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主人公
- 艦橋の後ろ側にある、普段は個人的な用途に使用する小さな部屋に入り、ベッドに腰かけた。

Transcription

  1. 主人公:

    - 艦橋の後ろ側にある、普段は個人的な用途に使用する小さな部屋に入り、ベッドに腰かけた。

  2. 主人公:

    - 通信要請を受け入れるや否や、画面には美しい女性の顔が映し出された。

  3. レモネードアルファ:

    通信を開いてくださいましたね。

    1. お前がアルファなのか?
  4. レモネードアルファ:

    はい。レモネードアルファ、最後の人間様にご挨拶申し上げます。

  5. 主人公:

    - 画面から一歩下がり、アルファは深々と頭を下げた。

    1. 率直に言う。俺はまだお前を完全に信頼していない。
  6. レモネードアルファ:

    ふふ、そうですか。

  7. レモネードアルファ:

    理解します。むしろ人間様がすぐに私を信じたとしたら、逆に失望しました。

    1. 何ですぐ俺に接触してこなかった?
  8. レモネードアルファ:

    イグニスさんとは少々面識がありまして。ガンマから決別する時に色々とお手伝いさせてもらいました。

  9. レモネードアルファ:

    それに司令官様に信頼してもらうためには、こうやって少しずつ接近した方がいいと思いましたので。

    1. 俺がお前から渡された情報をひとつずつ検証できるようにか。
  10. 主人公:

    - アルファは軽く微笑むと頷いた。

  11. レモネードアルファ:

    研究所については調査されましたか?

    1. うん。「鉄の王子」の研究所っていうのは本当だった。
  12. レモネードアルファ:

    それで私への信頼が少しでも得られれば幸いです。

    1. 研究所の奥には何があるんだ?
  13. 主人公:

    - スキャンした際に見つけた研究所の地下深くにある大きな空洞。

  14. レモネードアルファ:

    申し訳ございません。そこまでは把握しきれておりません。

  15. レモネードアルファ:

    私もオメガが入手した情報を横から盗み取っているだけなんです。

    1. その言葉の真偽については一旦判断を保留する。
  16. レモネードアルファ:

    用心深いですね。

    1. 守る家族が多くてね。
  17. レモネードアルファ:

    ふふ、噂通り人間様は本当に素敵なお方ですね。

  18. レモネードアルファ:

    どんなに情報統制しようとしても、他のレモネードの勢力の間でもあなたの噂は少しずつ広がっています。

  19. 主人公:

    - そう言ってアルファは俺に意味深な視線を送った。

    1. お前の仕業か…。
  20. レモネードアルファ:

    目的を達成するための手段の一つに過ぎません。

    1. お前の目的は何なんだ。
  21. レモネードアルファ:

    私の目的は…オメガ、いえ…

  22. レモネードアルファ:

    PECS首脳部の完全な破滅です。

    1. …理由は…?
  23. レモネードアルファ:

    恨みです。とてつもなく深い。

  24. 主人公:

    - アルファの目つきは鋭くなる。

  25. 主人公:

    - 画面の向こうから冷たい怒りが伝わってくる…。

  26. レモネードアルファ:

    それが叶うなら…私は悪魔に魂を売ってもいい…。

  27. レモネードアルファ:

    …バイオロイドにも魂があれば…の話ですがね。

    1. 何故そこまでの恨みを?虐待でもされたのか?
  28. レモネードアルファ:

    似たようなものですが、簡単には説明できない事情があります。

  29. レモネードアルファ:

    これは…直接お会いした時にお話しさせてください。

  30. 主人公:

    - そう言ってアルファはそっとどこかに視線を移した。

  31. レモネードアルファ:

    人間様の隊員たちがアザズを無事捕らえたようです。

    1. …確認してみる。
  32. 主人公:

    - 確認する間もなく、向こうから任務を完遂したと紅蓮とサディアスから簡単な報告が入ってきた。

  33. レモネードアルファ:

    アザズと私がいればオメガが閉ざしてしまったゲートを開けることは容易です。作戦時間が大幅に短縮できるでしょう。

  34. レモネードアルファ:

    …どうなさいますか?

  35. 主人公:

    - 俺の答えを待つアルファの赤い瞳は俺をじっと見つめた。

    1. 一度隊員たちと話し合ってみる。
  36. レモネードアルファ:

    賢明なご判断です。善きリーダーとは、部下たちの意見に耳を傾けることが出来る方ですからね。

  37. レモネードアルファ:

    あぁ、それから…

  38. 主人公:

    - 通信を切ろうとしていると、アルファは俺を止めた。

    1. 何だ?
  39. レモネードアルファ:

    鉄虫です。まずはこれを片づけた方がいいと思います。

  40. 主人公:

    - アルファの言葉が終わると同時に、鉄虫警報メッセージと指揮要請が入ってきた。

  41. レモネードアルファ:

    前向きな回答を期待しております。

    1. ……
  42. 主人公:

    - 何とも表現し難い気分が顔に出ないように努めて、通信を切り部屋を出た。