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Transcription
- オレンジエード:
はい、アルファ様。はい、はい。
- オレンジエード:
はい、わかりました。随時連絡いたします。
- オレンジエード:
ユミさん!最初のグループがバンクーバー空港に到着したそうです!
- オレンジエード:
輸送機にどんどん乗せてって、すぐに離陸すると思いますよ!
- ユミ:
……そうですか。よかった……
- ユミ:
PECS本隊の兵力配置について問い合わせなどはありましたか……?
- オレンジエード:
あっ、はい、ありました。主要な拠点とその位置について―
- ユミ:
お待ちください。軍事機密文書に設定された暗号は解読に時間がかかるので……
……どうぞ。 - ユミ:
今送りました……
- オレンジエード:
ほぇ?もうですか……?
- オレンジエード:
すごい!すごいすごい!今のこの短時間でまとめたんですか!?
- ユミ:
大したことありません……
- ユミ:
……これくらい、私じゃなくても出来ますよ。
- オレンジエード:
いやいやいや!一目でわかるように整理されてますし、ポイントがキチンと
強調されてます!こんなに上手に要約出来る人なんていませんよ! - オレンジエード:
私とか今でもまとめ方がダメだってやり直しさせられるのに……、
ユミさんはそんなことないでしょう?羨ましいです~! - ユミ:
……そんなことありません。
- オレンジエード:
あっ、ところで難民の皆さんって全部で何人くらいになりますか?
- ユミ:
……正確な数を把握するのはちょっと難しいと思います……。
- ユミ:
途中で合流した方や離脱された方がいるので……でも、
予想していた数より遥かに多いのは確かです…… - ユミ:
すみません……あまりお役に立てなくて…
- オレンジエード:
何言ってるんですか!司令官様ならそこまで想定済みですよ!
- オレンジエード:
それに、ユミさんのおかげで今回の作戦がここまでスムーズに進行できたんですよ?
- オレンジエード:
他の誰でもない、ユミさんのおかげで難民の方たちはここまで無事に来れたんです!
- オレンジエード:
……ていうか、カドゥケウスやケストスヒマスもなしに一人で
通信ネットワークを管理してたって本当ですか? - ユミ:
…通信ネットワークですか?
- ユミ:
はい……私が作りましたから……
- オレンジエード:
え……!?ユミさんが作ったんですか!?
- ユミ:
はぃ……きゃっ!?
- オレンジエード:
ど、どうやってですか!?何か別のスーパーコンピューターの力を
借りたとかですか!? - ユミ:
い、いいえ……私が直接コーディングを……
- オレンジエード:
うわぁ~……
- オレンジエード:
スゴイ!スゴすぎます!!手で構築したんですか!?
- オレンジエード:
いや、待ってください……これって、ユミさんの登場で私の立場が危うくなりそう
なんですけど!?最強のライバル登場ってやつですか!?少年漫画みたいです! - ユミ:
少年漫画……?
- オレンジエード:
そうです!少年漫画!私、滅亡戦争前の漫画を読むのが趣味なんですよ!
- オレンジエード:
世界中を飛び回るついでに収集してるんです!どうです?
オルカに来たらちょっと読んでみません?貸してあげますよ! - オレンジエード:
いえ!絶対読みましょう!すっごく面白いですから!
- ユミ:
面白い……
- オレンジエード:
あ……もしかしてご迷惑でしたか?
- オレンジエード:
てへへっ、すみません。アルファ様から調子に乗りすぎるなって注意されてたのに、
またやっちゃいました…… - ユミ:
いいえ……ありがとうございます……嬉しいです。
- ユミ:
ですが、私のことは……お構いなく……
- ユミ:
……私はやることがありますので……。
- オレンジエード:
はい?
- ユミ:
…人間様にお話しするのを忘れていましたが、皆さんがバンクーバーを発った後、
やらなければならないことがあるんです。 - オレンジエード:
それは……何でしょう?
- ユミ:
海岸沿いに設置されている監視記録装置を操作しないといけません……。
軌道衛星と接続されているため、放置しておくとオルカ号が追跡されてしまいます…… - ユミ:
独立しているシステムのため、遠隔ハッキングは無理ですが、
通信ネットワークと同じ構造なので…… - ユミ:
……
- ユミ:
大したことではありません……私が処理します……
- オレンジエード:
ふむふむ!空港に到着したらすぐに作業を始めるんですか?
- オレンジエード:
だったら私もフォローしますよ!退屈しないように隣で歌でも歌います!
