおかげです。あなたが以前言っていた言葉が正しいと考え直すことにしたんです。

79. レモネードガンマ:

    ん？私が知らない間にオメガが感動的な演説でもしたのか？

80. レモネードベータ:

    あ、そうじゃないんですが……

81. レモネードベータ:

    …前に言っていましたよね？PECSには会長が必要だと。

82. レモネードベータ:

    あれからよく考えてみました……

83. レモネードベータ:

    私は会長の復活に反対していましたが、鉄虫の攻勢が強まる今、会長なしでは私たちが鉄虫に有利に立ち回ることなんてできないでしょう……

84. レモネードベータ:

    だから…会長を復活させるためにオメガに協力することにしたんです。

85. レモネードベータ:

    本心を言えば、まだ復活には反対です……

86. レモネードベータ:

    それでも私は…シティーガードの子たちを守りたい。ただ、それだけです。

87. レモネードオメガ:

    …ふん。

88. レモネードオメガ:

    まったく信じられませんけど……とりあえずそういうことにしておきましょう。

89. レモネードガンマ:

    悲しいなぁ？全く信用がねぇ。

90. レモネードガンマ:

    うっし、用事は終わったか？終わったんなら、ちょっとついて来い。

91. レモネードベータ:

    …え？ど、どこに行くんですか？

92. レモネードガンマ:

    あ？ブルックリンに決まってんだろ。せっかくここまで来たのにピザも食わずに帰るのか？

93. レモネードベータ:

    …そうですね。

94. レモネードガンマ:

    よーし。レモネード同士が面と向かって食事なんて久しぶりなんじゃねーか？

95. レモネードガンマ:

    オメガ、お前も来いよ。昔みたいにピザパーティーしようぜ。

96. レモネードオメガ:

    …一体いつの話をしているんですか。

97. レモネードオメガ:

    私抜きでお願いします。あなたたちと違って暇じゃないので。

98. レモネードガンマ:

    だろうな。

99. レモネードベータ:

    あの…忙しくて来られないなら…テイクアウトしてきましょうか……？

100. レモネードオメガ:

     い・り・ま・せ・ん。

101. レモネードガンマ:

     じゃあ、最終的にどうするのか決まったら呼べよ。それまで近くで待機しておいてやるから。

102. レモネードオメガ:

     ……

103. レモネードオメガ:

     (結局、ベータがどういう魂胆なのかが分からない……)

104. レモネードオメガ:

     (まぁ、いいわ。引きこもりのベータが動き出したこの機会を逃す手はない…)

105. レモネードオメガ:

     ふっ…最後の人間との休戦協定……いくらでも結んであげるわ。

106. レモネードオメガ:

     ベータのケストスヒマスを使って、アルカトラズの絶対防衛区域を手に入れたなら……

107. レモネードオメガ:

     鉄虫でも、最後の人間でも、何もかも潰せるんだから。