私、歌上手なんですよ。今歌いましょうか!? - ユミ:
……お気持ちは嬉しいのですが、オレンジエードさんは難民の方たちの護送を―
- オレンジエード:
あ、そうでした!私も仕事がたくさんあるんでした!
今日の作戦だけでもすごい量なんですよ!これ見てください。すごくないですか? 私のスケジュールなんですけど、タイムラインがびっしり詰まってるの見えます? - オレンジエード:
はぁ~、流石にこのまま働き続けたら過労死するかもしれませんよ~。
この作戦が終わったら、いくらバイオロイドでも休暇をとらないといけませんね! 私とアルファ様とユミさんがどれだけ苦労したか!わかってもらいませんと! - オレンジエード:
あっ、それからオルカ号に私の部屋ができたら、今まで集めた漫画と化粧品を
全部飾らないと!漫画はジャンルごとに分類して、化粧台は― - ユミ:
あ、あの……
- ユミ:
…難民の方たちが待っていますよ……
- 主人公:
- 難民たちを乗せた最初の輸送機が臨時指揮所に到着した。
- 主人公:
- 不安な様子で降りてくる難民たちを、龍の艦隊に所属の艦に乗船させ、
輸送機は再び空港へ向かった。 - 空港の状況はどうだ?
- レモネードアルファ:
難民が続々と到着しています。また、防衛線も安定しています。
- レモネードアルファ:
ですが難民たちの規模が当初の予定より……
- それなら心配ない。
- 主人公:
- 人数が増えることなら想定内だ。
- 主人公:
- 問題はただ一つ、時間だ。
- 主人公:
- 内陸側にいるPECSの本隊がいつ動き始めるのか……、
龍がガンマの艦隊を相手にどれだけ持ち堪えられるかが鍵だ…… - 群島の方はどうだ?
- レモネードアルファ:
地形の優位性を利用して、レモネードガンマの艦船を次から次へと
撃沈させているそうです。 - レモネードアルファ:
ですが……撃沈させる数よりも遥かに多い数の艦船が
軍港から現れているとの報告です……。 - やはり…
- 主人公:
- バンクーバーで難民を護送することにした時から、シアトルに駐屯中の
PECS海軍が介入することは想定済みだった。 しかし……ガンマの艦隊が加わったことで海軍の戦力は大幅に増えた…… - 主人公:
- その結果、予想よりもかなり時間が足りなくなっている……。
- PECSの本隊が動きそうな気配はないか?
- レモネードアルファ:
はい。あと1時間は心配いりません。よほどセキュリティに自信があったのか、
代替となる通信手段を準備していなかったようです。 - レモネードアルファ:
オメガらしいと言えばオメガらしいですが……十分理解できます。
私のケストスヒマスを使ったとしても、セキュリティを突破するには 相当な時間がかかるでしょうし、その前にどうせ見つかってしまいます。 - 主人公:
- そういえばさっき、ユミがPECS内部の通信ネットワークの開発と管理を
担当していたと言っていたな……。 - アルファ、ユミについて何か知ってることは?
- レモネードアルファ:
…すみません、旦那様。よくわかりません。
私の知る限りでは、ユミはオメガ以外誰とも会話をしたことがありません。 - 全く?
- レモネードアルファ:
はい。ユミは話をすることすらオメガの許可が必要でしたから。
- レモネードアルファ:
いつも下を向いているだけで……見ていて本当に可哀そうでした。
- レモネードアルファ:
正直言って……少し驚いています。
あのユミが協力者で、しかも難民たちのリーダーをしているだなんて。 - 俺たちに協力する理由は何だろう?
- レモネードアルファ:
断片的な推測ですが、私たちが拡散した映像を見て感化されたのでしょう。
- レモネードアルファ:
もしくは想像以上にオメガから酷い扱いをされてきたのか。
- レモネードアルファ:
そうでもなければ……
- 本人の口から話を聞くまでは知りようがないな。
- 主人公:
- ユミが提供してくれた情報が、偽の情報でないことは、
作戦が進行するにつれ証明されている。 - 主人公:
- これ以上彼女を疑う理由はない。でも一つだけ気になることがある。
- 主人公:
- 俺たちに協力する理由を聞いた時、過呼吸になったのはなぜだ?
一体何があったんだ?オメガの副官なら相当なリスクを伴うはずなのに…… なぜ、俺たちに協力してくれる? - 主人公:
- 考える暇もなく、状況を表示するパネルには赤いマークが現れた。
周辺から集まってきたPECSの支援兵力だ。 - キリがないな…
- 主人公:
- 空港にいる隊員たちに敵の位置情報を送信し、指揮を始めた。